※本記事は、株式会社リヒトラブの有価証券報告書(第78期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. リヒトラブってどんな会社?
リヒトラブは、ファイルや収納用品などの事務用品の製造販売と、不動産賃貸事業を展開するメーカーです。
■(1) 会社概要
1948年5月にリヒト産業として設立され、事務用品の製造販売を開始しました。1962年9月に大阪証券取引所市場第二部に株式を上場し、1991年7月に現在のリヒトラブへと商号を変更しました。その後もグローバル展開を進め、2004年12月にはベトナムに生産子会社を設立しています。
現在の同社は、連結で591名、単体で186名の従業員を抱える組織体制です。筆頭株主は従業員等の持株組織とみられるリヒトラブ共栄会で、第2位は有限会社新居浜ビジネスセンターとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| リヒトラブ共栄会 | 12.50% |
| 有限会社新居浜ビジネスセンター | 7.10% |
| 田中 経久 | 5.29% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.0%です。代表取締役社長は田中宏和氏が務めており、取締役における社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田中 宏和 | 代表取締役社長 | 1990年同社入社。販売支援部長、常務取締役営業本部担当、営業本部長等を経て、2012年より現職。 |
| 早川 大介 | 常務取締役管理本部長 | 2014年三井住友銀行天六法人営業部長。2016年同社入社。管理部長、取締役を経て、2024年より現職。 |
| 安達 和史 | 常務取締役営業本部長 | 1990年同社入社。販売計画部副部長、東京支店副支店長、営業本部副本部長、東京支店長等を経て、2025年より現職。 |
| 田中 文浩 | 取締役静岡事業部物流担当 | 1991年同社入社。静岡事業部長、ベトナム子会社社長、生産本部長等を経て、2023年より現職。 |
| 大盛 章夫 | 取締役量販部部長兼通販部部長兼東京МD部部長 | 1991年同社入社。東京МD部次長、執行役員量販部部長兼通販部部長等を経て、2022年より現職。 |
| 後藤 文宣 | 取締役生産本部長 | 1982年同社入社。購買部副部長、静岡事業部工場長、ベトナム子会社社長等を経て、2023年より現職。 |
社外取締役は、大澤政人(泉ケミカル代表取締役社長)、山﨑有香(京都大学総合研究推進本部上席専門業務職員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「事務用品等事業」および「不動産賃貸事業」を展開しています。
■(1) 事務用品等事業
ファイル、バインダー、クリヤーブック、収納整理用品等の事務用品の製造および販売を行っています。個人・法人の多様化するニーズに対応し、利便性やデザイン性に優れた製品を国内外の市場へ提供しています。
同社や連結子会社のLIHIT LAB. VIETNAM INC.、および協力工場が製造を担い、同社が販売を行うことで製品の販売対価を収益源としています。自社サイトを通じた直販ECや卸業者を活用した販路拡大も積極的に進めています。
■(2) 不動産賃貸事業
オフィスビル、住居、倉庫、駐車場等の賃貸業務、およびビル清掃や設備管理、保安業務といったオフィスビル総合管理業務を行っています。自社所有の不動産を有効活用し、安定的な収益基盤の構築を図っています。
賃借人からの賃料収入などを主な収益源としています。事業の運営は同社が主体となって不動産賃貸を行い、連結子会社の大江ビルサービスが不動産の管理実務を担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は80億円台から90億円台で堅調に推移していますが、当期は微減となりました。経常利益は一時赤字に落ち込んだものの直近2期は黒字を確保しており、当期も黒字を維持していますが前期比では減益となっています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 87億円 | 85億円 | 88億円 | 92億円 | 91億円 |
| 経常利益 | 4億円 | -0.3億円 | -2億円 | 2億円 | 1億円 |
| 利益率(%) | 4.7% | -0.4% | -2.4% | 2.3% | 1.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | -0.7億円 | -2億円 | 3億円 | -0.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上総利益率は改善傾向にあり、コスト見直しや高付加価値製品へのシフトが一定の成果を上げています。一方で、営業利益率は低下しており、販管費の増加などが影響しているとみられます。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 92億円 | 91億円 |
| 売上総利益 | 30億円 | 31億円 |
| 売上総利益率(%) | 32.3% | 34.0% |
| 営業利益 | 2億円 | 0.4億円 |
| 営業利益率(%) | 1.9% | 0.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が10億円(構成比33%)、荷造運搬費が4億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
