※本記事は、ダイケンの有価証券報告書(第78期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ダイケンってどんな会社?
建築関連製品の製造販売と不動産賃貸事業を展開し、豊かな環境と住まいづくりに貢献する企業です。
■(1) 会社概要
1924年に創業し、1948年に設立されました。1992年にグループ会社2社を吸収合併して経営基盤を強化しています。1997年に株式を店頭登録し、2022年に東京証券取引所スタンダード市場へ移行しました。2025年には三木製作所の株式を取得し、連結子会社として事業領域を拡大しています。
従業員数は連結354名、単体331名です。筆頭株主は創業者一族の代表取締役社長である藤岡洋一氏で、第2位は取引先持株会、第3位は金融機関です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 藤岡洋一 | 20.40% |
| ダイケン取引先持株会 | 8.40% |
| THE HONGKONG AND SHANGHAI BANKING CORPORATION LIMITED... | 5.10% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は藤岡洋一氏が務めており、社外取締役比率は18.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤岡洋一 | 取締役社長代表取締役 | 1988年4月住友林業入社、1992年1月ダイケン入社、1998年5月取締役副社長営業本部長を経て、2007年5月より現職。 |
| 岡森正寛 | 常務取締役 | 1983年4月ダイケン入社、2011年3月兵庫工場長、2021年3月取締役製造本部長、2025年6月三木製作所代表取締役社長を経て、2026年3月より現職。 |
| 小野雅行 | 常務取締役営業本部長 | 1988年3月ダイケン入社、2016年3月東京支店長、2019年5月取締役営業本部長を経て、2025年3月より現職。 |
| 白岩和哉 | 取締役マーケティング本部長 | 1994年4月ダイケン入社、2015年3月大阪支店長、2021年5月取締役マーケティング本部長兼営業本部副本部長を経て、2025年3月より現職。 |
| 小林勉 | 取締役管理本部長 | 1988年4月大和銀行(現りそな銀行)入行、2019年4月ダイケン入社、2023年5月取締役経理部長を経て、2025年3月より現職。 |
| 河島仁 | 取締役製造本部長 | 1992年2月ダイケン入社、2016年3月津山工場長、2026年3月上席執行役員製造本部長を経て、2026年5月より現職。 |
社外取締役は、有田真紀(公認会計士・税理士有田真紀事務所開設所長)、川合雄治(スイデン代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「建築関連製品」および「不動産賃貸」事業を展開しています。
■建築関連製品
ハンガーレールなどの建築金物、物置や自転車駐輪場などのエクステリア製品、アルミ型材を利用した外装用建材などの製造販売及び取付工事を行っています。主な顧客は建設業界や一般消費者など多岐にわたります。
顧客に対する製品の販売や施工により収益を得ています。主な運営はダイケンが行うほか、子会社の三木製作所やディックワンも製品開発、販売、取付工事などを担っています。
■不動産賃貸
単身者向けの賃貸マンション及び貸店舗の運営を行っています。社会の多様化に伴う生活環境や消費者ニーズの変化に対応した居住環境の提供を目指しています。
入居者や法人テナントからの賃貸料や暫定的な駐車場収入などを収益源としています。運営はダイケンが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近の業績推移を見ると、当期は連結決算に移行しており安定した利益水準を維持しています。前期以前については、単一の会計基準に基づく同一の連結範囲データが存在しないため一部項目が空欄となっていますが、親会社株主に帰属する当期純利益は安定して推移しています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | 116億円 |
| 経常利益 | - | - | - | - | 3億円 |
| 利益率(%) | - | - | - | - | 2.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 3億円 | 3億円 | 2億円 | 3億円 |
■(2) 損益計算書
当期の売上高は116億円を計上しており、子会社化などの影響により事業の拡大が見られます。前期以前のデータがないため連続的な比較はできませんが、一定の利益率を確保しています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | - | 116億円 |
| 売上総利益 | 33億円 | 36億円 |
| 売上総利益率(%) | - | 31.3% |
| 営業利益 | 3億円 | 3億円 |
| 営業利益率(%) | - | 2.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が11億円(構成比32%)、運搬費が6億円(同19%)を占めています。
■(3) セグメント収益
建築関連製品事業が全体売上の大部分を占めており、利益面でも主力となっています。不動産賃貸事業は売上規模は小さいものの、高い利益率を誇る安定収益源として機能しています。
