竹内製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

竹内製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の建設機械メーカーです。ミニショベルやクローラーローダー等の小型建設機械の開発・製造・販売を主力とし、海外売上高比率が95%を超えるグローバル企業です。直近の業績は、円安効果や製品価格の値上げ等により、売上高・利益ともに過去最高を更新し、増収増益となりました。


※本記事は、株式会社竹内製作所 の有価証券報告書(第63期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 竹内製作所ってどんな会社?


ミニショベルやクローラーローダーなどの小型建設機械に特化した、長野県発のグローバル建機メーカーです。

(1) 会社概要


1963年に設立され、1971年にミニショベルを開発し生産を開始しました。1979年には米国に現地法人を設立し、海外展開を加速させました。2002年に日本証券業協会(JASDAQ)に株式を登録し、2015年には東京証券取引所市場第一部へ市場変更を果たしています。近年では、2022年に米国で、2023年に長野県青木村で新工場を稼働させるなど、生産能力の増強を進めています。

連結従業員数は1,277名、単体従業員数は732名です。筆頭株主はテイクで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は代表取締役社長の竹内敏也氏です。

氏名 持株比率
テイク 11.14%
日本マスタートラスト信託銀行 9.87%
竹内敏也 5.73%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名、計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は竹内敏也氏です。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
竹内明雄 代表取締役会長 1963年同社設立とともに代表取締役社長に就任。米国・英国・フランス・中国など海外子会社のトップを歴任し、2019年5月より現職。
竹内敏也 代表取締役社長監査室担当 1985年入社。取締役副社長、米国子会社取締役などを経て、2019年5月より現職。
渡辺孝彦 取締役購買部、生産管理部品質部、製造部担当 2006年入社。執行役員管理購買部長、取締役購買部長などを経て、2025年5月より現職。
Clay Eubanks 取締役営業部、アフターセールスサポート部担当 1984年米国子会社入社。同社取締役社長を経て、2024年5月より現職。
小林修 取締役経営管理部、総務部、法務室、人事部、情報システム部担当 2015年入社。執行役員経営管理部長などを経て、2024年10月より現職。
横山浩 取締役開発部、本社工場、青木工場、生産技術部担当 1985年入社。執行役員開発部長などを経て、2024年5月より現職。
草間稔 取締役(常勤監査等委員) 1980年八十二銀行入行。同行監査役室長を経て、2016年5月より現職。


社外取締役は、岩渕道男(岩渕道男公認会計士事務所代表)、宮田裕子(元ユニリーバ・ジャパン取締役人事総務本部長)、織英子(神田法律事務所代表)、安藤国威(元ソニー代表取締役社長兼COO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」「米国」「英国」「フランス」「中国」の報告セグメントで建設機械事業を展開しています。

(1) 日本セグメント


同社が建設機械の開発・製造を行い、国内および欧州等のディストリビューターへ販売しています。また、国内メーカーへのOEM供給も行っています。

収益は、製品および部品の販売により得ています。運営は主に同社が行っています。

(2) 米国セグメント


同社が開発・製造した建設機械を、現地のレンタル会社およびディーラーへ販売しています。一部製品については、同社からの仕掛品を現地で完成させて販売する形態もとっています。

収益は、製品および部品の販売対価として顧客から受け取ります。運営はTAKEUCHI MFG.(U.S.),LTD.が行っています。

(3) 英国セグメント


同社から仕入れた建設機械を、現地のレンタル会社およびディーラー等へ販売しています。

収益は、製品および部品の販売対価として顧客から受け取ります。運営はTAKEUCHI MFG.(U.K.)LTD.が行っています。

(4) フランスセグメント


同社から仕入れた建設機械を、現地のレンタル会社およびディーラー等へ販売しています。

収益は、製品および部品の販売対価として顧客から受け取ります。運営はTAKEUCHI FRANCE S.A.S.が行っています。

(5) 中国セグメント


同社が製造する建設機械の部品を生産し、同社へ供給しています。また、一部現地での販売も行っています。

収益は、主に同社への部品供給による対価として受け取ります。運営は竹内工程機械(青島)有限公司が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は5期連続で増加傾向にあり、直近では2,000億円規模に達しています。経常利益も順調に推移し、直近2期は350億円を超える高水準を維持しています。当期純利益も200億円台を確保しており、利益率は16%台と高い収益性を実現しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 1,123億円 1,409億円 1,790億円 2,126億円 2,132億円
経常利益 133億円 181億円 214億円 355億円 356億円
利益率(%) 11.8% 12.8% 11.9% 16.7% 16.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 98億円 133億円 160億円 261億円 261億円

