※本記事は、フロイント産業株式会社 の有価証券報告書(2025年2月期、2024年3月1日 ~ 2025年2月28日、2025年5月28日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
フロイント産業は、機械装置と化成品を製造販売する企業グループです。医薬品製造プロセスで使用される機械装置の受注・販売を強化し、医薬品添加剤や食品品質保持剤の提供も行っています。
単体従業員数は225名、連結従業員数は427名です。セグメントは機械部門、化成品部門、全社(共通)の3つです。
主な国内グループ会社は、フロイント産業、フロイント・ターボなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
フロイント産業は、従業員の定着を重視し、多様な働き方を支援する環境づくりに取り組んでいます。人財育成やダイバーシティ推進を重要な経営課題と位置づけ、社員一人ひとりの成長と働きがい向上を目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が比較的長く、平均年齢も安定していることから、従業員が長期的にキャリアを築きやすい環境にあることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,115,320円 |
| 平均勤続年数 | 12.7年 |
| 平均年齢 | 45.2歳 |
| 単体従業員数 | 225人 |
| 連結従業員数 | 427人 |
| 単体のグループ内比率 | 52.7% |
同社および国内連結子会社は、退職一時金制度と確定拠出型の企業年金制度を採用しています。国内連結子会社は確定給付企業年金制度(規約型)を、在外連結子会社は確定拠出型の401Kプランのほか、確定給付型の退職給付制度を採用しています。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付制度における退職給付債務は3.2億円、年金資産は1.1億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、『創造力で未来を拓く』という企業理念に基づき、ステークホルダーと社会の持続的な成長を目指しています。安定成長期から次なる成長・変革のステージへの起点として、人財マネジメントの改革が必要であると考えています。
特に人的資本に関わるテーマを重要課題と認識しており、「人財育成」「ダイバーシティ推進」「エンゲージメント向上」を重点テーマとしています。人財育成では、サクセッションプランの策定、次世代経営人財の育成、グローバル展開を支える人財の育成、マルチタスク化に向けたジョブローテーションの推進に取り組んでいます。
ダイバーシティ推進では、女性管理職比率向上や男性社員の育児休業取得率向上に向けた取り組みを強化しています。具体的には、現女性管理職のロールモデル紹介、管理職候補となる社員の育成計画作成、リーダーシップやマネジメントスキル向上研修の実施、育児休業に関する情報発信や相談窓口の設置、業務分担の見直しなどを行っています。また、在宅勤務制度や育児・介護休暇の要件緩和など、より柔軟な働き方を実現するための仕組みも検討しています。
エンゲージメント向上に向けては、新経営ビジョンの浸透を目的とした「ONE FREUND PROJECT」の発足、社員のモチベーション向上を図る譲渡制限付株式(RS)の付与、経営者の考えを共有する「One Freund Meeting」の開催、社員の健康保持増進を目指す健康経営への取り組みなどを推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、記載を省略しています。男女の賃金の差異は、性別による待遇格差はなく、等級別の人員構成によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 14.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 71.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 76.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 44.1% |
ダイバーシティ推進
提出会社単体の数値を記載しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率(2027年度までに20%以上を目標) | 14.9% |
| 男性社員の育児休業取得率(2027年度までに50%以上を目標) | 66.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
フロイント産業は、医薬品製造プロセスで使用される機械装置の製造販売と、医薬品添加剤や食品品質保持剤などの化成品製造販売を主軸とする同社グループです。医薬品業界の設備投資需要や、医薬品添加剤の需要拡大に対応しながら、グローバル市場でのプレゼンス向上を目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、医薬品業界を中心に、機械装置と化成品という二つの事業を展開しています。医薬品の安定供給に貢献するため、機械装置の受注・販売強化やメンテナンスサービスを提供しています。また、医薬品添加剤の生産ライン増設も検討するなど、顧客のニーズに応じた事業展開を進めています。海外ではグローバル5極体制を構築し、連携強化によるシナジー創出を図っています。特定の顧客への売上集中も見られますが、全体として医薬品業界の成長を背景に事業を拡大しています。
機械部門
粉粒体機械装置の製造販売、プラント工事、計器・部品の提供、合成樹脂の微粉砕受託などを手掛けています。国内では医薬品業界の設備投資需要を背景に受注を増やし、海外では米国子会社が大型案件を獲得するなど、前期に比べて収益を伸ばしています。収益は、主に医薬品製造プロセスで使用される機械装置の販売や関連サービスから得ています。
化成品部門
医薬品添加剤、栄養補助食品、食品品質保持剤の製造販売を行っています。また、製薬・食品・化学分野の開発研究や処方検討の受託、医薬品の新剤形開発とその技術供与も手掛けています。医薬品添加剤は国内で一時的に出荷が制約されたものの、海外売上が復調しました。食品品質保持剤は一部大口顧客での調達先変更の影響を受け、前期に比べて収益は減少しています。収益は、主に医薬品添加剤や食品品質保持剤の販売から得ています。
