※本記事は、株式会社フロイント産業 の有価証券報告書(第61期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フロイント産業ってどんな会社?
医薬品製造工程で使われる機械装置と医薬品添加剤の両方を手掛ける世界でも稀有な研究開発型企業です。
■(1) 会社概要
1964年に設立され、医薬品用自動フィルムコーティング装置を開発しました。1996年に株式を店頭登録し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。米国VECTOR CORPORATION(現Freund Inc.)の買収や、イタリアCos.Mec S.r.l.(現Freund S.r.l.)の連結子会社化を通じてグローバル展開を加速させています。
同グループの連結従業員数は427名、単体では225名です。筆頭株主は創業家の資産管理会社と見られる株式会社伏島揺光社で、第2位はカストディ業務を行う信託銀行、第3位は創業者名誉会長の伏島靖豊氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 伏島揺光社 | 9.74% |
| PERSHING-DIV. OF DLJ SECS. CORP.(常任代理人シティバンク、エヌ・エイ) | 7.99% |
| 伏島 靖豊 | 7.20% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表者は代表取締役社長グループCEOの伏島巖氏です。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 伏島 巖 | 代表取締役社長グループCEO | 1997年入社。2012年社長就任。海外子会社会長等を歴任し、2025年3月より現職。 |
| 本田 稔昭 | 取締役機械事業本部長 | 1997年入社。機械本部営業部長、国内営業本部長等を歴任。2025年3月より現職。 |
| 守口 壽文 | 取締役品質保持剤事業本部長 | 田辺三菱製薬出身。2019年入社。生産事業本部長、化成品事業本部長を経て、2025年3月より現職。 |
社外取締役は、田中尚(元EPSホールディングス社長)、久米龍一(元シオノギファーマ社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「機械部門」および「化成品部門」事業を展開しています。
■(1) 機械部門
医薬品製造プロセスで使用される粉粒体機械装置、搬送・プロセス装置、計器・部品等の製造販売およびプラント工事を行っています。主な顧客は製薬企業であり、医薬品用製剤(錠剤・顆粒剤など)を作る工程で同社の装置が使用されています。
収益は、顧客への機械装置の販売代金やメンテナンス・サービス料から得ています。運営は、国内ではフロイント産業、海外では米国子会社Freund Inc.、イタリア子会社Freund S.r.l.、インドの関連会社等が各地域を担当し、国内子会社フロイント・ターボが粉砕機等を担当しています。
■(2) 化成品部門
医薬品の錠剤や顆粒剤に使用される医薬品添加剤、栄養補助食品、および食品の鮮度を保つ食品品質保持剤の製造販売を行っています。また、製薬・食品・化学メーカー等からの開発研究や処方検討等の受託サービスも提供しています。
収益は、製薬・食品メーカー等への製品販売代金や、受託研究サービスの対価から得ています。運営は主にフロイント産業が行っており、中国の関連会社Freund-Chineway Pharmaceutical Technology Center Co.,Ltd.が技術サービス等を提供しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。一方、利益面では2023年2月期に一時的な赤字を計上しましたが、その後回復し、黒字基調を維持しています。利益率は年度によって変動が見られます。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 168億円 | 176億円 | 197億円 | 229億円 | 234億円 |
| 経常利益 | 13億円 | 10億円 | 6億円 | 13億円 | 12億円 |
| 利益率(%) | 7.8% | 5.9% | 2.8% | 5.6% | 5.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 10億円 | 8億円 | -3億円 | 8億円 | 8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で微増となりましたが、売上総利益率は改善しています。一方、営業利益は若干減少しました。販売費及び一般管理費の増加が利益を圧迫する要因の一つとなっています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 229億円 | 234億円 |
| 売上総利益 | 70億円 | 81億円 |
| 売上総利益率(%) | 30.8% | 34.5% |
| 営業利益 | 13億円 | 12億円 |
| 営業利益率(%) | 5.5% | 5.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が19億円(構成比28%)、研究開発費が7億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
機械部門は、国内での設備投資需要やメンテナンス・サービスが好調で増収となり、利益も大幅に伸長しました。一方、化成品部門は、一部顧客の生産調整や調達方針変更の影響を受け、減収減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) | 利益(2024年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 機械部門 | 162億円 | 168億円 | 9億円 | 12億円 | 7.4% |
| 化成品部門 | 67億円 | 66億円 | 10億円 | 8億円 | 12.2% |
| 連結(合計) | 229億円 | 234億円 | 13億円 | 12億円 | 5.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業で得た現金を元手に、借入金の返済を進めつつ投資も行っている「健全型」です。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 24億円 | 18億円 |
| 投資CF | -7億円 | -5億円 |
| 財務CF | -9億円 | -9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.2%で市場平均(7.2%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.1%で市場平均(57.5%)をやや上回る水準です。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「創造力で未来を拓く(登録商標)」を企業理念として掲げています。また、グループ経営ビジョンとして「『なくてはならない』技術に挑み、健やかで潤いのある生活を支える。」を定めており、製剤技術を基盤とした製品・サービスの提供を通じて社会への貢献を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は企業理念のもと、「独創性豊かな製品の創造」「先見力で新しい市場ニーズの創造」「組織を活性化する経営基盤の創造」「困難に立ち向かうチャレンジ精神の創造」「潤いのある人間関係の創造」という「5つの創造」を掲げています。創造力とチャレンジ精神をもって事業を展開し、全てのステークホルダーとの円滑な関係維持を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は第9次中期経営計画(2025年2月期~2027年2月期)を推進しており、最終年度となる2027年2月期には以下の数値目標の達成を目指しています。
* 連結売上高:250億円
* 連結営業利益:16億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、基盤事業の強化と拡大、新製品・新事業開発、経営基盤の強化を基本方針としています。特にグローバル展開においては、日本、米国、インド、イタリア、中国の5極体制での連携を強化し、シナジー創出と「FREUND」ブランドのプレゼンス向上を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、社員一人ひとりが自ら考え行動する風土改革を促進し、効率性と生産性の向上を図っています。また、グローバル展開を支える人財の育成や、次世代経営人財の育成、マルチタスク化に向けたジョブローテーションの推進に取り組んでいます。ダイバーシティ推進やエンゲージメント向上も重要課題として位置付けています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 45.2歳 | 12.7年 | 6,115,320円 |
※平均年間給与は、税込支払給与額であり、基準外給与及び賞与を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.9% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.9% |
| 男女賃金差異(正規) | 76.7% |
| 男女賃金差異(非正規) | 44.1% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済環境および市場動向に関わるリスク
同社グループの機械事業は、製薬企業の設備投資の増減の影響を大きく受ける傾向にあります。そのため、国内外の経済動向や顧客企業の設備投資需要が落ち込んだ場合には、同社グループの業績と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料等の調達に関わるリスク
同社グループは原材料等の安定調達に努めていますが、調達先の業績悪化、災害、国際紛争等によるサプライチェーンの混乱が生じる可能性があります。これにより物価上昇や調達制約、納期遅延が発生した場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 海外における事業活動に潜在するリスク
同社グループはグローバル5極体制で事業を展開していますが、海外市場においては、各国の法規制変更、政治経済情勢の変化、社会的混乱等のリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合、同社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。



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