※本記事は、株式会社サンエー の有価証券報告書(第56期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. サンエーってどんな会社?
サンエーは沖縄県内でスーパーマーケットやコンビニなどを展開する総合小売企業です。
■(1) 会社概要
1970年に設立され、同年総合衣料セルフサービス店を開店しました。その後順調に事業を拡大し、2005年に東京証券取引所市場第二部に上場、翌年には同市場第一部へ指定替えとなりました。2009年には合弁でローソン沖縄を設立しコンビニ事業を開始したほか、2019年には大型商業施設も開業しています。
現在の従業員数は連結で1,825名、単体で1,746名となっています。同社の大株主の状況については、筆頭株主が折田富子氏、第2位が金城和子氏となっており、それぞれ個人の株主が上位を占めるほか、第3位には資産管理業務などを行う信託銀行が名を連ねる株主構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 折田富子 | 10.97% |
| 金城和子 | 10.69% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.14% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は豊田沢氏が務めており、役員全体における社外取締役の比率は33.3%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 豊田沢 | 代表取締役社長 | 1995年4月同社入社。経営企画部長や財務部長を経て、2020年に取締役、2022年に常務取締役に就任し管理部門やコンプライアンス等を中心に担当。2024年5月より現職。 |
| 呉屋保 | 常務取締役営業担当 | 1989年4月同社入社。ドラッグ部長を経て2020年に取締役に就任。2024年に常務取締役となり、2026年3月より常務取締役営業統括本部長兼営業第一本部長。 |
| 武田尚 | 常務取締役営業担当 | 1995年4月同社入社。情報システム部長を経て2020年に取締役に就任しデジタル部門等を担当。2024年に常務取締役となり、2026年3月より常務取締役営業統括本部副本部長兼営業第二本部長。 |
| 新城健太郎 | 取締役社長補佐・営業・開発担当 | 1992年4月同社入社。電器部長を経て2007年に取締役に就任。常務や専務を経て2022年に代表取締役社長を務め、2024年に取締役社長補佐となり、2025年5月より現職。 |
| 高江洲利樹 | 取締役管理担当 | 2003年4月同社入社。人事部長や総務部長を経て2025年に取締役管理担当に就任。2026年3月より取締役コーポレート本部長となりコンプライアンスやリスク管理などを担当。 |
社外取締役は、野崎聖子(うむやす法律会計事務所代表)、榊真二(元東急リバブル代表取締役社長)、宮國英理子(琉球銀行常務取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「小売」および「CVS」の報告セグメントと「その他」事業を展開しています。
■(1) 小売
食料品、衣料品、住居関連用品の販売および外食事業などを展開し、一般消費者を主な顧客としています。沖縄県内においてスーパーマーケットやショッピングセンターなどの店舗網を構築し、生活に密着した幅広い商品やサービスを提供しています。
店舗での商品販売や飲食サービスの提供による売上を主な収益源としています。事業の運営は主にサンエーが行うほか、大型商業施設のテナントゾーンなどを運営するサンエー浦添西海岸開発やサンエーパルコが事業を担っています。
■(2) CVS
沖縄県内において、コンビニエンスストアであるローソンのフランチャイズシステムおよび直営店の運営を行っています。地域の一般消費者を顧客とし、地域食材を使った商品の共同開発や新商品の提案、店舗改装などに注力しています。
直営店での商品販売による売上や、フランチャイズ加盟店からの収入を主な収益源としています。この事業は、同社とローソンの合弁会社であるローソン沖縄が主体となって運営を行っています。
■(3) その他
報告セグメントに含まれない事業として、同社グループの物流を支える商品の配送や、検品、値付け、仕分け業務などを担う事業を展開しています。また、損害保険代理店としての業務もあわせて行っています。
グループ内の各店舗に対する商品の安定的な供給や物流サービスの提供による収入が主な収益源となっています。この事業の運営は、同社の非連結子会社であるサンエー運輸が主体となって行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は一貫して増加傾向にあり、堅調なトップラインの拡大が続いています。経常利益についても継続的に増益を達成しており、利益率も直近3年間は約8%の高い水準で安定して推移しています。一方で、最終利益は直近の期間において特別損失の計上などにより減益となりました。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,905億円 | 1,973億円 | 2,102億円 | 2,186億円 | 2,255億円 |
| 経常利益 | 102億円 | 116億円 | 169億円 | 175億円 | 178億円 |
| 利益率(%) | 5.3% | 5.9% | 8.0% | 8.0% | 7.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 67億円 | 68億円 | 96億円 | 103億円 | 90億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い売上総利益も拡大していますが、売上総利益率はほぼ横ばいで推移しています。営業利益はわずかに増加したものの、販管費の増加などにより営業利益率は微減となりました。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,186億円 | 2,255億円 |
