メディカル一光グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

メディカル一光グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

メディカル一光グループは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、調剤薬局事業を主力にヘルスケア事業や医薬品卸事業を展開する企業です。直近の業績は、積極的なM&A等による事業規模の拡大によって売上高が前期比で増加し、増収増益を達成しました。今後も医療・介護に特化したビジネスで成長を目指します。


※本記事は、株式会社メディカル一光グループの有価証券報告書(第41期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月19日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. メディカル一光グループってどんな会社?


同社は調剤薬局の経営を主力とし、介護施設の運営や医薬品卸なども手掛ける医療・介護に特化した企業グループです。

(1) 会社概要


1985年4月に調剤薬局の経営を目的としてメディカル一光を設立しました。1997年11月にジャスコ(現 イオン)と資本提携を結び、2004年にジャスダック証券取引所に上場しました。2005年にはヘルスケア一光を設立して施設介護事業へ進出し、2019年に持株会社体制へ移行して現在の社名に変更しています。

同社グループの従業員数は連結で1,608名、単体で30名です。筆頭株主は事業会社のイオンで、第2位は創業者の南野利久氏、第3位は事業会社のハウス食品グループ本社となっています。

氏名 持株比率
イオン 27.08%
南野利久 18.87%
ハウス食品グループ本社 9.55%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は南野利久氏が務めており、取締役における社外取締役の比率は36.4%となっています。

氏名 役職 主な経歴
南野利久 代表取締役社長 1980年に近畿商事三重を設立し社長に就任。1985年に同社を設立し社長に就任。ヘルスケア一光などの代表を経て、2019年より同社グループCEOに就任。
櫻井利治 代表取締役専務取締役経営全般担当 2002年関西さわやか銀行本店営業部長を経て、2005年に同社入社。2008年よりヘルスケア一光代表などを歴任し、2014年より代表取締役専務取締役に就任。
遠山邦彦 常務取締役管理全般 関東支社担当 1991年東海銀行に入行。三菱UFJ銀行支店長などを経て、2021年に同社入社。財務・IR部長などを歴任し、2024年に常務取締役に就任。


社外取締役は、堀野桂子(北浜法律事務所パートナー)、桑原茂裕(元アフラック生命保険副会長)、堀江裕(元藤田医科大学教授)、澤田菫(元タワーズワトソン)です。

2. 事業内容


同社グループは、「調剤薬局事業」「ヘルスケア事業」「医薬品卸事業」「不動産事業」を展開しています。

調剤薬局事業


同事業は、医療機関が発行する処方箋に基づいて患者に医薬品の調剤を行うサービスを提供しています。地域社会から信頼される「かかりつけ薬剤師・薬局」の機能を高め、顧客満足度の向上を図りながら、安全性を最優先した調剤業務を行っています。

主な収益は、公定価格である薬価基準に基づく薬剤料や、調剤報酬点数に基づく技術料などから得ています。運営は主にメディカル一光、ヘルシー薬局、京寿薬品が行っています。

ヘルスケア事業


同事業は、高齢化社会の進展による社会的ニーズに応えるため、介護施設の運営や訪問介護など、多様な介護サービスを提供しています。入居者および利用者が安心で快適に過ごせる環境づくりと収益基盤の構築を推進しています。

収益は、主に介護保険法に基づく介護報酬等から得ています。運営は主にハピネライフ一光、ライフケア、メディカルケア一光、サンライズヴィラ土浦などが行っています。

医薬品卸事業


同事業は、医療機関や薬局などに向けて、ジェネリック医薬品を中心とする各種医薬品の販売を行っています。グループ内の経営資源の集約と効率化を進め、販売力の強化に注力しています。

