まぐまぐ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

まぐまぐ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のまぐまぐは、メルマガ配信プラットフォーム「まぐまぐ!」とWebメディア運営を主力事業としています。第27期は売上高が4.4億円と減収ながら、営業利益は0.2億円へ増益し、最終損益も黒字転換を果たしました。事業効率化を進めつつ、プラットフォーム機能の強化を図っています。


#まぐまぐ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社まぐまぐ の有価証券報告書(第27期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. まぐまぐってどんな会社?


1999年の創業以来、メルマガ配信サービスのパイオニアとして「伝えたいことを、知りたい人に。」届けるプラットフォーム事業を展開しています。

(1) 会社概要


同社は1999年に設立され、メールマガジン配信サービス「まぐまぐ」の運営を開始しました。2014年にはニュースメディア「MAG2 NEWS」を開始し、メディア事業へ参入しています。2017年にエアトリ(当時エボラブルアジア)が筆頭株主となり、同社グループ傘下に入りました。2020年にJASDAQ(現・東証スタンダード)へ上場し、2024年にはファンサイトプラットフォーム「MagOne」をリリースするなど、サービス領域を拡大しています。

従業員数は単体で18名です。筆頭株主は親会社であるオンライン旅行事業等のエアトリ(69.34%)で、第2位はネット証券大手の楽天証券です。

氏名 持株比率
エアトリ 69.34%
楽天証券 2.75%
ASANO合同会社 1.89%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は熊重晃氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
熊重  晃 代表取締役社長 2007年穴吹コミュニティ入社。2013年同社入社。取締役を経て2023年12月より現職。
淺野 匡志 取締役 2004年グッドエージェンシー(現グッドプレイス)設立。ノックノート取締役等を経て2022年1月より現職。
西迫 宏文 取締役 1990年太田昭和監査法人入所。西迫宏文事務所代表。2025年12月より現職。


社外取締役は、山本 遼太郎(株式会社neighborhood 代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プラットフォーム」「メディア広告」および「その他」事業を展開しています。

(1) プラットフォーム事業


メルマガ配信プラットフォーム「まぐまぐ!」およびファンコミュニティプラットフォーム「MagOne」を提供しています。創業以来の中核事業であり、著名人や専門家等のクリエイターが情報を発信し、読者がそれを受け取る場を提供しています。

収益は主に、有料メルマガの購読料の一部を手数料としてクリエイターから受け取るほか、無料メルマガ発行者からの有料配信メニュー利用料等から構成されています。運営は主に同社が行っています。

(2) メディア広告事業


「MAG2 NEWS(総合ニュース)」「MONEY VOICE(金融)」「TRiP EDiTOR(旅行)」「by them(恋愛)」といった複数のWebメディアを運営しています。メルマガコンテンツの有効活用や独自記事の発信を行い、集客を図っています。

収益は、Webメディアやオフィシャルメルマガに設置された広告枠の販売による広告料収入です。純広告やアドネットワーク広告などを通じて、広告主から収益を得ています。運営は同社が行っています。

(3) その他事業


クリエイターの活動支援と促進を目的としたイベント企画等を行っています。クリエイターとファンとのコミュニケーション機会を創出し、ブランディングに貢献しています。

収益は、開催する講演会やイベントの参加料等から得ています。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は減少傾向にありますが、損益面では赤字と黒字を繰り返しており、直近では黒字を確保しています。利益率は変動が大きく、安定的な収益基盤の構築が課題となっています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 6.7億円 5.7億円 4.8億円 4.5億円 4.4億円
経常利益 1.3億円 0.1億円 -0.8億円 0.1億円 0.2億円
利益率(%) 19.1% 1.6% -16.5% 1.2% 4.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.9億円 0.0億円 -4.8億円 -0.8億円 0.1億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は微減となりましたが、売上原価の削減等により売上総利益が増加しました。販管費は増加しましたが、営業利益は前期比で大きく改善し、利益率も向上しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 4.5億円 4.4億円
売上総利益 2.5億円 2.8億円
売上総利益率(%) 54.4% 64.7%
営業利益 0.1億円 0.2億円
営業利益率(%) 1.2% 4.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が0.5億円(構成比19%)、決済手数料が0.4億円(同15%)、役員報酬が0.4億円(同15%)を占めています。売上原価においては、システム保守費が0.6億円(売上原価比39%)を占めています。

