※本記事は、株式会社メディカル一光グループ の有価証券報告書(第40期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. メディカル一光グループってどんな会社?
メディカル一光グループは、調剤薬局の運営を中核に、医薬品卸や介護サービスも手がける企業グループです。医療と介護の連携を強みとし、地域密着型のサービスを展開しています。
■(1) 会社概要
1985年に調剤薬局の経営を目的として設立され、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。2005年にはヘルスケア事業へ進出し、事業領域を拡大しています。2013年に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)へ上場し、2019年には持株会社体制へ移行して現在の商号に変更しました。近年はM&Aを積極的に行い、医薬品卸事業の強化などを進めています。
同グループは連結従業員数1,547名、単体30名の体制で運営されています。筆頭株主は、資本提携関係にあり「イオングループ」の中核であるイオン株式会社です。第2位は創業者の南野利久氏、第3位は事業会社であるハウス食品グループ本社株式会社となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| イオン | 27.11% |
| 南野利久 | 18.89% |
| ハウス食品グループ本社 | 9.57% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は南野利久氏が務めています。取締役7名のうち4名が社外取締役であり、社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 南野 利 久 | 代表取締役社長 | 1985年同社設立とともに代表取締役社長に就任。2019年よりグループCEOを兼任し、子会社の代表取締役も務めるなどグループ経営を牽引しています。 |
| 櫻井 利 治 | 代表取締役専務取締役経営全般担当 | 銀行出身。2005年に入社し、企画開発部長などを歴任。2014年より代表取締役専務取締役。現在は経営全般および子会社の代表取締役社長を務めています。 |
| 遠山 邦 彦 | 常務取締役管理全般 関東支社担当 | 銀行出身。2021年に入社し、財務・IR部長などを経て、2025年5月より現職。管理部門全般および関東支社を担当しています。 |
社外取締役は、堀野桂子(弁護士法人北浜法律事務所パートナー)、桑原茂裕(元アフラック生命保険取締役副会長)、堀江裕(藤田医科大学教授)、澤田菫(タワーズワトソン社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「調剤薬局事業」、「ヘルスケア事業」、「医薬品卸事業」、「不動産事業」の4つの報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 調剤薬局事業
医療機関が発行する処方箋に基づき、医薬品の調剤を行う事業です。地域社会から信頼される「かかりつけ薬剤師・薬局」としての機能を強化し、安全性を最優先したサービスを患者に提供しています。
収益は、調剤に対する対価である「薬剤料」および「技術料」などから構成されています。運営は主に株式会社メディカル一光、株式会社ヘルシー薬局、株式会社京寿薬品などの子会社が行っています。
■(2) ヘルスケア事業
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの介護施設の運営、および訪問介護等の多様な介護サービスを提供しています。高齢化社会の進展に伴うニーズに応え、安心で快適な生活環境を提供しています。
収益は、入居者および利用者からの介護サービス利用料や施設入居費などから得ています。運営は、株式会社ハピネライフ一光、株式会社ハピネライフケア鳥取などの子会社が担っています。
■(3) 医薬品卸事業
医療機関や薬局等に対して医薬品の販売を行っています。ジェネリック医薬品の使用促進策を背景に市場が拡大する中、M&Aを通じて営業エリアの拡大を図っています。
収益は、医療機関等への医薬品販売による代金から得ています。運営は、株式会社メディカル一光、株式会社佐藤薬品販売、株式会社若松薬品、京葉沢井薬品株式会社などの子会社が行っています。
■(4) 不動産事業
同社グループが所有する一般不動産の賃貸業務を行っています。保有資産の有効活用を図り、安定した収益源としています。
収益は、テナント等からの不動産賃貸料です。運営は、メディカル一光グループ(同社)および株式会社メディカル一光などの子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年2月期から2025年2月期までの推移を見ると、売上高は着実に増加傾向にあり、特に直近の2025年2月期には大幅な増収を記録しています。利益面では、経常利益ベースで安定した黒字を維持しており、利益率も一定の水準を保っています。全体として事業規模の拡大とともに堅調な成長を続けています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 316億円 | 336億円 | 339億円 | 399億円 | 484億円 |
| 経常利益 | 12億円 | 14億円 | 12億円 | 18億円 | 18億円 |
| 利益率(%) | 3.8% | 4.0% | 3.6% | 4.4% | 3.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 9億円 | 8億円 | 10億円 | 11億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で大きく増加し、それに伴い売上総利益も拡大しています。一方で、事業拡大に伴うコスト増加も見られますが、営業利益および営業利益率は前年を上回る水準を確保しており、収益性は維持・向上されています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 399億円 | 484億円 |
| 売上総利益 | 46億円 | 57億円 |
| 売上総利益率(%) | 11.4% | 11.9% |
| 営業利益 | 16億円 | 17億円 |
