※本記事は、株式会社アークス の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アークスは持株会社であり、単体従業員数は125名、グループ連結従業員数は5,464名です。
同社グループは、子会社15社を中心にスーパーマーケット事業を主軸としています。小売関連事業を単一セグメントとしており、食料品を中心とした小売事業を展開しています。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)ラルズ(食料品等小売事業)、エルディ、ふっくら工房(パン、和・洋菓子の製造及び販売)、ハピネス・デリカ(惣菜類等の製造及び販売)などです。
直近では、2025年9月にベルジョイスがみずかみを吸収合併しました。また、オータニ農場は2025年10月に清算結了しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アークスは持株会社であり、グループ全体の人材マネジメントを統括しています。同社グループでは、従業員の育成や多様な働き方を推進する方針を掲げており、安定した環境で長く働くことを重視する傾向が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
アークス単体では、従業員の平均年齢が高く、勤続年数も長めであることから、安定した環境で長く働く傾向が見られます。
なお、アークスは持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,240,495円 |
| 平均勤続年数 | 15.5年 |
| 平均年齢 | 47.4歳 |
| 単体従業員数 | 125人 |
| 連結従業員数 | 5,464人 |
| 単体のグループ内比率 | 2.3% |
アークスグループは、退職金制度として、積立型の確定給付企業年金制度(キャッシュ・バランス・プラン)を設けています(確定給付型=給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)。この制度は、アークス、ラルズ、ユニバース、ベルジョイス、福原、道北アークス、東光ストア、道東アークス、道南ラルズ、エルディ、ハピネスデリカ、梶尾フラワーの12社に適用されています。その他の連結子会社は非積立型の退職一時金制度を設けています。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
当連結会計年度末における退職給付債務は200億円、年金資産は281億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、2013年に定めた「人材育成理念」を人材育成方針としています。この理念は、人間力、常識力、基礎的技能、変化対応力、自律(立)力の向上を掲げ、豊かな人間性と共育の精神を持つ人材の育成を目指しています。
2005年よりグループ統一人事制度を導入し、2019年4月からは役職ごとの役割と処遇を明確にしたグループ統一の役割等級制度を採用しています。これにより、新人社員から経営職まで、役割等級ごとに体系的な教育研修を実施し、キャリア形成を一元化しています。
サステナビリティに関する重点課題の一つとして「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」を掲げ、「全ての人がイキイキと自分らしく活躍できる魅力ある職場をつくる」ことを社内環境整備方針としています。具体的な取り組みとして、グループ横断の「ダイバーシティ推進プロジェクト」による啓発活動や、アークスグループ カスタマーハラスメント対応基本方針の策定・公表を進めています。
また、健康経営優良法人の認定取得、半日有休や子育て中の従業員の時短勤務制度、定年後再雇用制度の導入など、ワークライフバランスの推進と従業員のWell-being(ウェルビーイング)の実現を目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 11.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 58.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 71.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 49.4% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ㈱ラルズ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 10.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 20.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 53.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 78.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 103.3% |
▼ ㈱ユニバース
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 8.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 45.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 54.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 79.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 109.1% |
▼ ㈱ベルジョイス
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 55.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 78.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 91.4% |
グループ全体(連結)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 期末女性管理職比率 | 7.8% |
| 男性育休取得率 | 40.0% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 正社員一人あたりの研修時間 | 15.8時間 |