| セグメント | 売上高(2024年2月期) | 売上高(2025年2月期) |
|---|---|---|
| 機械部門 | 162億円 | 168億円 |
| 化成品部門 | 67.5億円 | 66.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5年間で増加傾向にあります。特に直近の連結会計年度では、前期から売上高がさらに伸びています。一方で、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、過去には一時的に減少した期もありましたが、直近の2期では安定して利益を計上しています。当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前期から減少となりました。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 168億円 | 176億円 | 197億円 | 229億円 | 234億円 |
| 経常利益 | 13.1億円 | 10.3億円 | 5.6億円 | 12.9億円 | 12.2億円 |
| 経常利益率 | 7.8% | 5.9% | 2.8% | 5.6% | 5.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 9.7億円 | 5.4億円 | △5.4億円 | 7.6億円 | 6.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 57.96 | 32.46 | △32.15 | 45.46 | 37.71 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、直近の連結会計年度で前期からわずかに減少しました。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から減少しています。これらの指標は、同社グループの生産性や収益体質を示すものとなります。
| 指標 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 54.9百万円 | 54.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.0百万円 | 2.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
フロイント産業グループは、堅実な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しています。本業で得た資金を投資に回しつつ、手元資金も確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
フロイント産業グループは、高い自己資本比率を維持しており、強固な財務基盤を築いています。手元資金も十分に確保されており、不測の事態にも対応できる体制が整っています。このような財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素と言えます。
| 指標 | 2024年2月期(前期) | 2025年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 150億円 | 154億円 |
| 自己資本比率 | 58.3% | 58.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.3% | 4.2% |
| 現金及び預金 | 47.4億円 | 51.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
フロイント産業グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは17.5億円の増加となりました。これは、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少などが主な要因となっています。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得や投資有価証券の取得により4.6億円の減少となりました。
財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の純増減額の減少や配当金の支払などにより8.6億円の減少となっています。結果として、フリーキャッシュフローは12.9億円のプラスを維持しており、本業で安定的に資金を生み出し、投資を賄えている状況です。このキャッシュフローの状況は、同社グループが安定した事業運営と将来への投資を両立していることを示しており、雇用や給与の安定性にも寄与すると考えられます。
| 項目 | 2024年2月期(前期) | 2025年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 23.7億円 | 17.5億円 |
| 投資CF | △7.4億円 | △4.6億円 |
| 財務CF | △8.7億円 | △8.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 16.3億円 | 12.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの機械事業は、製薬企業の設備投資の増減に大きく影響を受ける傾向があります。また、顧客企業の多くは製薬企業であり、医療費削減に向けた政策や業界再編が業績に影響を及ぼす可能性があります。
機械事業、化成品事業ともに価格競争が激化しており、利益率の低下に繋がるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業成長のために各分野における優秀な人材の確保と育成に努めています。しかし、採用競争の激化や育成の遅れ、退職などにより優秀な人材を確保できない場合、業績と財政状況に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
