※本記事は、株式会社スタジオアリス の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、写真事業及び衣装製造卸売事業を主たる事業としています。子会社5社、その他の関係会社2社により構成されており、幅広いサービスを提供しています。
単体従業員数は938名、連結従業員数は1,257名です。セグメントは写真事業、衣装製造卸売事業の2つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)(写真事業)、京都豊匠(衣装製造・卸売事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
スタジオアリスは、写真事業を主軸とする企業として、従業員の働きがいや満足度を重視した人材育成と環境整備に力を入れています。多様な人材が活躍できる職場づくりを目指し、給与水準や福利厚生の面でも安定した環境を提供していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、比較的安定した環境で働く従業員が多いことが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,451,000円 |
| 平均勤続年数 | 11.2年 |
| 平均年齢 | 35.1歳 |
| 単体従業員数 | 938人 |
| 連結従業員数 | 1,257人 |
| 単体のグループ内比率 | 74.6% |
同社グループは、確定給付型の制度として、退職一時金制度(非積立型制度)を採用しています。この制度は国内グループ会社に適用されています。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務の期末残高は11.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
スタジオアリスは、「暮らしの豊かさ」への貢献を経営理念に掲げ、社員が安心して働ける環境づくりを推進しています。持続的な事業成長のため、優秀な人材の継続的な確保と育成を経営の重要な課題と認識しています。
給与ベースアップや初任給の引き上げ、教育・訓練活動の拡充に注力しており、これらを通じて従業員の仕事のやりがいや満足度の向上に取り組んでいます。研修センターでの徹底した教育を通じて写真に関する専門知識の習得を促すとともに、「自ら考え、自ら判断する」サッカー型経営の理解と共鳴により、主体的な技術習得と業務への取り組みを促しています。
また、「働き方改革」の実現に向けた作業の見直しを図り、労働時間軽減や多様な働き方の導入を含めた待遇改善を実現しています。専門性や経験、感性、価値観の異なる多様な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、女性管理職の積極的な登用や障がい者の就労機会の創出にも取り組んでいます。毎年「社長への質問」を実施し、社内環境整備に生かしています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 86.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 37.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 69.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 64.5% |
指標及び目標
以下に記載の指標に関する目標及び実績は、連結グループの主要な事業を営む提出会社のものを記載しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 仕事のやりがい | 92% |
| 仕事の満足度 | 85% |
| 障がい者雇用率 | 2.6% |
| 女性管理職比率 | 86.9% |
| 役員に占める女性の割合 | 25.0% |
| 時間外勤務月45時間以内の継続 | 達成 |
| 有給休暇取得率 | 81.2% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
スタジオアリスグループは、写真事業と衣装製造卸売事業を主たる事業としています。お客様の記念日や成長の記録を写真に残すサービスを中心に、幅広い世代のニーズに応えるビジネスを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、写真事業と衣装製造卸売事業の2つのセグメントで事業を展開しています。売上高の大部分を写真事業が占めており、同社グループの主力事業となっています。
写真事業
スタジオ写真の撮影・制作・加工、ディスプレイ制作、印刷などを行っています。収益は、お宮参り撮影や七五三撮影などの出張撮影、新業態店舗でのサービス、撮影画像のみを販売するプラン、成人式撮影・振袖レンタルサービス『ふりホ』、1歳以下の赤ちゃん撮影など、多様なフォトサービスから得ています。また、企業を対象とした出張撮影も新たな収益源として取り組んでいます。
衣装製造卸売事業
撮影用衣装等の制作・販売を行っています。収益は、オリジナル衣装の開発や、同社グループ以外の顧客への売上高増加を図る取り組みから得ています。運営は、連結子会社である株式会社京都豊匠およびその子会社である上海豊匠服飾有限公司が行っています。
| セグメント | 売上高(2025年2月期) | 売上高(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 写真事業 | 354億円 | 328億円 |
| 衣装製造卸売事業 | 1.7億円 | 1.3億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあります。これに伴い、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も減少しています。同社グループは、競合他社との差別化強化や、マーケットの変化に対応するための新たな取り組みを進めています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 407億円 | 386億円 | 364億円 | 356億円 | 329億円 |
| 経常利益 | 60.3億円 | 40.1億円 | 23.2億円 | 30.5億円 | 21.6億円 |
| 経常利益率 | 14.8% | 10.4% | 6.4% | 8.6% | 6.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 36.1億円 | 22.6億円 | 11.6億円 | 13.7億円 | 11.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 212.79 | 132.93 | 68.15 | 80.38 | 68.42 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から減少しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から減少する結果となりました。同社グループは、費用の適正化を目的とした店舗の統廃合や労働生産性の向上に努めるなど、効率的な事業運営を目指しています。
| 指標 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 26.4百万円 | 26.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.2百万円 | 1.7百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を生み出し、投資活動を行った上でなお余剰資金を確保しています。これにより、強固な財務基盤を維持していることが示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって安定していることが示されています。自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあり、財務の健全性がうかがえます。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準となっています。手元資金である現金及び預金は前期から減少していますが、依然として十分な水準を維持しており、不測の事態に対する耐性があると考えられます。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性に関わる重要な要素です。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 311億円 | 302億円 |