| 障がい者雇用比率 | 3.3% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アークスグループは、地域に根差したスーパーマーケット事業を核として、人々の豊かな暮らしに貢献する多様なサービスを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
アークスグループは、スーパーマーケット事業を主軸としています。小売事業では、食料品を中心としたスーパーマーケットの運営に加え、ホームセンター、医薬品等の小売、パンや惣菜の製造販売、生花・植木の生産販売、水産品の販売など多岐にわたる商品・サービスを提供しています。
その他の事業として、旅行代理店業務、施設の清掃や設備保守管理を行うビルメンテナンス、不動産賃貸、損害保険・生命保険代理店業、食品卸売業、産業廃棄物・一般廃棄物収集運搬、建設事業も展開しています。同社グループの収益は、主に商品の販売から得られており、不動産賃貸収入なども収益の一部を構成しています。国内での事業展開が中心であり、海外からの収益は発生していません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期間にわたり売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向にあります。特に直近の当連結会計年度では、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも前期から増加し、営業利益と親会社株主に帰属する当期純利益は二桁の増益となりました。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,776億円 | 5,662億円 | 5,916億円 | 6,083億円 | 6,270億円 |
| 経常利益 | 173億円 | 164億円 | 184億円 | 175億円 | 192億円 |
| 経常利益率 | 3.0% | 2.9% | 3.1% | 2.9% | 3.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 103億円 | 99.5億円 | 118億円 | 111億円 | 124億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 182.47 | 177.47 | 214.03 | 204.96 | 231.36 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、生産性の向上がうかがえます。また、従業員1人あたり営業利益も前期から増加しており、効率的な事業運営が進んでいることが示されています。これらの指標の改善は、同社グループが事業規模の拡大と同時に、従業員一人ひとりの貢献度を高めていることを示唆しています。
| 指標 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 107.4百万円 | 114.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.8百万円 | 3.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、堅実な事業運営により安定した財務基盤を築いています。本業で得た資金を元手に、将来に向けた投資も着実に進めている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあります。これは、安定した経営体質を示しています。
ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っていますが、前期から改善傾向にあります。
手元資金である現金及び預金も潤沢に確保されており、事業運営における安定性がうかがえます。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1,840億円 | 1,961億円 |
| 自己資本比率 | 65.1% | 65.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.1% | 6.5% |
| 現金及び預金 | 801億円 | 912億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期の営業活動によるキャッシュフローは263億円の収入となり、前期から増加しています。これは主に税金等調整前当期純利益の増加、未払消費税等の増加、法人税等の支払額の減少によるものです。本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。
投資活動によるキャッシュフローは△73.4億円の支出となり、前期と比較して支出額が減少しました。これは主に店舗改装等に伴う有形固定資産の取得による支出やシステム関連投資に伴う無形固定資産の取得による支出があった一方で、有形固定資産の取得による支出が減少したこと、投資有価証券の償還や売却による収入が増加したことによるものです。フリーキャッシュフローは190億円のプラスとなっており、本業で得た資金が投資を上回る優良な状態を示しています。
財務活動によるキャッシュフローは△78.7億円の支出となり、前期から支出額が増加しました。これは主に長期借入れによる収入があった一方で、長期借入金の返済による支出、自己株式の取得による支出、配当金の支払額が増加したことによるものです。これらのキャッシュフローの状況から、同社グループは本業で安定した資金を創出し、財務的な健全性を保ちながら事業を継続していることがうかがえます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 194億円 | 263億円 |
| 投資CF | △115億円 | △73.4億円 |
