※本記事は、株式会社トーヨーアサノ の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
トーヨーアサノは、コンクリート二次製品の製造・販売および工事請負を主たる業務とする企業です。同社グループは、基礎事業と不動産賃貸事業を展開しています。
単体従業員数は139名、連結従業員数は179名です。同社グループのセグメントは基礎事業、不動産賃貸事業の2つです。
主な国内グループ会社は、TAパイル製造(基礎事業)、東商(同)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
トーヨーアサノは、安定した事業基盤を持つ企業として、従業員の働きがいやキャリア形成を重視する姿勢が見られます。人材育成に力を入れ、多様な働き方を支援する環境づくりに取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、比較的長く勤める従業員が多い傾向にあり、安定した人材構成がうかがえます。平均勤続年数や平均年齢から、従業員が腰を据えてキャリアを築ける環境であることが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,315,000円 |
| 平均勤続年数 | 14.1年 |
| 平均年齢 | 46.3歳 |
| 単体従業員数 | 139人 |
| 連結従業員数 | 179人 |
| 単体のグループ内比率 | 77.7% |
同社グループは、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型と確定拠出型の両方の退職給付制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まり、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。これらの制度は、同社及び連結子会社に適用されています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。年金資産は411百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、経営理念である「顧客第一」「合理追求」「人倫遵守」と社是の下、中長期的に持続可能な事業の実現に向けて取り組んでいます。経営戦略の重要な領域として、人的資本の強化に資する取り組みを進めています。
人材育成に関する社内環境整備方針として、「人事政策に関する基本方針」(TAFCO-HR戦略)を定めており、「安心」「公正」「成長」の3つのコンセプトを掲げています。「安心」は終身雇用や充実した福利厚生サービスを通じて、社員が安心して長く勤めたいと思える会社を目指すことです。
「公正」は組織の秩序を維持し、公正な評価制度を通じて健全な競争環境を醸成すること、「成長」は社員一人ひとりのキャリア形成を会社が支援することを意味します。具体的には、新入社員研修、資格取得のための社内研修、国内留学制度など、レベルアップの機会を提供しています。また、採用や管理職等への登用においては、性別・年齢・国籍・学歴に関係なく、多様な人材の登用を積極的に行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社トーヨーアサノは、コンクリート二次製品の製造・販売および工事請負を主軸とする基礎事業と、不動産賃貸事業を展開しています。同社グループは、これら二つの事業を通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、コンクリート二次製品の製造・販売と工事請負を主たる業務としています。主力製品であるコンクリートパイルの出荷量は、同社グループの主力商圏である関東および静岡県で推移しています。また、不動産賃貸事業も展開しており、安定した業績で推移しています。
基礎事業
基礎事業は、コンクリートパイルの製造・販売、建材等の販売、諸工事の請負を行っています。収益は、これらの製品販売と工事請負から得ています。当連結会計年度においては、需要の低迷や工事の着工遅れが業績に影響を与えました。
不動産賃貸事業
不動産賃貸事業は、同社グループ所有の不動産を賃貸する事業です。ホームセンターへの賃貸を中心としており、静岡県沼津市でのショッピングセンターの賃貸を主な事業としています。収益は、不動産の賃貸料から得ています。
当連結会計年度において、同社グループの売上高は特定の顧客に集中する傾向が見られます。海外からの外部顧客への売上高はなく、事業は本邦に集中しています。
| セグメント | 売上高(2025年2月期) | 売上高(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 基礎事業 | 142億円 | 115億円 |
| 不動産賃貸事業 | 2.0億円 | 2.0億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近の連結会計年度において減少傾向を示しています。経常利益も大幅に減少しており、親会社株主に帰属する当期純利益は損失となりました。この当期純損失は、一部取引先に対する債権について貸倒引当金繰入額を特別損失として計上したことが主な要因です。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは大幅に増加しており、本業によるキャッシュ創出は堅調に推移しています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 178億円 | 183億円 | 151億円 | 144億円 | 117億円 |
| 経常利益 | 1.8億円 | 2.1億円 | 9.1億円 | 6.0億円 | 28百万円 |
