セキチュー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 セキチュー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セキチューは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、DIY用品や日用品等を扱うホームセンター事業と不動産賃貸事業を展開しています。直近の業績では、食料品やリユース部門が堅調に推移したことや、既存店舗への積極的なテナント誘致の成果により、前期比で増収及び経常利益の増益を達成しました。


※本記事は、株式会社セキチューの有価証券報告書(第75期、自 2025年2月21日 至 2026年2月20日、2026年5月14日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セキチューってどんな会社?


同社は、ホームセンター事業と不動産賃貸事業を柱に、地域に密着した店舗展開を行う小売企業です。

(1) 会社概要


1952年に木材業を前身として関口木材を設立し、1975年にホームセンター1号店を開店しました。1977年にセキチューへ商号変更し、事業をホームセンターに一本化しています。1994年の株式店頭登録を経て、2004年にジャスダック証券取引所(現東京証券取引所スタンダード市場)に上場しました。近年はカー用品や自転車の専門店、工具買取販売店も展開しています。

現在の従業員数は単体で310名です。筆頭株主は同社代表取締役社長の関口忠弘氏が代表を務めるサウス企画で、第2位はセキチュー取引先持株会、第3位はセキチュー従業員持株会となっています。

氏名 持株比率
サウス企画 45.24%
セキチュー取引先持株会 9.38%
セキチュー従業員持株会 5.10%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は関口忠弘氏が務めています。社外取締役は4名選任されており、取締役全体の半数を占めています。

氏名 役職 主な経歴
関口忠弘 代表取締役社長 2001年に同社へ入社。店舗運営統括部長や商品統括部長などを歴任し、2014年2月より現職。サウス企画の代表取締役社長も務める。
長谷川義仁 専務取締役 コメリの取締役執行役員商品本部長を経て、2012年に同社取締役へ就任。2015年5月より現職。
土田一聡 取締役常務執行役員営業本部長 ジョイフル本田や島忠を経て、2013年に同社へ入社。商品部長や店舗運営部長を歴任し、2025年3月より現職。
銅島賢 取締役執行役員経営企画室長兼管理部長 楽天を経て、2014年に同社へ入社。経営企画室長や管理部長を歴任し、2024年5月より現職。


社外取締役は、釘島伸博(釘島総合法律事務所代表)、高木宏(元群馬県警察学校校長)、原口博(元トーマツ代表社員)、渡辺紀幸(元群銀カード代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ホームセンター事業」および「不動産賃貸事業」を展開しています。

(1) ホームセンター事業


DIY用品、家庭用品、カー用品、自転車、レジャー用品などの生活関連用品全般を取り扱うホームセンターを運営しています。また、派生業態としてカー用品専門店、自転車専門店、工具買取販売店を展開し、地域のお客様に密着した多様なニーズに応える品揃えを提供しています。

収益は、一般消費者や法人からの商品販売代金、ピット工賃などのサービス手数料を主な源泉としています。運営は同社が単体で行っており、オンラインでの販売網拡充やリユース事業などの成長分野における売上拡大にも注力しています。

(2) 不動産賃貸事業


同社が保有・管理している不動産の賃貸や、商業施設の企画・建設および運営管理を行っています。店舗施設の有効活用を通じて、テナントの誘致を進めることで、商業集積施設としての魅力を高めています。

収益は、入居するテナント企業から受け取る不動産賃貸収入を主な源泉としています。運営は同社が行っており、既存店舗の空きスペースを活用した積極的なテナント誘致により、安定的な収益基盤の強化と事業全体の収益力向上を図っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績を見ると、営業収益は300億円から310億円台で安定して推移しています。経常利益は6億円から8億円台で推移しており、堅調な利益水準を維持しています。直近の当期純利益は減損損失等の計上により減少しましたが、利益率は2%台を保っています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
営業収益 317億円 309億円 304億円 315億円 319億円
経常利益 6億円 8億円 8億円 6億円 6億円
利益率(%) 2.0% 2.6% 2.6% 2.0% 2.0%
当期純利益 2億円 5億円 5億円 5億円 4億円

