※本記事は、株式会社タカキューの有価証券報告書(第77期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. タカキューってどんな会社?
タカキューは、ビジネススーツからカジュアルまで、幅広いファッションアイテムを提供する衣料品小売チェーンです。
■(1) 会社概要
1950年に設立されたタカキューは、紳士服を中心とした衣料品の販売から事業を開始しました。1989年に東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしています。近年では、2024年にグロースパートナーズと事業提携を締結するとともに、2025年には新ストアロゴを掲げた新業態店舗を開店するなど改革を進めています。
同社単体の従業員数は273名です。筆頭株主は事業会社のイオンで、第2位はその他の法人のエムツウ、第3位はグロースパートナーズが運営に参画するファンドとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| イオン | 14.85% |
| エムツウ | 7.43% |
| GPバイアウトP投資事業有限責任組合 | 4.36% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性4名、女性1名の計5名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長執行役員は伊藤健治氏が務めています。社外取締役の比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 伊藤 健治 | 代表取締役社長執行役員 | 1987年ファイブフォックス入社。副社長等を経て2024年タカキュー入社。同年9月より現職。 |
社外取締役は、岸本雄介(多摩川精機監査役)、古川徳厚(グロースパートナーズ代表取締役)、河手優美(グロースパートナーズアソシエイト)です。
2. 事業内容
同社グループは、「衣料品販売」事業を展開しています。
タカキューは、紳士服や婦人服、および関連する洋品雑貨の小売販売を中核事業として展開しています。主なターゲット層はビジネスパーソンであり、スーツやオーダーシャツなどのビジネスウェアから、オフタイム向けのカジュアルウェア、雑貨まで幅広いアイテムをショッピングセンターや駅ビル、路面店を通じて提供しています。
収益は、店舗およびEコマースサイトでの衣料品販売による売上から得ています。主力ブランドの運営は主にタカキューが行っており、衣料品の修理や加工業務については子会社のテイエムエムサービスが担っています。また、自社アプリやオンラインショップを活用したデジタルマーケティングによる集客にも取り組んでいます。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績を見ると、店舗網の見直しや消費環境の変化などの影響により、売上高は減少傾向が続いています。一方、利益面については不採算店舗の退店やコスト削減が奏功し、経常利益は黒字基調に回復しました。直近では投資有価証券の売却益を計上したことで、最終黒字を確保しています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 121億円 | 120億円 | 100億円 | 97億円 | 87億円 |
| 経常利益 | -19億円 | -7億円 | 0.5億円 | 4億円 | 1億円 |
| 利益率(%) | -15.8% | -5.9% | 0.5% | 3.7% | 1.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -21億円 | -11億円 | -1億円 | 20億円 | 11億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の業績を比較すると、売上高は前期比で減少しており、これに伴って売上総利益も減少しました。広告宣伝費や店舗管理費などの販売費及び一般管理費の削減に努めたものの、減収の影響をすべてカバーするには至らず、結果として営業利益は大幅な減益となっています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 97億円 | 87億円 |
| 売上総利益 | 59億円 | 54億円 |
| 売上総利益率(%) | 61.0% | 61.8% |
| 営業利益 | 2億円 | 0.2億円 |
| 営業利益率(%) | 2.1% | 0.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が15億円(構成比29%)、賃借料が14億円(同26%)を占めています。売上原価は、商品売上原価が33億円(構成比100%)となっています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがマイナス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなっており、本業が低迷し、事業の見直しが迫られる事業検討型の状況です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -1.0億円 | -1.5億円 |
| 投資CF | -0.7億円 | 11.1億円 |
| 財務CF | 4.1億円 | -2.9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は73.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は32.7%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
タカキューは、「服を通してお客様を幸せにし、自信と喜びを提供すること」を経営の使命として掲げています。この理念のもと、服を通じた顧客との深い信頼関係の構築を目指すとともに、持続可能なファッションを推進することで、社会や環境の課題解決に貢献する企業となることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、企業全体の改革を通じた競争力の向上を重視し、「組織の壁をなくし、風通しの良い組織にする」ことを目指しています。権限委譲による意思決定の迅速化を進めるとともに、責任と実行力を備えたリーダーの育成に注力しています。また、成果に基づく人事評価や若手人材の登用など、個人の成長を支援する文化の醸成を図っています。
■(3) 経営計画・目標
中期的な目標として、事業再生計画の完遂による「景気に左右されない、強い体質の会社」への変革を掲げています。特に2027年2月期は「価値で勝つ企業への転換」をテーマとし、売上回復と再現性のある利益体質の構築を目指しています。主な数値目標は以下の通りです。
・2027年2月期売上高:99億円
・2027年2月期営業利益:0.6億円
・2027年2月期経常利益:2億円
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長戦略として、ブランドの存在意義を明確にした商品開発と生産体制の整備を進めています。スーツやオーダーシャツなどの中核商品を強化するほか、適正な販売計画に基づく在庫の徹底管理を推進します。また、ECや複合施設などの新規事業参入、既存ブランドのリブランディングを図り、競争優位性の向上に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、社員の成長が企業の成長に直結するという考えのもと、継続的な人材育成と社内環境の整備に注力しています。育成面では動画配信を活用した教育機会を提供し、スキル向上を支援しています。また、残業時間の管理や有給休暇の取得推進、男性の育児休業の促進やダブルワークの導入など、ワークライフバランスの向上を図る環境づくりを進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社単体従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 48.0歳 | 20.4年 | 3,765,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んで計算しております。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.6% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 78.3% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 98.7% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員における女性比率(24.2%)、離職率(6.8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ファッショントレンドと嗜好の変化
同社が扱うアパレル商品は、市場のトレンドや顧客の嗜好の移り変わりに強く影響を受けます。そのため、消費者動向に合致した商品の企画や仕入れが適切に行われない場合、在庫の滞留や売上の低下を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は市場ニーズを的確に捉えた商品開発によりリスク低減に努めています。
■(2) 商品の生産体制に関するリスク
プライベートブランド商品の多くは中国や東南アジアなどの海外拠点で生産されています。そのため、現地の政情不安や輸入手続きの遅延、生産工場での品質問題などが発生した場合、適時に適切な商品を店舗に供給できなくなり、販売機会の損失につながるリスクがあります。
■(3) 原材料や物流コストの上昇
海外での生産比率が高いことから、原材料価格の高騰や現地の人件費上昇、海上・航空運賃などの物流コストの上昇リスクに晒されています。これらのコストアップ分を販売価格に十分に転嫁できない場合、利益率が圧迫され、同社の財務状況や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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