| 経常利益率 | 1.0% | 1.1% | 6.0% | 4.1% | 0.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.1億円 | △1.9億円 | 6.0億円 | 3.6億円 | △2.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 88.54 | △147.61 | 465.85 | 280.51 | △170.67 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から減少しています。従業員1人あたり営業利益も前期と比較して減少傾向にあります。これらの指標の推移は、同社グループ全体の生産性や収益体質に変化が見られることを示しています。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 75.8百万円 | 65.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.2百万円 | 0.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
トーヨーアサノの財務状況は、事業活動による資金創出と投資活動のバランスから、現在の経営の安定性を示しています。資金の流れを把握することで、同社グループの事業の健全性や将来への投資姿勢を読み解くことができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率と手元資金の状況から確認できます。自己資本比率は当期27.0%で、前期から増加しています。これはプライム市場の非製造業平均と比較して同程度の水準です。
ROE(自己資本利益率)は当期がマイナスとなっていますが、前期はプラスでした。手元資金である現金及び預金は当期17.5億円と前期から増加しており、事業運営に必要な流動性を確保している状況です。これらの財務指標は、同社グループの事業活動を支える基盤の安定性を示すものです。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 42.0億円 | 38.8億円 |
| 自己資本比率 | 26.0% | 27.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 8.9% | -5.5% |
| 現金及び預金 | 9.8億円 | 17.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
トーヨーアサノのキャッシュフローは、当期において事業活動による資金創出が大きく改善したことを示しています。本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、前期のマイナスから当期は15.4億円の増加となりました。これは主に売上債権や棚卸資産の減少が寄与しています。
投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出などにより4.5億円の減少となっています。これは事業に必要な投資を継続している状況を示しています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済などにより3.3億円の減少となりました。
これらの結果、事業活動で得た資金で投資活動を賄い、さらに余剰資金があることを示すフリーキャッシュフローは、前期のマイナスから当期は10.9億円のプラスに転じています。この資金の流れは、同社グループが本業で安定的に資金を生み出し、事業の安定性を高めている状況であり、雇用や給与の安定性にもつながる基盤を構築していると言えます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △15.3億円 | 15.4億円 |
| 投資CF | △11.5億円 | △4.5億円 |
| 財務CF | 24.2億円 | △3.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △26.8億円 | 10.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、主力事業である基礎事業において、市場の需要動向の変化が販売量や販売価格に影響を及ぼすリスクを認識しています。また、主要原材料であるセメントや鋼材、LNGなどの市場価格変動も、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、製造や施工を含む全ての領域において安全の確保と事故の未然防止に取り組んでいます。しかし、重大事故が発生した場合には、多額の補償費用や社会的信用の失墜により業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
トーヨーアサノは、「顧客第一」「合理追求」「人倫遵守」という経営理念を掲げ、顧客満足を通じて社会の発展に貢献することを目指しています。同社グループは、これらの価値観を基盤に、持続的な成長と社会貢献を追求する企業風土を築いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
トーヨーアサノグループは、経営理念として「顧客第一」「合理追求」「人倫遵守」を掲げています。これらの理念を実践し、顧客満足を追求することを通じて社会の発展に貢献することを事業の目的としています。
また、売上高と利益の成長を志向し、経営資源の拡大を目指しています。経営資源の拡大を通じて、お客様に提供可能な製品やサービスを拡充し、顧客満足を高めることで社会に貢献していくことをビジョンとしています。
第8次中期経営計画「TAFCO Reform & Advance」では、利益率の改善・安定を目的としたReform戦略と、成長投資を適切に管理・実行するAdvance戦略を柱としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
