※本記事は、株式会社NaITO の有価証券報告書(第74期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. NaITOってどんな会社?
切削工具や計測機器、工作機械などを扱う専門商社です。国内外のパートナーと連携し製造業を支えています。
■(1) 会社概要
昭和28年に株式会社内藤商店として設立され、機械工具卸を開始。平成16年にジャスダックへ上場し、平成17年に岡谷鋼機が親会社となりました。平成20年に現在の商号へ変更し、ベトナム現地法人設立などを経て、令和4年の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行しました。
連結従業員数は319名、単体では307名です。筆頭株主は親会社の岡谷鋼機(45.65%)であり、同社は名古屋を地盤とする鉄鋼・機械等の商社です。第2位株主は切削工具メーカーのタンガロイ、第3位はユニオンツールとなっており、取引先との資本関係も見られます。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 岡谷鋼機 | 45.65% |
| タンガロイ | 5.15% |
| ユニオンツール | 5.15% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名、計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は坂井俊司氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 坂井 俊司 | 取締役社長(代表取締役) | 岡谷鋼機入社後、東京本店メカトロ部長を経て同社顧問に就任。2014年より現職。 |
| 徳田 信幸 | 取締役営業部門担当 | 同社入社後、西部営業部長、営業本部長などを歴任。2025年より現職。 |
| 伊藤 潤 | 取締役管理部門担当 | 同社入社後、中部営業部副部長、管理部長、管理本部長などを歴任。2025年より現職。 |
| 加藤 圭太 | 取締役 | 岡谷鋼機入社後、タイ現地法人社長、名古屋本店メカトロ本部長などを歴任。2023年より現職。 |
| 友松 達詞 | 取締役 | 岡谷鋼機入社後、上海現地法人総経理、岡谷コンサルタント社長などを歴任。2024年より現職。 |
| 川津 邦男 | 取締役(監査等委員) | 同社入社後、人事総務部長、管理部長、経営企画室部長などを歴任。2024年より現職。 |
社外取締役は、渡邉光誠(弁護士法人東京富士法律事務所パートナー)、川島亜記(島田法律事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「切削工具」「計測」「産業機器・工作機械等」の商品の販売事業を展開しています。
■(1) 切削工具
製造現場で使用されるドリル、エンドミル、チップなどの切削工具全般を取り扱っています。主要な顧客は製造業の企業や販売店です。
商品の販売対価として顧客から代金を受け取ります。運営は同社および海外子会社のNAITO VIETNAM CO.,LTD.等が行っています。
■(2) 計測
測定工具や計測機器の販売に加え、検査・校正ビジネスなども展開しています。製造業における品質管理などを支える商品群です。
商品の販売およびサービスの提供対価として顧客から収益を得ています。運営は主に同社が担当しています。
■(3) 産業機器・工作機械等
工作機械、電動工具、空気工具、作業工具、物流機器、環境機器など幅広い産業用設備機器を取り扱っています。
設備の販売対価として顧客から収益を得ています。運営は同社および海外子会社等が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は400億円台前半で推移していますが、直近では微減傾向にあります。利益面では、経常利益率が1〜2%程度で推移しており、薄利多売の商社ビジネスモデルの特徴を示しています。当期は減収減益となりました。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 391億円 | 436億円 | 445億円 | 441億円 | 436億円 |
| 経常利益 | 4億円 | 7億円 | 9億円 | 6億円 | 5億円 |
| 利益率 | 1.1% | 1.5% | 2.1% | 1.3% | 1.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 4億円 | 7億円 | 3億円 | 3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は微減し、それに伴い売上総利益も減少しました。営業利益率は1.1%と低い水準で横ばい傾向にあります。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 441億円 | 436億円 |
| 売上総利益 | 54億円 | 53億円 |
| 売上総利益率(%) | 12.3% | 12.1% |
| 営業利益 | 5億円 | 5億円 |
| 営業利益率(%) | 1.1% | 1.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が15億円(構成比32%)、賃借料が5億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各商品分類の売上高を見ると、主力である切削工具は微増しましたが、計測および産業機器・工作機械等は前年を下回りました。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| 切削工具 | 214億円 | 216億円 |
| 計測 | 41億円 | 40億円 |
| 産業機器・工作機械等 | 186億円 | 180億円 |
| 連結(合計) | 441億円 | 436億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスとなっており、本業で稼いだ資金で投資や借入返済を行う「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1億円 | 12億円 |
| 投資CF | -5億円 | -2億円 |
| 財務CF | 3億円 | -10億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は74.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、国内外の事業パートナーに「最適な商品、最高のサービス」を提供し、製造業の技術革新を通して産業全体の発展に寄与することを経営理念として掲げています。創業以来の歴史と現在及び将来を見据え、持続的な発展を図る礎としています。
■(2) 企業文化
自らが変化し続けることで「専門力会社 NaITO」として存在感を高めることを重視しています。すべてのステークホルダーに貢献するために、経営理念の達成に向けて変化を恐れず挑戦する姿勢を大切にしている企業文化です。
■(3) 経営計画・目標
同社は中期経営計画「Achieve2025」(2021年3月〜2026年2月)を推進中です。当初の数値目標を、物価高や人手不足等の環境変化を踏まえて以下の通り修正しています。
* 売上高:450億円
* 経常利益:5.6億円
■(4) 成長戦略と重点施策
既存事業のシェア拡大とともに、デジタル技術を活用した受発注・物流業務の自動化による生産性向上を図っています。物品販売からアフターサービスまで行うオールインワン事業を確立し、機械工具のソリューションパートナーを目指しています。
* 国内既存事業のシェア拡大及び収益力の向上
* 新規事業展開による事業規模の拡大
* 海外事業の推進
* デジタル技術を活用した生産性の向上
* 専門人財及び中核人財の育成
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
社員を「最も重要な財産」と位置付け、個々の能力や可能性を最大限に伸ばす方針です。公平・公正な人事運営を行い、社員の意欲と能力に合わせた経験と挑戦の機会を用意します。また、適材適所の人員配置や、チームワークによる組織力発揮を重視しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 43.9歳 | 19.2年 | 5,517,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 69.1% |
| 男女賃金差異(正規) | 68.3% |
| 男女賃金差異(非正規) | 59.5% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 事業環境変動によるリスク
主要販売商品である切削工具等は自動車産業と密接な関係にあり、同業界の生産活動や設備投資動向の影響を強く受けます。予期せぬ景気変動や、得意先の経営者高齢化に伴う後継者不在による廃業等が、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 金利変動によるリスク
事業資金を借入金により調達しているため、短期金融市場の変動により支払利息等が増減する可能性があります。金利の大幅な上昇があった場合、同社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
■(3) 商品市況の変動によるリスク
顧客ニーズへの即納体制のため多品種の在庫を有しており、市況変化による過剰在庫や商品評価損のリスクがあります。また、仕入価格や運送費の高騰を販売価格へ適宜転嫁できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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