※本記事は、株式会社リテールパートナーズ の有価証券報告書(第72期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. リテールパートナーズってどんな会社?
山口、福岡、大分を拠点とする有力スーパー3社を中心に形成された、西日本有数のローカルスーパーマーケット連合体です。
■(1) 会社概要
1954年に株式会社防府専門大店として設立され、その後丸久へ商号変更しました。2015年にマルミヤストアとの経営統合により持株会社体制へ移行し、現社名となりました。2017年にはマルキョウを完全子会社化し、事業基盤を拡大しました。2019年にはアークス、バローホールディングスと資本業務提携を結び、2023年にはハツトリーを子会社化するなど、広域連携を進めています。
同グループの連結従業員数は1,989人、単体では8人です。筆頭株主と第2位株主は、資本業務提携先である株式会社アークスと株式会社バローホールディングスであり、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。同社はスーパーマーケット事業を営む事業会社の株式を保有し、グループ全体の経営管理を行っています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| アークス | 7.30% |
| バローホールディングス | 7.30% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.15% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性13名、女性2名(2025年5月30日時点のデータより集計)の計15名で構成され、女性役員比率は13.3%です。代表取締役社長は田中 康男氏です。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田中 康男 | 代表取締役社長 | 1976年島屋商事入社。丸久(現リテールパートナーズ)経営企画室長、同社常務取締役等を経て、2012年より現職。 |
| 池邉 恭行 | 代表取締役副社長 | 1995年大分銀行入行。2008年マルミヤストア入社、同社代表取締役社長等を経て、2015年より現職。 |
| 斉田 敏夫 | 代表取締役会長 | 1976年マルキョウ入社。同社代表取締役社長等を経て、2017年より現職。 |
| 宇佐川 浩之 | 専務取締役グループ経営企画室長 | 1985年同社入社。経営企画室部長、グループ経営企画室長、丸久専務取締役等を経て、2024年より現職。 |
| 川野 友久 | 取締役 | 1986年南九州ユーシーシーベンディング入社。マルミヤストア常務取締役等を経て、2015年より現職。 |
| 青木 保 | 取締役グループ内部統制室長 | 1981年DH&S会計事務所入所。関西スーパーマーケット(現関西フードマーケット)取締役等を経て、2018年より現職。 |
| 坂本 守 | 取締役 | 1990年マルキョウ入社。同社取締役管理本部長、代表取締役社長等を経て、2022年より現職。 |
| 宇多村 美彦 | 取締役 | 1980年丸久入社。同社専務取締役営業本部長等を経て、2024年より現職。 |
| 河口 顕夫 | 取締役(監査等委員) | 1984年同社入社。執行役員財務経理部長、グループ財務経理部長等を経て、2023年より現職。 |
社外取締役は、楠 正夫(元トクヤマ代表取締役)、船﨑 美智子(ライフスタイル研究所代表取締役社長)、金子 淳子(金子小児科院長)、上田 和義(上田・藤井総合法律事務所代表)、藤井 智幸(元西日本相互銀行入行)、佐藤 賢志(佐藤賢志公認会計士事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「スーパーマーケット事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) スーパーマーケット事業
山口県、福岡県、大分県を中心に、広島県、島根県、熊本県、佐賀県、長崎県、宮崎県、鹿児島県において、生鮮食品、一般食料品、日用雑貨等の販売を行っています。地域ごとの特性やニーズに合わせた商品・サービスを展開し、地域密着型の店舗運営を行っています。
収益は主に一般消費者への商品販売による代金です。運営は、丸久、マルキョウ、マルミヤストア、ハツトリー、戸村精肉本店などの事業会社が行っています。また、青木商事は食品二次卸として商品の仕入れを担っています。
■(2) その他
保険代理業、スポーツクラブ事業、食品製造業などを展開しています。食肉加工品や調味料の製造販売、肥育牛の生産・加工、豆腐等の製造販売など、スーパーマーケット事業に関連する周辺事業を行っています。
収益は、保険代理業務の手数料、スポーツクラブの利用料、製造した食品の販売代金などから構成されています。運営は主にRPG保険サービス、戸村フーズ、戸村牧場などのグループ会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年2月期から2025年2月期までの業績推移を見ると、売上高は概ね増加傾向にあります。特に直近の2025年2月期は過去最高の売上高を記録しました。利益面では、原材料価格やエネルギーコストの高騰などの影響を受けつつも、経常利益率は3%前後で推移しており、安定した収益性を維持しています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,390億円 | 2,368億円 | 2,267億円 | 2,435億円 | 2,571億円 |
| 経常利益 | 93億円 | 62億円 | 62億円 | 77億円 | 80億円 |
| 利益率(%) | 3.9% | 2.6% | 2.7% | 3.2% | 3.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 49億円 | 34億円 | 29億円 | 47億円 | 52億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加しており、売上総利益率も改善傾向にあります。営業利益についても増益を確保しています。コスト管理と売上拡大の両立により、利益率を維持・向上させていることが読み取れます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,435億円 | 2,571億円 |
| 売上総利益 | 592億円 | 613億円 |
| 売上総利益率(%) | 24.3% | 23.9% |