(3) セグメント収益


プラットフォーム事業は売上高、利益ともに増加し堅調に推移しました。一方、メディア広告事業は売上高が減少しましたが、利益は確保しています。その他事業は規模が小さく、若干の損失を計上しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
プラットフォーム 3.0億円 3.3億円 1.7億円 1.9億円 57.2%
メディア広告 1.5億円 1.1億円 0.4億円 0.4億円 38.7%
その他 0.0億円 0.0億円 0.0億円 -0.0億円 -18.8%
調整額 - - -2.0億円 -2.1億円 -
連結(合計) 4.5億円 4.4億円 0.1億円 0.2億円 4.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としている。営業活動によるキャッシュ・フローは、プラットフォーム事業の機能強化や新規サービス開発に係る開発保守費用、人件費、決済手数料等の営業費用を賄うために活用される。投資活動によるキャッシュ・フローは、将来の事業成長に向けた設備投資や研究開発等に充てられる。財務活動によるキャッシュ・フローは、資金調達や返済等、財務基盤の維持・強化のために用いられる。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 0.1億円 1.0億円
投資CF -0.1億円 -0.2億円
財務CF -0.0億円 0.2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「伝えたいことを、知りたい人に。」をビジョンに掲げ、ユーザーにとって価値あるコンテンツを届けることを使命としています。また、パーパスとして「Empower Your Dreams 多様な才能を肯定し、その実現を支援することで、より豊かな社会を創造する。」を掲げています。

(2) 企業文化


同社は「Let’s Try It まず取り組み、失敗から学び続ける文化を重視する。」というカルチャーを持っています。また、バリューとして「Move Fast, Learn Fast(早く動き、早く学ぶ)」「Empathy First, Stay Curious(共感から始め、好奇心を持ち続ける)」「Commit First, Enjoy More(コミットして取り組み、楽しさを生み出す)」を定めています。

(3) 経営計画・目標


同社は企業価値の継続的な拡大を目指し、「売上高」および「営業利益」を重要な経営指標としています。これは、株主等のステークホルダーの意思決定に重要な影響を与える指標であること、また借入を行っておらず営業利益以下の項目があまり発生しないためです。

(4) 成長戦略と重点施策


プラットフォーム事業の機能強化や新規サービス開発を行い、メディア広告事業とのシナジーによる業容拡大を目指しています。プラットフォーム事業では新規クリエイター獲得やサポート体制の充実、メディア広告事業では既存4メディアのコンテンツ拡充やブランド認知強化による閲覧数増加に注力する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、性別・国籍・キャリア採用を問わない多様な人材活用を推進する方針です。また、リモートワークやフレックスタイム制度など柔軟な働き方ができる環境を提供し、課題や場面に応じて出社と使い分けることで、従業員がパフォーマンスを発揮できるよう環境整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 37.5歳 4.6年 5,490,000円


※平均年間給与は基準外賃金を含んでいます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 技術革新への対応


生成AIやクラウド技術など、インターネットサービス業界の技術革新は急速に進んでいます。同社は新技術開発と人材確保に取り組んでいますが、対応が遅れた場合は競争力が低下する可能性があります。また、開発に伴う多額の支出が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 市場動向の影響


インターネット広告市場やメディア市場は成長が続いていますが、プライバシー保護規制の強化や生成AIによるコンテンツ流通構造の変化、広告出稿企業の景況感悪化などにより、市場成長が鈍化する可能性があります。市場環境が悪化した場合には、同社の事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 親会社との関係


親会社のエアトリは同社株式の約69%を保有しています。同社は独立した経営を行っていますが、親会社による議決権行使が同社の意思決定に影響を与える可能性があります。また、親会社グループの事業戦略変更や経営状態の悪化が生じた場合、同社の事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) システムトラブル


事業基盤である通信ネットワークやサーバーにおいて、人為的事故や不正アクセス等によるシステムトラブルが発生する可能性があります。障害が発生した場合は事業への直接的な影響だけでなく、システムへの信頼性低下を招き、業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。