#記事タイトル:「property technologies転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」
※本記事は、株式会社property technologies の有価証券報告書(第6期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. property technologiesってどんな会社?
中古マンションの買取再販を行う「リアル」と、AI価格査定等の「テクノロジー」を融合した事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
2000年に株式会社ホームネットとして設立され、2010年に中古住宅再生事業を開始しました。2020年に持株会社体制へ移行し、2021年にはiBuyerプラットフォーム『KAITRY』をリリースしました。2022年12月に東証グロース市場へ上場を果たし、リアルとテックを融合した事業拡大を進めています。
同グループは連結従業員340名、単体28名の体制で運営されています。筆頭株主は代表取締役である濱中雄大氏の資産管理会社である株式会社グランドールキャピタルで、第2位は創業者の濱中雄大氏本人です。経営陣が株式の過半数を保有するオーナー経営の体制をとっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| グランドールキャピタル | 36.26% |
| 濱中 雄大 | 31.77% |
| 由岐 洋輔 | 0.85% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は濱中雄大氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 濱中 雄大 | 取締役社長(代表取締役)社長執行役員 | 1988年レオパレス21入社。2000年ホームネット設立、代表取締役社長。2020年同社設立、代表取締役社長。2024年より現職。 |
| 岩尾 英志 | 専務取締役専務執行役員グループ戦略本部長 | 1988年富士銀行(現みずほ銀行)入行。リロケーション・ジャパン代表取締役などを経て、2018年ホームネット専務取締役。2024年より現職。 |
| 松岡 耕平 | 取締役執行役員コーポレート本部長 | 1992年富士銀行(現みずほ銀行)入行。みずほキャピタル入社を経て、2020年同社取締役管理本部長。2024年より現職。 |
社外取締役は、髙橋理人(元楽天株式会社常務執行役員)、志賀秀啓(元ヒューリック株式会社代表取締役副社長)、江川敏郎(元株式会社みずほ銀行常務執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「KAITRY事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 中古住宅再生
株式会社ホームネットが運営し、全国の主要都市で中古区分所有マンションを仕入れ、リノベーションを施した上で販売しています。主なターゲットは30〜40歳代のファミリー層です。AI査定を活用して仲介会社から物件情報を収集するほか、ポータルサイト『KAITRY』を通じて一般顧客から直接買い取るiBuyer機能も提供しています。
収益は、リノベーション済みマンションの販売代金が主な源泉です。運営は主に株式会社ホームネットが行っています。また、独自開発した物件管理システムやAI査定ツールを仲介会社や金融機関向けに提供し、業務支援を行うSaaSビジネスも展開しており、システム利用料等も収益の一部となっています。
■(2) 戸建住宅
秋田県と山口県において、地元に根ざした施工会社として新築戸建住宅の請負事業を展開しています。顧客の要望に応じた注文住宅の建築を得意としており、これまでに累計約6,100棟の引渡し実績があります。地域の住宅事情に合わせた供給を行っています。
収益は、顧客からの工事請負代金が主な源泉です。運営は秋田県では株式会社サンコーホーム、山口県では株式会社ファーストホームが行っています。各地域でモデルハウスやショールームを展開し、顧客獲得を図っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は順調に拡大傾向にあり、特に直近では500億円を突破しました。利益面でも、経常利益は変動があるものの、当期は前期比で大幅な増益を達成しており、高い成長性を示しています。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 295億円 | 388億円 | 370億円 | 416億円 | 509億円 |
| 経常利益 | 16億円 | 22億円 | 11億円 | 10億円 | 17億円 |
| 利益率(%) | 5.4% | 5.7% | 2.9% | 2.4% | 3.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.1億円 | 0.2億円 | 0.2億円 | 3.3億円 | 2.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、売上総利益率は一定水準を維持しています。営業利益率は前期から改善しており、増収効果が利益増に寄与していることが読み取れます。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 416億円 | 509億円 |
| 売上総利益 | 66億円 | 76億円 |
| 売上総利益率(%) | 16.0% | 15.0% |
| 営業利益 | 14億円 | 20億円 |
| 営業利益率(%) | 3.3% | 4.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が12億円(構成比21%)、販売手数料が11億円(同19%)を占めています。
