※本記事は、ツインバードの有価証券報告書(第64期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ツインバードってどんな会社?
ツインバードは、新潟県燕三条地域のものづくり資源を活かし、家電や新冷却技術製品を製造販売する企業です。
■(1) 会社概要
1962年に野水電化として設立され、金属の表面加工を開始しました。1979年にツインバード工業へ商号を変更し、1996年には新潟証券取引所に株式を上場しました(2000年に東京証券取引所市場第二部へ上場)。2022年に現在のツインバードへと商号を変更し、付加価値の高い家電製品の開発を進めています。
従業員数は単体で256名です。筆頭株主は創業者一族の資産管理会社である双栄で、第2位と第3位にはそれぞれ資産管理業務を行う信託銀行と従業員持株会が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 双栄 | 13.38% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 3.92% |
| ツインバード従業員持株会 | 2.71% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は野水重明氏が務めています。社外取締役比率は45.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 野水重明 | 取締役社長(代表取締役) | 1989年同社入社。海外営業部部長、営業本部副本部長、専務取締役経営企画室室長などを歴任。2009年双栄代表取締役。2011年6月より現職。 |
| 佐藤勉 | 専務取締役生産本部本部長兼品質改革本部本部長 | 1979年同社入社。生産管理部部長などを経て、2017年専務取締役開発生産本部本部長に就任。2023年3月より現職。 |
| 河村吉章 | 常務取締役開発本部本部長 | Toshiba Consumer Products Thailand社長等を経て、2019年同社入社。執行役員開発本部本部長などを経て、2024年5月より現職。 |
| 浅見孝幸 | 常務取締役営業本部本部長兼東京支社支社長 | ソニー退職後、2019年同社入社。執行役員マーケティング本部本部長兼東京支社支社長などを経て、2025年5月より現職。 |
| 渡邉桂三 | 取締役企画管理本部本部長 | 日本精機退職後、2021年同社入社し執行役員管理本部本部長に就任。執行役員企画管理本部本部長を経て、2023年5月より現職。 |
| 渡邉英一 | 取締役開発本部副本部長 | 1990年同社入社。執行役員開発本部副本部長、執行役員品質改革本部本部長などを経て、2025年5月より現職。 |
社外取締役は、田中通泰(元亀田製菓社長)、高橋泰行(ピエトロ社長)、加藤善孝(元優成監査法人会長)、大田陸介(弁護士)、小村隆(弁護士)です。
2. 事業内容
同社は、「家電製品事業」および「FPSC事業」を展開しています。
■家電製品事業
同社は、照明器具、調理家電、クリーナー、生活家電、冷蔵庫、洗濯機、AV機器、健康理美容機器などの企画・開発・製造を行っています。高付加価値型の「匠プレミアム」シリーズや業務用小型冷蔵庫などを展開し、一般消費者やホテル、医療機関などを主な顧客としています。
収益は、家電量販店やECサイト、美容室、住宅設備ルートなどの販売先からの製品販売代金として得ています。運営は主に同社が行い、企画開発からアフターサービスまでの一貫したバリューチェーンを構築しています。
■FPSC事業
FPSC(フリー・ピストン・スターリング・クーラー)技術を用いた新冷却技術製品およびその応用製品であるFPSC冷凍冷蔵庫の開発・製造を行っています。「医薬・バイオ」「化学・エネルギー」「計測・環境」「食品・流通」分野をターゲットとしています。
収益は、バイオ医薬品の搬送・保管用フリーザーボックスなどの製品販売代金や、従来の冷凍機のOEM供給による対価として得ています。運営は同社が行っており、国内外の企業向けに提案活動を進めています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績推移を見ると、当期利益は直近2期間で連続して赤字となっています。特に直近の当期利益は大幅なマイナスを計上しており、収益性の改善が急務となっています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 129億円 | 109億円 | - | - | - |
| 経常利益 | 6億円 | 1億円 | - | - | - |
| 利益率(%) | 4.7% | 1.3% | - | - | - |
| 当期利益 | 4億円 | 1億円 | 1億円 | -1億円 | -12億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期から減少しており、それに伴い売上総利益も縮小しています。営業利益は前期から大幅に悪化し、赤字に転落しています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 101億円 | 90億円 |
| 売上総利益 | 30億円 | 21億円 |
| 売上総利益率(%) | 29.7% | 23.3% |
| 営業利益 | - | -9億円 |
| 営業利益率(%) | - | -10.0% |
■(3) セグメント収益
