NaITO 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

NaITO 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

NaITOは東京証券取引所スタンダード市場に上場する機械工具の専門商社です。主に切削工具、計測、産業機器、工作機械等の販売を展開し、国内外の事業パートナーに最適な商品とサービスを提供しています。直近の業績は、物価高や設備投資に対する慎重姿勢の影響を受け、わずかながら減収減益のトレンドとなっています。


※本記事は、株式会社NaITOの有価証券報告書(第75期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. NaITOってどんな会社?


切削工具、計測、産業機器、工作機械等の販売を主力事業とする機械工具の専門商社です。

(1) 会社概要


同社は1953年に内藤商店として東京都荒川区に設立され、機械工具の卸売を開始しました。1964年に社名を内藤へと変更し、2004年にはジャスダック証券取引所への上場を果たしています。2008年に現在のNaITOに社名変更し、2012年にはベトナムに現地法人を設立するなど海外展開も積極的に推進してきました。

現在の従業員数は連結で309名、単体で297名です。筆頭株主は親会社の岡谷鋼機で、第2位は事業会社のタンガロイ、第3位は同じく事業会社のユニオンツールとなっています。

氏名 持株比率
岡谷鋼機 45.65%
タンガロイ 5.15%
ユニオンツール 5.15%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は坂井俊司氏が務めており、社外取締役の比率は20.0%となっています。

氏名 役職 主な経歴
坂井俊司 取締役社長(代表取締役) 1987年岡谷鋼機入社。同社メカトロ部長等を経て、2014年同社顧問に就任。同年より現職。
徳田信幸 取締役営業部門担当 1982年同社入社。西部営業部長等を経て、2010年取締役就任。2025年より現職。
伊藤潤 取締役管理部門担当 1981年同社入社。管理部長等を経て、2018年取締役就任。2025年より現職。
原田啓介 取締役 2003年同社入社。NAITO VIETNAM CO.,LTD.社長等を経て、2026年より現職。
舘裕史 取締役 2000年同社入社。営業推進部長、事業企画室長等を経て、2026年より現職。
加藤圭太 取締役 1997年岡谷鋼機入社。同社名古屋本店メカトロ本部長等を経て、2023年より現職。
友松達詞 取締役 1994年岡谷鋼機入社。上海岡谷鋼機有限公司総経理等を経て、2024年より現職。
川津邦男 取締役(監査等委員) 1990年同社入社。人事総務部長、経営企画室長等を経て、2024年より現職。


社外取締役は、渡邉光誠(弁護士・弁護士法人東京富士法律事務所パートナー)、川島亜記(弁護士・島田法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「切削工具」「計測」「産業機器・工作機械等」のプロダクト単位で事業を展開しています。

(1) 切削工具


主力商品である切削工具の販売を行っています。国内外の多様なメーカー製品を取り扱うとともに、オリジナルブランドの拡販など、顧客の生産活動を支える最適な商品を製造業等の顧客向けに提供しています。

顧客からの商品代金が主な収益源です。運営は主にNaITOが行うほか、海外ではベトナムのNAITO VIETNAM CO.,LTD.やタイのSOMAT Co.,Ltd.が現地で販売事業を展開しています。

(2) 計測


製造現場で必要とされる測定工具や計測機器の販売、さらには検査や校正ビジネス等のサービスを展開しています。地域特性を踏まえた提案を通じ、顧客の課題解決を支援しています。

測定工具・計測機器の販売代金やサービス提供に対する対価が主な収益源です。運営は主にNaITOが行っています。

(3) 産業機器・工作機械等


工場などの設備投資に関わる工作機械や自動化・省人化設備、産業機器等の販売を行っています。省エネや環境改善を意識した商材など、時代のニーズに合わせた商品の提案を製造業向けに行っています。