■(3) セグメント収益
中古住宅再生事業が売上の大半を占めており、当期も大幅な増収となりました。戸建住宅事業は微減となりましたが、その他事業が大きく伸長しています。
| 区分 | 売上(2024年11月期) | 売上(2025年11月期) |
|---|---|---|
| 中古住宅再生 | 332億円 | 396億円 |
| 戸建住宅 | 74億円 | 74億円 |
| その他 | 9億円 | 38億円 |
| 連結(合計) | 416億円 | 509億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業の営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスですが、財務活動による資金調達で投資や事業拡大を支えている「勝負型」の状況です。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -30億円 | -9億円 |
| 投資CF | -0.6億円 | -2億円 |
| 財務CF | 22億円 | 11億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は19.3%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「誰もが」「いつでも」「何度でも」「気軽に」住み替えることができる未来を創造することを目指しています。住宅を一生に一度の買い物ではなく、ライフスタイルの変化に応じて柔軟に変えられる存在にすることで、人々の可能性を広げ、豊かな社会の構築に貢献することを掲げています。
■(2) 企業文化
「リアル(住まい)×テクノロジー」を重視しています。不動産取引の実態(リアル)に精通した実績と、最新のテクノロジーを掛け合わせることで、高度なサービス提供を目指します。リアルとテクノロジーの役割分担と連携を高度化し、顧客にとって身近な不動産取引を実現する姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画では「仕組みを磨き込み理想実現の基盤を築く」をテーマとしています。経営目標の達成状況を判断する指標として、以下の数値を重視しています。
* 売上高
* EBITDA(広告宣伝費を除く)
* プラットフォーム『KAITRY』における価格査定数
* 物件仕入額・販売額
* 取引不動産仲介会社営業員数
■(4) 成長戦略と重点施策
「情報量拡大を通じた仕入の質的向上」「販売の質的向上」「コアコンピタンスの強化」を成長戦略の柱としています。AI査定の精度向上やSaaSサービスの展開により不動産情報の獲得を強化し、仲介会社ネットワークの拡大とエンド顧客からの直接仕入(iBuyer)を推進します。
* ポータルサイト『KAITRY』の認知度向上と利用促進
* 取引仲介会社・拠点数の拡大
* SaaSサービス(HOMENET Pro等)による仕入情報の流入増
* データサイエンスを駆使した販売最適化と在庫管理
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
優秀な人材の継続的な確保と育成を重要課題としています。社内教育制度の拡充により社員のスキル習得を支援し、個人のレベルアップを図るとともに、事業拡大に伴う組織体制の整備に向けて管理職層の育成を強化しています。多様な人材が活躍できる企業文化の醸成にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月期 | 36.1歳 | 2.5年 | 6,247,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 27.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 60.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期) | - |
※労働者の男女の賃金の差異について、該当者が存在しない区分は「-」としています。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(38.2%)、有給取得率(64.8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 不動産市況等の変動
景気、金利、地価などの変動が顧客の購買意欲に影響を与え、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対し、全国への拠点展開や仲介ネットワークの拡大、エンド顧客との直接取引などを通じて情報量を増やし、仕入・販売経路や顧客層を多様化することで、市況変動の影響を軽減するよう努めています。
■(2) 競合および価格競争
首都圏や地方主要都市での中古住宅販売において、競合他社の参入により仕入・販売の減少や価格競争が生じる可能性があります。また、戸建住宅事業でも大手企業の進出により競争が激化する恐れがあります。商品力の強化やアフターサービスの充実、市場動向のモニタリングを通じて競争優位性の確保を図っています。
■(3) 棚卸資産の長期在庫化
不動産市況の悪化等により物件販売が滞り、在庫期間が長期化するリスクがあります。長期在庫は評価損の計上や資金繰りの悪化につながる可能性があります。AIによる市場分析や仕入の厳選、販売状況の定期的なモニタリングを行い、適正な在庫水準の維持と早期販売に努めています。
■(4) AI・技術革新への対応
AIやDX関連技術の進化は速く、対応が遅れるとサービスの競争力が低下する可能性があります。DX認定事業者としての認定を受けていますが、競合との差別化や新技術への適応が課題です。外部ネットワークや産学連携を通じて最新技術の導入を進め、技術革新に対応しています。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。