ラピーヌ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ラピーヌ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の婦人服・服飾雑貨メーカー。百貨店や専門店への卸売および直営店での小売を展開しています。第77期は売上高20億円(前期比12.8%減)、営業損失3.6億円、経常損失1.3億円となり、減収および各利益段階での赤字が継続。継続企業の前提に関する重要な疑義が生じています。


※本記事は、株式会社ラピーヌ の有価証券報告書(第77期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ラピーヌってどんな会社?


婦人服及び服飾雑貨の企画・製造・販売を主力とし、百貨店・専門店向け卸売や直営店販売を展開しています。

(1) 会社概要


1950年に設立され、1963年に婦人既製服分野へ進出しました。1990年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2012年には障害者福祉サービスを行うラピーヌ夢ファームを設立しました。2022年の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しています。

連結従業員数は49名、単体従業員数は46名です。筆頭株主はその他の関係会社であるフリージア・マクロス、第2位は金融機関の三菱UFJ銀行、第3位は金融機関のSBI証券です。

氏名 持株比率
フリージア・マクロス 35.36%
三菱UFJ銀行 4.23%
SBI証券 3.91%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は佐々木 ベジ氏、社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
佐々木 ベジ 代表取締役社長 フリージア・マクロス代表取締役社長等を経て、2021年より同社代表取締役社長。ベルラピカ代表取締役社長も兼任。
松永 敬司 取締役専務執行役員 1993年同社入社。第一企画部、東京企画部チーフデザイナー、取締役執行役員商品本部長を経て、2023年より現職。
西田 智至 取締役常務執行役員 1987年同社入社。マーケット開発部長、執行役員営業本部副本部長等を経て、2023年より現職。ラピーヌ夢ファーム代表取締役社長を兼任。
森岡 正人 取締役執行役員 1989年同社入社。第一事業本部東日本第二販売部長、取締役常務執行役員営業本部長等を経て、2024年より現職。
奥山 一寸法師 取締役 フリージアトレーディング代表取締役、フリージア・マクロス代表取締役社長等を歴任。2021年より同社取締役。


社外取締役は、西信子(西信子法律事務所弁護士)、山本昌弘(公益社団法人全日本きものコンサルタント協会勤務)、大須賀和志(ホワイトルーム商品管理担当)、畠山誠(元パナホーム代表取締役副社長)、佐藤生空(佐藤生空法律事務所弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「卸売事業」「小売事業」「福祉事業」の3つの報告セグメントを展開しています。

(1) 卸売事業


婦人服及び服飾雑貨の企画、製造、販売を行っています。主な顧客は全国の婦人服専門店や百貨店です。

収益は、顧客への商品販売代金として受け取ります。運営は主にラピーヌが行っています。

(2) 小売事業


婦人服及び服飾雑貨の小売販売を行っています。直営店舗(2025年2月末時点で28店舗)およびECサイトを通じて一般消費者に商品を販売しています。

収益は、一般消費者からの商品購入代金として受け取ります。運営はラピーヌおよび子会社のベルラピカが行っています。

(3) 福祉事業


水耕栽培および土耕栽培による野菜の生産・販売を行っています。障害者福祉サービス事業として、障害者の安定的な職場確保も目的としています。

収益は、野菜の販売代金や就労支援事業運営費収入等から得ています。運営は子会社のラピーヌ夢ファームが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は52億円から20億円へと大幅な減少傾向にあります。利益面では、2023年2月期までは経常黒字を確保していましたが、直近2期は連続して経常損失および当期純損失を計上しており、厳しい業績状況が続いています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 52億円 44億円 33億円 23億円 20億円
経常利益 -16.0億円 1.8億円 2.7億円 -3.1億円 -1.3億円
利益率(%) -30.6% 4.1% 8.1% -13.4% -6.6%
当期利益(親会社所有者帰属) -21.4億円 1.5億円 1.6億円 -3.2億円 -1.3億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益も縮小しています。直近の2025年2月期では売上総利益率が低下し、営業損失は3.6億円と前期から赤字幅が拡大しています。販管費の削減に努めているものの、売上減少の影響をカバーできていない状況です。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 23億円 20億円
売上総利益 16億円 13億円
売上総利益率(%) 69.2% 64.1%
営業利益 -3.4億円 -3.6億円
営業利益率(%) -14.6% -17.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が8.7億円(構成比52%)、地代家賃が3.4億円(同21%)を占めています。

(3) セグメント収益


卸売事業は不採算取引の中止等の影響で大幅な減収となりました。小売事業も店頭販売の伸び悩みにより減収となっています。福祉事業は増収となりましたが、全体への寄与は限定的です。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
卸売事業 11.1億円 8.8億円
小売事業 12.3億円 11.4億円
福祉事業 0.1億円 0.1億円
連結(合計) 23.4億円 20.4億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、福祉事業において、障害者支援と農業を両立させる事業を展開しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、和解金の支払い等により支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得等により支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済等により支出となりました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF -6.6億円 -4.5億円
投資CF 0.2億円 -0.1億円
財務CF -1.7億円 -0.6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「真実と信頼」を創業以来の経営理念とし、消費者第一主義に徹した経営のもと、ファッションを通じて社会の生活文化向上に貢献することを目指しています。顧客一人ひとりの満足度向上とファン増大を図り、企業価値を高める努力を続ける方針です。

(2) 企業文化


「ファッションとデジタルで顧客接点の拡大」をビジョンとして掲げています。また、「PRIDE(時流に乗らず時流をつくる)」「QUALITY(国境を越えていくラピーヌクオリティ)」「MIND(これからも一着一着に思いを込めて)」という3つのコンピタンスのもとに事業活動を行っています。

(3) 経営計画・目標


2026年2月期(2025年3月1日から2026年2月28日)における連結業績の数値目標を掲げています。売上高の低迷が続く認識のもと、安定的な収益構造の確立を目指しています。

* 連結売上高:21.5億円
* 営業損失:2.8億円
* 経常損失:2.8億円

(4) 成長戦略と重点施策


売上高がコロナ禍以前の水準に戻ることは難しいとの認識に基づき、安定的な収益構造の確立と永続的な成長発展を目指しています。主力事業では新規顧客の開拓や在庫リスクの低減、製造原価の低減による適正粗利の確保に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様性の確保を重要視し、性別や入社時期に関わらず能力本位の人材登用を行っています。今後は女性管理職比率や男女間賃金格差の把握など、社内環境の整備を進めていく方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 49.2歳 22.0年 3,709,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 消費動向の変化に伴うリスク


取り扱う製品はファッショントレンドや消費者の嗜好の変化を受けやすい市場にあります。景気変動による個人消費の低迷や競合他社の動向により、販売実績が影響を受ける可能性があります。同社は流行情報の把握や魅力的な製品の提供に努めています。

(2) 取引先与信に関するリスク


取引先の信用度把握のため、調査機関や業界情報の活用により情報収集や与信管理を徹底しています。しかし、これらの取り組みを超えた突発的な事象が発生し、債権回収不能などの事態が生じた場合、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 継続企業の前提に関する重要事象


第71期以降、営業損失を継続して計上しており、第77期も営業損失となりました。取引金融機関へ借入金元本の返済スケジュール交渉を行っている状況から、継続企業の前提に重要な疑義が生じています。同社は原価低減や経費削減、資金確保等の対策を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。