※本記事は、株式会社カルラ の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
カルラグループは、和風ファミリーレストラン「まるまつ」を中心に、すし、天ぷら、そばなどを提供する店舗を展開しています。かに料理「かに政宗」やとんかつ「かつグルメ」など多様な業態も手掛け、自社工場での食材加工により品質の標準化とコスト削減を図っています。
単体従業員数は250名、連結従業員数も250名です。同社グループの報告セグメントはレストラン事業の単一セグメントとなっています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社カルラは、従業員の定着を重視し、働きがいのある職場環境づくりに取り組んでいる同社グループです。給与水準や働き方に関する具体的なデータから、同社グループの安定性や多様性への取り組みが見えてきます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、従業員が長期的にキャリアを築きやすい環境にあると考えられます。人材の定着を重視し、安定した雇用を提供している傾向がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,211,587円 |
| 平均勤続年数 | 13.0年 |
| 平均年齢 | 45.5歳 |
| 単体従業員数 | 250人 |
| 連結従業員数 | 250人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
同社は確定拠出型の退職給付制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を設けています。この制度は同社を対象としています。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人手不足の問題に着手し、働きがいのある職場を目指すことを人材戦略の基本方針としています。個人の能力や適性に応じた適材適所の人材配置を行っています。
店舗における作業の標準化やDXを活用した取り組みにより、労働時間の削減にも取り組んでいます。女性が安心して活躍できる環境を整備するため、積極的な女性の採用と役職登用を推進しています。結婚・出産・育児といったライフイベントと仕事を両立できる支援制度の拡充も図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率は、育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 70.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 80.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 101.6% |
人材育成
同社グループは、サステナビリティ経営を推進する中で、人材育成に関する目標を定めています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職の比率 | 20%以上 (2028年3月末まで) |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
カルラグループは、和風ファミリーレストラン「まるまつ」を主軸に、多様な飲食業態を展開しています。自社工場での食材加工から店舗での提供まで一貫した体制を構築し、安全で健康的な食事を価値ある価格で提供することを目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
カルラグループは、和風ファミリーレストラン「まるまつ」を中心に、すし、天ぷら、そば等を提供する店舗展開を行っています。「まるまつ」以外にも、かに料理「かに政宗」、とんかつ「かつグルメ」、日本そば「丸松」、和食の「寿松庵」、低価格の丼・定食「らら亭」といった多様な業態を経営しています。
各店舗で提供する食材は、そばつゆ等のスープ類、野菜類、魚介類などを自社工場で製造加工し、品質の標準化と作業の削減を図っています。その他の食材は本社で一括購入し、物流センターを経由して全店舗に配送することで、品質安定と購入単価の引き下げに努めています。
メニューは和食を中心とし、自家製豆腐などヘルシーで高品質な食材を提供しています。四季折々の素材を取り入れ、家庭での日常食を基本とすることで、大人から子供まで幅広い世代が利用しやすい工夫がされています。連結子会社の株式会社亘理ファームでは、ビニールハウス内で水耕栽培による農産物(主にレタス・水菜等)を生産しています。
同社グループはレストラン事業のみの単一セグメントで事業を展開しており、本邦以外の外部顧客への売上高はありません。特定の顧客に収益が集中している状況もありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
カルラグループの業績は、過去5期において売上高は増加傾向にあります。経常利益は第50期に損失を計上しましたが、第51期に黒字転換し、第52期、第53期と増加しました。しかし、当期は減少に転じています。
親会社株主に帰属する当期純利益も同様に、第50期、第51期は損失でしたが、第52期に黒字転換し、第53期は増加しました。当期は減少となりました。原材料費の高騰や人手不足に伴う人件費の上昇が利益面を圧迫し、厳しい経営環境が続いていることが示されています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 52.0億円 | 60.4億円 | 68.4億円 | 72.6億円 | 75.4億円 |
| 経常利益 | △99百万円 | 15百万円 | 3.4億円 | 3.6億円 | 3.0億円 |
| 経常利益率 | △1.9% | 0.2% | 5.0% | 5.0% | 4.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △4.5億円 | △61百万円 | 4.4億円 | 3.6億円 | 2.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △74.68 | △10.21 | 72.99 | 63.03 | 41.63 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
カルラグループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期と比較して増加しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から減少する結果となりました。
これは、売上高は伸びているものの、原材料費や人件費などのコスト上昇が利益を圧迫している状況を示しています。コスト管理の徹底や価格改定などの取り組みを進めながらも、収益性維持が課題となっていることがうかがえます。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 28.2百万円 | 30.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.4百万円 | 1.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社カルラは、安定した財務基盤を構築しており、本業で得た資金を元手に事業を運営している状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は、非製造業のプライム市場平均と比較して高い水準にあります。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回っており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。また、現金及び預金は増加傾向にあり、手元資金の厚みが増している状況です。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 19.8億円 | 21.9億円 |
| 自己資本比率 | 39.4% | 40.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 20.1% | 11.5% |