トーヨーアサノグループは、経営理念である「顧客第一」「合理追求」「人倫遵守」を企業風土の根幹としています。具体的には、「顧客第一」は仕事を通じて社会の発展に貢献すること、「合理追求」は科学的な思考を徹底することを示しています。
「人倫遵守」は、順法だけでなく「どうあるべきかを主体的に考える」という道徳的秩序を意味しています。また、社是には、社員が同社で働くことを通じて社会とつながり、人生において有意義な経験となるようにしたいという思いが込められています。
人的資本の強化に向けた「人事政策に関する基本方針」(TAFCO-HR戦略)では、「安心」「公正」「成長」をコンセプトに、社員が安心して長く勤められる環境、健全な競争環境、キャリア形成支援を重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
トーヨーアサノグループは、中期経営計画の達成に向け、売上高と利益の成長を志向し、経営資源の拡大を目指すことを課題としています。経営資源の拡大を通じて、お客様に提供可能な製品やサービスを拡充し、顧客満足度を高めることで社会に貢献していく方針です。
第8次中期経営計画においては、技術開発、人的資本、事業基盤の強化の3つに注力しています。特に、技術開発や人的資本といった無形資産領域の強化に取り組んでいます。
同時に、設備の改修、デジタル化、省エネ化といった事業基盤を支える投資も計画的に実行していくことを重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
トーヨーアサノは、監査等委員会設置会社として、取締役会の監査・監督機能の強化と迅速な意思決定を可能にする体制を構築しています。また、役員の選任や報酬決定においては、指名委員会および報酬委員会を通じて独立性や透明性の確保に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
トーヨーアサノの株主構成を見ると、筆頭株主は株式会社直木商事であり、同社グループの経営を支える主要な存在です。また、太平洋セメント株式会社やトーヨーアサノ取引先持株会といった事業上の関連が深い企業や団体も上位株主として名を連ねています。これらの株主は、同社グループの事業活動と密接な関係を持つ企業や団体によって構成されていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 直木商事 | 28.36% |
| 太平洋セメント | 13.22% |
| トーヨーアサノ取引先持株会 | 7.36% |
| 静岡銀行 | 4.32% |
| 高周波熱錬 | 3.10% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性11名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は植松泰右氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 植松 泰右 | 代表取締役社長 | 2003年4月株式会社東京放送入社、2007年3月同社入社。2015年5月同社代表取締役社長より現職。2023年3月株式会社東商代表取締役社長より現職。 |
| 杉山 康彦 | 常務取締役パイル営業本部長 | 1994年4月同社入社。2013年6月同社執行役員パイル営業本部長。2019年3月同社常務取締役パイル営業本部長より現職。 |
| 杉山 敏彦 | 取締役管理本部長 | 1986年3月同社入社。2013年6月同社執行役員管理本部長。2020年3月同社取締役管理本部長より現職。 |
| 西村 裕 | 取締役技術部長 | 1998年4月同社入社。2017年6月同社執行役員技術部長。2022年5月同社取締役技術部長より現職。 |
| 木下 年久 | 取締役東京工場長 | 1988年5月同社入社。2009年3月同社開発営業部副部長。2022年5月同社取締役東京工場長より現職。 |
| 有森 国三 | 取締役工事部長 | 1993年3月同社入社。2020年3月同社執行役員パイル営業本部副本部長。2022年5月同社取締役工事部長より現職。 |
社外取締役は、星野馨氏(弁護士・監査等委員長)、勝又康博氏(公認会計士)、桝田好一氏(元警察庁交通局長・一般社団法人プリペイドシステム協会専務理事)、中村藤雄氏(太平洋セメント執行役員セメント事業本部営業部長)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会は経営に関する重要な意思決定と業務遂行の監視を担っています。監査等委員会は社内取締役1名と社外取締役4名で構成され、取締役会に対する監督機能の強化と独立性の確保を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
トーヨーアサノの役員報酬は、取締役(監査等委員を除く)に対しては役職別の固定報酬と業績連動報酬で構成されています。業績連動報酬は、売上高や営業利益、当期純利益といった業績指標の達成度合いを勘案して決定されます。監査等委員である取締役の報酬は、職務内容に応じた基本報酬が支給される仕組みです。報酬の決定においては、独立社外取締役が過半数を占める報酬委員会が審議・検討を行うことで、透明性と客観性を確保しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 100百万円 | 16.7百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 4百万円 | 4.5百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 11百万円 | 2.2百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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