リテールパートナーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リテールパートナーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リテールパートナーズは、東京証券取引所プライム市場に上場し、山口県をはじめ九州・中国地方を中心にスーパーマーケット事業を主力として展開する持株会社です。直近の業績では、店舗網の拡大や客単価の上昇により増収となった一方で、物価上昇等に伴う各種コストの増加が影響し、減益の決算となっています。


※本記事は、株式会社リテールパートナーズの有価証券報告書(第73期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リテールパートナーズってどんな会社?


リテールパートナーズは、中国・九州地方を地盤に、地域密着型のスーパーマーケットを複数展開する持株会社です。

(1) 会社概要


同社は1954年に防府専門大店として設立され、同年に丸久へ商号を変更しました。1984年に株式上場を果たし、2015年にマルミヤストアと経営統合して持株会社体制へ移行し、現在のリテールパートナーズへ商号変更しました。その後、2017年にマルキョウ、2025年には永野を子会社化し、事業を拡大しています。

同社グループは、連結で2,016名、単体で9名の従業員を擁しています。筆頭株主は、資本業務提携を結んでいる同業のアークスおよびバローホールディングスで、第3位には池田興産が名を連ねています。

氏名 持株比率
アークス 7.30%
バローホールディングス 7.30%
池田興産 6.52%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性2名の計14名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は田中康男氏が務めており、社外取締役比率は35.7%です。

氏名 役職 主な経歴
田中 康男 代表取締役社長 1996年同社入社。サンマート代表取締役社長等を経て、2012年6月より現職。
斉田 敏夫 代表取締役会長 1976年マルキョウ入社。同社代表取締役社長等を経て、2017年3月より現職。
池邉 恭行 代表取締役副社長 大分銀行等を経て2008年マルミヤストア入社。同社社長等を経て2015年7月より現職。
宇佐川 浩之 専務取締役グループ経営企画室長 1985年同社入社。経営企画室長等を歴任し、2024年5月より現職。
坂本 守 取締役 1990年マルキョウ入社。同社代表取締役社長等を経て、2021年5月より現職。
宇多村 美彦 取締役 1980年同社入社。店舗運営部長等を歴任し、2024年5月より現職。
川野 友久 取締役 ジョイフル等を経て2007年マルミヤストア入社。同社常務等を経て2015年7月より現職。
青木 保 取締役グループ内部統制室長 関西スーパーマーケット等を経て2017年同社入社。2018年5月より現職。


社外取締役は、楠正夫(元トクヤマ社長)、船﨑美智子(ライフスタイル研究所社長)、金子淳子(金子小児科院長)、上田和義(上田和義法律事務所代表)、佐藤賢志(佐藤賢志公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「スーパーマーケット事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) スーパーマーケット事業


生鮮食品、加工食品、惣菜、日用雑貨品などの販売を主体とし、地域に密着した店舗展開を通じて顧客の日常的な消費生活を支えています。中国地方西部から九州地方全域にかけて、複数のスーパーマーケットブランドを展開しています。

収益源は店舗における来店客への商品販売による収入です。運営は主に、丸久、マルキョウ、マルミヤストア、戸村精肉本店、永野などの各子会社が行っており、それぞれが地域特性に合わせた多彩な商品やサービスを提供しています。

(2) その他


スーパーマーケット事業の周辺領域として、保険代理業、スポーツクラブ事業、食品製造業などのサービスおよび製品を提供しています。一般の顧客やグループ内の各事業会社が主なサービス提供先となります。

収益源は、保険代理店手数料、スポーツクラブの月会費、食肉加工品や調味料の販売代金など多岐にわたります。運営は、RPG保険サービスが保険代理業務を、丸久がスポーツクラブ事業を、戸村フーズなどが食品製造業務をそれぞれ担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は安定した成長を維持しており、店舗網の拡大や客単価の上昇が寄与しています。利益面では一時的な増減があるものの概ね堅調な推移を示しており、当期純利益は着実に増加を続けています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 2,368億円 2,267億円 2,435億円 2,571億円 2,683億円
経常利益 62億円 62億円 77億円 80億円 76億円
利益率(%) 2.6% 2.7% 3.2% 3.1% 2.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 14億円 15億円 15億円 19億円 28億円

