※本記事は、エコートレーディング株式会社 の有価証券報告書(第54期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. エコートレーディングってどんな会社?
ペットフード・用品の卸売事業を中核に、商品開発や教育、店舗開発なども手掛けるペット関連の専門商社です。
■(1) 会社概要
1971年に大阪市でエコー販売として設立され、愛玩動物用飼料等の販売を開始しました。1992年に現在のエコートレーディングへ社名変更し、1995年に大阪証券取引所市場第二部へ上場しました。その後、2000年にエコーペットビジネス総合学院を開校し教育事業へ参入、同年にペッツバリューを設立しました。2005年には東証・大証の一部へ指定替えを果たし、2013年には国分(現 国分グループ本社)と資本業務提携を行っています。
現在の従業員数は連結312名、単体278名です。筆頭株主は酒類・食品卸売大手の国分グループ本社で、第2位は個人株主の高橋一彦氏、第3位は取引先持株会のエコートレーディング共栄会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 国分グループ本社 | 18.31% |
| 高橋 一彦 | 6.30% |
| エコートレーディング共栄会 | 5.34% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は豊田実氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 豊田 実 | 代表取締役社長 | 日清製粉プレミックス入社を経て、2015年同社入社。経営改革本部長、副社長を経て2016年より現職。 |
| 梅澤 広次 | 常務取締役営業本部長 | 1994年同社入社。常務執行役員営業本部長兼支店統括部長を経て2025年3月より現職。 |
| 小野 善治 | 取締役常務執行役員経営戦略室長兼経理・システム本部長兼財務部長 | 2003年同社入社。執行役員経営戦略室長、常務執行役員経理財務本部長等を経て2025年3月より現職。 |
| 加藤 幸久 | 取締役常務執行役員人事総務本部長兼教育事業部長兼エコーペットビジネス総合学院学院長 | 1999年同社入社。執行役員人事総務本部長、常務執行役員等を経て2023年5月より現職。 |
| 平藤 丈征 | 取締役(監査等委員)(常勤) | 株式会社スギ薬局を経て2005年同社入社。取締役物流・システム本部長、経営改革本部長等を経て2018年5月より現職。 |
社外取締役は、品田文隆(国分グループ本社取締役常務執行役員)、古西豊(公認会計士・税理士)、古川幸伯(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ペット関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) ペットフード・ペット用品の卸売事業等
ペットフードやペット用品の卸売を中核とし、トリマーや動物看護師を育成するペット関連教育事業も展開しています。卸売では、メーカーが開発した商品に付加価値を付け、小売業者等へ販売・提案を行っています。
収益は、ホームセンターやスーパー、ペットショップ等の小売業者への商品販売による対価が中心です。教育事業では学生からの授業料等が収益源となります。運営は主にエコートレーディングが行っています。
■(2) 商品開発・店舗開発および関連事業
ペットフード・用品の商品開発やペットショップの店舗開発、販売促進ツールの企画・製作、ペット総合情報サイトの運営を行っています。独自商品の開発や、小売店の売場作り支援などを通じて付加価値を提供しています。
収益は、開発商品の販売収入や店舗開発に係る収入、販促ツールの製作費などが主な源泉です。運営は、商品・店舗開発を担うペッツバリュー、販促企画を行うI&I、情報サイト運営を行うペットペット等の子会社がそれぞれ担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年2月期から2024年2月期にかけて売上高は増加傾向にありましたが、直近の2025年2月期は微減となりました。利益面では、2024年2月期まで経常利益等が大きく伸長してきましたが、直近は減益となっています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 857億円 | 919億円 | 970億円 | 1074億円 | 1064億円 |
| 経常利益 | 3.1億円 | 4.8億円 | 9.0億円 | 17.5億円 | 13.7億円 |
| 利益率(%) | 0.4% | 0.5% | 0.9% | 1.6% | 1.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.7億円 | 2.0億円 | 5.1億円 | 11.0億円 | 8.5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比微減、売上総利益も減少しました。営業利益は前期の17億円から14億円へと減少しています。売上総利益率は約11%台で推移しており、卸売業としての薄利多売の構造が見て取れます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1074億円 | 1064億円 |
| 売上総利益 | 124億円 | 120億円 |
| 売上総利益率(%) | 11.6% | 11.3% |
| 営業利益 | 17億円 | 14億円 |
| 営業利益率(%) | 1.6% | 1.3% |
販売費及び一般管理費のうち、荷造運搬費が53億円(構成比49%)、給料手当が24億円(同23%)を占めています。物流コストと人件費が販管費の大きな割合を占める構造です。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、製品カテゴリー別の売上状況を見ると、主力のキャットフードは増収となった一方、ドッグフードや用品関連は微減または減少傾向にあります。特に用品類の減少が目立ちます。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| ドッグフード | 150億円 | 148億円 |
