※本記事は、株式会社エコス の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
エコスは、スーパーマーケット事業を主要業務とする企業グループです。同社グループは、生鮮食品、一般食品、日用雑貨品などの販売をグループ各社とともに展開しています。
単体従業員数は817名、連結従業員数は1,574名です。
主な国内グループ会社は、当社、たいらや、与野フードセンター、マスダ、ココスナカムラ、TSロジテック、平成などです。
直近では、2024年9月に株式会社ココスナカムラを連結子会社化し、グループの事業拡大を図っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社エコスは、地域に根差したスーパーマーケット事業を展開しており、従業員の安定的な雇用と働きやすい環境づくりに注力している企業です。多様な人材が活躍できる職場環境の構築を目指し、人材育成やワークライフバランスの推進にも取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の定着を重視する傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、一定のキャリアを築きながら長く働く従業員が多いことがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,049,000円 |
| 平均勤続年数 | 12.6年 |
| 平均年齢 | 40.1歳 |
| 単体従業員数 | 817人 |
| 連結従業員数 | 1,574人 |
| 単体のグループ内比率 | 51.9% |
退職給付制度について、同社は確定給付型の企業年金制度および退職一時金制度、ならびに確定拠出年金制度を設けています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。これらの制度は国内のグループ会社に適用されています。
退職一時金制度があり、ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。確定給付型の退職給付債務は19.3億円、年金資産は20.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、教育体制や人事制度を整備し、従業員のエンゲージメント向上を図っています。多様な価値観やライフスタイルを尊重し、すべての従業員が安心して働き続けられる職場環境の構築を推進しています。特に、女性・若手社員・障がい者を含む多様な人材が活躍できる組織風土の醸成を目指し、個性と多様性の調和を図っています。
具体的には、ジョブローテーション制度を導入し、新入社員には「部門ローテーション研修」を通じて業務理解を深める機会を提供しています。個人の適性や希望を踏まえて本配属を決定し、年に一度の「自己申告制度」により配置の決定に本人の希望も考慮しています。若手正社員を対象とした集合研修や、通信講座費用を全額会社負担とする「チャレンジスクール制度」も導入し、自発的な学習を支援しています。
多様な人材活用として、女性の活躍推進を積極的に行っており、新卒入社者に占める女性比率30%以上、2027年2月末までに女性管理職比率10%以上を目標に掲げています。障がい者雇用も推進し、2026年2月末時点の障がい者雇用率は法定雇用率を上回る4.0%です。海外人材や専門人材の中途採用も積極的に行い、生活・業務両面のサポートや研修を通じて早期戦力化を支援しています。従業員の心身の健康を基盤と捉え、健康経営を推進し、育児時間短縮勤務制度や復職制度を整備することで、ワークライフバランスを支援しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 150.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 60.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 83.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 91.3% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ (株)たいらや
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 12.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 80.0% |
▼ (株)与野フードセンター
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | - |
▼ (株)マスダ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | - |
人的資本に対する目標と実績
当社グループにおける人材活用の政策等の決定、主な採用活動を提出会社が一括して行っているため、指標については提出会社のものを記載しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新卒入社者に占める女性比率 | 28.8% |
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.9% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社エコスは、スーパーマーケット事業を主要業務としている同社グループの中核企業です。食料品や日用雑貨品の販売を通じて、地域のお客様の食文化に貢献する店舗づくりに取り組んでいます。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、株式会社エコスと7社の子会社で構成されており、スーパーマーケット事業を主要業務としています。収益は主に、各店舗における食料品や日用雑貨品の販売から得ています。また、配送代行収入や卸売、消化仕入、不動産賃貸による営業収入も収益源となっています。
同社グループは、国内での事業展開に特化しており、本邦以外の外部顧客への売上高はありません。そのため、為替変動による影響は受けにくい事業構造となっています。また、特定の顧客への売益集中は見られず、幅広い顧客層にサービスを提供しています。
スーパーマーケット事業では、青果、鮮魚、精肉、惣菜といった生鮮部門と、デイリー、一般食品、酒類、雑貨などのグロサリー部門が売上高の大部分を占めています。物流部門も売上高の一部を構成しています。直近の連結会計年度では、惣菜や一般食品、青果、デイリー、その他(グロサリー部門)の売上高が前期から増加しています。一方で、鮮魚、精肉、酒類、雑貨の売上高は前期から減少しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期間で概ね増加傾向にあります。直近の連結会計年度では、売上高は前期からわずかに増加しました。一方で、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の連結会計年度で前期から減少しています。
特に親会社株主に帰属する当期純利益の減少には、一部店舗における減損損失の計上が影響しています。しかし、営業活動によるキャッシュ・フローは安定的にプラスを維持しており、本業による資金創出力は継続している状況です。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,348億円 | 1,191億円 | 1,264億円 | 1,335億円 | 1,342億円 |
| 経常利益 | 60.5億円 | 45.2億円 | 59.3億円 | 62.9億円 | 58.9億円 |
| 経常利益率 | 4.5% | 3.8% | 4.7% | 4.7% | 4.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 39.0億円 | 16.1億円 | 35.8億円 | 41.3億円 | 26.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 358.64 | 143.87 | 320.51 | 368.46 | 235.60 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から増加する傾向にあります。これは、従業員一人ひとりの売上貢献度が向上していることを示唆しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から減少しています。