| 自己資本比率 | 72.2% | 78.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.6% | 3.9% |
| 現金及び預金 | 195億円 | 183億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、営業活動で安定的に資金を獲得し、事業に必要な投資を行いつつ、財務活動で資金を流出させている状況です。本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは前期から減少したものの、当期もプラスを維持しています。投資活動によるキャッシュフローは、写真スタジオの移転・改装・設備追加等に資金を投じたことにより、引き続きマイナスとなっています。その結果、フリーキャッシュフローはプラスであり、本業で得た資金で投資を賄えていることが示されています。財務活動によるキャッシュフローは、ファイナンス・リース債務の返済や配当金の支払いが主な要因となり、資金が流出しています。この資金の流れから、同社グループは事業の継続的な成長に向けた投資を行いながら、安定した財務運営を行っていることがうかがえ、雇用や給与の安定性にもつながる基盤があると考えられます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 63.4億円 | 48.8億円 |
| 投資CF | △25.2億円 | △24.2億円 |
| 財務CF | △26.8億円 | △37.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 38.2億円 | 24.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主力である写真事業では、七五三の慣習が希薄化する可能性や、新生児の出生率が長期的に低下傾向にあることがリスクとして挙げられています。これらの要因は、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
スタジオアリスは、「暮らしの豊かさ」への貢献を経営理念に掲げ、社員一人ひとりが主体的に業務を遂行する「サッカー型経営」を特徴とする企業です。お客様や地域社会への貢献を重視し、持続的な成長を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
スタジオアリスの経営理念は、「社員のヒューマンな生涯設計の達成とその基盤である企業の安定と発展を図り、視聴覚文化関連事業を通じて「暮らしの豊かさ」に貢献する」ことです。同社は、会社を「お客様、取引先、株主、社員、地域社会など利害関係者みんなのもの」と捉えています。地域社会や人類への貢献を存在理由とし、社員一人ひとりが自分と会社に誇りを持ち、社会から拍手を受ける会社になることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループの経営の基本方針は「サッカー型経営の確立」です。これは、すべてのことは店で始まり店で終わるという現場主義に基づき、社員一人ひとりが経営方針に従い、主体的な状況判断により業務を遂行し、目標達成に向かう経営スタイルを指します。サステナビリティ基本方針では、お客様、従業員、すべての利害関係者に寄り添い、コミュニケーションと協働を通じて「暮らしの豊かさ」、「家族の絆」、「持続可能な社会の実現」に貢献することを目指しています。多様な人材が活躍できる環境整備を重視し、国籍、宗教、年齢、性別に関係なく、様々な人材が意欲をもって活躍する、活力のある組織の構築を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
写真事業においては、事業環境の変化に適応し、競合他社との優位性を確立し、より多くのお客様から支持を得ることが重要な課題です。次期の経営方針として「今を革新し、未来へ」を掲げ、お客様視点で新たな考え方や技術を取り入れ、新しい価値を生み出す変革に取り組んでいます。女性活躍推進にも注力しており、女性が仕事と家庭の両立を図りやすいショートタイム勤務制度やサポートメンバー制度を導入しています。さらに、スタジオ専門職幹部から総合職への移行制度を採用するなど、女性従業員がやりがいや生きがいを持って成長できる制度・仕組みづくりを目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
スタジオアリスは、透明性、効率性、公正性、機動性を確保し、経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制を構築することで企業価値の向上を目指しています。同社グループは、高い倫理観と創業時からの経営理念の継承を重視し、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
スタジオアリスの株主構成を見ると、筆頭株主は株式会社トーランス・ジャパンであり、発行済株式の23.33%を保有しています。次いで、富士フイルムが20.28%を保有しており、特定の事業会社が主要な株主として名を連ねていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| トーランス・ジャパン | 23.33% |
| 富士フイルム | 20.28% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 4.68% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性6名・女性2名)で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は牧野俊介氏が務めています。社外取締役比率は75.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 牧野 俊介 | 代表取締役社長 | 1985年4月同社入社、2002年3月取締役、2019年2月代表取締役社長より現職。 |
| 宗岡 直彦 | 取締役副社長 | 2001年5月同社入社、2007年3月取締役人事部長、2021年5月取締役副社長業務一部ゼネラルマネージャー、2026年3月取締役副社長より現職。 |
社外取締役は、百瀬裕規氏(野村證券共同会長)、山元正人氏(富士フイルム取締役副社長)、淵郁子氏(株式会社マムプロジェクト代表取締役社長)、増田明彦氏(公認会計士・監査等委員)、雨宮沙耶花氏(弁護士・監査等委員)、原田雅俊氏(企業経営者・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会は8名で構成され、うち6名が社外取締役(3名は監査等委員)です。社外取締役は業務執行者から独立した立場で、業務執行機関の監督機能強化を目的としています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は基本報酬のみで構成されています。取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬総額は年間2億円以内、監査等委員である取締役は年間3千万円以内と定められています。個人別の基本報酬は、役職別に従業員総合職の平均給与に倍数を乗じた金額を上限として決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 74百万円 | 36.9百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 26百万円 | 4.4百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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