天満屋ストア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

天満屋ストア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する岡山県地盤の小売企業です。スーパーマーケット「天満屋ハピーズ」「天満屋ハピータウン」等を展開し、食料品や衣料品の販売を行っています。直近の業績は、商品力強化やインバウンド需要等により売上高は微増、営業利益も微増を確保し、特別利益等の計上で当期純利益は大幅な増益となりました。


※本記事は、株式会社天満屋ストア の有価証券報告書(第56期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 天満屋ストアってどんな会社?


岡山県を中心に「天満屋ハピータウン」「天満屋ハピーズ」などのスーパーマーケットを展開する小売企業です。

(1) 会社概要


1969年に会社設立およびスーパーマーケット1号店を開店し、1989年に大阪証券取引所市場第二部へ上場しました。2013年には株式会社イトーヨーカ堂との資本提携および株式会社セブン&アイ・ホールディングス、株式会社天満屋との業務提携を締結しています。2025年4月には株式会社ヒナセショッピングセンターを子会社化しました。

連結従業員数は493名、単体では391名です。筆頭株主は不動産業を営む丸田産業株式会社で、第2位は資本提携先である事業会社の株式会社イトーヨーカ堂、第3位は同じく事業会社の株式会社天満屋となっており、天満屋グループおよびセブン&アイグループとの関係性が深い資本構成となっています。

氏名 持株比率
丸田産業株式会社 23.95%
株式会社イトーヨーカ堂 20.00%
株式会社天満屋 12.77%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名(社外取締役含む)の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は野口重明氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
木住 勝美 代表取締役会長 1971年株式会社天満屋入社。同社常務取締役管理本部長、代表取締役会長などを経て、2018年同社代表取締役会長に就任。2022年より株式会社天満屋取締役相談役を兼務。
野口 重明 代表取締役社長 1982年同社入社。生鮮センター所長、株式会社でりか菜社長、同社営業本部長などを歴任。2014年社長執行役員を経て、2018年より現職。
森 眞吾 常務取締役執行役員営業本部長兼商品第二部長兼物流担当部長 1988年同社入社。店舗運営部長、人事部長、商品第一部長などを歴任。2025年2月より常務取締役執行役員営業本部長兼商品第二部長兼物流担当部長。
國府 慎一郎 取締役執行役員管理本部長兼人事総務部長 1989年同社入社。総務部長、財務企画部経営企画部門長などを歴任。2023年9月より取締役執行役員管理本部長兼人事総務部長。


社外取締役は、武本俊夫(税理士)、山本愛子(弁護士・法人代表)、石原久美子(株式会社天満屋経営企画室部長)、柴田太(株式会社イトーヨーカ堂関西中京事業部総括マネジャー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「小売事業」、「小売周辺事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 小売事業


食料品、雑貨、衣料品の小売業を主体とし、これに付帯する店舗賃貸業等を展開しています。また、移動販売事業も行っています。地域に密着したスーパーマーケットとして、一般消費者を主な顧客としています。

商品の販売代金やテナントからの賃貸料が主な収益源です。運営は主に株式会社天満屋ストアが行っており、連結子会社の有限会社ハピーバラエティが移動販売事業を担っています。

(2) 小売周辺事業


主に惣菜等の調理食品の製造販売業を営んでいます。また、飲食事業や高速道路サービスエリアの運営なども行っています。

商品やサービスの提供対価が収益源です。運営は連結子会社である株式会社でりかエッセン、株式会社でりか菜、および株式会社三好野本店が行っています。

(3) その他


不動産管理業およびインターネットメディア事業を展開しています。

サービスの提供対価が収益源です。運営は関連会社である株式会社リブ総社(不動産管理業)および株式会社まちケア(インターネットメディア事業)が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年2月期から2022年2月期にかけて売上高は減少傾向にありましたが、会計基準の適用変更の影響が含まれています。直近の2025年2月期にかけては売上高、経常利益ともに緩やかな増加傾向にあり、利益率は4%台で安定しています。特に当期純利益は直近で大きく伸長しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 664億円 640億円 546億円 553億円 554億円
経常利益 24億円 25億円 21億円 24億円 24億円
利益率(%) 3.6% 3.8% 3.8% 4.3% 4.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 10億円 11億円 12億円 14億円