(2) 損益計算書


売上高は微増ながら、売上総利益および営業利益は増加しました。売上総利益率は24.5%から26.3%へ、営業利益率は16.6%から17.4%へと改善しており、収益性が向上しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 2,126億円 2,132億円
売上総利益 521億円 560億円
売上総利益率(%) 24.5% 26.3%
営業利益 353億円 371億円
営業利益率(%) 16.6% 17.4%


販売費及び一般管理費のうち、運搬費が67億円(構成比36%)、その他が59億円(同31%)を占めています。

(3) セグメント収益


米国セグメントは売上高が伸長し、利益も堅調に推移しました。一方、日本セグメントは売上高が減少しましたが、利益率は高水準を維持しています。欧州地域では英国、フランスともに増収となりましたが、利益面ではやや減少または横ばいの傾向が見られます。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
日本 754億円 671億円 307億円 343億円 51.1%
米国 1,152億円 1,201億円 109億円 109億円 9.1%
英国 121億円 145億円 9億円 5億円 3.4%
フランス 98億円 113億円 10億円 8億円 7.2%
中国 1億円 1億円 1億円 3億円 247.5%
連結(合計) 2,126億円 2,132億円 353億円 371億円 17.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、その範囲内で投資活動と財務活動(借入返済や配当支払い等)を行っていることから、健全型のキャッシュ・フローと言えます。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 246億円 83億円
投資CF -78億円 -23億円
財務CF -47億円 -146億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「創造」「挑戦」「協調」を社是として掲げ、これらを経営の基本方針としています。また、「世界初から世界のTAKEUCHIへ」を企業理念とし、グローバルな視野で信頼される商品・サービスを提供し、地球にやさしく豊かな社会の実現に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は行動規範において「人間尊重」を掲げ、人材を最大の経営資源と認識しています。また、「安全は全てに優先する」を基本とし、安全で健康的な職場環境の維持・向上に努めています。さらに、顧客ニーズへの適合や環境への配慮、国際社会との共生を重視する文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は2026年2月期から2028年2月期までの第四次中期経営計画を策定しています。最終年度となる2028年2月期には、連結売上高3,000億円、営業利益520億円、営業利益率17.3%以上の達成を目指しています。

* 連結売上高:3,000億円
* 営業利益:520億円
* 営業利益率:17.3%
* ROE:17.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


第四次中期経営計画では、北米におけるディーラー網の拡大や欧州での販売回復、オセアニア等の新規市場開拓を推進します。また、生産面ではクローラーローダーの生産能力倍増や新工場建設を進めるほか、電池式ミニショベルのラインナップ拡充により環境対応製品の開発を強化します。

* 北米売上高:1,784億円
* 欧州売上高:1,087億円
* アフターパーツ売上:208億円

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財こそが企業力の源泉」「人への分配は未来への投資」との方針のもと、社員のウェルビーイング向上を推進しています。学ぶ機会の提供、健康経営の実践、ワークライフバランスの向上、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進等を通じ、社員がいきいきと働ける環境を実現します。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 36.6歳 9.7年 6,525,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.3%
男性育児休業取得率 45.0%
男女賃金差異(全労働者) 72.4%
男女賃金差異(正規雇用) 78.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 73.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、1人当たりの研修時間(32.6時間)、障がい者雇用率(2.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 海外市場への依存と為替変動


同社グループの連結売上高に占める海外比率は95%を超えており、主に欧米市場に依存しています。そのため、米ドル、英ポンド、ユーロ等の為替相場の変動が業績に影響を与える可能性があります。為替予約等のヘッジを行っていますが、想定を超えた変動が生じた場合は業績への影響が避けられません。

(2) 原材料価格および物流コストの高騰


製品の主要原材料である鋼材の価格や、海上輸送等の物流コストが高騰した場合、製造原価が増加し業績に影響を与える可能性があります。生産ラインの合理化や販売価格の見直し等の対策を講じていますが、市況の変動による影響を受けるリスクがあります。

(3) 部品調達の困難化


製品はエンジンや油圧機器など多数の部品から構成されています。サプライヤーからの調達が何らかの理由で困難になり生産活動が制限された場合、業績に影響を与える可能性があります。複数購買などリスク分散を進めていますが、サプライチェーンの寸断リスクは潜在しています。

(4) 建設市場環境の変化


同社製品は住宅建築やインフラ整備など都市型土木工事で多く使用されています。金利上昇や景気後退による住宅着工件数の減少、公共投資の縮小など、市場環境の変化が製品需要に影響を与え、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。