モイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

モイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

モイは東京証券取引所グロース市場に上場し、ライブ配信プラットフォーム「ツイキャス」の企画・開発・運営を主力事業としています。直近の業績は、各種機能の改善やマーケティング施策の実施によりユーザーの課金単価が向上し、増収増益を達成しました。今後もコミュニケーションインフラとしての成長を目指しています。


※本記事は、モイ株式会社の有価証券報告書(第14期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. モイってどんな会社?


モイは、誰でも手軽にライブ配信を行えるコミュニケーションプラットフォームを展開しています。

(1) 会社概要


2005年に前身となるサイドフィードを設立し、各種Webサービスの提供を開始しました。2010年にはライブ配信サービス「ツイキャス」をリリースし、2012年に会社分割によりモイを設立しました。2015年にオンラインストアを開設するなど付随サービスを拡充し、2022年に東証グロース市場への上場を果たしました。

同社の単体従業員数は39名です。筆頭株主は創業者の赤松洋介氏で、第2位はベンチャーキャピタルのイーストベンチャーズ投資事業有限責任組合、第3位は個人の伊藤将雄氏となっています。

氏名 持株比率
赤松 洋介 50.37%
イーストベンチャーズ投資事業有限責任組合 14.89%
伊藤 将雄 2.29%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は赤松洋介氏が務めています。取締役のうち1名が社外取締役です。

氏名 役職 主な経歴
赤松 洋介 代表取締役社長 1994年オージス総研入社。サイボウズを経て、2005年サイドフィード代表取締役に就任。2012年に同社を設立し、代表取締役社長に就任。
芝岡 寛之 取締役サービス運用本部長 1995年ジャストシステム入社。サイボウズ、アットパンダ代表取締役を経て、2013年同社取締役に就任。2019年より現職。
入山 高光 取締役経営管理本部長 1999年サイボウズ入社。アルプス社、ヤフーを経て、2020年に同社入社ならびに取締役に就任し、経営管理本部長として従事。


社外取締役は、本田謙(フリークアウト・ホールディングス代表取締役社長Global CEO)です。

2. 事業内容


同社は「ライブ配信コミュニケーションプラットフォーム事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

ライブ配信コミュニケーションプラットフォーム事業
同社は、PCやスマートフォンから映像と音声をリアルタイムに配信し、視聴者とコミュニケーションを楽しめるサービス「ツイキャス」の企画・開発・運営を行っています。10代・20代を中心に利用され、多様なジャンルでユーザー主導の配信文化が形成されています。

主な収益源は、視聴者が配信者を応援する際に使用する有料ポイントの販売売上です。また、配信者を月額で支援する「メンバーシップ」機能の手数料や、有料オンラインライブを開催できる「ツイキャスプレミア」でのチケット販売手数料なども収益の柱となっています。事業の運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は64億円から67億円の間で安定して推移しています。経常利益も毎期継続して黒字を確保しており、特に直近の2026年1月期は収益構造の変化による決済手数料の削減等が寄与し、大幅な増益を達成しました。

項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2026年1月期
売上高 66億円 66億円 64億円 66億円 67億円
経常利益 2億円 1億円 2億円 3億円 4億円
利益率 3.1% 1.6% 2.4% 3.9% 5.8%
当期純利益 2億円 0.5億円 2億円 0.3億円 1億円

(2) 損益計算書


前期と当期の損益構成を比較すると、売上高が微増する中で、売上総利益はほぼ横ばいを維持しています。一方で、決済手数料等の削減により販売費及び一般管理費が抑えられた結果、営業利益率は前期から改善しています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上高 66億円 67億円
売上総利益 34億円 33億円
売上総利益率(%) 51.0% 50.1%
営業利益 2億円 3億円
営業利益率(%) 3.5% 5.1%


販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が17億円(構成比57%)、通信費が4億円(同14%)、給料手当が3億円(同11%)を占めています。また、売上原価はその100%を配信者へのアイテム報酬等が占めています。

(3) セグメント収益


同社はライブ配信事業の単一セグメントであるため、事業全体の売上高の推移を示しています。当期は、ポイント販売からメンバーシップ課金へのシフト等により、売上規模を維持しつつ着実に成長を続けています。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2026年1月期)
ライブ配信コミュニケーションプラットフォーム事業 66億円 67億円
連結(合計) 66億円 67億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、ライブ配信プラットフォーム事業において、課金ユーザー一人当たりの平均課金額が増加したものの、課金ユーザー数が減少した影響を受けました。営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益の計上や各種費用・資産負債の増減等により、資金獲得となりました。投資活動では、有形固定資産の取得や保証金の差入により資金支出がありました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比較して資金支出がありませんでした。

項目 2025年1月期 2026年1月期
営業CF 8億円 0.7億円
投資CF -0.4億円 -0.6億円
財務CF - -

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「人と人をつなげて世界中の人々の生活を豊かに変えます」というミッションを掲げています。あらゆる人の集まりをオンライン化し、快適に双方向のコミュニケーションを行える場の提供と、利用者の活動から経済が発生する仕組みの実現を目指して経営を行っています。

(2) 企業文化


ユーザー同士が自分の興味・関心を通じたコミュニケーションを楽しめる空間として、ユーザー主導による独自の配信文化を多数自発的に発生させることを重視しています。また、15年以上の運営ノウハウを活かし、配信者と視聴者がともに安心して利用できるプラットフォームの健全性の維持・改善を常に最重要視して事業を運営しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、持続的な成長を通じた企業価値の向上を目指し、売上と営業収益を重要な経営指標と位置づけています。また、これらを可視化するための指標(KPI)として、「ポイント販売売上」「ポイントPU(課金ユーザー数)」「ポイントARPPU(課金ユーザーあたりの平均課金額)」「実質売上総利益」を設定し、企業価値の向上を図っています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向け、日常コミュニケーションインフラ化の推進、サービス健全性の継続的な改善、大規模低遅延配信を実現するインフラシステムの強化などを重点施策に掲げています。また、ユーザーによる独自文化の形成支援や、ユーザーが収益を得る仕組みの多様化を図り、新たな経済活動の拡大を後押しする戦略を取っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


今後の事業拡大および収益基盤の強化を図るため、専門性の高い人材の確保と在籍する人員の育成に注力しています。少人数での効率的な事業運営を意識しつつ、開発組織では複数の少人数チームが裁量を持って企画・開発に取り組むなど、事業規模に応じた組織と事業推進体制の整備を進める方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社単体従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年1月期 35.4歳 7.4年 8,190,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業界の成長性と競合激化


ライブ配信市場はグローバルSNS等の参入により競合が激化しています。ユーザーの嗜好の変化や競争環境の悪化により、魅力あるサービスを提供できずアクティブユーザー数が減少した場合、同社の売上の大半を占めるポイント販売に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(2) プラットフォーム事業者への依存


スマートフォン用アプリの提供や代金回収において、AppleやGoogleといったプラットフォーム運営事業者に大きく依存しています。これらの事業者による手数料やルールの変更、契約の継続困難といった事態が生じた場合、収益や事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

(3) サービスの健全性の維持


不特定多数のユーザーがリアルタイムでコミュニケーションを行う性質上、名誉毀損や著作権侵害などの不適切・違法な行為が発生するリスクがあります。同社は監視体制の強化に努めていますが、健全性が確保できない事態が起これば、サービスや企業のブランドイメージが低下する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。