セキチュー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 セキチュー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のホームセンター運営企業。群馬県を地盤に北関東・甲信越エリアでホームセンター事業を展開するほか、不動産賃貸事業も行う。直近の決算では、リフォーム部門や日用品が好調で増収を確保したものの、人件費や光熱費の高騰に加え、資産除去債務に関連する処理などの影響で減益となった。


※本記事は、株式会社セキチューの有価証券報告書(第74期、自 2024年2月21日 至 2025年2月20日、2025年5月15日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セキチューってどんな会社?


群馬県を拠点にホームセンターを展開する小売企業です。地域密着型の店舗運営と、カー用品や自転車などの専門店事業も手掛けています。

(1) 会社概要


1952年に関口木材として設立され、1975年にホームセンター1号店を開店しました。1977年に現社名へ変更し、事業をホームセンターに一本化。1994年に店頭登録を行い、2004年にジャスダックへ上場しました。その後、市場区分の見直しに伴い、2022年に東証スタンダード市場へ移行しています。

同社は連結子会社を持たず、単体での従業員数は312名です。大株主の筆頭は創業家資産管理会社と思われる有限会社サウス企画で、第2位は取引先持株会、第3位は大手衣料品チェーンを運営する事業会社となっています。

氏名 持株比率
有限会社サウス企画 45.93%
セキチュー取引先持株会 8.68%
しまむら 5.03%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は関口忠弘氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
関口忠弘 代表取締役社長 2001年同社入社。店舗運営統括部長、商品統括部長などを経て2009年代表取締役常務に就任。2014年2月より現職。
長谷川義仁 専務取締役 コメリ取締役人事部長、同社取締役執行役員商品本部長を経て、2012年同社取締役就任。2015年5月より現職。
土田一聡 取締役常務執行役員営業本部長 ジョイフル本田、島忠を経て2013年同社入社。店舗運営部長、商品部長などを歴任し、2025年3月より現職。
銅島賢 取締役執行役員経営企画室長兼管理部長 楽天を経て2014年同社入社。経営企画室長を務め、2024年1月より管理部長を兼務。2024年5月より現職。


社外取締役は、釘島伸博(弁護士)、高木宏(元群馬県警察学校校長)、原口博(公認会計士)、渡辺紀幸(群銀カード社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ホームセンター事業」および「不動産賃貸事業」を展開しています。

ホームセンター事業


DIY用品、家庭用品、カー用品、自転車、レジャー用品などの生活関連用品全般を取り扱うホームセンター店舗を運営しています。また、これらの総合店舗に加え、カー用品専門店、自転車専門店、工具買取販売店といった専門業態も展開し、地域の生活インフラとしての役割を担っています。

主な収益は一般消費者への商品販売による対価です。近年はリフォームやエクステリア部門の強化に加え、インターネット通販事業による販路拡大も進めています。運営は主にセキチューが行っています。

不動産賃貸事業


同社が保有・管理する不動産の賃貸や、商業施設の企画・建設および運営管理を行っています。ホームセンター店舗の施設有効活用の一環として、テナント誘致を含めた商業集積施設としての運営も手掛けています。

収益源はテナント事業者からの賃貸料収入です。既存店舗の一部にテナントを誘致することで、安定的な収益基盤の構築と、商業施設としての集客力向上を図っています。運営はセキチューが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高(営業収益)は300億円台前半で安定的に推移しています。コロナ禍における特需の反動や競争激化の影響を受けつつも、直近の決算では価格転嫁や品揃えの見直しにより増収を確保しました。一方、利益面では、エネルギー価格の高騰や人件費の上昇などが重荷となり、経常利益は減少傾向にあります。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上収益(または売上高) 325億円 317億円 309億円 304億円 315億円
経常利益 10.2億円 6.5億円 8.1億円 8.0億円 6.2億円
利益率(%) 3.1% 2.0% 2.6% 2.6% 2.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 6.3億円 1.8億円 4.8億円 5.1億円 4.9億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。売上高は増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業利益率は低下しました。特に人件費や店舗運営コストの上昇が利益を圧迫しています。営業外収益や特別損益の変動もあり、最終的な当期純利益は微減となりました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 304億円 315億円
売上総利益 87億円 89億円
売上総利益率(%) 28.8% 28.2%
営業利益 7.3億円 5.9億円
営業利益率(%) 2.4% 1.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が28億円(構成比31%)、賃借料が26億円(同29%)を占めています。