| 現金及び預金 | 10.1億円 | 12.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは4.4億円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費の計上、未払金の増加によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは△3.5億円の支出となり、POSレジの入れ替えや新規店舗の開店に伴う有形固定資産の取得による支出が主な要因となっています。
財務活動によるキャッシュ・フローは1.0億円の収入となりました。長期借入れによる収入があった一方で、長期借入金の返済や配当金の支払いによる支出がありました。結果として、本業で得た資金が投資活動による支出を上回り、自由に使える資金が増加している状況です。これは、事業の安定的な運営と将来への投資余力を示しており、雇用や給与の安定性にもつながる傾向であると言えます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.8億円 | 4.4億円 |
| 投資CF | △0.6億円 | △3.5億円 |
| 財務CF | △8.7億円 | 1.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 3.3億円 | 0.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループが属する外食市場では、中食市場の成長等の影響により、既存店の売上高が減少する傾向にあります。また、主力業態である「まるまつ」は、和風ファミリーレストランや洋風ファミリーレストラン、ファーストフード、コンビニエンスストア、宅配事業者等との競合が激化しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、人材の確保と育成を重要な経営課題と捉えています。新規出店を賄える人材の確保及び育成ができない場合には、出店計画の見直し等を行わざるを得なくなり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
カルラは、「生産から販売までの一貫体制」を強みとし、人々に安全・安心で、健康的で美味しい食事を提供することで、豊かな生活と社会貢献を目指している会社です。顧客満足の追求と働く人の生活向上を重視し、持続的な成長と発展を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
カルラは、飲食が人間の生命を支え、明日への喜びを作り出す最も基本的なことであると捉えています。この飲食を「生産から販売までの一貫体制」で実現することを使命としています。
人々に安全・安心で、健康的で美味しい食事を、より価値ある価格で提供し続けることで、より豊かな生活を実現し、社会に貢献することを目指しています。中長期的には、店舗数1,000店舗の全国展開を目標に掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは「顧客第一主義」をモットーに、お客様に健康的で美味しい食事を、清潔感のある雰囲気の良い店舗で、よりスピーディーかつ安く提供し、顧客満足の充足を図ることを重視しています。また、企業の成長と発展には優秀な人材の確保と能力向上が不可欠であるとし、働く人の生活向上を目指しています。
より安全で安心な食事をお値打ち価格で提供するため、HACCPに対応した生産、加工、販売までの一貫した仕組みを構築し、社会に貢献しています。働きがいのある職場を目指し、個人の能力や適性に応じた人材配置、労働時間の削減に取り組んでいます。女性の採用と役職登用を積極的に推進し、結婚・出産・育児といったライフイベントと仕事を両立できる支援制度の拡充も図っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、多様な人材が活躍できる職場環境の整備を経営の最重要課題の一つと位置づけています。処遇改善や柔軟なワークスタイルの確立に向けた投資を継続しています。
有給休暇取得の促進、女性管理職比率および男性育児休業取得率の向上に向けた具体的なアクションプランを実行し、健全かつ強固な経営基盤の構築を目指しています。また、モバイルオーダーの全店導入や店舗オペレーションのデジタル化を深化させるDX戦略により、スタッフの業務負担軽減と人的資源のサービス提供への集中を図っています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
カルラは、株主総会と取締役会を意思決定および監督機関とし、迅速な意思決定のために経営会議を設置しています。監査役会制度を採用し、経営の透明性と適法性の確保に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
カルラの株主構成を見ると、筆頭株主は株式会社アセットシステムであり、同社の代表取締役社長はカルラの代表取締役社長である井上純子氏が兼務しています。また、井上純子氏個人も上位株主の一人であり、カルラ従業員持株会も主要な株主として名を連ねています。創業家と関連会社が上位を占める資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| アセットシステム | 36.97% |
| 井上 純子 | 6.24% |
| カルラ従業員持株会 | 3.34% |
なお、所有株式数及び発行株式数に対する所有株式数の割合は、表示単位未満の端数を切り捨てて表示されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
カルラの役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は井上純子氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 井上 純子 | 代表取締役社長 | 2013年10月に株式会社アセットシステム代表取締役社長に就任し、2022年5月には同社取締役商品開発室担当、2023年5月には同社代表取締役副社長を経て、2026年5月より現職。 |
| 菊池 公利 | 常務取締役 | 1978年7月に同社に入社後、執行役員、取締役を歴任。2024年7月に常務取締役商品本部長に就任し、2026年4月より常務取締役供給本部統括として現職。 |
| 三浦 祐介 | 常務取締役 | 2004年12月に同社に入社し、店長、地区長、営業部長を経験。2022年3月に執行役員、2024年5月に取締役第1営業本部長を経て、2026年5月より常務取締役管理統括第1営業本部長として現職。 |
| 櫻井 昌彦 | 取締役 | 2000年4月に同社に入社後、店長、地区長、支配人を経験。2022年3月に執行役員、2024年5月に取締役第2営業本部長を経て、2026年4月より取締役商品統括第2営業本部長として現職。 |
| 伊藤 真市 | 取締役 | 2004年5月に同社に入社し、執行役員、取締役、常務取締役、専務取締役を歴任。2024年9月に取締役を退任後、2026年5月より再び同社取締役に就任し現職。 |
| 井上 奈奈美 | 取締役 | 2021年5月に同社に入社し営業部に配属。2026年5月より同社取締役に就任し現職。 |
社外取締役は、花舘達氏(花舘公認会計士事務所代表)、齋藤信一氏((有)齋藤経営取締役会長)、大友史祥氏(株式会社海祥代表取締役)です。
カルラは監査役会設置会社であり、社外取締役3名と社外監査役2名が経営の監督機能を担っています。これにより、客観的かつ中立的な視点から経営の健全性や透明性の確保に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
カルラの役員報酬は、固定報酬を基本としています。取締役の報酬は、株主総会で定められた限度額の範囲内で、社会的動向や業績、社員給与とのバランスを考慮し、職位と職責に応じた額を代表取締役社長に一任して決定されています。監査役の報酬は、株主総会で決定された限度額内で監査役間の協議により決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 60百万円 | 10.1百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 4百万円 | 3.6百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 9百万円 | 1.8百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。