| 財務CF | △25.9億円 | △78.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 78.9億円 | 190億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、小売業界における競争激化やお客様の消費動向の変化を事業環境の変化に関するリスクとして認識しています。これらの変化に対応するため、エリアドミナント戦略による地域シェアの確保や顧客情報を活用したマーケティング推進に取り組んでいます。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、少子高齢化の進行による労働人口の減少や企業間における人材獲得競争の激化、離職による優秀な人材の確保・育成難を人材確保に関するリスクとして認識しています。これに対し、社内環境整備方針の確立と徹底、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、採用方法の多様化、教育研修制度の充実といった対応策を講じています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アークスグループは、小売業界の再編が進む中で、地域のお客様のライフラインを守ることを共通認識としています。企業価値の向上と経営資源の成長を目指し、事業を展開しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
アークスグループは、「地域のライフラインとして価値ある商品・サービスを低価格で提供し、豊かな暮らしに貢献」することをグループ理念として掲げています。コーポレートステートメントは「豊かな大地に輝く懸け橋(Bridge on the Rich Land for Your Life)」です。これは、生産地とお客様、そして地域企業同士を結ぶ懸け橋になりたいという思いが込められています。
グループ名「ARCS」は、Always(常に)、Rising(上昇する)、Community(地域社会に)、Service(奉仕する)の頭文字で構成されています。これは「1つひとつの企業が強い“弧”となり、大きな円=ARCSを創りあげ、地域社会に貢献していく」ことを表しています。同社グループは「八ヶ岳連峰経営」を標榜し、企業とお客様の距離を短く保ち続けることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、徹底した顧客志向に基づくお客様への奉仕の精神を大切にしています。純粋持株会社である同社は、グループ全体のシンクタンク的な役割を担い、業務執行責任の明確化や意思決定のスピードアップ、グループ共通の課題解決に取り組んでいます。
M&Aにおいては「Mind & Agreement:心と意見の一致」を基本としています。人材育成では「人間力の向上」「常識力の向上」「基礎的技能の向上」「変化対応力の向上」「自律(立)力の向上」を掲げ、多様な人材が活躍できる環境づくりを目指しています。社内環境整備方針は「全ての人がイキイキと自分らしく活躍できる魅力ある職場をつくる」です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは「新インフレを凌ぎ 新参入とも共進 新納得価格で 明るく楽しく前むきに邁進」を年頭方針としています。グループ全体の生産性向上と収益力の強化を着実に進め、「新納得価格」での商品提供を通して地域のライフラインとしての使命を果たすことを目指しています。
サステナビリティ活動では、「環境負荷の低減」と「人的資本の強化」を両輪としています。特に人的資本の強化においては、ダイバーシティ&インクルージョンの観点から多様な人材が活躍できる環境づくりを進め、従業員の健康増進として健康経営の推進に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アークスは持株会社としてグループ全体の中長期計画や戦略を決定し、子会社に対する管理・指導を行っています。監査役制度を採用しており、取締役会と監査役会による業務執行監督および監視体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
横山清氏が筆頭株主であり、個人株主が上位に名を連ねています。また、複数の事業会社やアークスグループ取引先持株会も大株主として名を連ねており、多様な株主によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 横山 清 | 5.71% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 5.61% |
| 北海道銀行 | 4.75% |
| 丸治 | 2.69% |
| 北洋銀行 | 2.65% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役会長・CEOは横山清氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 横山 清 | 代表取締役会長・CEO | 1961年12月同社入社、1985年4月同社代表取締役社長、2007年5月㈱ラルズ代表取締役会長・CEO、2024年5月同社代表取締役会長・CEOより現職。 |
| 猫宮 一久 | 代表取締役社長・COO | 1983年3月同社入社、2016年5月㈱ラルズ代表取締役社長・COO兼営業本部長、2024年5月同社代表取締役社長・COOより現職。 |
| 古川 公一 | 取締役副会長・CFO | 1980年4月㈱北海道銀行入行、1998年10月同社入社、2024年5月同社取締役副会長・CFOより現職。 |
| 三浦 建彦 | 取締役執行役員 | 2005年6月㈱ユニバース入社、2020年5月同社代表取締役COO兼管理本部長、2021年5月㈱ユニバース代表取締役社長より現職。 |
| 福原 郁治 | 取締役執行役員 | 1995年9月㈱福原入社、2013年5月同社代表取締役社長より現職。 |
社外取締役は、佐々木亮子氏(元北海道副知事)、富樫豊子氏(北海道人材バンク代表取締役会長兼社長)、小池明夫氏(元北海道旅客鉄道代表取締役会長)です。
同社は監査役会設置会社であり、持株会社としてグループ全体の戦略決定と子会社管理を担っています。社外取締役3名および社外監査役2名を独立役員として指定し、経営の監視機能を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬と業績連動報酬によって構成されています。固定報酬は役位や世間水準を考慮して決定され、業績連動報酬である役員賞与は、同社グループおよび各事業子会社の売上高や経常利益などの経営指標の達成度に応じて決定される仕組みです。報酬体系は、企業価値向上へのインセンティブとして機能するよう設計されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 1.5億円 | 24.7百万円 |
| 監査役(社外除く) | 3名 | 25百万円 | 8.3百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 28百万円 | 5.6百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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