(2) 損益計算書


売上高は微増傾向にあり、売上総利益も同水準を維持しています。営業利益は増益となっており、堅調な本業の収益力を示しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 307億円 310億円
売上総利益 89億円 88億円
売上総利益率(%) 28.9% 28.5%
営業利益 6億円 6億円
営業利益率(%) 1.9% 2.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が29億円(構成比32%)、賃借料が25億円(同28%)を占めています。売上原価の多くは当期商品仕入高で構成されています。

(3) セグメント収益


ホームセンター事業は、日用品や食料品、リユース部門が堅調に推移し増収となりましたが、広告宣伝費や人件費の上昇により減益となりました。一方、不動産賃貸事業は既存店舗への積極的なテナント誘致が功を奏し、大幅な増収増益を達成しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
ホームセンター事業 307億円 310億円 2億円 2億円 0.6%
不動産賃貸事業 7億円 8億円 4億円 4億円 52.5%
連結(合計) 315億円 319億円 6億円 6億円 1.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


当期のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 6億円 9億円
投資CF -30億円 -2億円
財務CF 25億円 -8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は50.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「暮らしもっと楽しく、快適な住まいづくりのお手伝い」をスローガンとして掲げています。お客様の真の満足を追求し、「快適な店」「納得のいく品揃え」「きめ細かいサービス」の3分野にわたり、お客様第一主義を実践することで、地域社会に貢献し共に発展していくことを目指しています。

(2) 企業文化


「企業倫理/基本方針」を定め、良き企業市民としての行動、人権の尊重、健全な職場環境の実現を重視しています。また、「地域社会との調和」を基本方針とし、地域のインフラとしてお客様の生活基盤を支える責務を果たすとともに、有事における必要物資の安定供給など、社会課題の解決に取り組む姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


継続的な企業価値の向上を実現するための重要な客観的指標として、「営業収益経常利益率」を位置づけています。同社は当面の目標として、営業収益経常利益率3%の達成を掲げており、売上総利益率の改善や販売費及び一般管理費の削減に努めています。

(4) 成長戦略と重点施策


ホームセンター業界の寡占化が進む中、地域のお客様に支持される「地域一番店」の実現に向けた営業力の強化を進めています。店舗改装による品揃えや設備の見直しのほか、成長分野であるリユース事業やインターネット通販事業を拡大し、テナント賃貸も含めた商業集積施設としての有効活用による収益力向上を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


個人の属性によらず優秀な人材を積極的に採用・登用する方針を掲げ、中途採用者や障がい者の採用を推進しています。人材教育においては、階層別の教育プログラムや社内外のセミナーを通じて、専門知識やチェーンストア理論を習得できる環境を整えており、資格取得を通じたキャリアアップの支援を行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 41.9歳 15.9年 5,251,120円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 1.5%
男女賃金差異(全労働者) 46.9%
男女賃金差異(正規) 77.7%
男女賃金差異(非正規) 90.2%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、指導的女性社員比率(3.3%)、女性社員比率(12.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 需要動向におけるリスク


ホームセンターやカー用品専門店などの需要は、気候状況や景気動向、消費動向といった経済情勢、および同業・異業種他社との競争状況に大きく影響を受けます。これらの要因による需要変動が、同社の業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 店舗の出店、閉店に伴うリスク


競争他社の新規出店などの変動要因により、店舗の採算性が悪化する懸念があります。特に大型店舗の出退店は収益の増減に大きく影響するほか、閉店の場合には多額の損失が発生するリスクがあり、同社の業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 自然災害・事故等におけるリスク


主に店舗において事業を展開しているため、自然災害や重大な感染症の発生により、商品の供給不足や店舗設備の毀損、大幅な顧客の減少が生じる懸念があります。営業継続への支障や回復・復旧のためのコスト負担が、同社の業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 商品取引におけるリスク


消費者向け取引において、欠陥商品など契約不適合にあたる商品を販売した場合、公的規制を受ける可能性があるとともに、製造物責任や債務不履行による損害賠償責任が発生する場合があります。消費者の信用失墜による売上高の減少につながる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。