※本記事は、エコートレーディング株式会社の有価証券報告書(第55期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. エコートレーディングってどんな会社?
同社はペット関連商品の卸売事業を中核に、商品開発やサービス分野でも幅広く事業を展開しています。
■(1) 会社概要
1971年にエコー販売として設立され、愛玩動物や家禽養魚飼料等の販売を開始しました。1992年に現社名のエコートレーディングに変更しています。1995年に大阪証券取引所市場第二部へ株式を上場し、2005年には東京証券取引所市場第一部へ指定されました。その後、スタンダード市場へ移行しています。
現在の従業員数は連結で300名、単体で263名となっています。筆頭株主は資本業務提携先である国分グループ本社で、第2位は個人株主の高橋一彦氏、第3位には取引先等で構成されるエコートレーディング共栄会が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 国分グループ本社 | 18.20% |
| 高橋 一彦 | 6.26% |
| エコートレーディング共栄会 | 5.63% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は豊田実氏が務めており、社外取締役比率は37.5%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 豊田 実 | 代表取締役社長 | 日清製粉プレミックスを経て同社に入社。経営改革本部長、取締役副社長を経て代表取締役社長に就任。関係会社の代表も歴任し、ペッツバリュー取締役会長などより現職。 |
| 梅澤 広次 | 常務取締役営業本部長 | 同社入社後、常務執行役員営業本部長などを経て取締役に就任。ペッツバリュー代表取締役社長などを務め、常務取締役営業本部長より現職。 |
| 小野 善治 | 取締役常務執行役員経営戦略室長兼経理・システム本部長兼財務部長 | 司法書士・行政書士事務所を経て同社に入社。経理財務部長や経営戦略室長を歴任。執行役員を経て取締役に就任し、現在の役職より現職。 |
| 加藤 幸久 | 取締役常務執行役員人事総務本部長兼教育事業部長 | 同社入社後、教育事業部長やエコーペットビジネス総合学院長などを経て執行役員に就任。人事総務本部長などを歴任し、現在の役職より現職。 |
| 平藤 丈征 | 取締役(監査等委員)(常勤) | スギ薬局を経て同社に入社。上席執行役員物流・システム本部長、取締役経営改革本部長、ペッツバリュー代表取締役社長などを務め、取締役(監査等委員)より現職。 |
社外取締役は、品田文隆(国分グループ本社執行役員等)、古西豊(公認会計士・税理士)、古川幸伯(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、ペット関連事業の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) ペットフード・用品卸売および教育事業
ペットフードやペット用品の卸売を中核としており、全国の小売業などの取引先に対して幅広い商品を供給しています。あわせて、ペット関連の教育事業やイベントの企画運営なども手がけています。
卸売による販売益が主な収益源です。メーカーが開発した商品の価値を市場へ届ける提案活動を行っています。運営は主にエコートレーディングが担当しています。
■(2) 商品開発および店舗開発事業
生活者のニーズを捉えたペットフードやペット用品のオリジナル商品の企画・開発を行っています。また、専門店などでの体験価値を向上させるペットショップの店舗開発事業も展開しています。
自社開発商品の販売益や店舗開発にかかわる収益が基盤となります。運営は主にペッツバリューとI&Iが担っており、販売促進ツールの企画や製作も行っています。
■(3) ペット総合情報サイト運営事業
ペットに関する総合情報を提供するポータルサイトの運営を手がけています。ペットとの生活の素晴らしさや健康への効用を啓発し、ペットと暮らす環境の整備を目指す情報発信を行っています。
サイトの運営を通じた広告収入や関連サービスからの収益が基本となります。本事業の運営は主にペットペットが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は成長傾向にありましたが、直近の2期は横ばいから微減となっています。経常利益も売上拡大に伴い増加しましたが、物価高騰による消費者の節約志向やコスト上昇などの環境変化を受け、直近は利益率とともに減少傾向にあります。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 919億円 | 970億円 | 1074億円 | 1064億円 | 1058億円 |
| 経常利益 | 5億円 | 9億円 | 17億円 | 14億円 | 11億円 |
| 利益率(%) | 0.5% | 0.9% | 1.6% | 1.3% | 1.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2億円 | 5億円 | 11億円 | 9億円 | 6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で微減となっており、それに伴い売上総利益も減少しています。また、人的資本経営の一環としての投資やインフラ構築などの費用が発生したため、営業利益も減少する結果となりました。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1064億円 | 1058億円 |
| 売上総利益 | 120億円 | 118億円 |
| 売上総利益率(%) | 11.3% | 11.1% |
| 営業利益 | 14億円 | 11億円 |
| 営業利益率(%) | 1.3% | 1.0% |
