※本記事は、株式会社天満屋ストアの有価証券報告書(第57期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 天満屋ストアってどんな会社?
岡山県を中心に食料品や雑貨、衣料品の小売事業を展開し、地域密着型のスーパーマーケットを運営しています。
■(1) 会社概要
1969年に設立され、同年スーパーマーケット1号店を開店しました。1972年に天満屋ハピータウン、1996年にハピーズを展開して事業を拡大しています。2013年にイトーヨーカ堂との資本提携やセブン&アイ・ホールディングス、天満屋との業務提携を締結し、2025年にはヒナセショッピングセンターを子会社化しました。
現在の従業員数は連結501名、単体383名です。筆頭株主は不動産業を営む関係会社の丸田産業で、第2位は資本業務提携先であるイトーヨーカ堂、第3位は主要株主である天満屋となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 丸田産業 | 23.95% |
| イトーヨーカ堂 | 20.00% |
| 天満屋 | 12.77% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は野口重明氏が務めています。社外取締役の比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 野口重明 | 代表取締役社長 | 1982年4月同社入社。1997年3月鴨方店長、2000年3月生鮮センター所長を経て、2014年5月代表取締役社長。2018年5月より現職。 |
| 森眞吾 | 常務取締役執行役員営業本部長兼商品第一部長兼商品第二部長兼物流担当部長 | 1988年4月同社入社。店舗運営部長、人事部長、岡南店長、商品第一部長などを経て、2026年2月より現職。 |
| 國府慎一郎 | 取締役執行役員管理本部長兼人事部長 | 1989年4月同社入社。天満屋監査役、総務部長、管理本部長などを歴任し、2026年2月より現職。 |
社外取締役は、武本俊夫(税理士)、山本愛子(弁護士・大学准教授)、石原久美子(天満屋副店長等)、柴田太(イトーヨーカ堂総括マネジャー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「小売事業」および「小売周辺事業」の2つを報告セグメントとし、その他事業も展開しています。
■小売事業
食料品、雑貨、衣料品の小売業を主体とし、これに付帯する店舗賃貸業などを営んでいます。また、生鮮食品を中心に地産地消などの特色ある品揃えを行うほか、移動販売事業も展開して新たな商圏を開拓しています。
一般顧客への商品販売や不動産賃貸などから収益を得ています。事業の運営は同社のほか、食料品などの小売業を営む子会社のヒナセショッピングセンターや、移動販売事業を行うハピーバラエティが行っています。
■小売周辺事業
主に惣菜などの調理食品の製造販売業を営んでいます。品質管理と衛生管理を徹底するとともに、多様なニーズに対応するための商品開発力の強化や、店舗での飲食事業などを展開しています。
製造した惣菜の販売や店舗での飲食サービスなどから収益を得ています。運営は、でりかエッセン、でりか菜、三好野本店などの子会社が行っています。
■その他事業
報告セグメントに含まれない事業として、不動産管理業やインターネットを通じたメディア事業などを展開しています。
不動産管理の受託やメディアの運営により収益を得ています。持分法非適用の関連会社であるリブ総社やまちケアが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は緩やかな増加傾向にあります。経常利益も概ね安定して推移しており、既存店舗の活性化や低価格戦略の強化などを通じて収益力の維持と改善に取り組んでいることがうかがえます。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 640億円 | 546億円 | 553億円 | 554億円 | 560億円 |
| 経常利益 | 25億円 | 21億円 | 24億円 | 24億円 | 23億円 |
| 利益率(%) | 3.8% | 3.8% | 4.3% | 4.3% | 4.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 10億円 | 11億円 | 12億円 | 14億円 | 13億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期から微増となりましたが、売上総利益率は横ばいで推移しています。一方で、営業利益および営業利益率は販売費及び一般管理費の増加などの影響により、やや低下する結果となりました。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 554億円 | 560億円 |
| 売上総利益 | 157億円 | 158億円 |
| 売上総利益率(%) | 28.4% | 28.2% |
| 営業利益 | 23億円 | 22億円 |
| 営業利益率(%) | 4.2% | 3.9% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料が38億円(構成比43%)、賃借料が24億円(同14%)、減価償却費が14億円(同8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
セグメント別の売上高を見ると、主力の小売事業が安定した売上を維持し、全体を牽引しています。また、小売周辺事業もインバウンド需要の拡大などにより、前期から売上が増加しました。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 小売事業 | 510億円 | 514億円 |
| 小売周辺事業 | 77億円 | 78億円 |
| 連結(合計) | 587億円 | 592億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業の営業活動で安定的に資金を生み出し、その資金を既存店舗の改装や新規投資に充てるとともに、借入金の返済などの財務活動も行っている「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 30億円 | 30億円 |
| 投資CF | -8億円 | -27億円 |
| 財務CF | -23億円 | -3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「優良商品の販売を通じて地域社会の生活文化の向上に寄与する」という経営理念を掲げています。お客様の「普段の生活(食べる、装う、使う)」を切り口に、毎日のお買い物をより便利で経済的、かつ楽しくサポートすることを念頭に置き、「常に新鮮な感動」と「素敵な生活提案」ができる企業グループを目指しています。
■(2) 企業文化
地域社会に密着した運営を重視する企業文化があります。地元の自治体や学校法人と包括協定を結び、地域や社会への貢献に意欲的に取り組んでいます。また、地元食材を使用した商品開発や販売、地産地消など特色ある品揃えに注力しており、地域顧客のニーズに応える姿勢が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
営業力の強化と収益力の向上を重要課題として位置づけ、営業収益経常利益率の改善に努めています。また、資産の効率的な運用を重視する観点から、総資産経常利益率をさらに向上させるべく経営に取り組んでいます。当期の実績としては、営業収益経常利益率3.8%、総資産経常利益率5.2%となっています。
■(4) 成長戦略と重点施策
各企業の持ち味を活かしながら、商流や物流、人材の交流など業務提携を強化し、経営資源の効率的運用を推進します。具体的には、主力商品のブラッシュアップや新販促「値下げ宣言」による低価格戦略の強化、セルフレジや電子棚札などのデジタル技術を活用した生産性の向上とコスト削減に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
ライフステージに応じた全年代の従業員が活き活きと働ける組織を目指し、人材育成と「人」への投資、労働環境の整備を推進しています。OJTを中心とした階層別研修や外部講師による研修を行うほか、時間管理の徹底によるワークライフバランスの充実や、多様性を尊重するダイバーシティの推進に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 41.5歳 | 17.2年 | 4,627,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.8% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全) | 61.8% |
| 男女賃金差異(正規) | 73.9% |
| 男女賃金差異(非正規) | 90.3% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済動向や天候不順の影響
景気の動向や消費予測、商品動向に基づいて販売計画を立てていますが、想定を超える経済状態の変化や天候不順などが発生した場合、同社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
■(2) 異業種を含む競合他社との競争激化
小売業界は相次ぐ新規出店により競争が激化しています。出店エリアである岡山県や広島県などへの競合他社の進出により、店舗の収益力が想定を超えて低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 大規模小売店舗立地法などの法的規制対応
大規模小売店舗立地法、独占禁止法、食品衛生法、環境やリサイクル関連法など様々な法的規制を受けています。万一これらの規制に違反する事由が生じた場合、社会的信用の低下や業績への影響が懸念されます。
■(4) 食品の安全性に関するリスク
「食の安全・安心」を基本に徹底した品質管理と衛生管理に取り組んでいますが、予期せぬ商品の事故などにより安全性や品質に対する信用が低下した場合、経営成績に影響を与える可能性があります。



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