※本記事は、株式会社NATTY SWANKYホールディングスの有価証券報告書(第25期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. NATTY SWANKYホールディングスってどんな会社?
餃子居酒屋「肉汁餃子のダンダダン」を主力ブランドとして、首都圏を中心に多店舗展開を行う外食企業です。
■(1) 会社概要
2001年8月に東京都調布市で創業し、ナッティースワンキーを設立しました。2011年1月に直営1店舗目となる「肉汁餃子のダンダダン」を開店し、2014年からはフランチャイズ展開を開始しました。2019年3月に東証マザーズ(現グロース市場)へ上場し、2022年2月に現在の社名へ商号変更しています。
同社グループの従業員数は連結で314名、単体で8名となっています。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の井石裕二氏で、第2位は同じく創業者の田中竜也氏、第3位は社長の資産管理会社であるBORAとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 井石裕二 | 19.32% |
| 田中竜也 | 14.33% |
| BORA | 9.80% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は井石裕二氏が務めており、取締役における社外取締役の比率は25.0%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 井石裕二 | 代表取締役社長 | 1995年クレメント入社。2001年同社取締役、2007年同社社長を経て2018年より現職。 |
| 田中竜也 | 取締役会長 | 1992年らいおんフーズ入社。2001年同社取締役、2018年同社副社長を経て2024年より現職。 |
| 金子正輝 | 専務取締役 | エリアリンク、出前館等の取締役を経て2016年同社入社。2017年取締役を経て2024年より現職。 |
社外取締役は、杉村明紀(ブルームダイニングサービス代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「飲食事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) 直営店事業
流行り廃りのない餃子をメインとした「肉汁餃子のダンダダン」を首都圏や関西圏を中心に直営で運営しています。性別や世代に関係なく、餃子とビールを楽しむ目的型来店のお客様をメインターゲットとしています。
飲食代金を中心とした店舗売上が主な収益源です。直営店舗で提供する餃子は製造効率を高めるため他社工場に製造委託しており、店舗運営は主にダンダダンが行っています。
■(2) フランチャイズ事業
地方を中心に出店エリアを拡大するため、フランチャイズ方式による多店舗展開を行っています。直営店と同じレシピや店舗運営マニュアルを順守し、全店で統一された品質とサービスを維持しています。
加盟店からのロイヤリティや加盟金、および食材の卸売上が主な収益源です。現在FC店舗で提供する餃子は同社グループ工場(GRIP FACTORY)で製造しており、運営指導等は主にダンダダンが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近4期間の業績は、新規店舗の出店や外食需要の回復により売上高は右肩上がりの成長を継続しています。一方、経常利益は原材料価格や物流コスト、採用・教育コストなどの高騰が響き、赤字が拡大する厳しい状況にあります。
| 項目 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 58億円 | 71億円 | 72億円 | 77億円 |
| 経常利益 | -1億円 | 4億円 | -0.1億円 | -5億円 |
| 利益率(%) | -2.2% | 5.9% | -0.2% | -6.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -4億円 | 2億円 | -3億円 | -9億円 |
■(2) 損益計算書
増収にもかかわらず、売上総利益率は低下傾向にあります。これは原材料費や物流コストの上昇が原価を押し上げているためです。販売費及び一般管理費の増加も響き、営業赤字に転落しています。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 72億円 | 77億円 |
| 売上総利益 | 52億円 | 52億円 |
| 売上総利益率(%) | 71.8% | 67.4% |
| 営業利益 | 0.02億円 | -5億円 |
| 営業利益率(%) | 0.0% | -6.5% |
販売費及び一般管理費のうち、雑給が12億円(構成比22%)、地代家賃が11億円(同19%)、給料及び手当が11億円(同19%)を占めています。売上原価は25億円(構成比100%)です。
■(3) セグメント収益
同社グループは飲食事業の単一セグメントです。当期は新規店舗の出店や既存店の販促強化により来店客数が増加し、売上高は前期を上回って推移しました。
| 区分 | 売上(2025年1月期) | 売上(2026年1月期) |
|---|---|---|
| 飲食事業 | 72億円 | 77億円 |
| 連結(合計) | 72億円 | 77億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
当期のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金で投資を行い、借入金の返済も進める「健全型」となっています。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -2億円 | 0.03億円 |
| 投資CF | -7億円 | -2億円 |
| 財務CF | -0.7億円 | -3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-51.9%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も41.6%と、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「街に永く愛される、粋で鯔背な店づくり~期待以上が当り前、それが我等の心意気~」を経営理念とし、一人でも多くの街の人々に末永く愛され続ける店舗を目指すことを経営方針としています。
■(2) 企業文化
「NATTY SWANKY 5つの心」を行動指針として掲げています。現状に満足しない「向上心」、新しい事を発見する「好奇心」、目の前のものを突き詰める「探究心」、何事も自責と捉える「自立心」、関わる全ての人々に恩返しをする「忠誠心」を大切にする文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
企業価値を継続的に向上させるためには利益の確保が重要であることから、同社グループは営業利益率を最も重要な経営指標として採用しています。
・営業利益率:10%
■(4) 成長戦略と重点施策
店舗収益力の向上、新規出店の推進、人材採用・育成の強化などを重点施策としています。直営店では首都圏や関西圏を中心に新規出店を継続するとともに、地方ではFCパートナー企業を発掘して出店エリアを拡大し、日本全国および世界に事業を広げる戦略を推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループが成長していくためには優秀な人材の確保が重要であると考えています。中途採用だけでなく新卒採用や外国籍採用も積極的に実施し、アルバイトからの正社員転換にも取り組んでいます。新入社員研修や階層別研修プログラムを実施し、選抜メンバーによる営業企画など組織が活性化する施策を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月期 | 32.8歳 | 4.0年 | 3,975,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.3% |
| 男性育児休業取得率 | 75.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 70.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 86.3% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 97.8% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 単一ブランドへの依存
同社グループは「肉汁餃子のダンダダン」ブランドを中心とした事業展開を行っています。そのため、当該ブランドが陳腐化した場合や、消費者の嗜好変化により需要が減少した際には、売上高の減少等を通じて同社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(2) 食の安全性と品質管理
食品への異物混入や食中毒の発生など、食の安全性に関わる問題が生じた場合、社会的信用の失墜につながる恐れがあります。外部機関による衛生管理チェックなどを通じて安全な食品の提供を徹底していますが、万一問題が発生した際には、業績に重大な影響を与える可能性があります。
■(3) 人材の確保と人件費の高騰
事業拡大に伴い優秀な人材の確保が不可欠ですが、飲食業界における人手不足は深刻化しています。必要な人材が十分に確保・育成できない場合や、労働人口の減少を背景とした採用コストおよび人件費の高騰が継続した場合には、収益性が圧迫され業績に影響を及ぼすリスクがあります。



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