| 営業利益 | 67億円 | 68億円 |
| 営業利益率(%) | 2.8% | 2.7% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び賞与が272億円(構成比42.5%)、その他経費が196億円(同30.5%)を占めています。売上原価は1,958億円で、これは主に商品の仕入によるものです。
■(3) セグメント収益
主力のスーパーマーケット事業が売上・利益ともに全体の大部分を占めています。同事業は増収増益となり、グループ全体の業績を牽引しました。その他事業も規模は小さいながら黒字を確保しています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) | 利益(2024年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| スーパーマーケット事業 | 2,514億円 | 2,659億円 | 70億円 | 72億円 | 2.7% |
| その他 | 8億円 | 8億円 | 1億円 | 1億円 | 14.0% |
| 調整額 | - | - | -4億円 | -5億円 | - |
| 連結(合計) | 2,522億円 | 2,667億円 | 67億円 | 68億円 | 2.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、本業で稼いだ資金で借入金を返済しつつ、投資も自己資金の範囲内でコントロールしている「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 115億円 | 88億円 |
| 投資CF | -51億円 | -59億円 |
| 財務CF | -27億円 | -37億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は66.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「地域のお客様の日々の暮らしを“より”豊かにする。なくてはならない存在として地域を支える。」という社会的使命を掲げています。共通の理念と志を持つ企業同士が協力する流通事業連合体を目指し、地域社会の「普段の消費生活」をサポートすることを使命としています。
■(2) 企業文化
「行動規範」として、お客様、お取引先様、株主様、従業員、地域社会に対する姿勢を明文化しています。誠実で良好な関係構築、人権尊重、法令遵守を重視し、地域と共に発展することを目指しています。各事業会社の自主性を尊重しつつ、グループ全体でのシナジー発揮を図る風土があります。
■(3) 経営計画・目標
2027年2月期を最終年度とする第3次中期経営計画を策定しています。
* 営業収益:2,960億円
* 経常利益:98億円
* 経常利益率:3.5%
* ROE:7.0%
* PBR:1.1倍
■(4) 成長戦略と重点施策
「長期ビジョンの実現と持続可能な企業成長」を基本方針とし、以下の戦略を推進しています。
* 成長戦略:既存エリア・サービスの強化に加え、M&A等による非連続的な成長を追求。
* 競争力の強化:独自の商品・サービス提供と魅力的な店舗開発。
* 収益性の強化:共同調達やPB開発、オペレーション効率化によるコスト削減。
* グループ連携の強化:経営資源の共有とDX推進による効率化。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
地域に根差した経営推進のため、地元の高校・大学との連携による新卒採用や、食のスペシャリスト・IT人材の中途採用を強化しています。多様な人材の活躍推進として、女性のキャリアアップ支援、障がい者雇用の促進、70歳までの高齢者雇用継続制度の確立に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 53.8歳 | 19.3年 | 2,850,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。なお、従業員は全員子会社からの出向者です。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 10.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 25.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 60.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 75.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) | 84.8% |
※上記は連結子会社である株式会社丸久の実績です。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める女性労働者の割合(8.4%)、男性労働者の育児休業取得率(53.1%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 競争激化について
同社の事業エリアでは、大手スーパー、ディスカウントストア、ドラッグストア、コンビニエンスストアなど業態を超えた競争が激化しています。競合店の出店により既存店の収益が減少し、業績に影響を与える可能性があります。これに対し、同社は積極的な成長投資や魅力的な店舗開発により競争力の強化を図っています。
■(2) 地震、台風などの災害について
主な出店エリアである九州地方は台風や豪雨が多く、地震のリスクもあります。災害発生時には店舗設備の破損や停電、物流網の遮断により営業継続が困難になる可能性があります。同社は事業継続計画の策定や、災害時の迅速な状況把握・対応体制の構築を進めています。
■(3) 法的規制について
食品衛生法、独占禁止法、個人情報保護法など多岐にわたる法的規制を受けています。法令違反が発生した場合、行政処分や社会的信用の低下を招くリスクがあります。同社はコンプライアンス規程の整備や従業員教育、内部通報制度の運用を通じて、法令遵守体制の強化に努めています。
■(4) 保有資産の減損等について
店舗や土地などの有形固定資産、のれん、有価証券などを保有しており、収益性の悪化や市場価格の下落により減損損失が発生するリスクがあります。実際に当期においても減損損失を計上しています。同社は定期的に資産価値を確認し、収益性が低下した店舗には改善対策を実施しています。



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