販売費及び一般管理費のうち、荷造運搬費が52億円(構成比49%)、報酬及び給料手当が22億円(同21%)を占めています。また、売上原価は940億円で、売上高に対する構成比は89%となっています。
■(3) セグメント収益
同社グループは「ペット関連事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の収益記載はありません。全体として、価格改定の効果が一巡したことや一部の得意先での取引内容変更により、売上は微減となりました。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| ペット関連事業 | 1064億円 | 1058億円 |
| 連結(合計) | 1064億円 | 1058億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローはプラス、投資活動によるキャッシュ・フローと財務活動によるキャッシュ・フローはいずれもマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い投資も手元資金で賄う「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.5億円 | 40億円 |
| 投資CF | 4億円 | -1億円 |
| 財務CF | -2億円 | -18億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.6%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は31.3%となっており、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「ペットを通じて人に安らぎを与え、豊かでゆとりのある生活環境作りをサポートすることにより社会貢献する」ことを経営の基本方針としています。全ての人とペットが幸せに暮らせる社会を目指す「人とペットの真の共生」を企業理念に掲げ、ペット産業全体をドメインとした事業展開を図っています。
■(2) 企業文化
同社は、従業員個人の成長が企業の発展につながるとの認識に基づき、多様な価値観を認め合う組織風土の醸成に取り組んでいます。「個人の多様な強みを伸ばし、チームで活かし合うことでイノベーションを起こし、社会課題の解決に資する自走できる人材集団」を理想とし、主体的なチャレンジを促す文化を重んじています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、卸売事業を核としたペット関連のリーディングカンパニーとなることを目指しています。『世界一のペットカテゴリー企画会社を目指して』をコンセプトに掲げ、得意先や仕入先、生活者からの信頼向上を図るとともに、コスト削減や業務効率化を推進することで、売上高営業利益率の永続的成長を目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
次期中期経営計画では「挑戦、さらなる成長へ」などのスローガンを掲げ、事業ポートフォリオの抜本的な見直しを実行します。従来の「CED」コンセプトにデータ活用を統合した独自性の追求を図るほか、生成AIを用いた戦略提案による収益改善、ペットに関する社会課題の解決を通じた市場の持続的成長の牽引を重点施策として推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「自立・自律」「挑戦」「変革」をキーワードに、圧倒的なオーナーシップを持つ人材の育成を推進しています。個人のキャリアプランに応じた社内FA制度や社内公募制度を導入し、多様な強みを発揮できる環境を提供しています。また、多様性を尊重し、誰もが働きやすい職場を目指したダイバーシティ推進にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 42.0歳 | 12.7年 | 5,585,005円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 9.1% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 45.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 78.8% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | 67.1% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員の割合(27.8%)、研修時間(504時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ペットフードの安全性と品質問題
同社の売上高の過半を占めるペットフードにおいて、食の安全性に関する問題から消費者の要求が高まっています。感染症や品質問題などにより生産・流通に支障が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。対策として、賞味期限をはじめとする在庫管理を徹底しています。
■(2) 取引条件の変更と競争激化
売上の大半が卸売事業であるため、取引先の経営環境の変化や競争激化による販売価格の引き下げ、仕入価格の引き上げ等が発生するリスクがあります。これらが想定以上に進行した場合は業績に影響を及ぼすため、付加価値の高い商品の開発や顧客満足度の向上に注力しています。
■(3) ペット生体の需給動向による影響
同社はペットフードやペット用品の卸売を主業としているため、市場におけるペット生体の飼育数の増減が業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクを低減するため、イベント事業を通じてペットと暮らす効用を啓発し、新規飼育者の拡大に向けた市場創出に取り組んでいます。



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