竹内製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

竹内製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

竹内製作所は東京証券取引所プライム市場に上場する企業です。ミニショベルやクローラーローダーを中心とした小型建設機械の開発、製造、およびグローバルでの販売を主力事業としています。直近の業績は、主力市場である北米や欧州での需要が堅調に推移し、過去最高の売上高および各段階利益を更新して増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社竹内製作所の有価証券報告書(第64期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 竹内製作所ってどんな会社?


小型建設機械の開発から製造、販売までをグローバルに展開する竹内製作所の企業情報と役員体制について解説します。

(1) 会社概要


同社は1963年に設立され、自動車部品メーカーの下請として事業を開始しました。1971年にミニショベルを開発して生産を開始し、1979年には米国に子会社を設立して海外展開を本格化させました。1986年にクローラーローダーの開発・生産を開始し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場を果たしました。

現在の従業員数は連結で1,366名、単体で764名となっています。大株主の状況については、筆頭株主が法人のテイクであり、第2位および第3位には資産管理業務等を行う信託銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
テイク 19.40%
日本マスタートラスト信託銀行 10.64%
日本カストディ銀行 8.59%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役会長を竹内明雄氏、代表取締役社長を竹内敏也氏が務めており、役員全体に対する社外取締役の比率は44.4%となっています。

氏名 役職 主な経歴
竹内敏也 代表取締役社長 1985年入社。部品部長、生産技術部担当の取締役などを経て、2008年に取締役副社長に就任。2019年より現職。
竹内明雄 代表取締役会長 1963年同社設立とともに代表取締役社長に就任。米英仏および中国の海外子会社の社長や会長を歴任し、2019年より現職。
横山浩 常務取締役 1985年入社。開発部長を務め、2020年に取締役へ就任。本社工場や青木工場等の担当を経て、2026年より現職。
Clay Eubanks 取締役 1984年米国子会社へ入社し、2003年同社社長。2019年に同社取締役へ就任。2026年よりグローバルセールス担当の現職。
草間稔 取締役 1980年八十二銀行入行。茅野駅前支店長、監査役室長を経て、2012年同社常勤監査役に就任。2016年より現職。


社外取締役は、岩渕道男氏(岩渕道男公認会計士事務所代表)、宮田裕子氏(人事コンサルタント)、織英子氏(神田法律事務所代表)、安藤国威氏(元ソニー社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、主に日本、米国、英国、フランス、および中国の地域別報告セグメントで事業を展開しています。

(1) 日本


同社が主体となり、小型建設機械の開発・製造および販売を行っています。また、国内メーカーへのOEM供給(相手先ブランドによる生産)や特殊建機の直接販売も手掛けています。

主に欧州のディストリビューターや国内のレンタル会社から製品の販売代金を得ています。事業の運営は同社が行っています。

(2) 米国


北米市場に向けた建設機械の販売を行っています。同社が開発し自走できる状態まで組み立てた仕掛品を現地で完成させて販売する事業も展開しています。

現地のレンタル会社やディーラーに対して製品およびアフターパーツを販売し、収益を得ています。運営は米国の連結子会社が行っています。

(3) 英国・フランス


欧州市場(主に英国およびフランス)において、同社が開発・製造した建設機械の販売事業を展開しています。

同社から仕入れた建設機械を、現地のレンタル会社やディーラー等へ販売して収益を得ています。英国およびフランスの各現地子会社が運営を担っています。

(4) 中国


同社が製造する建設機械に使用される各種部品の生産事業を展開しています。

現地で生産した部品を同社へ供給することで収益を得ています。中国の現地子会社が製造および運営を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間を通して売上高と利益は順調に拡大しており、増収増益のトレンドが続いています。特に直近の業績は、北米および欧州等の主力市場における堅調な需要に支えられ、大幅な事業規模の拡大を遂げています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 1,409億円 1,790億円 2,126億円 2,132億円 2,253億円
経常利益 181億円 214億円 355億円 356億円 392億円
利益率(%) 12.8% 11.9% 16.7% 16.7% 17.4%
当期利益 79億円 85億円 202億円 208億円 211億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も着実に増加しています。製品価格の改定等によりコスト増加を吸収し、安定した営業利益率を維持していることが読み取れます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 2,132億円 2,253億円
売上総利益 560億円 562億円
売上総利益率(%) 26.3% 24.9%
営業利益 371億円 377億円
営業利益率(%) 17.4% 16.7%


販売費及び一般管理費のうち、運搬費が67億円(構成比36.0%)、給料及び手当が13億円(同7.0%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力市場である米国セグメントが全体の売上を牽引しており、堅調な成長を示しています。また、日本セグメントや需要が回復傾向にある英国セグメントにおいても売上規模の拡大が確認できます。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
日本 671億円 678億円
米国 1,201億円 1,287億円
英国 145億円 180億円
フランス 113億円 108億円
中国 1億円 0.1億円
連結(合計) 2,132億円 2,253億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 83億円 229億円
投資CF -23億円 -38億円
財務CF -146億円 -93億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.0%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も83.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「社是」として「創造」「挑戦」「協調」を掲げています。また、「企業理念」において「世界初から世界の建機へ」を合言葉に、グローバルな視野で信頼される商品とサービスを提供し、豊かな社会の実現に貢献することを使命としています。

(2) 企業文化


「社是」に基づく創造(豊かな感性での商品開発)、挑戦(果敢な行動)、協調(社会との共生)の精神を重視しています。また「人財こそが企業力の源泉」という認識のもと、従業員のウェルビーイング向上やダイバーシティの推進に取り組む文化があります。

(3) 経営計画・目標


第四次中期経営計画(2026年2月期~2028年2月期)を策定し、スローガンとして「Building Excellence」を掲げ、ハイクオリティ等を通じて連結売上高3,000億円にチャレンジしています。2028年2月期の数値目標として以下を定めています。

* 連結売上高 3,000億円
* 営業利益 520億円(営業利益率 17.3%)
* 1株当たり当期純利益 800円
* 自己資本利益率(ROE) 17.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


事業拡大のため、北米や欧州等での販売網拡充とアフターパーツの販売拡大を推し進めています。また、生産能力増強に向けて生産機種の再編成やクローラーローダー新工場の建設を計画しているほか、脱炭素社会を見据えた電池式ミニショベルのラインナップ拡充に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財こそが企業力の源泉」「人への分配は未来への投資」との基本方針のもと、人的資本への投資を推進しています。若手から役員まで全従業員を対象とした階層別研修や専門研修を実施して学ぶ機会を提供するとともに、健康経営の実践やワークライフバランスの向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 36.6歳 9.8年 6,896,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.5%
男性育児休業取得率 70.0%
男女賃金差異(全労働者) 76.7%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 81.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 73.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、1人当たりの研修時間(25.1時間)、障がい者雇用率(2.7%)、子会社の管理職のローカル比率(93.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 海外売上高比率の高さに伴う為替変動


同社グループは連結売上高に占める海外売上高の割合が非常に高く、その多くを欧米市場が占めているため、為替レートの変動による影響を受けやすい事業構造となっています。想定を超える為替変動が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料価格や関税率の変動によるコスト増


製品の主要な原材料である鋼材の価格は市況により変動します。鋼材価格や海上運賃などの物流コストが高騰した場合、あるいは米国等の関税率に変更があった場合、製造原価が増加し、同社グループの業績に影響を与えるリスクがあります。

(3) 部品調達の遅延による生産活動の制限


建設機械はエンジンや油圧機器など多様な部品から構成されています。サプライヤーからの部品調達が何らかの理由で困難になり、生産活動が制限された場合、製品の供給遅延を引き起こし、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。