(3) セグメント収益


ホームセンター事業は、リフォームや日用品部門が好調で増収となりましたが、コスト増により減益となりました。一方、不動産賃貸事業は、新たなテナント誘致が寄与し、増収増益を達成しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
ホームセンター事業 297億円 307億円 4.5億円 2.3億円 0.8%
不動産賃貸事業 6.6億円 7.4億円 2.8億円 3.6億円 48.5%
連結(合計) 304億円 315億円 7.3億円 5.9億円 1.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**積極型**
営業活動で得た資金に加え、借入金等による財務活動での資金調達を行い、将来の成長に向けた投資を積極的に実施している状態です。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 0.1億円 5.8億円
投資CF -7.2億円 -30.5億円
財務CF 7.4億円 25.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は49.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「暮らしもっと楽しく、快適な住まいづくりのお手伝い」をスローガンに掲げています。お客様の真の満足を追求し、「快適な店」「納得のいく品揃え」「きめ細かいサービス」の3分野にわたり、お客様第一主義を実践することを経営の基本方針としています。地域社会に貢献し、共に発展することを目指しています。

(2) 企業文化


「地域社会との調和」や「お客様に最も信頼される商品とサービスの提供」を重視する文化があります。また、「企業倫理/基本方針」を定め、法令遵守はもとより、高い人権意識に基づく良識ある企業市民としての行動を求めています。現場では「QCサークル」活動などを通じて業務改善に取り組む風土があります。

(3) 経営計画・目標


継続的な企業価値の向上を実現する指標として、「営業収益経常利益率」を重視しており、当面はこれを3%にすることを目標としています。この目標達成に向け、営業収益の向上、売上総利益率の改善、および販売費・一般管理費の削減に取り組む方針です。

* 営業収益経常利益率:3.0%

(4) 成長戦略と重点施策


「地域一番店」を目指し、50周年セールの実施や店舗改装による品揃え・設備の刷新を進めています。また、キャッシュレス決済の推進やアプリ会員の獲得による利便性向上、リフォームやペットなどの成長分野の強化を図っています。さらに、新規出店用地の確保と既存店舗の有効活用(テナント誘致含む)により、収益力の向上を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


商品知識の習得や次世代人材の育成に注力するとともに、業務改善活動「QCサークル」を推進しています。また、労災防止や長時間労働の是正など、安全で働きやすい職場環境づくりにも取り組んでいます。多様な人材の確保として、中途採用や障がい者採用を積極的に行う方針を掲げています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 41.8歳 15.2年 5,228,388円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 0.4%
男女賃金差異(全労働者) 45.0%
男女賃金差異(正規雇用) 78.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 90.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、指導的女性社員比率(2.6%)、女性社員比率(11.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 需要動向におけるリスク


ホームセンターや各専門店の需要は、気候状況、景気動向、消費動向などの経済情勢に加え、同業他社や異業種との競争状況に強く影響を受けます。特に季節性の高い商品を扱うため、天候不順などが業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 店舗の出店・閉店に伴うリスク


群馬県・埼玉県を中心に店舗展開していますが、競争他社の新規出店等により採算性が悪化する恐れがあります。スクラップ&ビルドを基本戦略としていますが、大型店舗の出退店は収益に大きな影響を与え、閉店時には多額の損失が発生する可能性があります。

(3) 自然災害・事故等におけるリスク


店舗での事業展開が中心であるため、自然災害や事故等により商品供給不足や店舗設備の毀損が発生した場合、営業継続に支障をきたす恐れがあります。また、火災や感染症の蔓延、戦争・紛争等によるサプライチェーンの混乱も、業績や財務状況に影響を与える要因となります。

(4) 商品取引におけるリスク


消費者向け取引において、欠陥商品や契約不適合商品を販売した場合、製造物責任や債務不履行による損害賠償責任が発生する可能性があります。また、これらに伴う消費者の信用失墜が売上減少を招くリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。