北雄ラッキー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

北雄ラッキー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

北雄ラッキーは、東京証券取引所スタンダード市場および札幌証券取引所に上場し、北海道内を中心に生鮮食料品や一般食料品、ファミリー衣料品を扱うスーパーマーケット事業を展開する企業です。直近の業績は、新規出店や客単価の増加などにより増収を達成し、売上総利益の増加に伴い経常利益も増益となりました。


※本記事は、北雄ラッキー株式会社の有価証券報告書(第56期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 北雄ラッキーってどんな会社?


北海道内でスーパーマーケット事業を展開し、地域密着型の店舗運営を行う企業です。

(1) 会社概要


同社は1971年に食品の小売と卸売を目的に設立され、1974年にスーパーマーケットのチェーン展開を本格化しました。1982年に現在の北雄ラッキーへ商号変更し、2004年にジャスダック市場へ上場しました。その後の東証スタンダード市場への移行を経て、2023年に札幌証券取引所へ重複上場しています。

従業員数は単体で383名です。筆頭株主は有価証券の保有および管理を行う桐生興産で、第2位は個人の横山清氏、第3位は金融機関である北洋銀行となっています。

氏名 持株比率
桐生興産 22.96%
横山 清 5.83%
北洋銀行 4.90%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は桐生宇優氏が務めており、社外取締役比率は0.0%です。

氏名 役職 主な経歴
桐生 宇優 代表取締役社長 1988年山一證券入社。1992年同社に入社し、営業本部販売部長などを経て2007年取締役に就任。その後、常務取締役営業本部長、専務執行役員管理本部長兼総務部長を歴任し、2015年より現職。
田中 寛密 取締役専務執行役員営業本部長 2000年同社入社。営業本部生鮮部バイヤー、経営企画室長などを経て2019年取締役に就任。その後、執行役員営業本部長、常務執行役員営業本部長を歴任し、2023年より現職。
髙橋 徹 取締役常務執行役員管理本部長 1986年同社入社。営業本部生鮮部長、管理本部開発部長などを経て2022年取締役に就任。その後、執行役員管理本部長を歴任し、2023年より現職。
吉田 武生 取締役執行役員経営企画室長 1994年同社入社。新琴似2号店店長、営業本部販売部長、執行役員営業本部販売統括部長などを経て、2023年3月に執行役員経営企画室長となり、同年5月より現職。
吉田 周史 取締役 1997年中央監査法人に入所。2000年公認会計士登録後、新日本監査法人等を経て2013年吉田周史公認会計士事務所を設立。他社の社外役員などを経て2016年より現職。

2. 事業内容


同社は、「スーパーマーケット事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) スーパーマーケット事業


北海道全域にて、生鮮食料品を中心に加工食品や一般食料品、ファミリー衣料品などを販売する地域密着型のスーパーマーケットを展開しています。顧客層は主に50代以上のシニア層を中心に構成されていますが、30代から40代のファミリー層に向けた顧客開拓にも注力し、生活必需品と付加価値商品の提案を行っています。

店舗での商品販売を通じて、一般消費者から商品の購入代金を受け取ることで収益を得るモデルです。実店舗での店頭販売を主体とし、商品の仕入れから加工、販売までを一貫して手がけています。このスーパーマーケット事業の運営は、同社が単独で行っています。

3. 業績・財務状況


同社の単体業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績推移を見ると、売上高は一時的な減少局面があったものの、直近では回復傾向に転じています。一方、利益面では人件費や物流費、エネルギー価格の上昇などのコスト増が影響し、利益率が低下する厳しい環境が続いています。物価上昇に伴う客単価の増加が売上に寄与したものの、経費の増加分を補うには至らず、最終的な利益水準は以前と比べて抑えられた状態となっています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 390億円 377億円 379億円 369億円 372億円
経常利益 4億円 4億円 5億円 2億円 2億円
利益率(%) 1.0% 1.1% 1.4% 0.6% 0.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 1億円 3億円 1億円 1億円

