※本記事は、株式会社ミスターマックス・ホールディングスの有価証券報告書(第77期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ミスターマックス・ホールディングスってどんな会社?
同社はディスカウントストア事業を主力とし、生活必需品から家電まで幅広く展開しています。
■(1) 会社概要
1950年に平野ラジオ電気商会として設立されました。1979年に平野電機との合併を経て、1980年にミスターマックスへ社名変更しました。1994年に東京証券取引所市場第一部に上場し、2017年に持株会社体制へ移行して現在の社名となりました。2022年にロジディアを設立し物流事業も強化しています。
従業員数は連結で719名、単体で95名です。筆頭株主はWaiz Holdingsで、第2位はミスターマックス取引先持株会、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| Waiz Holdings | 34.05% |
| ミスターマックス取引先持株会 | 8.70% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 (信託口) | 6.78% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性4名、女性2名の計6名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長最高経営責任者(CEO)兼最高執行責任者(COO)は平野能章氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 平野 能章 | 代表取締役社長最高経営責任者(CEO)兼最高執行責任者(COO) | 1986年同社入社。1989年取締役営業企画部長、1992年代表取締役副社長等を経て1995年代表取締役社長就任。2008年より最高経営責任者兼最高執行責任者を務める。 |
| 小田 康徳 | 取締役執行役員 | 1977年同社入社。1995年取締役開発部長、2008年取締役常務執行役員開発本部長等を歴任。2011年より管理本部長を務め、2022年より現職。 |
| 宮崎 隆 | 取締役(常勤監査等委員) | 1983年同社入社。店舗運営部長などを経て2008年執行役員商品本部長就任。2015年取締役執行役員営業本部長等を歴任し、2022年より現職。 |
社外取締役は、家永由佳里(弁護士)、西村豊(元リシュモン・ジャパン社長)、岡部麻子(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「小売及びこれに付随する事業」を展開しています。
家庭用電器製品、日用雑貨、衣料品、食品などをセルフサービス方式で販売するディスカウントストア事業を展開しています。一般消費者を主な顧客とし、エブリデイ・ロープライスを掲げて毎日低価格で生活必需品を中心とした商品を提供しています。
収益源は、店舗およびオンラインストアにおける商品販売による代金です。事業の運営は主にミスターマックスが行い、物流事業はロジディアが担うことで、グループ全体のサプライチェーン効率化を図りながら事業を展開しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高が持続的な成長を遂げており、堅調な推移を見せています。経常利益は一時的な減少があったものの、直近では回復傾向にあり、利益水準を向上させています。当期利益も安定して推移しています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,248億円 | 1,269億円 | 1,296億円 | 1,366億円 | 1,477億円 |
| 経常利益 | 43億円 | 45億円 | 29億円 | 38億円 | 45億円 |
| 利益率(%) | 3.5% | 3.6% | 2.2% | 2.8% | 3.0% |
| 当期利益 | 13億円 | 24億円 | 21億円 | 15億円 | 16億円 |
■(2) 損益計算書
売上高および売上総利益はともに前年を上回り、順調な成長を示しています。売上総利益率は安定した水準を維持しており、営業利益および営業利益率も改善傾向にあることが読み取れます。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,313億円 | 1,421億円 |
| 売上総利益 | 288億円 | 311億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.9% | 21.9% |
| 営業利益 | 38億円 | 44億円 |
| 営業利益率(%) | 2.9% | 3.1% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が81億円(構成比25.0%)、賃借料が51億円(同15.7%)を占めています。また、物流費が35億円(同10.8%)となっています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業活動で生み出した資金を元に、借入も活用しながら積極的な投資を行う「積極型」の傾向を示しています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 54億円 | 40億円 |
| 投資CF | -21億円 | -51億円 |
| 財務CF | -40億円 | 14億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「普段の暮らしをより豊かに、より便利に、より楽しく」を経営理念として掲げています。希望と心のゆとりを感じられる「明日はもっといい日になる」日々を豊かな暮らしと定義し、関わるすべての人に「より良い明日」をお届けすることで、豊かで便利で楽しい未来の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、“あした”を変える力になる「暮らしのエンパワメント(あと押し)・カンパニー」として、地域社会に密着した運営を重視しています。また、従業員に対しては、自ら手を挙げ主体的に取り組むことができる文化の醸成を目指しています。多様な人材が活躍できる環境を整え、ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、個々の能力を最大化する組織風土を築いています。
■(3) 経営計画・目標
2029年2月期を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画を策定し、規模拡大を目指しています。また、持続的な成長と企業価値の向上を図るため、売上高営業利益率を重要な経営指標と捉え、ローコスト運営に注力しています。
・売上高2,000億円
・営業利益100億円
・営業利益率5.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
中期経営計画の達成に向けて、「店舗出店」「オムニチャネル」「M&Aおよび新規事業戦略」の3つの成長戦略を推進しています。北部九州エリアや首都圏中心部へのドミナント化を進めるとともに、オンラインストアとリアル店舗を組み合わせた集客を図ります。
・新規出店25店
・オムニチャネル売上高構成比10%(2029年2月期目標)
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、従業員と会社の持続的成長と発展を可能にする組織づくりを目的とし、環境の変化に的確に対応できるスペシャリストの育成を重点課題に設定しています。ジョブローテーションによる教育配転や階層別研修を通じて、広い視野で課題解決できる人材を育成しています。また、性別や国籍に関係なく能力を重視した多様な人材登用と、柔軟な働き方に対応できる環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 41.8歳 | 14.6年 | 6,435,706円 |
※平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.1% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 88.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 84.3% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 108.8% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 人事・労務管理体制の整備
小売業として複数の店舗および物流拠点を展開する中で、適切な労務管理が重要課題です。労働関連法令の改正などに十分対応できない場合、労務トラブルの発生や事業運営に支障を来し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) PB商品の品質管理
取扱商品の一部でPB商品を販売しており、食品への異物混入や安全性の低下などの不備が生じた場合、リコールや補償対応が必要となります。これにより信用が低下し、競争力が損なわれる可能性があります。
■(3) 店舗開発と競争の激化
出店エリアにおいて、専門店や大手スーパー、ドラッグストアなど多様な業態と競合しています。競争が激化することや、消費動向の変化により当初の計画通りに収益が見込めない場合、出店計画の変更を余儀なくされる可能性があります。
■(4) 従業員の確保と育成
新規出店などの事業拡大に伴い、店舗運営やマネジメントを担う人材の確保が重要です。労働市場の競争激化等により必要な人材が確保できない場合、既存店舗の業務効率やサービス水準が低下し、業績に影響を与える可能性があります。



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