Olympicグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Olympicグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Olympicグループはスタンダード市場に上場し、関東圏を中心にスーパーマーケットやディスカウントストアを展開する小売企業です。直近の業績トレンドは、客数の回復や独自商品の強化を図るも、値下げによる利益圧迫や店舗閉鎖損失などにより減収および経常赤字となっており、厳しい経営環境が続いています。


※本記事は、株式会社Olympicグループの有価証券報告書(第54期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Olympicグループってどんな会社?


関東圏を中心に食品スーパーやディスカウントストア、専門店を展開し、地域に密着した小売事業を担っています。

(1) 会社概要


1973年、流通部門を分離独立させ設立されました。1996年に東証第二部に上場し、2001年に同第一部銘柄に指定されました。2006年に持株会社体制へ移行し現在のOlympicグループへ社名変更しました。近年はM&Aを積極活用し、2023年にあまいけ、2024年に三浦屋を子会社化しています。

同社グループの従業員数は連結で1,457名、単体で30名です。大株主については、筆頭株主が不動産管理業を行うカネヨシであり、第2位は取引先を持分とする持株会、第3位はオリンピアとなっています。

氏名 持株比率
カネヨシ 27.84%
Olympic取引先持株会 8.94%
オリンピア 4.90%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は大下内徹氏が務めています。また、取締役7名のうち社外取締役は3名(比率42.9%)となっています。

氏名 役職 主な経歴
大下内 徹 代表取締役社長 2017年同社顧問、同社代表取締役副社長を経て、2022年より現職。三浦屋などのグループ子会社の代表も多数務める。
金澤 伸幸 代表取締役副社長 2016年Olympic入社、ユアペティア出向を経て2019年同社代表。2025年4月より現職。
豊永 国彦 取締役 1992年同社入社。Olympicの複数店舗でブロック長を務め、2024年5月より現職。
安藤 崇 取締役 公認会計士。監査法人勤務を経て2021年Olympic入社。2024年同社常務取締役、2026年5月より現職。


社外取締役は、野田敏幸(元国税不服審判所部長審判官)、森英雄(元商工組合中央金庫代表取締役副社長)、小山智(元復興庁統括官)です。

2. 事業内容


同社グループは、「小売事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 食品事業


スーパーマーケットを中心に食品・生活用品などを販売し、地域のお客様の生活を支える事業です。「Olympic」「あまいけ」「三浦屋」の3つのブランドを展開し、それぞれの店舗規模や地域特性に応じた商品供給を行っています。

収益は一般消費者への商品販売による代金から得ています。運営はOlympicを中心に、独自ブランドを持つ三浦屋やあまいけが担い、製造部門としてオー・エス・シー・フーズやOSCベーカリーが惣菜・パンの製造卸売を行い、グループ全体で製販一体の体制を構築しています。

(2) 非食品分野(ディスカウント・専門店事業)


日用雑貨、スポーツ用品から自転車、ペット、DIY用品まで、多岐にわたる専門性の高い商品を提供する事業です。ディスカウントストアによる付加価値の高い独自商品の販売のほか、自転車、ペット、住宅設備などの単独店舗も展開しています。

収益は商品の販売代金やペットサロン・動物病院等でのサービス利用料から得ています。運営は、ディスカウント事業をOlympicが担うほか、専門店としてサイクルオリンピック(自転車)、ユアペティア(ペット)、おうちDEPO(DIY)、動物総合医療センター(動物病院)などが展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は840億〜920億円の範囲で安定して推移していますが、経常利益は減少傾向にあります。特に当期は店舗閉鎖に伴う損失や減損損失の影響が大きく、親会社所有者帰属の当期利益は大幅な赤字へと転落し、収益性の改善が急務となっています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 927億円 859億円 846億円 916億円 908億円
経常利益 18億円 2億円 1億円 -2億円 -26億円
利益率(%) 2.0% 0.2% 0.1% -0.2% -2.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 8億円 6億円 6億円 11億円 -38億円

