ツインバード 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ツインバード 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の家電メーカー。「匠プレミアム」などの高付加価値製品やFPSC(冷却システム)事業を展開しています。直近の業績は、円安による原価高騰や個人消費の低迷、在庫増加に伴う物流費負担などが影響し、減収および最終赤字となりました。


※本記事は、株式会社ツインバード の有価証券報告書(第63期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ツインバードってどんな会社?


新潟県燕三条地域に拠点を置く家電メーカー。調理家電や冷却技術を核とした製品開発を行っています。

(1) 会社概要


1962年にメッキ加工業として創業し、1984年よりプラスチック成形加工を開始しました。1996年に株式を上場し、製造卸から自社ブランド製品の開発・販売へと事業を転換。2021年には創業70周年を機にリブランディングを宣言し、2022年に現在の社名へ変更するとともに、東証スタンダード市場へ移行しました。

同社の従業員数は287名(単体)です。筆頭株主は社長の親族が代表を務める資産管理会社と思われる双栄で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
双栄 13.38%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 4.68%
ツインバード従業員持株会 3.01%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は野水重明氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
野水 重明 取締役社長(代表取締役) 1989年同社入社。海外営業部長、営業本部副本部長、専務取締役などを経て、2011年より現職。
佐藤 勉 専務取締役生産本部本部長兼 品質改革本部本部長 1979年同社入社。生産管理部長、常務取締役開発・生産本部副本部長などを歴任し、2017年専務取締役就任。2023年より現職。
河村 吉章 常務取締役開発本部本部長 東芝ホームテクノを経て2019年同社入社。執行役員開発本部本部長などを経て、2024年より現職。
浅見 孝幸 常務取締役営業本部本部長兼 東京支社支社長 ソニーを経て2019年同社入社。執行役員マーケティング本部本部長などを経て、2025年より現職。
渡邉 桂三 取締役企画管理本部本部長 日本精機を経て2021年同社入社。執行役員管理本部本部長などを経て、2023年より現職。
渡邉 英一 取締役開発本部副本部長 1990年同社入社。執行役員品質改革本部本部長などを経て、2025年より現職。


社外取締役は、田中通泰(元亀田製菓社長)、高橋泰行(ピエトロ社長)、加藤善孝(ProC.A社長)、小村隆(小村法律事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「家電製品事業」および「FPSC事業」を展開しています。

(1) 家電製品事業


照明器具、調理家電、クリーナー、生活家電、冷蔵庫、洗濯機、AV機器、健康理美容機器などの製造販売を行っています。「匠プレミアム」「感動シンプル」といったブランドラインを展開し、顧客視点での製品開発に注力しています。

収益は、家電量販店やECサイトを通じた製品販売による売上のほか、B2B向けのOEM製品供給などから得ています。運営は主に同社が行っています。

(2) FPSC事業


独自技術であるFPSC(フリー・ピストン・スターリング・クーラー)を用いた冷凍冷蔵庫などの製造販売を行っています。ワクチン運搬庫としての実績があり、医薬・バイオ分野などの厳密な温度管理が求められる市場へ展開しています。

収益は、FPSC技術を応用した製品の販売から得ています。運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。なお、同社は第62期より連結財務諸表を作成していないため、以下の数値は単体(提出会社)のものです。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移です。売上高は減少傾向にあり、利益面でも大幅な減益が続き、直近では当期純損失を計上しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 124億円 128億円 108億円 103億円 101億円
経常利益 5億円 6億円 1億円 2億円 0.4億円
利益率(%) 3.8% 4.8% 1.4% 1.6% 0.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 4億円 0.6億円 1億円 -1億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。売上高の減少に加え、売上総利益率の低下が見られます。営業利益は大きく減少し、収益性が低下しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 103億円 101億円
売上総利益 34億円 30億円
売上総利益率(%) 32.9% 29.6%
営業利益 1億円 0.0億円
営業利益率(%) 1.1% 0.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が8億円(構成比26%)、荷造運搬費が4億円(同15%)を占めています。売上原価においては、外注加工費が77%を占めており、製造の多くを外部に委託している構造です。

(3) セグメント収益


各セグメントの収益状況です。家電製品事業は前期比で微減収減益となりました。FPSC事業もコロナ禍でのワクチン運搬庫需要の一巡により減収減益となっています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
家電製品事業 97億円 96億円 8億円 7億円 6.9%
FPSC事業 6億円 4億円 2億円 1億円 28.7%
調整額 - - -9億円 -8億円 -
連結(合計) 103億円 101億円 1億円 0.0億円 0.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


直近のキャッシュ・フローでは、本業の収益を示す営業CFがマイナスとなり、投資CFもマイナス、財務CFはプラスとなっています。これは本業が資金流出超過となる中で、将来のための投資や運転資金を借入等の財務活動で調達している「勝負型」の状況と言えます。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 5億円 -2億円
投資CF -3億円 -4億円
財務CF -2億円 4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は赤字計上のためマイナスとなり市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.2%で市場平均(スタンダード市場製造業平均57.5%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「感動と快適さを提供する商品の開発」「相互信頼を通じた豊かな関係づくり」などを経営理念として掲げています。また、2030年に向けて「お客様満足No.1」のその先を目指し、燕三条発のイノベーションで世界中の人々に持続可能な幸せを提供するブランドになることを長期ビジョンとしています。

(2) 企業文化


「お客様満足No.1を実現する感動メーカー」を人材ビジョンとし、人事ポリシーとして「目指す道を、後押しする」を掲げています。多様な人材が能力を発揮し、働きがいを高めることを重視しており、社員一人ひとりの成長と幸福の実現を目指す文化があります。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画(2023-2025)の最終年度である2025年度(2026年2月期)において、売上高150億円、営業利益8億円、ROE5.0%以上などの数値目標を掲げていましたが、円安や物価上昇等の影響により未達となる見通しです。現在、次期中期経営計画の策定を進めています。

(4) 成長戦略と重点施策


収益性の改善に向け、「収益構造の再構築」「固定費・変動費の最適化」「成長事業の推進」に取り組んでいます。家電事業ではB2BやOEMの強化、商品開発の効率化を進め、国内製造比率の引き上げも目指します。FPSC事業では、医薬・バイオ分野での成長を見込み、グローバルなコールドチェーン構築に参画します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


社員一人ひとりが働きがいを高め、キャリアを通じた幸福を実現することを基本理念としています。多様な人材が能力を発揮できるよう、女性管理職の登用や障がい者雇用の推進、グローバル人材の活用を進めています。また、教育制度「TWINBIRDアカデミー」の運用や、ワークライフバランスを重視した職場環境の整備にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 47.5歳 22.5年 5,214,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.0%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 75.5%
男女賃金差異(正規雇用) 82.1%
男女賃金差異(非正規) 53.9%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 為替相場の変動


製品や部材の一部を海外から輸入しており、外貨建て決済を行っているため、為替変動の影響を受けます。予測を超える急激な変動があった場合、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対し、為替予約によるヘッジや国内製造比率の向上を進めています。

(2) 製造委託先等からの調達リスク


製品や部材の多くを製造委託先から調達しており、人件費高騰などによる調達価格の上昇や供給不足が発生した場合、競争力の維持が困難になり業績に影響を与える可能性があります。パートナーシップの強化や部品の共通化、状況に応じた売価への反映などで対応しています。

(3) 市場競争と販売価格の下落


主要な販売チャネルである家電量販店やECサイトでは激しい価格競争が行われています。販売価格のさらなる低下が続けば、収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。ターゲットを絞り込んだ高付加価値製品の提供や、顧客との接点強化により、価格以外の価値訴求に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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