この営業利益の減少は、前述の減損損失の計上や、賃上げに伴う人件費の増加といった要因が影響している可能性があります。これらの指標は、同社グループの収益体質や組織効率の傾向を読み解く上で参考となります。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 83.0百万円 | 85.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.7百万円 | 3.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた投資も行っている状況です。財務基盤は健全性を維持しており、手元資金も確保されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は、プライム市場に上場する非製造業の平均と比較して高い水準にあります。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均と同水準を示しています。手元資金も一定規模を確保しており、財務の健全性は引き続き維持されている状況です。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 269億円 | 292億円 |
| 自己資本比率 | 46.6% | 51.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 16.5% | 9.4% |
| 現金及び預金 | 135億円 | 102億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、当期において52.7億円の資金増加となりました。これは法人税等の支払いがあったものの、営業収入等により資金が増加したものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得による支出があり、当期は△50.0億円の資金減少となっています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入金の返済や配当金の支払いにより、当期は△35.5億円の資金減少となりました。これらの結果、フリーキャッシュ・フローは当期2億64百万円のプラスとなっています。本業で安定的に資金を生み出しつつ、将来に向けた投資も継続している状況です。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 52.7億円 | 52.7億円 |
| 投資CF | △30.5億円 | △50.0億円 |
| 財務CF | △14.5億円 | △35.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 22.2億円 | 2億64百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、国内景気や個人消費の動向、異業種からの参入を含む競合の状況など、外部環境の変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、店舗の業績推移によっては固定資産の減損の対象となったり、退店に伴う固定資産除却損の計上や保証金等の返還がされない可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、労働集約型産業であるスーパーマーケット事業を展開しており、人口減少や少子高齢化による生産年齢人口の減少が進行しています。人材確保のための費用増加や社会保障費の増加、省人化に備えた設備投資の増加が見込まれており、これらが計画通りに進まない場合、販売機会の損失等が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
エコスは、地域に根差した食品スーパーマーケットとして、お客様の食文化に貢献することを目指しています。
「正しい商売」という社是のもと、従業員の成長と会社の成長を両輪と捉え、持続可能な企業文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
エコスグループは、「正しい商売」という社是を掲げ、地域に最適な食品スーパーマーケットチェーンとしてお客様の食文化に貢献する企業を目指しています。
「安全・安心」、「健康」、「美味しさ」、「鮮度」を重視した商品の提供と、楽しく豊かな食生活の提案ができる魅力ある店舗作りを強化しています。
2027年2月期を最終年度とする中期経営計画では、「サステナブルな企業へ」をテーマに、お客様に必要とされ続ける店舗、従業員が安心して働き、人生設計が叶う会社になることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
エコスグループは、「従業員の成長と会社の成長は、車の両輪」という認識のもと、自ら学び、失敗を恐れず挑戦し続けることを通じて、個々の能力を高められる社風や文化の醸成を進めています。
特に若手・女性の育成を促進し、感性豊かな視点を積極的に取り入れることを重視しています。
同社グループは「サステナビリティ基本方針」を策定し、全従業員で共有しています。
この方針では、環境配慮、あらゆる人材が活躍できる職場づくり、コンプライアンス徹底と安全・安心な食品提供を掲げています。
多様な人材が活躍できる組織風土の醸成を目指し、すべてのステークホルダーの人格、個性、多様性を尊重する「人権方針」も定めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
エコスグループは、地域密着の食品スーパーマーケットチェーンとして、環境と健康にやさしい暮らしを提供すべく、重点施策を推進しています。
特に「人財育成」を重要な課題と捉え、「従業員の成長と会社の成長は、車の両輪」という認識のもと、個々の能力を高められる社風や文化の醸成を進めています。
若手・女性の育成を促進し、感性豊かな視点を積極的に取り入れることを目指しています。
また、社内での研修やグループ間交流を一層充実させ、多様な経験と価値観の融合を通じた新たな知見やスキルの習得を後押ししています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
エコスは監査役会設置会社であり、取締役会が経営に関する重要事項を決定し、業務執行を監督する体制です。執行役員制度も採用しており、業務の迅速化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成を見ると、創業家やその関連会社が上位を占めていることが特徴です。筆頭株主は琢磨、次いでタイラコーポレーションが続き、これら特定の株主グループが経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 琢磨 | 17.87% |
| タイラコーポレーション | 17.80% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 5.56% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性5名・女性2名)で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長執行役員は平邦雄氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 平 邦 雄 | 代表取締役社長執行役員 | 1991年4月株式会社ダイエー入社。1994年10月同社入社、取締役。2006年3月同社代表取締役社長兼営業本部長。2022年5月同社代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 平 典 子 | 取締役副社長執行役員 | 1995年8月同社入社。2006年5月同社取締役惣菜事業部長兼惣菜工場準備室長。2017年6月同社取締役副社長。2022年5月同社取締役副社長執行役員より現職。 |
社外取締役は、藤田昇三氏(弁護士)、野原信広氏(タチバナ・インダストリーズ代表取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役および社外監査役が、経営者とその他の利害関係者との利益相反を監督する役割を担っています。また、経営の意思決定や業務執行の監視、豊富な経験や幅広い見識に基づく有用な助言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬である基本報酬と、業績に応じて変動する業績連動報酬で構成されています。社外取締役の報酬は、その役割と独立性の観点から固定報酬のみで構成されています。監査役の報酬は、株主総会で決定された報酬総額の限度内で監査役の協議により決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 1.3億円 | 63.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 9百万円 | 4.5百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 19百万円 | 4.8百万円 |
なお、総額には当事業年度にかかる役員賞与引当金繰入額が含まれます。
個人別報酬が開示されている役員は、平邦雄氏(1.21億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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