収益は、顧客となる医療機関等への医薬品販売による対価から得ています。運営は主にメディカル一光およびメディシン一光が行っています。

不動産事業


同事業は、賃貸用の医療施設や商業施設などの一般不動産を所有し、テナント等へ賃貸するサービスを提供しています。

収益は、保有する不動産物件からの安定した賃料収入によって構成されています。運営は主に同社、メディカル一光、サンライズヴィラ土浦、ヘルスケア・キャピタルが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高はM&Aの推進や新規出店効果により右肩上がりで拡大を続けており、当期は大幅な増収を達成しています。経常利益についても堅調に推移しており、規模拡大に伴う統合効果の発現や業務効率化の促進が寄与しています。一方で利益率は緩やかな低下傾向が見られ、収益力の強化が課題となっています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 336億円 339億円 399億円 484億円 550億円
経常利益 14億円 12億円 18億円 18億円 19億円
利益率(%) 4.0% 3.6% 4.4% 3.8% 3.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 5億円 5億円 6億円 2億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で大幅に増加し、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は安定した水準を維持していますが、M&A関連費用や新規施設開設に伴う先行費用などの影響で、営業利益率はわずかに低下しました。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 484億円 550億円
売上総利益 57億円 65億円
売上総利益率(%) 11.8% 11.8%
営業利益 17億円 18億円
営業利益率(%) 3.5% 3.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が19億円(構成比40%)、役員報酬が3億円(同7%)、租税公課が3億円(同7%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収を達成しています。主力の調剤薬局事業は処方箋単価の上昇やM&A効果により成長し、ヘルスケア事業も新規施設の開設などが寄与しました。医薬品卸事業は新たな子会社化が牽引して大幅に売上を伸ばしています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
調剤薬局事業 247億円 263億円
ヘルスケア事業 81億円 90億円
医薬品卸事業 154億円 194億円
不動産事業 2億円 3億円
連結(合計) 484億円 550億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業となっています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 12億円 12億円
投資CF -11億円 -18億円
財務CF -10億円 -3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は41.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「良質の医療・介護サービスをより多くの人に提供する」ことを基本方針として掲げています。医療および介護に特化したビジネスモデルを展開し、事業を通じて社会的ニーズに応えるとともに、持続可能な社会の実現に貢献し企業価値の向上を目指しています。患者や利用者からの信頼を第一とした経営を行っています。

(2) 企業文化


同社は「患者様第一主義」および「ホスピタリティーの精神」をモットーとした企業文化を重視しています。誰もが安心して医療サービスを受けることができる環境を目指し、多様な人材が活躍できるダイバーシティ&インクルージョンの視点を取り入れながら、一人ひとりの能力を活かした組織の活性化を推進しています。

(3) 経営計画・目標


同社は中長期的かつ持続的に成長できる組織と体制の再構築を目指し、中期経営計画を策定して事業を推進しています。具体的には、2028年2月期に向けて以下の数値目標を掲げています。

* 売上高600億円
* 営業利益25億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は事業規模の拡大と効率経営による収益力の強化を成長戦略としています。主力事業において新規出店やM&Aを積極的に推進し、拡大した事業の統合効果を早期に発現させることで業務効率化やコスト削減を図ります。また、各事業のシナジーを活かしたビジネスモデルを拡充するとともに、人材育成を通じてサービス品質の向上に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は持続的な企業価値向上において人的資本が重要な基盤であると位置づけ、人材の採用、研修・育成、評価を軸とした人材育成方針を定めています。職種別・階層別研修や資格取得支援を通じて社員のスキルアップを促すとともに、ライフイベントに応じた制度の拡充や多様な勤務形態の選択を可能にするなど、活躍できる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 41.1歳 9.1年 6,273,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.7%
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全従業員) 72.8%
男女賃金差異(正規雇用) 73.7%
男女賃金差異(非正規雇用) -%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、主要3社の合計の女性管理職比率(14.4%)、主要3社の合計の全従業員の男女賃金格差(73.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 薬価基準および調剤報酬の改定


調剤薬局事業の売上高は健康保険法で定められた薬価基準や調剤報酬点数に基づいています。物価高騰による価格転嫁が容易ではない状況下で、これらの改定が行われ点数等が変更された場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 法的規制や行政処分に関するリスク


調剤薬局事業やヘルスケア事業の運営には、医薬品医療機器等法や介護保険法などによる厳格な法的規制があります。関連法令に違反した場合や行政処分を受けた場合、あるいは法改正が実施された場合には、事業活動が制限される恐れがあります。

(3) 感染症等の影響


感染症への感染防止策として状況に応じた対応策を徹底していますが、感染拡大が長期化した場合、医療機関への受診抑制による処方箋枚数の減少や、介護サービスにおける利用控えなどが発生し、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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