(2) 損益計算書


売上高は微減となりましたが、原材料やエネルギーコストの高騰により売上総利益も減少しました。さらに、人件費の上昇や店舗の閉鎖費用などがかさみ、営業利益は赤字に転落しています。収益構造の改革とローコスト運営の徹底が求められる状況です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 916億円 908億円
売上総利益 302億円 295億円
売上総利益率(%) 33.0% 32.5%
営業利益 1億円 -24億円
営業利益率(%) 0.1% -2.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が134億円(構成比34%)、不動産賃借料が96億円(同24%)を占めています。また、売上原価(613億円)は売上高に対する構成比が約68%を占めており、仕入原価や製造業務におけるコスト削減の推進が課題となっています。

(3) セグメント収益


同社グループの小売事業は単一セグメントですが、部門別の売上動向を見ると、食品部門は生活必需品としての安定した需要を背景に売上を伸ばした一方、非食品部門は消費者の節約志向や競合激化の影響を受け減収となりました。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
食品部門 602億円 622億円
非食品部門 314億円 286億円
連結(合計) 916億円 908億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社の当期のキャッシュ・フローは、営業活動で生み出した資金で借入金の返済や投資を行う「健全型」のパターンを示しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 6億円 34億円
投資CF -36億円 -5億円
財務CF 43億円 -30億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-16.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は32.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「正直を売る」を基本理念としています。お客様に対して「鮮度・品質・価格において満足される商品を提供すること」、そして取引先、地域社会、従業員に対して「信頼される企業グループであり続けること」を経営の基本方針として掲げ、より豊かな社会の実現に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


基本方針のもと、「より良い商品をより安く」提供し続けることをモットーとしています。お客様のライフスタイルや価値観が多様化する中でも、徹底したローコスト運営により低価格を維持するEDLP政策を継続し、地域社会のライフラインを守るための安定した商品供給に努める文化が特徴です。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、当面の目標として以下の数値を掲げています。規模の拡大と併せて、より一層重視する項目として収益力の向上を目指しています。

- 営業収益2,000億円
- 営業収益経常利益率10%

(4) 成長戦略と重点施策


集客力の強化と構造改革による経営効率の向上を最重要課題とし、次なる成長への基盤確立を目指します。食品分野では製造と販売の機能・役割を明確化して生産性を向上させ、非食品分野ではPB(プライベートブランド)商品の開発強化とECサイトによる販路拡大を推進します。さらに、アプリを通じた顧客データの分析・活用や、持続可能な社会実現のための省エネ設備導入により、企業価値の向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、中長期的な企業価値向上の観点から「働きがいのある職場環境の実現」を重要なテーマと位置づけています。ITシステムの導入による業務効率化を通じて労働生産性を高めるほか、人的資本への投資として専門部署である人財開発部を設置し、従業員の能力開発研修や効果的な人材育成施策を策定・実施しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 48.8歳 16.8年 5,883,127円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.7%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 57.9%
男女賃金差異(正規雇用) 60.7%
男女賃金差異(パート・有期) 45.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、主任候補者研修ののべ参加数(23名)、フォローアップ研修ののべ参加数(176名)、通信教育の受講者数(7名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気動向と過当競争による影響


小売業界全体がオーバーストア状態にあり、他社との激しい競争に直面しています。同社グループは鮮度や品質、価格面で差別化を図っていますが、世界的な経済情勢や雇用環境の変化に伴う個人消費の低下が、店舗の売上や収益に直接的な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 敷金及び保証金等の回収リスク


同社の店舗出店は賃借物件が多いため、ディベロッパーや土地所有者に対して敷金、保証金、建設協力金を差し入れています。これらの資金の差入先となる企業の財政状態が悪化した場合、預け入れた資金の一部または全額が回収できなくなり、業績や資金繰りに悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 出店に対する法的規制のリスク


同社は関東の1都3県を中心にドミナント出店を推進していますが、店舗面積1,000㎡を超える大型店舗の出店や増床には「大規模小売店舗立地法」による規制が適用されます。周辺地域の生活環境保持の観点から営業条件が制限された場合、出店計画の遅延や想定通りの事業展開が困難になる可能性があります。

(4) 食品の安全性に関するリスク


お客様に安全な食品を提供するため、食中毒の未然防止や商品履歴の明確化を徹底しています。しかし、万が一予測不可能な食中毒の発生や加工食品の原材料汚染、産地偽装、感染症の流行などによる風評被害が起きた場合、企業への信頼が著しく低下し、業績に重大な影響を及ぼす恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。