リヒトラブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リヒトラブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード・名証メイン上場。事務用品等の製造販売及び不動産賃貸を展開。2025年2月期は、新製品投入や価格改定、不動産賃貸の寄与により増収。利益面では価格改定効果やコスト削減に加え、固定資産売却益等の計上もあり、経常利益・当期純利益ともに黒字転換を果たしました。


※本記事は、株式会社リヒトラブ の有価証券報告書(第77期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リヒトラブってどんな会社?


事務用品等の製造販売および不動産賃貸を行う企業。ファイルやバインダー、収納整理用品などを主力製品としています。

(1) 会社概要


1948年にリヒト産業として設立され、事務用品の製造販売を開始しました。1962年に大阪証券取引所市場第二部へ上場し、1991年に現社名のリヒトラブへ商号変更しています。2004年にはベトナムに生産子会社を設立し、海外生産体制を構築しました。2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東京証券取引所スタンダード市場および名古屋証券取引所メイン市場に上場しています。

同グループの従業員数は連結590名、単体183名です。筆頭株主は取引先持株会のリヒトラブ共栄会で、第2位は有限会社新居浜ビジネスセンター、第3位は役員の田中経久氏となっています。

氏名 持株比率
リヒトラブ共栄会 11.42%
有限会社新居浜ビジネスセンター 6.02%
田中 経久 4.68%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名、計12名で構成され、女性役員比率は8.0%です。代表取締役社長は田中 宏和氏です。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
田中 宏 和 代表取締役社長 1990年同社入社。販売支援部長、営業本部長などを歴任し、2012年5月より現職。
早川 大 介 常務取締役管理本部長 元株式会社三井住友銀行天六法人営業部長。2016年同社入社、執行役員就任。2024年3月より現職。
安達 和 史 常務取締役営業本部長 1990年同社入社。販売計画部副部長、東京支店長などを経て、2025年5月より現職。
田中 文 浩 取締役静岡事業部物流担当 1991年同社入社。LIHIT LAB. VIETNAM INC.社長、生産本部長などを経て、2023年5月より現職。
大盛 章 夫 取締役量販部部長兼通販部部長兼東京МD部部長 1991年同社入社。東京МD部次長、執行役員などを経て、2022年5月より現職。
後藤 文 宣 取締役生産本部長 1982年同社入社。購買部副部長、静岡事業部工場長などを経て、2023年5月より現職。


社外取締役は、大澤 政人(泉ケミカル代表取締役社長)、山﨑 有香(京都大学総合研究推進本部上席専門業務職員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「事務用品等事業」「不動産賃貸事業」事業を展開しています。

事務用品等事業


ファイル、バインダー、クリヤーブック、収納整理用品等の事務用品を製造・販売しています。同社および連結子会社のLIHIT LAB. VIETNAM INC.、協力工場で製造を行い、個人および法人顧客へ製品を提供しています。

収益は、製品の販売対価として顧客から受け取ります。運営は、国内での販売・開発を同社が担い、製造の一部をベトナムの子会社LIHIT LAB. VIETNAM INC.が行っています。

不動産賃貸事業


大阪市中央区の本社ビルをはじめ、東京や名古屋などに所有する不動産の賃貸オフィス、賃貸用住居、倉庫、駐車場の運営および管理を行っています。

収益源は、テナントや利用者からの賃料収入です。運営は、不動産賃貸を同社が行い、物件の管理業務を連結子会社である大江ビルサービスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は80億円台後半から90億円台前半で推移し、当期は増収となりました。利益面では、原材料価格高騰や円安の影響等により2023年2月期および2024年2月期に経常赤字となりましたが、当期は価格改定効果やコスト削減等により黒字転換を果たしています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 86億円 87億円 85億円 88億円 92億円
経常利益 5.0億円 4.1億円 -0.3億円 -2.1億円 2.1億円
利益率(%) 5.9% 4.7% -0.4% -2.4% 2.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.5億円 2.6億円 -0.7億円 -1.6億円 2.8億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益率も改善しました。営業利益は前期の赤字から黒字に転換しています。これは製品の価格改定や生産コスト軽減の取り組みが奏功したことによるものです。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 88億円 92億円
売上総利益 25億円 30億円
売上総利益率(%) 28.7% 32.3%
営業利益 -2.8億円 1.8億円
営業利益率(%) -3.2% 1.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が9.2億円(構成比33.0%)、荷造運搬費が4.0億円(同14.3%)を占めています。