事務用品等事業は、主力取引先のシステム障害による受注減少などが響き微減収となりました。不動産賃貸事業も、賃貸用倉庫を売却した影響により前年を下回る結果となっています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 事務用品等事業 | 88億円 | 87億円 |
| 不動産賃貸事業 | 5億円 | 4億円 |
| 連結(合計) | 92億円 | 91億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFおよび財務CFはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い投資も手元資金で賄う健全型に分類されます。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3億円 | 0.5億円 |
| 投資CF | 12億円 | -14億円 |
| 財務CF | -4億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は81.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「深い知性と燃える情熱をもって新しい価値の創造に努め、社会に貢献する」との企業理念を掲げています。この実現のために「良い品はお徳です」をモットーとし、使う人すべてにやさしいユニバーサルデザイン商品の開発を重点的に行い、より高品質な製品を通じて顧客や株主、社員の満足度を高めることを目指しています。
■(2) 企業文化
ダイバーシティ&インクルージョンの考え方に基づき、多様な人材が思いやりをもって自分らしく活躍できる環境づくりを重視しています。また、社員の能力開発や適正配置を通じた組織力の強化を図るとともに、心理的安全性を確保し、安心・安全に働き続けることができる企業風土の醸成に努めています。
■(3) 経営計画・目標
持続的、永続的な会社の成長を経営課題とし、本業である事務用品等事業において以下の数値目標の達成を当面の目標として掲げています。
・売上高:110億円
・営業利益:10億円
■(4) 成長戦略と重点施策
国内外のマーケットへの積極的な開拓を推進し、多様化する顧客ニーズを的確に捉えた付加価値の高い製品開発に注力しています。また、収益力の向上に向けて、全社的な生産性向上や海外を含めた調達ルートの多様化によるコスト削減を進めるほか、自社サイトを通じた直販ECや越境ECの強化、新たな事業領域の開拓にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「世の中の変化に対応する柔軟性と独自の創造力を融合させることで、新たな価値創造に挑み続ける人材」の育成を方針としています。従業員の成長と自己実現の機会を提供するため、異動希望申告制度やジョブローテーションの定例化などの施策を強化し、多様な人材が輝ける環境づくりを推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 38.9歳 | 14.0年 | 5,441,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.6% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 64.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 79.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 73.6% |
※男性育児休業取得率は、対象期間における該当者がいなかったため「-」としています。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、労働者に占める女性労働者の割合(41.9%)、係長級にある者に占める女性労働者の割合(56.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 生産・物流拠点の集中リスク
同社グループの国内の生産施設および物流施設は静岡県菊川市に集中しています。そのため、火災や自然災害などが発生しこれらの設備が重大な被害を受けた場合、正常な事業活動が行えなくなり、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 海外展開に伴うリスク
事務用品等事業では海外との販売や原材料等の調達比重が増加しています。相手国での関税制度の変更や予期せぬ法規制の施行、政治・経済情勢の変化が起きた場合、安定的な取引に支障をきたす恐れがあります。また、ドル円相場の変動も業績に影響する可能性があります。
■(3) 原材料の市況変動リスク
主要原材料として石油製品を使用しているため、中東地域における社会情勢の緊迫化や欧米・中国などにおける世界的な需給関係の変化によって、原材料価格の高騰や安定的な調達が困難になる事態が発生した場合、収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 情報管理とシステム障害リスク
IT技術の進歩やネットワーク化に伴い、外部からのシステムへの不正侵入や機密情報・個人情報が漏洩するリスクが高まっています。万一システム障害や情報漏洩が発生した場合、事業継続に支障をきたすだけでなく、信用失墜や損害賠償責任による影響が懸念されます。



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