フロイント産業は、医薬品用製剤の機械装置と化成品の両方を手掛ける世界でも稀有な企業グループです。造粒・コーティング技術をキーテクノロジーとし、独創的な技術開発力で未来を拓くことを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
フロイント産業グループは、『創造力で未来を拓く(登録商標)』を企業理念としています。この理念のもと、「独創性豊かな製品の創造」や「先見力で新しい市場ニーズの創造」など、“5つの創造”を掲げています。
また、創立60周年を機に「『なくてはならない』技術に挑み、健やかで潤いのある生活を支える。」というグループ経営ビジョンを改定しました。研究開発型企業として、製剤技術を基盤とした製剤機械や医薬品添加剤を提供し、人々の健やかで潤いのある生活を支えることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
フロイント産業グループは、企業理念である『創造力で未来を拓く(登録商標)』のもと、「独創性豊かな製品の創造」や「困難に立ち向かうチャレンジ精神の創造」など、“5つの創造”を大切にしています。創造力とチャレンジ精神をもって事業を展開し、健全な成長と強固な経営基盤の構築を目指しています。
また、社員一人ひとりが自ら考え行動する風土改革を促進し、効率性や生産性の向上を図ることを重視しています。社員のエンゲージメント向上にも取り組み、「ONE FREUND PROJECT」や「One Freund Meeting」を通じて、企業理念やビジョンの浸透、風通しの良い組織づくりを進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
フロイント産業グループは、第9次中期経営計画において、持続的成長と経営基盤強化を重点テーマとしています。医薬品業界をはじめとする医療健康産業のニーズに応えるため、開発・販売のグローバル展開を積極的に推進しています。
日本、アメリカに加え、インド、イタリア、中国での拠点活動を開始し、グローバル5極体制が本格的にスタートしました。今後はグループ間の連携を強化し、グローバル市場での「FREUND」ブランドのプレゼンス向上を目指しています。また、社員一人ひとりが自ら考え行動する風土改革をさらに促進し、効率性や生産性の向上を図ることも重要な課題としています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
フロイント産業は、取締役会が経営監督機能を果たし、独立した監査役会が公正な監査機能を担う監査役会設置会社です。また、任意の指名報酬委員会や執行役員制度を導入し、経営監督機能と執行機能の役割分担を明確にしています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、創業家やその関連会社が上位株主として名を連ねる資本構成となっています。筆頭株主は株式会社伏島揺光社であり、創業家が同社グループの経営に一定の影響力を持つ体制であると考えられます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ㈱伏島揺光社 | 9.74% |
| PERSHING-DIV. OF DLJ SECS. CORP.(常任代理人シティバンク、エヌ・エイ) | 7.99% |
| 伏島 靖豊 | 7.20% |
なお、2025年1月7日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、カナメ・キャピタル・エルピーが2024年12月23日現在で1,859千株(10.11%)を所有している旨が記載されていますが、同社として2025年2月28日現在における実質所有株式数については確認ができていないため、上記大株主の状況には含められていません。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長グループCEOは伏島巖氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 伏島 巖 | 代表取締役社長グループCEO | 1997年11月 同社入社、2008年5月 同社取締役、2012年3月 同社代表取締役社長、2025年3月 同社代表取締役社長 海外事業本部長より現職。 |
| 本田 稔昭 | 取締役機械事業本部長 | 1997年4月 同社入社、2021年5月 同社取締役、2025年3月 同社取締役 機械事業本部長より現職。 |
| 守口 壽文 | 取締役品質保持剤事業本部長 | 1985年4月 吉富製薬㈱入社、2019年6月 同社入社、2023年5月 同社取締役、2025年3月 同社取締役 品質保持剤事業本部長より現職。 |
社外取締役は、田中尚氏(EPSホールディングス代表取締役社長・指名報酬委員会委員長)、久米龍一氏(シオノギファーマ代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会が経営監督機能を、監査役会が監査機能を担っています。社外取締役は独立した立場から、経営全般にわたる助言や意見を述べることで、適切な意思決定と業務執行の監督に寄与しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役報酬は、企業価値の持続的な向上を促すインセンティブとして、株主利益と連動した報酬体系を基本方針としています。業務執行取締役の報酬は、固定報酬としての基本報酬、業績連動賞与、および非金銭報酬等としての譲渡制限付株式報酬で構成されています。監督機能を担う社外取締役には基本報酬のみが支払われる仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 1.0億円 | 34.7百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 34百万円 | 6.8百万円 |
上記のほか、取締役(社外取締役を除く)3名に対して723千円、社外役員1名に対して194千円の創立60周年記念賞与が支給されています。
連結報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の開示は行われていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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