(2) 損益計算書


損益構成を見ると、売上高に対して売上総利益は安定した水準を維持していますが、販管費の負担により営業利益率は1%未満にとどまっています。直近の期間では、新規出店や客単価の上昇により売上高と売上総利益がわずかに増加したものの、各種経費の上昇が利益を圧迫する構造となっています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 369億円 372億円
売上総利益 102億円 102億円
売上総利益率(%) 27.5% 27.4%
営業利益 2億円 2億円
営業利益率(%) 0.7% 0.6%


販売費及び一般管理費のうち、パートやアルバイトなどの雑給が24億円(構成比24%)、給与及び手当が19億円(同19%)、水道光熱費が10億円(同10%)を占めており、人件費と店舗運営コストが大きな比重を占めています。売上原価はすべて商品売上原価で構成されています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


当期のキャッシュ・フローは、営業活動で生み出した資金と定期預金の払い戻し等の投資活動による収入を合わせて、借入金等の返済を進める「改善型」の局面となっています。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.9%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も34.0%で市場平均を下回っています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 2億円 14億円
投資CF -4億円 8億円
財務CF 0.7億円 -20億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「日本一質の高いスーパーマーケットをめざします」を企業理念として掲げています。多様化する消費者のニーズにできる限りきめ細かく対応していくことで、顧客の満足度を最大限に引き上げることを使命としています。地域顧客のライフラインとしての役割を担いながら、持続的な事業運営を追求し、今も未来も地域の人々と共にあり続けるスーパーマーケットを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「よりおいしくより豊かに」「健康と安心」を商品政策の不変のこだわりとしています。これらを実現するために失敗を恐れずトライを続ける「チャレンジャー」としての姿勢を重視しています。また、理念の実現には商品力の強化とともに、「感動を与えるサービス」と「仕事に対する向上心」が不可欠であると考え、従業員一人ひとりがこの価値観を共有して業務に取り組む文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社は、目標の達成度を客観的に測定する指標として「経常利益」を最も重視しています。あわせて、財務的な安定度を示す「自己資本比率」、投資効率を示す「総資産利益率」や「投下資本利益率」を重点指標として掲げ、安定的な成長を維持するための3年間の中期経営計画を推進しています。直近の事業年度では以下の数値目標を設定して事業を運営しました。

・売上高:372億円
・経常利益:2.3億円
・売上高経常利益率:0.6%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は企業の永続的な収益力強化に向け、独自の商品選定基準である「6MD」を深掘りし、競合他社との差別化を図る成長戦略を掲げています。特に「おいしさ」と「健康・安心」の追求を大原則とし、提案型の商品開発を進めています。また、次世代にあたる30〜40代のファミリー層へのターゲット拡大や、センターへの調理・加工集約によるコスト圧縮、セルフレジ導入などを通じた業務効率の改善を重点施策として推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、企業理念の実現には「感動を与えるサービス」と「仕事に対する向上心」が柱になると捉え、人的資本の充実に注力しています。すべての従業員が働きやすい環境を整備するとともに、従業員に対する研修制度を拡充しています。また、毎年行う育成面接を通じて個人の成長に向けた課題を明確化し、社内での人材育成を可視化する方針を掲げています。社内育成が間に合わない部門については、機動的な中途採用の検討も進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 47.1歳 21.0年 5,100,215円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 58.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 75.1%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 100.1%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) スーパーマーケットの競合激化


同社が店舗を展開する北海道内はすでにオーバーストア状態にあり、同業他社だけでなくネット通販やドラッグストアなど異業態との競争にもさらされています。今後、同社店舗の商圏内に新たな競合店が出店した場合、客数の減少や価格競争による収益圧迫など、同社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 食品の安全性と調達リスク


輸入食品の安全性問題や原材料の偽装、家畜伝染病の発生など、消費者の食の安全に対する信頼を損ねる事象が発生するリスクがあります。問題が生じた場合、仕入れルートの変更に伴う調達難や相場の高騰によるコスト増加、売上不振を招くおそれがあり、同社の経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) 食品衛生と品質管理


品質保持期限が短い生鮮食品や店内加工を要する食品を多く取り扱っているため、温度管理や衛生管理には厳格な注意を払っています。しかし、万一食中毒などの事故が発生し、食の安全に対する信頼を損なうような事態が生じた場合、社会的信用の低下により、同社の事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。