| キャットフード | 334億円 | 343億円 |
| スナックフード | 301億円 | 298億円 |
| 鳥・小動物・観賞魚等フード | 34億円 | 29億円 |
| 犬・猫用品 | 218億円 | 216億円 |
| その他用品 | 34億円 | 25億円 |
| その他 | 4億円 | 4億円 |
| 連結(合計) | 1074億円 | 1064億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
エコートレーディングは、事業運営に必要な流動性と資金源泉の安定確保を基本方針としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金の流れを示しており、同社の本業の収益力を反映しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却など、将来の事業基盤強化に向けた資金の動きを表しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払いなど、資金調達や返済に関する動きを示しています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 12.0億円 | -0.5億円 |
| 投資CF | -0.6億円 | 3.8億円 |
| 財務CF | -7.6億円 | -1.8億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「ペットを通じて人に安らぎを与え、豊かでゆとりのある生活環境作りをサポートすることにより社会貢献する」ことを経営の基本方針としています。ペット産業全体を事業ドメインとし、ペット業界の活性化、発展、健全な成長に貢献していく方針を掲げています。
■(2) 企業文化
「人とペットの真の共生」の実現を目指し、顧客満足度の向上を追求する姿勢を重視しています。新ビジョン「I3☆55」に基づき、「CED(Communication、Education/Entertainment、Design)」をコンセプトとした事業展開を推進し、マーケティング・デザイン・カンパニーとしての役割を果たすことを目指しています。
■(3) 経営計画・目標
2027年2月期から始まる次期中長期経営計画の達成に向け、「基本の徹底、そして成長へ」をスローガンとする基本戦略を推進しています。卸売事業を核として、ペットフード・用品およびサービスのリーディングカンパニーを目指し、売上高営業利益率の永続的成長を目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
「CED」コンセプトに基づき、デジタル化社会に対応した事業展開を推進しています。卸売事業では、メーカー商品に価値を付加した提案力の強化やローコストオペレーションの徹底を図っています。また、子会社を通じてオリジナル商品の開発や販売促進、店舗開発のサービスレベル向上にも注力し、差別化を図る方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「個人の多様な強みを伸ばし、チームで活かし合うことでイノベーションを起こし、社会課題の解決に資する自走できる人材集団」を目指す姿としています。自律的なキャリア形成を支援するため、社内FA制度やキャリアコース転換制度、社内公募制度などを整備し、従業員の挑戦を促しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 42.0歳 | 12.8年 | 5,597,785円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.7% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 48.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 75.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 64.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員の割合(34.3%)、研修時間(延べ研修時間合計)(492時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 災害リスクと物流網への影響
全国に事業所・物流センターを展開しているため、大規模地震等の自然災害によりライフラインや交通網が寸断された場合、物流やサービス提供に支障が生じる可能性があります。また、システム障害による業務遅延のリスクもあり、これらが長期化すれば業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) ペットフードの安全性と消費者の信頼
売上高の過半を占めるペットフードにおいて、BSEや鳥インフルエンザなどの食の安全性に関わる問題が発生し、生産・流通に支障が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。消費者の安心・安全への要求が高まる中、賞味期限管理等の在庫管理を徹底しリスク低減を図っています。
■(3) 取引条件の変更と競争環境
ペットフード・用品の卸売事業が売上の大半を占めるため、取引先の経営環境変化や営業政策変更による販売価格引き下げ、仕入価格上昇、帳合先変更などが想定以上に進行した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。提案力強化や高付加価値商品の開発で対応を進めています。



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