Olympicグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Olympicグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所 スタンダード市場に上場しており、首都圏を中心にスーパーマーケットやディスカウントストア、専門店を展開する小売企業です。食品事業と非食品事業を柱に、M&Aによる規模拡大を進めています。直近決算では増収となったものの、営業利益は減益となり、経常損益は赤字に転じています。


※本記事は、株式会社Olympicグループ の有価証券報告書(第53期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Olympicグループってどんな会社?


首都圏(1都3県)を地盤に、食品スーパー、ディスカウントストア、専門店等を多角的に展開する流通グループです。

(1) 会社概要


1973年に設立され、1996年に東京証券取引所市場第二部に上場、2001年には同第一部へ指定替えとなりました。2006年に持株会社体制へ移行し、現在の商号に変更しています。近年はM&Aを積極的に活用しており、2024年には高級スーパーの三浦屋を完全子会社化するなど事業基盤を拡大しています。現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。

連結従業員数は1503名(単体31名)です。筆頭株主は創業家資産管理会社の株式会社カネヨシで、第2位は取引先持株会、第3位は資産管理会社の株式会社オリンピアです。創業家および関連企業が主要株主として名を連ねています。

氏名 持株比率
カネヨシ 27.84%
Olympic取引先持株会 8.52%
オリンピア 4.90%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役社長は大下内 徹氏です。社外取締役比率は21.4%です。

氏名 役職 主な経歴
大下内 徹 代表取締役社長 2017年顧問就任後、Olympic代表取締役副社長等を経て2022年より現職。三浦屋、OSCトレーディング等のグループ会社代表も兼任。
金澤 伸幸 代表取締役副社長 2016年Olympic入社。ユアペティア社長等を経て、2025年4月より現職。動物総合医療センター等のグループ会社代表も兼任。
金澤 良樹 取締役会長 1973年入社。1992年社長就任。2018年代表取締役会長CEOを経て、2025年5月より現職。カネヨシ社長等を兼任。
金澤 祥貴 取締役 2014年Olympic出向。店長、ブロック長を経て2022年より現職。Olympic副社長、OSCあまいけ社長等を兼任。
豊永 国彦 取締役 1992年入社。店長、ブロック長、Olympic取締役等を経て、2024年より現職。Olympic専務取締役を兼任。
木村 芳夫 取締役総務部長 2013年Olympic入社。管理本部長等を経て2019年より現職。OSCクリンネス社長等を兼任。
森 威文 取締役人事部長 2008年スコア入社、2015年同社社長。経営企画部長を経て2020年より現職。Olympic専務取締役人事部長を兼任。


社外取締役は、野田 敏幸(元名古屋国税不服審判所所長)、森 英雄(元商工組合中央金庫代表取締役副社長)、小山 智(日本建設機械工業会専務理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「食品事業」および「非食品事業」を展開しています。

(1) 食品事業


スーパーマーケットにおける生鮮食品、惣菜、加工食品などの販売を行う事業です。日常の食卓を支える食品全般を取り扱っています。

販売による収益が主な収入源です。運営は、中核事業会社の株式会社Olympic、高級食材を扱う株式会社三浦屋、地域密着型の株式会社OSCあまいけなどが担っています。また、株式会社オー・エス・シー・フーズなどが製造・卸売を行っています。