| 営業利益率(%) | 3.9% | 3.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が15億円(構成比37%)、役員報酬が4億円(同9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
調剤薬局事業はM&A効果等により増収となりましたが、薬価改定の影響等で減益となりました。医薬品卸事業はM&Aにより売上が大幅に増加し、利益も伸長しました。ヘルスケア事業は増収ながらも新規開設費用等により減益となりました。全体としては増収増益を達成しています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) | 利益(2024年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 調剤薬局事業 | 235億円 | 247億円 | 14億円 | 12億円 | 5.0% |
| ヘルスケア事業 | 77億円 | 81億円 | 2億円 | 2億円 | 2.0% |
| 医薬品卸事業 | 84億円 | 154億円 | 2億円 | 3億円 | 2.2% |
| 不動産事業 | 2億円 | 2億円 | 1億円 | 1億円 | 67.7% |
| 調整額 | -9億円 | -8億円 | -3億円 | -2億円 | - |
| 連結(合計) | 399億円 | 484億円 | 16億円 | 17億円 | 3.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業の営業活動で得た資金を、借入金の返済や投資活動に充てており、財務体質の健全性を維持しながら事業運営を行っている「健全型」のキャッシュ・フロー状態と言えます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 43億円 | 12億円 |
| 投資CF | -32億円 | -11億円 |
| 財務CF | 3億円 | -10億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は41.2%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「良質の医療・介護サービスをより多くの人に提供する」ことを基本方針としています。医療および介護に特化したビジネスモデルを展開し、患者様や利用者様に安心で快適なサービスを提供することを通じて、社会に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、「患者様第一主義」「ホスピタリティーの精神」をモットーとしています。これらを重視し、患者様や医療機関双方から信頼される企業グループの形成を目指しています。また、安全性を最優先し、地域社会から信頼される薬局づくりや介護サービスの提供に努める姿勢を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、2025年4月に2028年2月期を最終年度とする中期経営計画を策定しました。長期的かつ持続的に成長できる組織と体制を再構築し、各事業を推進することで、以下の数値目標の達成を目指しています。
* 売上高:600億円
* 営業利益:25億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、社会変化に対応するため「事業規模の拡大」「効率経営による収益力の強化」「人材育成」を優先課題としています。調剤薬局事業では新規出店やM&Aによる規模拡大と「かかりつけ」機能の強化を推進し、ヘルスケア事業では収益基盤の構築を進めます。医薬品卸事業では販路拡大と組織体制の見直しに注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、持続的な企業発展に向け、人材の採用、研修・育成、評価を重視しています。採用では多様な人材を確保し、研修では職種・階層別の制度や資格手当によりスキルアップを支援します。また、ダイバーシティ推進の観点から、女性管理職登用や育児・介護休業制度の充実など、多様な人材が活躍できる職場環境の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 41.4歳 | 9.5年 | 6,154,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.7% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 73.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 55.0% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 調剤薬局事業の法的規制
調剤薬局事業は、医薬品医療機器等法や健康保険法などの法的規制を受けており、薬局開設許可や保険薬局指定などの許認可が必要です。法令違反や法令改正があった場合、許認可の取り消しや業務停止などの行政処分を受ける可能性があり、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 薬価基準及び調剤報酬の改定
調剤薬局事業の売上は、公定価格である薬価基準に基づく薬剤料と、調剤報酬点数に基づく技術料から成り立っています。今後、医療費抑制策の一環として薬価基準や調剤報酬の引き下げが行われた場合、同社グループの収益性が低下し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 薬剤師の確保
調剤薬局の運営には、法令により各店舗への薬剤師の配置が義務付けられています。店舗数の増加に伴い必要な薬剤師数は増加しますが、人材不足等により十分な薬剤師を確保できない場合、新規出店の抑制や既存店舗の運営に支障をきたし、事業拡大や業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 介護制度の改定
ヘルスケア事業は介護保険制度の下で運営されており、3年ごとに介護報酬の改定が行われます。また、5年ごとに制度全般の見直しも行われます。介護報酬の引き下げや制度変更により収益環境が悪化した場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、指定基準の遵守状況によっては行政処分を受けるリスクもあります。



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