※本記事は、株式会社エコスの有価証券報告書(第61期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. エコスってどんな会社?
関東圏を中心に食品スーパーマーケットをチェーン展開している企業です。
■(1) 会社概要
1965年に有限会社たいらや商店として設立され、1977年に多摩ニュータウンにスーパーマーケット1号店を開店しました。1996年に株式を店頭登録し、1999年にハイマートと合併して現在のエコスに商号変更しました。積極的なM&Aによりグループを拡大し、2005年に東証第一部に上場しています。
現在、連結で1,574名、単体で817名の従業員を擁しています。筆頭株主は損害保険代理店業を行う琢磨で、第2位はタイラコーポレーションとなっています。第3位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 琢磨 | 17.87% |
| タイラコーポレーション | 17.80% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 5.56% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長執行役員は平邦雄氏が務めています。取締役4名のうち2名が社外取締役であり、社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 平邦雄 | 代表取締役社長執行役員 | 1991年ダイエー入社。1994年同社入社後、営業本部長などを経て2006年に代表取締役社長就任。マスダ、たいらや等の代表取締役会長も歴任。2022年より現職。 |
| 平典子 | 取締役副社長執行役員 | 1995年同社入社。惣菜事業部長などを経て、2011年取締役、2014年たいらや代表取締役社長就任。2017年に同社取締役副社長となり、2022年より現職。 |
社外取締役は、藤田昇三(元名古屋高等検察庁検事長)、野原信広(タンデム・デザイン代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「スーパーマーケット」事業および「その他」事業を展開しています。
■スーパーマーケット事業
生鮮食品、一般食品および日用雑貨品などの小売販売を行っています。関東地方を中心に多数の店舗網を展開し、地域に密着した店舗づくりと魅力的な商品の提供に注力しています。
収益源は、各店舗における顧客への商品販売代金です。事業の運営は同社に加えて、たいらや、与野フードセンター、マスダ、ココスナカムラなどのグループ子会社各社が行っています。
■その他事業
スーパーマーケット事業を支えるための各種付随業務を行っています。一般食品や日用雑貨品の卸売、ロジスティクスセンターの管理運営業務、店舗や不動産の賃貸および仲介業務などを手掛けています。
収益源は、グループ内外への商品供給による卸売収入や、物流センターの運営受託費用、店舗物件などの不動産賃貸収入です。運営は同社のほか、TSロジテック、平成、令和などの関係会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は安定して成長を続けており、直近では1342億円規模まで拡大しています。経常利益も毎年安定して利益を計上しており、4%台の利益率を維持して手堅い事業運営を行っています。一方で、直近の当期利益については減損損失の計上などにより一時的に減少する結果となっています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1348億円 | 1191億円 | 1264億円 | 1335億円 | 1342億円 |
| 経常利益 | 60億円 | 45億円 | 59億円 | 63億円 | 59億円 |
| 利益率(%) | 4.5% | 3.8% | 4.7% | 4.7% | 4.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 39億円 | 16億円 | 36億円 | 41億円 | 26億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加傾向にあり、仕入原価の上昇に対して適切な価格改定を行ったことで売上総利益率も改善しています。しかし、賃上げに伴う人件費の増加などの販管費の膨張が利益を圧迫したため、営業利益は減少しました。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1335億円 | 1342億円 |
| 売上総利益 | 361億円 | 369億円 |
| 売上総利益率(%) | 27.0% | 27.5% |
| 営業利益 | 60億円 | 57億円 |
| 営業利益率(%) | 4.5% | 4.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が168億円(構成比48%)、賃借料が44億円(同13%)、水道光熱費が31億円(同9%)を占めています。売上原価は973億円で、売上高に対する構成比は73%となっています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で得た資金で投資を行い、借入金の返済も進める「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 53億円 | 53億円 |
| 投資CF | -31億円 | -50億円 |
| 財務CF | -14億円 | -36億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.4%で市場平均と同水準であり、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は51.8%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「正しい商売」という社是のもと、地域に最適な食品スーパーマーケットチェーンとしてお客様の食文化に貢献する企業を目指しています。「安全・安心」「健康」「美味しさ」「鮮度」を重視した商品の提供と、楽しく豊かな食生活の提案ができる魅力ある店舗づくりを進めています。
■(2) 企業文化
社是である「正しい商売」の実践こそがコーポレート・ガバナンスに裏打ちされた企業の創造であると考え、各種法令やルール、社会規範の遵守を徹底しています。従業員一人ひとりが高い倫理観と目標達成への意欲を持ち、社会的に存在感のある企業への成長を目指す文化を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは業界の勝ち組企業となるため、売上高経常利益率を自社の収益力を的確に示す指標として捉えており、その中期的な目標を4.0%超に設定しています。この目標達成を通じて持続的な企業価値の向上を図る方針です。
・中期的な目標:売上高経常利益率 4.0%超
■(4) 成長戦略と重点施策
「サステナブルな企業へ」をテーマに掲げ、将来にわたりお客様に必要とされ続ける店舗づくりを目指しています。プライベートブランド商品の開発など商品力の強化や、快適な店内環境によるサービス力向上、さらに積極的な新規出店と既存店の改装による事業規模の拡大を推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「従業員の成長と会社の成長は、車の両輪」との認識のもと、「自ら学び、失敗を恐れず挑戦し続ける」ことで個々の能力を高められる社風の醸成を進めています。ジョブローテーション制度による適材適所の配置や、若手・女性の育成促進、障がい者・海外人材の積極採用など、多様な人材が活躍できる環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 40.1歳 | 12.6年 | 5,049,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.9% |
| 男性育児休業取得率 | 150.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 60.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 83.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 91.3% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒入社者に占める女性比率(28.8%)、障がい者雇用率(4.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 外部環境と競争の激化
国内景気や個人消費の動向に加え、異業種からの参入も含めた食品小売市場の競合環境の変化が、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 固定資産の減損等による影響
店舗の業績推移によっては店舗物件などが減損の対象となるほか、採算の合わない店舗の退店に伴う固定資産除却損の計上や保証金の未返還などが発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 食品の品質管理と安全性
商品の製造・加工・販売の各過程において、異物混入、表示ミス、アレルゲン管理の不備などによる食品事故や健康被害が発生した場合、行政指導や損害賠償、風評被害によって社会的信用と業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(4) 労働力不足と人件費の増加
労働集約型のスーパーマーケット事業において、少子高齢化による労働力不足が課題となっています。人材確保のための費用増や社会保障費の負担増、生産性改善の遅れなどが業績に影響する可能性があります。



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