セグメント別の売上を見ると、主力の家電製品事業は冷蔵庫・洗濯機市場の競争激化等により前期から減収となっています。また、FPSC事業においても、主要取引先での在庫見直しの影響により売上が減少しています。全体として厳しい販売状況がうかがえます。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 家電製品事業 | 96億円 | 86億円 |
| FPSC事業 | 4億円 | 4億円 |
| 合計 | 101億円 | 90億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、経営理念として「感動と快適さを提供する商品の開発」「相互信頼を通じた豊かな関係づくり」「快活な職場づくりへの参画と社会の発展への寄与」「自己の成長と豊かな生活の実現」を掲げています。また、長期ビジョン「VISION2030」において、「『お客様満足№1』のその先へ ~燕三条発のイノベーションで、世界中の人々に持続可能な幸せを提供するブランドになる~」という将来のポジションを目指し、ステークホルダーの期待に応え続ける企業活動を推進しています。
■(2) 企業文化
同社は、新潟県燕三条地域の協力企業をはじめとする豊かな経営資源を活かし、取引先企業と共創の精神をもって新たな付加価値を生み出すことを重視しています。商品開発型企業として、企画・開発からアフターサービスまでの一貫したバリューチェーンを有しており、地域特性を活かしながらグローバルな視点で社会課題の解決に取り組む文化が根付いています。多様な人材がそれぞれの能力を最大限発揮し、働きがいを高めていく組織風土の醸成にも力を入れています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、持続的な企業価値の向上と株主還元の強化を目指しています。
* 配当政策においてはDOE(株主資本配当率)1.5%以上の水準を安定的に確保
* 環境目標として使用エネルギーの削減(例年比5%減)、廃棄物の削減(例年比5%減)、紙使用量削減(例年比5%減)
* リサイクル推進として解体分別徹底(リサイクル率例年比3%増)
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、収益性重視の事業構造への転換を図るため、抜本的な構造改革を実行しています。
* 事業ポートフォリオの見直し(業務用やFPSC事業への重点配分、家庭用冷蔵庫・洗濯機事業の縮小)
* 新基幹システムやAIの活用を通じた社員一人当たりの付加価値および生産性の向上
* 組織・人員配置の最適化や物流費削減によるローコストオペレーションの徹底
* 医薬バイオ分野向けFPSC製品や自社ECストア基盤拡充への投資
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、持続的な企業価値の向上のため、社員一人ひとりの働きがい(働きやすさ×やりがい)を高めることを人事の基本理念としています。「お客様満足No.1を実現する感動メーカー」という人材ビジョンのもと、「目指す道を、後押しする」という人事ポリシーを掲げています。多様な価値観を尊重し、教育制度「TWINBIRDアカデミー」の運用や女性管理職の登用、障がい者雇用、グローバル人材の登用によるダイバーシティの進展を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 48.4歳 | 23.1年 | 5,438,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 79.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 84.3% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 52.0% |
また、同社は「指標及び目標」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得日数(9.0日)、研修受講時間(10.0時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 為替相場の変動について
同社は海外の製造委託先から製品や部材を輸入しており、外貨建てでの決済を行っているため為替変動リスクに晒されています。為替相場が急激に変動し、輸入コストが想定以上に上昇した場合、同社の業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 新製品開発におけるリスクについて
同社は新製品の開発に注力していますが、市場から支持される新製品や新技術を正確に予測し成功させることができるとは限りません。開発した製品の販売が成功しなかった場合、将来の成長や収益性が低下し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 製造委託先からの調達に関するリスク
競争力を維持するためには、製造委託先から高品質な製品や部材を適時に調達することが不可欠です。製造委託先での人件費高騰等により調達価格が上昇した場合や、安定した供給が滞った場合、同社の業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 販売価格の下落について
同社の主要な販売先である家電量販店やECサイトでは熾烈な価格競争が展開されています。今後もさらなる販売価格の下落が継続した場合、収益性の確保が困難となり、同社の業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。



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