| 区分 | 売上(2026年2月期) | 利益(2026年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 建築関連製品 | 114億円 | 6億円 | 5.0% |
| 不動産賃貸 | 2億円 | 1億円 | 52.9% |
| 連結(合計) | 116億円 | 3億円 | 2.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | - | 5億円 |
| 投資CF | - | -8億円 |
| 財務CF | - | -1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は80.8%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
経営理念は「人間尊重を第一義とし、常にかよいあう息の心、助け合いの心、感謝の心を大切に信頼を基とし、みんなで相談みんなで実行の社是のもと、“豊かな環境と住まいづくり”の実践を通じ社会のお役に立たせて頂くこと」です。環境に適応していく企業集団として社会課題の解決に貢献していくことを経営方針としています。
■(2) 企業文化
「働き易さ、働き甲斐を持てる環境」を重視し、従業員一人ひとりが本業を通じて社会へ貢献していくことで、企業価値の向上に努めています。また、持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて、「豊かな環境と住まいづくりの実践」「働きやすさと働きがいの推進」「気候変動と環境保全への取り組み」を定めています。
■(3) 経営計画・目標
変化し続ける社会に応える高付加価値製品の提供により、高い収益を獲得することに取り組んでいます。収益性の改善を判断する客観的な指標として、限界利益(売上高から変動費を控除した利益)および売上高経常利益率を重要視し、企業価値の向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
不確実性の高い経営環境の中で、グループ全体での業務最適化を進め、社会課題の解決や暮らしを豊かにする製品提供に取り組んでいます。建築関連製品事業では、現場の省力化や脱炭素に応える製品開発を進め、三木製作所とのシナジー効果により市場シェア拡大を図ります。不動産賃貸事業では、テナントの有効活用に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「従業員一人ひとりが働きやすさと働きがいを持てる会社に」という目標を掲げ、従業員の成長を支援する機会の提供や、持続的に成長できる環境の実現を目指しています。各部門において必要な能力を育成する研修を実施するほか、女性が活躍できる環境づくりを推進し、積極的な採用を行っています。健康経営も実践しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 43.1歳 | 15.3年 | 5,954,000円 |
※平均年間給与は賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.9% |
| 男性育児休業取得率 | 25.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 70.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 83.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 54.0% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済動向による影響
国内の建設及び住宅建築の市場に大きく依存する経営環境にあるため、公共投資や企業の設備投資の減少、少子高齢化に伴う人口や世帯数の減少による住宅需要の縮小など、国内経済の動向によっては同社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料等の調達に関するリスク
アルミ、ステンレス、スチール等の原材料を使用しており、これらは市況の影響を受けて価格が変動します。投機的な市況の変動や地政学的な世界情勢の変化などにより、原材料価格の想定を超えた変動やサプライチェーンが停滞し確保が困難となる事態が生じた場合、コスト増大から経営に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 人的資本リスク
人材の確保・育成およびエンゲージメント向上を重要な経営課題と位置づけていますが、労働市場の競争激化により必要な人材を十分に確保できない場合や、働きやすさを高めるための施策が計画どおり進まない場合、従業員の定着率や生産性に影響が生じ、事業運営に支障をきたす可能性があります。
■(4) 特定顧客への依存
多様なニーズに応える製品提供により幅広い顧客獲得に努めていますが、そのうち杉田エースに対する売上高が19%程度を占めています。当該会社に急な事業方針の変更、業績等の変化が生じた場合には、売上高や売上債権の評価など同社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



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