機械や機器の販売代金が主な収益源です。国内ではNaITOが運営主体となり、ベトナムやタイの関連会社を通じても現地の製造業向けに販売活動を展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は430億円から440億円台で比較的安定して推移しています。経常利益は2023年2月期にピークを迎えましたが、その後は物価上昇に伴うコスト負担の増加などにより緩やかな減少傾向にあります。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 436億円 445億円 441億円 436億円 435億円
経常利益 7億円 9億円 6億円 5億円 5億円
利益率(%) 1.5% 2.1% 1.3% 1.2% 1.0%
当期利益 4億円 7億円 3億円 3億円 3億円

(2) 損益計算書


売上高は前年と同水準を維持していますが、売上総利益と営業利益は減少しています。システム保守費用等の物件費が増加したことが利益を圧迫する要因となっています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 436億円 435億円
売上総利益 53億円 52億円
売上総利益率(%) 12.1% 12.0%
営業利益 5億円 4億円
営業利益率(%) 1.1% 0.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が15億円(構成比32%)、賞与引当金繰入額が2億円(同4%)を占めています。

(3) セグメント収益


切削工具は価格改定を見据えた需要を取り込むことで前年を上回る増収を確保しました。一方で、計測や産業機器・工作機械等については、設備投資に対する慎重姿勢や受注の足踏み傾向が続いた影響を受け、前年を下回る結果となりました。全体としては微減収の着地となっています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
切削工具 216億円 223億円
計測 40億円 39億円
産業機器・工作機械等 180億円 173億円
連結(合計) 436億円 435億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CF・財務CFがマイナスであり、本業の利益で投資を行いながら借入の返済も進めている「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 12億円 5億円
投資CF -2億円 -3億円
財務CF -10億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は74.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は経営理念として、「私たちは、国内外の事業パートナーに『最適な商品、最高のサービス』を提供し、製造業の技術革新を通して産業全体の発展に寄与します」と掲げています。この理念の達成に向け、自らが変化し続けることで専門力会社として存在感を高め、すべてのステークホルダーへの貢献を目指しています。

(2) 企業文化


社員を「最も重要な財産」と位置付け、それぞれの能力や可能性を自律的かつ最大限に伸ばすための人事基本方針を掲げています。働き甲斐を重視した公平・公正な人事運営や、チームワークによる組織力発揮を重視し、風通しの良い組織風土の創出を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画「共創ビジョン2030」(2026年3月〜2031年2月)において、最終年度である2031年2月期に以下の数値目標の達成を目指しています。

* 売上高:500億円
* 経常利益:10億円

(4) 成長戦略と重点施策


「創る」「繋げる」「結ぶ」「広げる」の4つの観点から、従来型商流に依存しない販売拡大や、海外事業の安定的な利益創出基盤の構築などに取り組んでいます。在庫・システムを基盤とした収益モデルの構築や、既存の卸モデルに拘らない新規事業の創出を重点施策として推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


社員を「最も重要な財産」と位置付け、それぞれの能力や可能性を最大限に伸ばすための人事基本方針を定めています。現場での経験や教育研修を通じて人材育成を図り、社員一人ひとりの意欲に応じた挑戦の機会を提供しています。また、勤務体制や福利厚生の整備を進め、安心して成果を出せる環境づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 44.7歳 19.9年 5,819,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金の差異(全労働者) 68.8%
男女賃金の差異(正規雇用労働者) 67.4%
男女賃金の差異(パート・有期労働者) 59.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 自動車産業などの事業環境変動


主力商品である切削工具や計測機器は自動車産業と密接なつながりがあり、同業界の生産活動や設備投資の動向による影響を強く受けます。予期せぬ景気変動や、得意先の後継者不在による廃業・倒産が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 商品市況の変動と在庫滞留


多様な顧客ニーズに対する即納体制を維持するため、多品種の在庫を保有しています。商品市況の変化による過剰在庫の発生や、仕入れ価格・運送費の高騰を販売価格に適切に転嫁できなかった場合、収益性やキャッシュ・フローに影響を与えるリスクがあります。

(3) 情報セキュリティの脅威


事業活動において情報ネットワークを活用しているため、サイバー攻撃や予期せぬシステム障害が発生した場合、業務の停滞や重要な情報の流出が生じるおそれがあり、同社の経営成績や社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。