※本記事は、株式会社グラファイトデザイン の有価証券報告書(第36期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. グラファイトデザインってどんな会社?
ゴルフシャフト製造販売を主力とし、プロゴルファーからも支持される「Tour AD」ブランド等を展開するスポーツ用品メーカーです。
■(1) 会社概要
1989年に設立され、1990年に埼玉県秩父市に工場を竣工しました。1999年にはゴルフクラブ組立事業を開始し、2001年に店頭市場(現スタンダード市場)へ上場を果たしました。2002年には自社ブランドゴルフシャフトの製造販売を開始し、OEM供給と自社ブランドの両輪で事業を拡大しています。
単体従業員数は128名です。筆頭株主は代表取締役社長の山田拓郎氏で、第2位は同社の主要仕入先でもある繊維大手の東レです。第3位は法人株主のTNNアドバイザーズとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山田拓郎 | 14.54% |
| 東レ | 5.55% |
| TNNアドバイザーズ | 5.35% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名、計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は山田拓郎氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山田拓郎 | 取締役社長(代表取締役)営業本部管掌 | 2002年同社入社。国際事業部長、海外子会社社長等を経て2012年社長就任。2024年5月より現職。 |
| 木本裕二 | 取締役副社長(代表取締役)企画本部 本部長 | 1989年同社入社。営業畑を歩み、営業本部長、企画部長等を歴任。2022年4月より現職。 |
| 松田喜良 | 専務取締役開発部 部長 | 1991年同社入社。開発部長、製造部長等を歴任し、2010年社長就任。2016年より現職。 |
| 窪田悟 | 常務取締役管理部担当 | 1997年同社入社。経理・管理部門を統括し、内部監査・内部統制室長等を兼務。2023年4月より現職。 |
| 松本敬三 | 取締役製造部担当・品質管理室兼基礎研究室室長 | 本田技術研究所を経て2012年同社入社。生産技術部長、品質管理室長等を歴任。2023年4月より現職。 |
社外取締役は、和田壮司(公認会計士・税理士)、徳山秀明(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ゴルフシャフト製造販売」「ゴルフクラブ組立加工」および「その他」事業を展開しています。
■(1) ゴルフシャフト製造販売
日本および米国のゴルフクラブメーカーや代理店向けに、カーボン製ゴルフシャフトの製造販売を行っています。素材特性を活かした高付加価値製品に特化し、「デザインイン」の手法でメーカーの企画段階から提案を行うほか、小売店を通じた交換用シャフトの販売も行っています。
収益は、ゴルフクラブメーカーや代理店、小売店等への製品販売による代金です。運営は同社が行っています。
■(2) ゴルフクラブ組立加工
ゴルフクラブメーカーからの委託を受け、ゴルフクラブの組立加工を行っています。メーカーとの関係強化に加え、自社ブランドシャフトの動向調査としての役割も担っており、特注製品加工の受託に特化しています。
収益は、委託元であるゴルフクラブメーカー等からの加工賃収入等です。運営は同社が行っています。
■(3) その他
報告セグメントに含まれない事業として、ゴルフシャフト製造で培った技術を応用した製品開発等を行っています。具体的には、カーリングブラシ用ハンドルやスポーツタイプ市販車用のオプションパーツなどを手掛けています。
収益は、各製品の販売代金等です。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の業績を見ると、売上高は26億円から36億円の間で推移しています。2023年2月期に売上・利益ともに高い水準を記録した後、2024年2月期に一時落ち込みましたが、直近の2025年2月期では売上高31億円、経常利益5.6億円と回復傾向にあり、利益率は18%を超える高収益体質を示しています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 26億円 | 33億円 | 36億円 | 27億円 | 31億円 |
| 経常利益 | 2.0億円 | 7.6億円 | 9.0億円 | 2.4億円 | 5.6億円 |
| 利益率(%) | 7.5% | 22.7% | 25.2% | 8.9% | 18.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.3億円 | 5.2億円 | 6.1億円 | 1.8億円 | 3.8億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は前期比で約16%増加し、31億円となりました。利益面では、売上総利益率が52%から57%へと大きく改善したことに加え、販管費の抑制も寄与し、営業利益は前期の1.5億円から5.3億円へと大幅に伸長しています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 27億円 | 31億円 |
| 売上総利益 | 14億円 | 18億円 |
| 売上総利益率(%) | 52.3% | 57.2% |
| 営業利益 | 1.5億円 | 5.3億円 |
| 営業利益率(%) | 5.7% | 17.4% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が2.4億円(構成比20%)、給料及び手当が2.3億円(同19%)を占めています。売上原価においては、材料費が5.1億円(売上原価比39%)、労務費が4.9億円(同37%)となっており、製造コストの中で材料費と労務費が大きな割合を占めています。