(2) 損益計算書


売上高は微増し、売上総利益率は前年並みを維持しています。営業利益および営業利益率もほぼ横ばいで推移しており、安定した収益構造が見て取れます。コストコントロールにより利益水準を維持しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 553億円 554億円
売上総利益 161億円 157億円
売上総利益率(%) 29.2% 28.4%
営業利益 23億円 23億円
営業利益率(%) 4.1% 4.1%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料が38億円(構成比23%)、賃借料が24億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


小売事業は売上高が微減となりましたが、主力である食料品は堅調でした。小売周辺事業はインバウンド需要の拡大等により増収となりました。全体としては微増収となっています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
小売事業 511億円 510億円
小売周辺事業 74億円 77億円
連結(合計) 586億円 587億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

天満屋ストアのキャッシュ・フローの状況について解説します。

同社は、小売周辺事業においてグループシナジー創出に取り組んだ結果、営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、敷金及び保証金の回収・返還による支出の減少などにより、前連結会計年度に比べ増加し、支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増減や返済による支出の減少などにより、前連結会計年度に比べ増加し、支出となりました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 37億円 30億円
投資CF -11億円 -8億円
財務CF -27億円 -23億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「優良商品の販売を通じて地域社会の生活文化の向上に寄与する」という経営理念を掲げています。お客様の「普段の生活」(食べる、装う、使う)を切り口に、毎日のお買い物をより便利に、より経済的に、より楽しくサポートすることを目指しています。

(2) 企業文化


商品、売場環境、販売サービスの向上に注力し、「常に新鮮な感動」や「素敵な生活提案」ができる企業グループを目指す姿勢を重視しています。地域社会への貢献とお客様の生活サポートを念頭に置いた事業活動を推進しています。

(3) 経営計画・目標


営業力の強化と収益力の向上を重要課題とし、営業収益経常利益率の改善に努めています。また、資産の効率的な運用を重視する観点から、総資産経常利益率のさらなる向上を目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


「事業戦略」「営業戦略」「人事・総務戦略」「財務戦略」を柱とした経営構造改革に取り組んでいます。小売事業では生鮮食品を中心とした商品力強化やEDLP(低価格戦略)の推進、「セブンプレミアム」の拡販を行います。また、フルセルフレジやAIを活用したシステム導入による業務効率化、物流問題への対策を進めるほか、M&Aによる商圏拡大や業務提携先とのシナジー効果を追求します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


ライフステージに応じた全年代の従業員が活き活きと働ける組織を目指し、人材育成と労働環境の整備に注力しています。OJTや階層別研修を通じた教育を実施するとともに、女性店長の登用や女性管理職比率向上に向けた採用・教育強化、育児・介護と仕事の両立支援など、ダイバーシティの推進やワークライフバランスの充実に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 41.2歳 17.0年 4,436,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.4%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 61.1%
男女賃金差異(正規) 73.3%
男女賃金差異(非正規) 92.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合環境の激化


岡山県や広島県などの出店エリアにおいて、スーパーマーケットだけでなく異業種を含めた競合他社との競争が激化しています。新規出店等により店舗の収益力が想定を超えて低下した場合、業績に悪影響を与える可能性があります。

(2) 大規模災害の発生


自然災害や火災、事故等による店舗施設の被害やシステム障害のリスクがあります。緊急時の体制は整備されていますが、想定を超える災害や社会インフラの大規模障害が発生した場合、営業活動に支障をきたし、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法的規制への対応


大規模小売店舗立地法、独占禁止法、食品衛生法など、多岐にわたる法的規制を受けて事業を行っています。これらの法令遵守に努めていますが、万一違反する事態が生じた場合、社会的信用の失墜や営業制限等により、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 食品の安全性


食の安全・安心を基本に品質管理や衛生管理を徹底していますが、予期せぬ商品事故等が発生した場合、安全性や品質に対する信頼が低下し、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。