(2) 非食品事業


日用品、家電、スポーツレジャー用品、ペット用品、自転車、DIY用品などを販売する事業です。ディスカウントストア形式や各種専門店形式で展開しています。

商品販売による収益のほか、トリミングや修理などのサービス料も収益源となります。運営は株式会社Olympicのほか、ペット専門の株式会社ユアペティア、自転車専門の株式会社サイクルオリンピック、DIY・ガーデニングの株式会社おうちDEPOなどが各専門分野を担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移です。売上高は回復傾向にあり、特に直近ではM&A効果等により900億円台に乗せました。一方で、利益面では経常損益、当期純損益ともに赤字となるなど、収益性の改善が課題となっています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 1,011億円 927億円 859億円 846億円 916億円
経常利益 46億円 18億円 2億円 0.5億円 -2億円
利益率(%) 4.5% 2.0% 0.2% 0.1% -0.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.4億円 8億円 6億円 6億円 11億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。売上高は増加しましたが、売上原価や販管費の増加により営業利益は減少しました。特別利益として投資有価証券売却益等を計上したものの、減損損失等の特別損失もあり、最終的な親会社株主に帰属する当期損益は赤字となりました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 846億円 916億円
売上総利益 285億円 302億円
売上総利益率(%) 33.7% 33.0%
営業利益 2億円 0.5億円
営業利益率(%) 0.2% 0.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が119億円(構成比31.8%)、不動産賃借料が98億円(同26.3%)を占めています。

(3) セグメント収益


部門別の売上動向です。食品部門は新規連結効果もあり大幅な増収となりましたが、非食品部門は減収となりました。消費者の節約志向や競争激化の影響を受けています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
食品部門 507億円 602億円
非食品部門 339億円 314億円
連結(合計) 846億円 916億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、事業活動から得た資金を、設備投資や子会社株式の取得に充てつつ、長期借入やセール・アンド・リースバックによる資金調達も活用しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に減価償却費の計上や棚卸資産の増加等により、前連結会計年度と比較して減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や子会社株式の取得等により、使用額が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入やセール・アンド・リースバックによる収入が、長期借入金の返済や配当金の支払いを上回ったことで、収入超過となりました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 18億円 6億円
投資CF -21億円 -36億円
財務CF 2億円 43億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「正直を売る」を基本理念としています。お客様に鮮度・品質・価格において満足される商品を提供すること、また、取引先、地域社会、従業員に対して信頼される企業グループであり続けることを経営の基本方針として掲げています。

(2) 企業文化


「より良い商品をより安く」提供し続けることをモットーとしています。お客様のニーズに応え、より豊かな社会の実現に貢献することを目指しており、ローコストオペレーションの徹底や独自商品の開発などを通じて、顧客価値の最大化を図る文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


当面の目標として営業収益2,000億円の達成を掲げています。また、規模の拡大と併せて収益力の向上を重視しており、営業収益経常利益率10%の実現を目指して経営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


1都3県でのドミナント化によるシェア拡大、ローコストオペレーションの徹底、専門店を指向した業態戦略を推進しています。食品事業では製造小売(SPA)化を進め、ディスカウント事業では独自商品の開発を強化します。また、M&Aも積極的に活用し、事業拡大と収益力向上を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


優秀な人材の確保、育成および生産性の向上が不可欠であると認識し、専門部署として人財開発部を設置しています。効果的な人材育成施策を策定・実施しており、階層別研修や業務スキル習得のための通信教育などを通じて、働きがいのある職場環境の実現に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 47.3歳 15.0年 5,041,566円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.7%
男性育児休業取得率 12.5%
男女賃金差異(全労働者) 68.3%
男女賃金差異(正規雇用) 74.2%
男女賃金差異(非正規) 60.7%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気動向及び競争激化


小売業界はオーバーストア状態にあり、同業他社との競争が激化しています。また、経済状況の変化による個人消費の動向が業績に影響を与える可能性があります。同社は商品力や販売力の強化で差別化を図っていますが、競争環境や消費動向によっては収益に悪影響が及ぶ可能性があります。

(2) 店舗出店に関する法的規制


「大規模小売店舗立地法」などの法的規制により、新規出店や増床に際して周辺環境への配慮が求められます。これにより、出店計画や営業条件に制約が生じる場合があり、今後の事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 借入金利の変動


金融機関からの借入を行っているため、金利水準が大幅に上昇した場合には支払利息が増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は金利変動リスクを一定程度管理していますが、市場環境の変化には注意が必要です。

(4) 敷金及び保証金等の回収リスク


店舗出店に際して貸主に差し入れている敷金、保証金、建設協力金について、差入先の財政状態が悪化した場合には資金の一部または全額が回収できなくなるリスクがあります。これにより、業績に損失が発生する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。