■(3) セグメント収益
部門別に見ると、主力のゴルフシャフト製造販売が売上高の大半を占めており、前期比で約18%増加して全体の成長を牽引しました。一方、その他部門は減少しましたが、全体への影響は軽微です。なお、同社は単一セグメントのため、利益情報は部門別には開示されていません。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| ゴルフシャフト製造販売 | 24億円 | 29億円 |
| ゴルフクラブ組立加工 | 1.6億円 | 1.7億円 |
| その他 | 0.7億円 | 0.6億円 |
| 連結(合計) | 27億円 | 31億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は営業活動で得た資金に加え、財務活動でも資金調達を行い、それらを投資活動に充当する「積極型」のキャッシュ・フロー状態にあります。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.4億円 | 6.6億円 |
| 投資CF | -1.0億円 | -4.5億円 |
| 財務CF | -3.8億円 | 1.4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.6%で市場平均(スタンダード市場 7.2%)を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は74.3%で市場平均(同製造業 57.5%)を大きく上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「世界の人々を笑顔にする “もの創り”」を企業理念として掲げています。この理念には、「開拓精神」「貢献」「笑顔」を最も大切なテーマとし、製品を通じて人々を笑顔にするという意味が込められています。また、価値ある製品の提供、開拓精神によるチャレンジ、創造力豊かな人材の育成、持続可能な活動による社会貢献を経営理念として定めています。
■(2) 企業文化
同社は「開拓精神」「貢献」「笑顔」を重視する文化を持っています。もの創りを通して創造力豊かな人材を育て、常にチャレンジし続ける姿勢を大切にしています。また、性別・国籍・年齢・働き方・キャリアなど多様な背景を持つ人材を尊重し、組織としての機能強化を進めることで、企業競争力につなげていくことを重要視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、売上・利益の成長、生産体制の改善等に取り組みながら収益力の強化を図り、経営指標目標として「営業利益率」の成長を掲げています。具体的な数値目標としては、各年度の業績予想の達成を目指しており、直近では営業利益率17.4%を達成するなど、収益性の向上に注力しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、主力のゴルフシャフト事業においてブランド価値の向上と安定的な利益創出を目指しています。具体的には、生産体制の効率化による収益力強化、米国ツアー選手へのサポート強化によるブランド露出向上、アフターマーケットへの拡販、アイアン用シャフト市場でのシェア拡大等を推進しています。また、第2の柱としてCFRP技術を応用した多角化事業の育成も進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、女性・外国人・障がい者・再雇用者など多様な人材の確保に努めるとともに、安全な職場環境の整備や研修制度の充実に注力しています。人材が技能を蓄積し伝承していくため、定着率の向上と個人の成長を重視し、福利厚生の整備やワークライフバランスの実現、健康経営の推進など、働きやすい環境づくりを目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 42.3歳 | 13.6年 | 5,266,442円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 61.7% |
| 男女賃金差異(正規) | 65.3% |
| 男女賃金差異(非正規) | 32.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、健康診断受診率(100.0%)、ストレスチェック受検率(100.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料価格の変動と供給リスク
同社製品の主要素材である炭素繊維は、航空機用途などの需要増により品薄や価格上昇が生じる可能性があります。原材料価格の高騰や供給不安が発生した場合、生産活動やコストに影響を与え、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 海外生産委託に伴うカントリーリスク
米国市場向け製品の生産委託先は中国にあります。そのため、中国元の為替変動や現地の労務費上昇などが生じた場合、製造コストが増加し、同社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 特定販売先への依存
同社は日本および米国のゴルフクラブメーカー・代理店を主要な販売先としており、特定の販売先に対する売上依存度が高くなっています。販売先の戦略変更や競合製品への切り替え等が起きた場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
■(4) 競合環境の激化
ゴルフ市場において、クラブメーカー間およびシャフトメーカー間の競争は激しい状況にあります。市場ニーズへの対応遅れや、競合他社との競争において優位性を維持できなかった場合、販売シェアの低下などを招き、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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