coly 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

coly 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グロース市場上場。主に女性向けオリジナルIPのモバイルオンラインゲーム開発と、グッズ販売等のメディア事業を展開しています。直近の業績は、新規タイトルのリリースやメディア事業が好調に推移したことで売上高が増加し、経常利益が黒字化するなど収益性の改善が進んでいます。


※本記事は、株式会社colyの有価証券報告書(第12期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. colyってどんな会社?


女性をメインターゲットとしたモバイルオンラインゲームの開発と、保有IPの多角的なメディア展開を行う企業です。

(1) 会社概要


同社は2014年にエンターテインメントネットメディア事業の運営を目的として設立されました。その後モバイルオンラインゲーム事業に主軸を移し、2015年に「ドラッグ王子とマトリ姫」、2016年に「スタンドマイヒーローズ」、2019年に「魔法使いの約束」のサービスを開始しました。2021年には東証マザーズ(現グロース)市場への上場を果たしています。

現在の従業員数は単体で229名です。筆頭株主は創業者である代表取締役両氏の資産管理会社であり、第2位および第3位の株主として創業者の両氏が名を連ねています。

氏名 持株比率
South air 50.52%
中島 瑞木 7.27%
中島 杏奈 7.27%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性3名の計7名で構成され、女性役員比率は42.9%です。代表取締役社長は中島杏奈氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
中島 杏奈 代表取締役社長 2012年4月産業経済新聞社入社。2014年2月同社設立、代表取締役就任。2023年8月より現職。
中島 瑞木 代表取締役副社長 2013年4月モルガン・スタンレーMUFG証券入社。2014年2月同社設立、代表取締役就任。2023年8月より現職。
佐々木 大地 取締役執行役員 2014年2月同社入社。2018年4月取締役就任。2024年2月より現職。


社外取締役は、秋山裕俊(元レイヤーズ・コンサルティングマネージャー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンテンツ事業」の単一セグメントを展開しています。

コンテンツ事業


モバイルオンラインゲーム分野では、「ドラッグ王子とマトリ姫」「スタンドマイヒーローズ」「魔法使いの約束」「ブレイクマイケース」など、主に女性をターゲットとしたオリジナルIPのスマートフォン向けゲームを提供しています。メディア分野では、同社が保有するIPを活用し、グッズ販売やライセンス契約によるIP利用許諾、コラボカフェ等の飲食事業、舞台やコンサート等のイベント事業など、多面的な展開を行っています。

モバイルオンラインゲーム事業の収益は、基本プレイ無料・一部アイテム課金制によるユーザーからの課金収入が主体です。メディア事業では、グッズの販売代金やライセンス供与に伴うロイヤリティ収入等を得ています。事業の運営は同社が主体となって行っており、Apple Inc.やGoogle LLCなどのプラットフォーム運営会社や決済代行会社を通じて収益を受け取るビジネスモデルとなっています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は第10期にかけて一時減少したものの、第11期以降は回復傾向にあり、第12期には70億円に達しています。利益面では第9期から経常赤字が継続していましたが、第12期には黒字転換を果たしており、収益性の改善が見られます。

項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2026年1月期
売上高 65億円 55億円 51億円 65億円 70億円
経常利益 15億円 -2億円 -8億円 -5億円 0.5億円
利益率(%) 22.5% -3.7% -15.7% -7.9% 0.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 -3億円 -8億円 -5億円 0.7億円

(2) 損益計算書


売上高が前期から増加したことに加え、売上総利益率も上昇しています。営業利益は赤字が継続しているものの、その赤字幅は縮小傾向にあります。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上高 65億円 70億円
売上総利益 24億円 30億円
売上総利益率(%) 36.8% 42.3%
営業利益 -5億円 -1億円
営業利益率(%) -7.9% -2.1%


販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が10億円(構成比34%)、給与及び賞与が8億円(同25%)、広告宣伝費が4億円(同12%)を占めています。売上原価においては、支払手数料などを含む経費が17億円(構成比42%)と大きな割合を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、提供サービス別に売上高を開示しています。当期は新規タイトルのリリースや関連施策が好調に推移したことで、ゲームおよびメディアの両分野で増収となりました。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2026年1月期)
モバイルオンラインゲーム 39億円 41億円
メディア 26億円 29億円
連結(合計) 65億円 70億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、モバイルオンラインゲームの企画・開発・運営を主軸に事業を展開しており、そのキャッシュ・フローの状況は、事業活動による収入が安定的に創出されている一方で、将来の成長に向けた投資活動も活発に行われていることを示唆しています。また、財務活動においては、資金調達や返済等を通じて、事業運営に必要な資金を確保していることがうかがえます。これらの活動を通じて、同社は継続的な成長を目指しています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
営業CF -4.1億円 -4.7億円
投資CF -14.1億円 -10.4億円
財務CF 1.0億円 1.6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「もっと、面白く」を企業理念に掲げ、女性向けエンターテインメント市場をリードする「IPクリエイター&ディベロッパー」を目指しています。エンターテインメントで溢れる世の中をより一層豊かにするため、面白いものの可能性を信じて魅力的なエンターテインメントを届けることを使命としています。

(2) 企業文化


同社は「ユーザー様ファースト」を徹底する姿勢を大切にしています。活動の可能性を制限せず、社員とともにあらゆる「面白いもの」の可能性を信じて模索する柔軟な風土を持ち、多様なメディア展開を通じてIPの価値を最大化し、長期的にユーザーに楽しんでもらうことを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、企業価値を向上させ株主価値を高めることが重要であると考えています。そのため、事業規模を拡大し収益性を向上させることを経営上の重要課題と認識しており、客観的な経営指標として、売上高及び営業利益を重視して事業運営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「ゲーム事業」「メディア事業」「AI活用・その他」の3軸を成長戦略として掲げています。既存ゲームの丁寧な運営や新作でのヒット創出を図るとともに、IPのマルチメディア展開や体験を重視するEX(Entertainment Transformation)展開を加速させます。さらに、AIを活用した業務効率化や新規事業の創造にも注力していきます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、今後の成長のためにスキルとセンスを持つ優秀な人材の確保および組織体制の強化が不可欠であると認識しています。特に開発部門を中心に高度な技術力や企画力が求められるため、福利厚生の充実や人事評価制度の整備に努めるとともに、既存人材の育成に向けた研修体制の充実を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年1月期 34.7歳 4.3年 5,797,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 41.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 74.4%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 77.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 99.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合とユーザー嗜好の変化


モバイルオンラインゲーム市場において競合他社との競争が激化した場合や、アイテム課金制ゲームに対するユーザーニーズの変化が生じた場合、想定した収益が得られず、業績に影響を与える可能性があります。

(2) プラットフォームへの依存


同社のコンテンツはApple Inc.やGoogle LLCなどのプラットフォーム運営会社を介して提供されています。プラットフォーム運営会社の事業方針や手数料率の変更、要件を満たさずに契約が解除された場合などには、事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 特定コンテンツへの収益依存


同社の売上高は「魔法使いの約束」や「ブレイクマイケース」など少数の特定タイトルに大きく依存しています。新規タイトルのリリースやメディア展開による分散を図っていますが、これらの売上が急激に悪化した場合、業績に影響を与える可能性があります。

(4) コンテンツ制作におけるクリエイターへの依存


同社はイラストやシナリオ制作の一部を外部クリエイターに委託しています。特定のクリエイターへの依存度を下げるため分散化に努めていますが、想定通りに開拓できない場合や委託費用が上昇した場合には、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。