| 売上総利益 | 692億円 | 710億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.7% | 31.5% |
| 営業利益 | 169億円 | 171億円 |
| 営業利益率(%) | 7.7% | 7.6% |
販売費及び一般管理費のうち、雑給が173億円(構成比23%)、減価償却費が69億円(同9%)、給料及び手当が69億円(同9%)を占めています。また、売上原価は1,545億円で、売上高に対する原価率は69%となっています。
■(3) セグメント収益
小売セグメントは、季節商材の苦戦などがあったものの既存店売上が堅調に推移したことで増収となりました。一方、CVSセグメントは新規出店や既存店の好調により、増収を達成し業績の拡大に寄与しました。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 小売 | 2,285億円 | 2,362億円 |
| CVS | 86億円 | 94億円 |
| 連結(合計) | 2,372億円 | 2,455億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業で十分な現金を稼ぎ出し、その資金を設備投資や借入金の返済・株主還元に充てている健全な状態です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 150億円 | 316億円 |
| 投資CF | -62億円 | -65億円 |
| 財務CF | -38億円 | -54億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は創業以来、「善の発想」と「自主独立」を企業理念として掲げています。社会や顧客の多様なニーズに柔軟に対応するとともに、沖縄の特性を熟知した総合力を活かし、「お客さまが喜び、社員が輝き、地域と共に会社も成長する」幸せを共感し、真に信頼される企業を目指して経営を行っています。
■(2) 企業文化
同社は、全ての基本は顧客の信頼と支持にあるという考えを大切にしています。現場では、クリンリネスや鮮度と品質、品揃えなどを定めた「七大基本」の徹底を行動の基準としています。また、各セクションの専門性を高めながら総合力を最大限に発揮することで、顧客満足度の向上を追求する文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、株主資本を効率的に活用しつつ、継続的な収益力の維持向上と企業体質の充実を図ることを経営の基本方針としています。中長期的に目標とする指標として以下の数値を掲げ、収益力の向上に努めています。
- ROE(自己資本利益率):8%以上
- 売上高経常利益率:7%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長に向け、将来にわたる競争優位性を確立するための生産体制の強化と業務効率化を推進しています。具体的には、製造・物流機能の集約と高度な衛生管理体制を備えた新食品加工センターの建設を進めるほか、フルセルフレジや電子棚札の導入による作業負担の軽減、PB商品の拡充を通じた商品力の強化などに注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、「企業理念の浸透」が永続的な企業経営の要であると考え、理念に共感する人材の採用と育成に力を注いでいます。また、多様な人材が主体的に成長し能力を最大限に発揮できるよう、公正な評価制度に基づく処遇改善や残業時間の削減など、働きがいと働きやすさが調和する環境整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 36.3歳 | 14.1年 | 5,544,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 25.9% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 74.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 84.5% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 138.3% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途採用比率(29.4%)、正社員の離職率(4.0%)、障がい者雇用率(3.55%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 流通センターの機能集中
沖縄県宜野湾市の本社に隣接する大山流通センターに、商品の検品や仕分け、食品加工などの機能が集中しています。そのため、天災や事故などで同センターの操業が不可能となった場合、各店舗への商品供給が滞り、同社の財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 食品の安全と衛生管理
品質管理室を設置して食品加工センターや店舗の衛生管理を徹底していますが、予期せぬ食中毒の発生や瑕疵のある商品の販売が起こるリスクがあります。これにより、店舗の営業停止や顧客の信頼低下を招いた場合、同社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) コンビニ事業のフランチャイズ運営
ローソン沖縄を通じたコンビニエンスストア事業はフランチャイズシステムを採用しています。加盟店において不祥事などが発生し、チェーン全体のブランドイメージが損なわれた場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。



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