※本記事は、株式会社カルラ の有価証券報告書(第53期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. カルラってどんな会社?
同社は、和風ファミリーレストラン「まるまつ」を主力とする外食チェーンで、東北地方を中心に店舗展開しています。
■(1) 会社概要
1910年に丸松そば店として創業し、1982年に和風ファミリーレストラン「まるまつ」1号店を開店しました。2002年には自社工場を新設し、製販一貫体制を強化しています。2004年にジャスダック証券取引所へ上場を果たしました。2022年4月の市場再編に伴い、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。
同社グループの従業員数は連結で258名、単体で258名です。筆頭株主は創業家が代表を務める株式会社アセットシステムで、第2位は同社代表取締役副社長の井上純子氏、第3位は従業員持株会となっており、創業家や関係者が大株主の上位を占めています。
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は井上善行氏が務めています。社外取締役比率は27.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 井上 善行 | 代表取締役社長 | 1988年同社入社。常務取締役社長室長、専務取締役等を経て、2013年5月より現職。 |
| 井上 純子 | 代表取締役副社長 | アセットシステム代表取締役社長。2022年同社取締役、2023年5月より現職。 |
| 菊池 公利 | 常務取締役 | 1978年同社入社。執行役員供給本部長、取締役営業本部長等を経て、2024年7月より現職。 |
| 三浦 祐介 | 取締役 | 2004年同社入社。第1営業部地区長、執行役員第1営業部長等を経て、2024年5月より現職。 |
| 櫻井 昌彦 | 取締役 | 2000年同社入社。第1営業部地区長、執行役員第2営業部長等を経て、2024年5月より現職。 |
社外取締役は、花舘達(公認会計士)、齋藤信一(税理士)、大友史祥(海祥代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「レストラン事業」を展開しています。
■(1) レストラン事業
同社は、和風ファミリーレストラン「まるまつ」を主力業態とし、かに料理「かに政宗」、とんかつ「かつグルメ」、日本そば「丸松」、和食「寿松庵」、低価格の丼・定食「らら亭」などの飲食店を経営しています。メニューは和食を中心とした構成で、自家製豆腐などヘルシーさと高品質を実現しています。
顧客からの飲食代金が主な収益源です。店舗で提供するスープ類、野菜類、魚介類等の食材については、自社工場にて製造加工を行うことで品質の安定化を図っています。運営はカルラが行っています。また、連結子会社の亘理ファームでは、ビニールハウス内での水耕栽培による農産物の生産を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年2月期から2025年2月期までの業績を見ると、売上高は回復傾向にあり、直近では73億円規模となっています。利益面では、2021年2月期に大きく落ち込みましたが、その後回復し、経常利益は黒字を維持しています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 53億円 | 52億円 | 60億円 | 68億円 | 73億円 |
| 経常利益 | -5.0億円 | -1.0億円 | 0.1億円 | 3.4億円 | 3.6億円 |
| 利益率(%) | -9.5% | -1.9% | 0.2% | 5.0% | 5.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -9.8億円 | -4.5億円 | -0.6億円 | 4.4億円 | 3.6億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の業績を比較すると、売上高は増加し、売上総利益率も改善傾向にあります。営業利益および営業利益率も前期と比較して上昇しており、本業の収益性が向上しています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 68億円 | 73億円 |
| 売上総利益 | 48億円 | 51億円 |
| 売上総利益率(%) | 70.6% | 70.3% |
| 営業利益 | 3.5億円 | 3.7億円 |
| 営業利益率(%) | 5.1% | 5.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が23億円(構成比48%)、賃借料が7億円(同14%)を占めています。売上原価については、商品及び製品の仕入などが主な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
同社はレストラン事業の単一セグメントですが、売上高は前期比で増加しています。行動制限の緩和やインバウンド需要の回復などが寄与したものと考えられます。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| レストラン事業 | 68億円 | 73億円 |
| 連結(合計) | 68億円 | 73億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」に該当します。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.0億円 | 3.8億円 |
| 投資CF | 0.0億円 | -0.6億円 |
| 財務CF | -2.2億円 | -8.7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.4%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「安全・安心で、健康的な美味しい食事」を「より価値のある価格で提供する」ことを理念としています。また、飲食を「生産から販売までの一貫体制」で実現することを使命とし、人々の豊かな生活の実現と社会貢献を目指しています。
■(2) 企業文化
「顧客満足の充足」を基本方針とし、顧客第一主義をモットーに掲げています。また、「働く人の生活向上」を目指し、優秀な人材の確保と能力向上を重視しています。「おもてなしの心」を重点方針とし、品質・サービス・清潔さ(Q・S・C)の向上に取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、生産から販売までの一貫体制を実現し、店舗数1,000店舗の全国展開を目指しています。中長期的には、東北・北関東地区でのドミナントエリア構築、労働生産性の向上、店舗人材の確保・育成、新フォーマットの開発を重要な経営戦略としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
既存店の収益力向上に向けて、和食の旬の食材を生かした季節メニューの強化や新メニュー開発を行い、競争力を高めていく方針です。また、キャッシュレス決済の全店導入を進め、顧客の利便性向上を図ります。さらに、HACCPによる衛生管理体制の強化や、作業の単純化による生産性向上、経費削減に取り組み、利益体質の構築を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
企業の成長には優秀な人材の確保と能力向上が不可欠とし、働く人の生活向上を目指しています。人手不足への対応として、働きがいのある職場づくりやDX活用による労働時間削減を進めています。また、女性の積極的な採用と役職登用、両立支援制度の拡充にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 45.5歳 | 12.0年 | 4,120,068円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.3% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.2% |
| 男女賃金差異(正規) | 78.4% |
| 男女賃金差異(非正規) | 100.1% |
※男性労働者の育児休業取得率は、HTMLの記載に基づき「-」としています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 出店政策について
主力業態「まるまつ」を中心に展開していますが、出店条件に合致した物件が見つからない場合や、出店後の立地環境変化により、計画通りに出店できない可能性があります。出店政策の成否が業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 競合店の影響
東北地方および北関東のロードサイドを中心に出店しているため、同業他社だけでなく、コンビニエンスストアや中食事業者とも競合関係にあります。競争激化により自社の競争力が相対的に低下した場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。
■(3) 金利変動の影響
本社・工場や店舗用地の取得資金を主に金融機関からの借入で調達しているため、有利子負債の割合が高くなる傾向にあります。今後の金利動向によっては、支払利息の増加などが業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 外食業界の動向
中食市場の成長等により、外食市場の既存店売上高は減少傾向にあります。既存店舗の売上高構成比が高い状況下で既存店売上が減少した場合、全体の売上高も減少する可能性があります。



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