※本記事は、株式会社エコス の有価証券報告書(第60期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. エコスってどんな会社?
食品スーパーマーケットチェーンとして、関東・福島エリアにドミナント展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社のルーツは1965年に創業した青果店にあり、1999年に株式会社ハイマートと合併して現在の商号となりました。その後、2004年に株式会社マスダ、2020年に株式会社与野フードセンターを子会社化するなどM&Aにより規模を拡大しました。2005年には東証一部へ上場を果たし、2024年には株式会社ココスナカムラを完全子会社化しています。
現在の従業員数は連結1,609名、単体835名です。筆頭株主は、損害保険代理店業を営む株式会社琢磨(創業家資産管理会社と推測される)で、第2位は同じく株式会社タイラコーポレーション、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 琢磨 | 17.90% |
| タイラコーポレーション | 14.68% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.09% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長執行役員は平邦雄氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 平 邦雄 | 代表取締役社長執行役員 | 1991年ダイエー入社。1994年同社入社。営業本部長等を経て2006年代表取締役社長に就任。現在はマスダ、たいらや、与野フードセンター等の会長も兼務。2022年より現職。 |
| 平 典子 | 取締役副社長執行役員 | 1995年同社入社。惣菜事業部長、たいらや代表取締役社長等を歴任。2017年取締役副社長に就任。2025年3月より営業本部長を兼務し現職。 |
社外取締役は、藤田昇三(元広島高等検察庁検事長)、野原信広(タチバナ・インダストリーズ代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「スーパーマーケット事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) スーパーマーケット事業
同社およびグループ会社により、生鮮食品、一般食品、日用雑貨品等の販売を行っています。地域密着型の食品スーパーマーケットとして、「エコス」「TAIRAYA」「マスダ」「与野フード」「ココスナカムラ」等の屋号で店舗を展開し、一般消費者を主な顧客としています。
収益は、来店客への商品販売代金として獲得しています。運営は、株式会社エコスに加え、株式会社たいらや(栃木県)、株式会社与野フードセンター(埼玉県)、株式会社マスダ(茨城県)、株式会社ココスナカムラ(東京都)の連結子会社各社が行っています。
■(2) その他事業
スーパーマーケット事業を補完する機能として、ロジスティクスセンターの管理運営、資源リサイクル、店舗・不動産の賃貸、店舗物件の仲介などを行っています。
収益は、グループ会社や外部テナント等からの物流業務受託料や賃貸料などから得ています。運営は、物流事業を担う株式会社TSロジテックのほか、不動産関連業務を行う株式会社平成などが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は概ね堅調に推移しており、第60期には過去最高の1,335億円に達しました。利益面では、第58期に一時的な落ち込みが見られたものの、その後は回復基調にあり、第60期の経常利益は63億円と高水準を記録しています。安定した収益基盤を維持しつつ、着実な成長を続けています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,333億円 | 1,348億円 | 1,191億円 | 1,264億円 | 1,335億円 |
| 経常利益 | 59億円 | 60億円 | 45億円 | 59億円 | 63億円 |
| 利益率(%) | 4.4% | 4.5% | 3.8% | 4.7% | 4.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 24億円 | 29億円 | 17億円 | 26億円 | 35億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の比較では、増収に伴い売上総利益が増加しました。販売費及び一般管理費も人件費や光熱費の上昇により増加しましたが、増収効果が上回り、営業利益は増益となりました。売上高営業利益率は4.5%前後で推移しており、安定した収益性を確保しています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,264億円 | 1,335億円 |
| 売上総利益 | 335億円 | 361億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.5% | 27.0% |
| 営業利益 | 57億円 | 60億円 |
| 営業利益率(%) | 4.5% | 4.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が157億円(構成比46.6%)、賃借料が43億円(同12.7%)を占めています。売上原価は975億円で、売上高に対する比率は73.0%となっています。
■(3) セグメント収益
スーパー部門は、生鮮部門とグロサリー部門がいずれも堅調に推移し、特に青果や惣菜が売上を牽引しました。また、ココスナカムラの新規連結や既存店改装効果も増収に寄与しました。物流部門も取扱量の増加により増収となっています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| スーパー部門 | 1,259億円 | 1,329億円 |
| 物流部門 | 5億円 | 6億円 |
| 連結(合計) | 1,264億円 | 1,335億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、本業の営業活動から得た利益で借入金の返済を進めつつ、投資活動も自己資金の範囲内でコントロールしている「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 74億円 | 53億円 |
| 投資CF | -33億円 | -31億円 |
| 財務CF | -4億円 | -14億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は46.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「正しい商売」という社是のもと、地域に最適な食品スーパーマーケットチェーンとして顧客の食文化に貢献することを目指しています。「安全・安心」、「健康」、「美味しさ」、「鮮度」を重視した商品の提供と、楽しく豊かな食生活を提案できる魅力ある店舗づくりを強化しています。
■(2) 企業文化
同社は、「正しい商売」の実践を通じてコンプライアンスを徹底し、顧客からの信頼を高めることを重視しています。また、「あらゆる人材が活躍できる職場づくり」を掲げ、全ての従業員が必要な知識や技術を習得し、仕事の楽しさややりがいを実感できるよう、教育訓練や研修にも注力する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は業界の勝ち組企業となるため、収益力を示す指標として「売上高経常利益率」を重視しており、その中期的な目標数値を設定しています。
* 売上高経常利益率:4.0%超
■(4) 成長戦略と重点施策
地域密着型のスーパーマーケットとして競争力を高めるため、商品力の向上、サービス力の向上、店舗網の拡充、および人的資本の活用に注力しています。具体的には、鮮度管理の徹底やオリジナル商品・PB「ナチュライブ」の強化、積極的な新規出店と既存店の改装、自動発注システムの活用等による業務効率化を進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「あらゆる人材が活躍できる職場づくり」を目指し、ジョブローテーション制度による適材適所の配置や、階層別研修・通信講座支援などの人材育成を推進しています。また、女性活躍推進や障がい者雇用の促進、外国人材の積極採用など、多様な人材が活躍できる環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 40.1歳 | 12.6年 | 4,869,000円 |
※平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.3% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 58.1% |
| 男女賃金差異(正規) | 82.9% |
| 男女賃金差異(非正規) | 90.7% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒入社者に占める女性比率(17.3%)、障がい者雇用率(3.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 固定資産の減損リスク
店舗の業績が悪化した場合、店舗物件等の固定資産が減損の対象となり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、不採算店舗の退店に伴い、固定資産除却損の計上や保証金等が返還されないリスクもあります。
■(2) 食品の品質管理リスク
食品スーパーマーケットとして食品の安全性を最優先していますが、異物混入、表示ミス、品質劣化等の事故が発生するリスクは完全には排除できません。万一事故が発生した場合、商品回収や社会的信用の低下により業績に影響が出る可能性があります。
■(3) 労働力不足と人件費上昇
労働集約型の事業であるため、少子高齢化による人手不足が進行する中で、人材確保が計画通り進まない場合、販売機会の損失等が生じる可能性があります。また、賃上げや採用コストの増加が収益を圧迫するリスクもあります。



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