(3) セグメント収益


事務用品等事業は新製品の投入や価格改定効果、通販売上の増加により増収となり、利益面でも黒字転換しました。不動産賃貸事業は、安定した賃料収入に加え、新たに取得した賃貸用マンションの寄与により増収増益となりました。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
事務用品等事業 83.5億円 87.6億円 -2.2億円 2.0億円 2.3%
不動産賃貸事業 4.5億円 4.6億円 1.1億円 1.5億円 32.6%
調整額 -0.2億円 -0.2億円 -1.7億円 -1.7億円 -
連結(合計) 88億円 92億円 -2.8億円 1.8億円 1.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

リヒトラブは、事務用品等事業の売上増と不動産賃貸事業の収益拡大により、キャッシュ・フローは大きく増加しました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主として利益や減価償却費等により増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、賃貸用物流倉庫の売却収入等により増加しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や配当金の支払い等により減少しました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 6.6億円 2.9億円
投資CF -7.3億円 11.8億円
財務CF 2.2億円 -4.0億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「深い知性と燃える情熱をもって新しい価値の創造に努め、社会に貢献する」という企業理念を掲げています。この理念のもと、使う人すべてにやさしいユニバーサルデザイン商品の開発などを通じて、顧客、株主、社員、取引先の満足度を高めることを目指しています。

(2) 企業文化


「良い品はお徳です」をモットーとし、高品質な製品を通じて社会に貢献する姿勢を重視しています。また、経営の効率化やコーポレート・ガバナンス体制の強化、財務体質の改善を図り、堅実経営を行うことを基本方針としています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、持続的・永続的な成長を経営課題とし、本業である事務用品等事業において、以下の数値を当面の目標として掲げています。

* 売上高:110億円
* 営業利益:10億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、新製品開発力の強化、販売チャネルの開拓と事業領域の拡充、組織力の強化を経営戦略として掲げています。製品開発では、「NEXTプロダクト会議」を通じて部門横断的なアイデア創出を図り、「myfa(ミファ)」シリーズ等の付加価値の高い製品を展開しています。

* 収益力の向上:全社的な生産性向上と生産バランスの適正化、調達ルートの多様化。
* 製品開発:独自性の高い新製品の投入、ラインナップ拡充。
* 販売チャネル拡充:ECルートおよび海外市場の開拓強化。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


新たな価値を創出し続ける原動力は従業員の成長であると考え、ジョブローテーションの定例化などにより人材育成施策を強化しています。また、ダイバーシティ&インクルージョンの推進により、多様な人材が活躍できる環境整備や、安心して働ける企業風土の醸成に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 39.1歳 15.2年 5,063,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.6%
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) 72.6%
男女賃金差異(正規) 74.0%
男女賃金差異(非正規) 69.6%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 自然災害等について


国内の生産および物流施設が静岡県菊川市に集中しているため、同地域での火災や災害等により設備が被害を受けた場合、正常な事業活動が困難となり、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 海外との取引拡大について


海外での販売や調達の比重が高まっており、USドル建ての債権債務も増加しています。そのため、関税制度や法規制の変更、各国の政治・経済情勢の変化、および為替相場の変動が、安定的な取引や業績に影響を与えるリスクがあります。

(3) 市況変動について


事務用品等事業の主要原材料である石油製品等の価格は、国際情勢や需給関係により変動します。これにより原材料価格が高騰したり、安定調達が困難になったりした場合、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 不動産賃貸事業について


賃貸オフィスや住居等の収入が主体であるため、景気動向や不動産市況の影響を受けます。賃貸市場の低迷や建物の老朽化等により稼働率が低下した場合、収益性が悪化するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。