(2) 損益計算書


売上高は前期から順調に増加し、売上総利益も拡大しています。しかし、物価上昇や賃上げに伴う人件費や各種店舗運営コストの増加により、営業利益および営業利益率は前期から低下しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 2,571億円 2,683億円
売上総利益 613億円 642億円
売上総利益率(%) 23.9% 23.9%
営業利益 68億円 65億円
営業利益率(%) 2.7% 2.4%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び賞与が291億円(構成比43%)、水道光熱費が53億円(同8%)、賃借料が52億円(同8%)を占めています。また、売上高に対する売上原価の比率は76%となっています。

(3) セグメント収益


主力であるスーパーマーケット事業の売上高は着実に成長し、グループ全体の収益を牽引しています。その他事業も売上高は順調に拡大していますが、店舗運営に係る各種コストの増加が影響しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
スーパーマーケット事業 2,659億円 2,773億円
その他事業 8億円 9億円
連結(合計) 2,667億円 2,782億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の資金の使途や調達状況を示すキャッシュ・フローは、本業で稼いだ資金で投資を行いながら借入金の返済も進める健全型の状態にあります。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 88億円 96億円
投資CF △59億円 △66億円
財務CF △37億円 △22億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「地域のお客様の日々の暮らしを“より”豊かにする。なくてはならない存在として地域を支える。」という社会的使命を掲げています。共通の理念と志を持つ企業や取引先と手を携え、流通事業連合体として地域社会に貢献し、持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、事業活動を通じて地域社会の課題解決に貢献し、社員が生き生きと働ける企業を目指しています。誠実でより良い商品をお買い求めやすい価格で提供し、取引先との良好な関係を重視する姿勢を大切にしています。また、グループ各社の自主性を尊重しながら、多様なニーズに応える企業文化を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、第3次中期経営計画(2025年2月期~2027年2月期)において、資本コストや株価を意識した経営を推進しています。持続的な企業価値の向上を目指し、以下の数値を目標として掲げています。

* 営業収益:2,960億円
* 経常利益:98億円
* 経常利益率:3.5%
* ROE:7.0%
* PBR:1.1倍

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、既存エリアやサービスの強化に向けて積極的な成長投資を行い、M&Aなどによる非連続的な成長にも取り組んでいます。また、共同調達やPB商品の開発、オペレーションの効率化を通じて収益力の向上を図るとともに、人的資本への投資やDXの推進を重点施策として進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、多様な働き方に対応し、様々な雇用制度を設けることで安定的な人材確保を図っています。人材育成においては、階層別研修やOJTをはじめとした教育体系の充実に取り組み、現場力の強化と次世代リーダーの育成を推進しています。また、業務の自動化や省人化を進め、効率的に業務を遂行できる体制の構築を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 56.8歳 24.0年 2,666,667円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。また、同社の単体従業員は子会社からの兼務出向者で構成されています。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.8%
男性育児休業取得率 30.0%
男女賃金差異(全労働者) 61.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 76.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 86.4%


※表の数値は、主要な連結子会社である丸久のデータです。(提出会社は出向者のみであり公表義務の対象外となっています)

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) スーパーマーケット市場の競争激化


食品小売業界では、大手チェーンやドラッグストア、コンビニエンスストアなど業種や業態を超えた競争が一段と激化しています。同社の商圏内に競合店舗が出店した場合、既存店舗の収益減少を招く可能性があり、魅力的な店舗開発や商品力の強化を通じた競争力の維持・向上が課題となっています。

(2) 食品の安全性と品質管理


同社グループは店舗やプロセスセンターで食品の製造・加工・販売を行っており、食品衛生法などの法的規制を受けています。万が一、食中毒や異物混入などの問題が発生した場合、消費者からの信頼低下や食品部門の売上減少を招き、グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 店舗運営における法的規制と対応コスト


事業活動において、食品表示法、大規模小売店舗立地法、独占禁止法など多岐にわたる法的規制の適用を受けています。関連法令の改正に対する柔軟かつ迅速な対応が求められ、これに伴うコストが発生する可能性があります。また、法令違反が指摘された場合には、営業停止や社会的信用の低下につながる恐れがあります。

(4) サイバー攻撃と情報セキュリティ


事業活動においてコンピュータやインターネットへの依存度が高まる中、サイバー攻撃による被害リスクが存在します。システムダウンによる事業停止や情報漏洩が発生した場合、損害賠償費用の発生やシステム改修コストの負担が生じ、同社グループの企業イメージや業績に重大な影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。