ミスターマックス・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミスターマックス・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミスターマックス・ホールディングスは、東京証券取引所プライム市場および福岡証券取引所に上場する、ディスカウントストア事業を展開する企業です。2025年2月期の連結業績は、売上高が前期比105.4%、営業利益が同126.6%となり、増収増益を達成しました。


※本記事は、ミスターマックス・ホールディングス の有価証券報告書(第76期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ミスターマックス・ホールディングスってどんな会社?


九州・中国・関東地方を中心に、家電や日用品などを扱う総合ディスカウントストアを展開する企業です。

(1) 会社概要


同社のルーツは1950年に設立された有限会社平野ラジオ電気商会にあり、1980年に株式会社ミスターマックスへ商号変更しました。1994年には東京証券取引所第一部に上場を果たしています。2017年には持株会社体制へ移行し、現社名となりました。2020年には中国に現地法人を設立するなど、海外展開も視野に入れています。

現在の連結従業員数は689名、単体では91名です。筆頭株主は創業家資産管理会社のWaiz Holdingsで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位には取引先持株会が名を連ねており、安定した株主構成となっています。

氏名 持株比率
Waiz Holdings 25.88%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.25%
ミスターマックス取引先持株会 8.33%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性2名、計6名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は平野 能章氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
平野 能章 代表取締役社長最高経営責任者(CEO)兼最高執行責任者(COO) 1986年入社。営業企画部長等を経て1995年より社長。2008年より最高経営責任者兼最高執行責任者を務める。
小田 康徳 取締役執行役員 1977年入社。開発本部長、管理本部長兼財務部長などを歴任し、2022年3月より現職。
宮崎 隆 取締役(常勤監査等委員) 1983年入社。商品本部長、営業本部長などを経て、2022年5月より現職。


社外取締役は、家永 由佳里(弁護士)、西村 豊(元リシュモン・ジャパン社長)、岡部 麻子(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「小売事業」および「その他の事業」を展開しています。

(1) 小売事業


家電製品、日用雑貨、衣料品、食品などをセルフサービス方式で販売する総合ディスカウントストア「MrMax」を運営しています。一般消費者を主な顧客とし、九州、中国、関東エリアにドミナント出店を進めています。また、オンラインストアを通じたEC販売も行っています。

主な収益源は、店舗およびオンラインストアにおける商品販売代金です。また、子会社のミスターマックスが店舗運営を担っています。同社グループは「普段の暮らしをより豊かに、より便利に、より楽しく」を理念とし、EDLP(エブリデイ・ロープライス)戦略を推進しています。

(2) ショッピングセンター運営・物流事業


小売事業に付随する事業として、グループ全体の経営管理、ショッピングセンターの運営管理、および物流業務を行っています。ショッピングセンター運営では、テナント誘致や施設管理を通じて集客力を高め、物流事業では効率的なサプライチェーンの構築を図っています。

ショッピングセンターのテナントからの賃貸収入や、物流業務の受託による収益を得ています。ショッピングセンター運営は持株会社である同社が、物流事業は子会社のロジディアが主に担っています。これにより、小売事業を支える基盤を強化しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は1,200億円台後半から1,300億円台で推移しており、2025年2月期は過去最高を更新しました。経常利益は30億円から50億円の範囲で推移しており、安定的です。当期純利益も毎期黒字を確保しており、堅実な収益構造を維持しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上収益(または売上高) 1,318億円 1,248億円 1,269億円 1,296億円 1,366億円
経常利益 57.5億円 43.5億円 45.2億円 29.1億円 37.8億円
利益率(%) -% -% -% -% -%
当期利益(親会社所有者帰属) 35.4億円 28.5億円 34.3億円 24.4億円 24.8億円

(2) 損益計算書


売上高は増加し、売上総利益率も改善傾向にあります。これはプライベートブランド商品の拡充などが寄与したと考えられます。営業利益率も前期より向上しており、収益性が高まっています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 -億円 -億円
売上総利益 269億円 288億円
売上総利益率(%) -% -%
営業利益 30億円 38億円
営業利益率(%) -% -%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が75億円(構成比25%)、賃借料が49億円(同16%)、物流費が33億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、地域別の売上高を見ると、主力の九州地区が堅調に推移しています。中国地区、関東地区も増収となっており、全エリアで事業が拡大しています。特にその他(EC等)の伸び率が高く、オムニチャネル戦略の成果が現れ始めています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
九州地区 782億円 825億円
中国地区 147億円 154億円
関東地区 315億円 331億円
その他 14億円 16億円
連結(合計) 1,257億円 1,326億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業(健全型)です。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 39億円 54億円
投資CF -26億円 -21億円
財務CF -21億円 -40億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「普段の暮らしをより豊かに、より便利に、より楽しく」を経営理念として掲げています。「暮らしのエンパワメント(あと押し)・カンパニー」として、ディスカウントストア事業を通じ、関わるすべての人に「より良い明日」を届けることで、豊かで便利で楽しい未来の実現を目指しています。

(2) 企業文化


「明日はもっといい日になる」という希望と心のゆとりを感じられる日々の提供を重視しています。また、変化する環境に対応し、現状を否定し続けて効率化と高収益化にチャレンジする姿勢や、自ら手を挙げ主体的に取り組む「手挙げ文化」の醸成に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


2029年2月期を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画を策定し、以下の数値目標を掲げています。

* 売上高:2,000億円
* 営業利益:100億円
* 営業利益率:5.0%

(4) 成長戦略と重点施策


目標達成のため、店舗出店、オムニチャネル、M&Aおよび新規事業戦略を3つの柱としています。具体的には、北部九州や首都圏でのドミナント出店、リアル店舗とオンラインの融合、M&Aによる規模拡大や海外進出を推進しています。また、EDLP(毎日低価格)とEDLC(ローコスト運営)の徹底にも注力しています。

* 新規出店:25店
* オムニチャネル売上高構成比:10%

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を資本と捉え、スペシャリストの育成を重点課題としています。ジョブローテーションや階層別研修を通じた教育、公正な評価制度により、課題解決能力を持つ人材を育成します。また、多様な人材の登用やワークライフバランスの充実を進め、従業員と会社の持続的成長を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 43.6歳 16.7年 6,696,441円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 5.3%
男性労働者の育児休業取得率 100.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 88.1%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 83.8%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 106.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員離職率(5.5%)、女性管理職比率(20%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人材・労務関連のリスク


少子高齢化による労働力人口の減少が進む中、店舗や物流センターの運営に必要な人材の確保と育成が課題です。人材獲得競争の激化によるコスト増加や、育成が計画通りに進まない場合、サービス品質の低下や出店計画の遅れなど、事業運営や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) PB商品の品質管理


プライベートブランド(PB)商品の取り扱いにおいて、製造過程での異物混入や安全性低下などの不測の事態が発生するリスクがあります。万が一、リコールや健康被害が発生した場合、多額のコスト負担に加え、ブランドイメージや社会的信用の失墜により、業績に重大な影響を与える可能性があります。

(3) 個人情報の管理


顧客の個人情報を多数保有しており、サイバー攻撃や内部不正による情報漏洩リスクがあります。情報流出が発生した場合、損害賠償責任や社会的信用の低下、業務停止などを招き、経営成績に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。これに対し、セキュリティ対策や従業員教育を強化しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。