※本記事は、DCMホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第20期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. DCMホールディングスってどんな会社?
DCMホールディングスは、全国規模でホームセンターを展開し、人々の快適なくらしを総合的に支える企業です。
■(1) 会社概要
2006年にカーマ、ダイキ、ホーマックの経営統合により設立。その後、2010年にDCMホールディングスへ商号変更しました。2021年には傘下の事業会社を統合してDCMとし、2024年にケーヨーを、2025年にはエンチョーおよびホームテックを完全子会社化し、積極的な事業拡大を推進しています。
同社グループは連結で4,982名の従業員を擁しています。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位は日新企興、第3位には事業提携等の関係を持つイオンが名を連ねており、安定した経営体制を構築しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行 (信託口) | 9.13% |
| 日新企興 | 8.28% |
| イオン | 7.51% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長 兼 CEOは石黒靖規氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石黒靖規 | 代表取締役社長 兼 CEO | 1991年に石黒ホーマ(現DCM)入社。同社社長や営業本部長を歴任後、2025年より現職。 |
| 久田宗弘 | 取締役会長 | 2001年にカーマ(現DCM)入社後、同社社長を歴任。同社代表取締役社長兼CEOを経て、2025年より現職。 |
| 本田桂三 | 取締役執行役員ホダカ事業管掌ホダカ代表取締役社長 | 1985年にオスカー(現DCM)入社。同社開発統括部長等を経て、ホダカ代表取締役社長に就任し2024年より現職。 |
| 清水敏光 | 取締役執行役員エクスプライス事業管掌エクスプライス代表取締役社長 | 1986年に石黒商店(現DCM)入社。人事部長や管理本部長等を歴任後、エクスプライス代表取締役社長に就任し2024年より現職。 |
| 中川真行 | 取締役執行役員内部統制、経営戦略・広報管掌 | 1991年にダイキ(現DCM)入社。同社社長等を経て、DCM取締役常務執行役員経営戦略統括室長を歴任し2024年より現職。 |
| 大亀裕 | 取締役 | 1988年にディック(現DCM)入社。ダイキ(現DCM)取締役等を経て、ダイキアクシス代表取締役会長CEOを務め2016年より現職。 |
| 寺田健次郎 | 取締役(常勤監査等委員) | 1986年にケーヨー(現DCM)入社。同社常務取締役管理本部長等を歴任後、2024年より現職。 |
社外取締役は、増川道夫(元日本銀行文書局長)、宇野直樹(元東京海上日動システムズ社長)、小口光(西村あさひ法律事務所パートナー)、射場瞬(IBAカンパニー社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ホームセンター事業」および「エクスプライス事業」ならびに「その他」事業を展開しています。
■ホームセンター事業
DIY用品や園芸、日用品、ペット用品などの幅広い商品を展開し、一般消費者やプロ向けに地域密着型の店舗を運営しています。店舗やオンラインを通じ、顧客の快適な暮らしを支える商品やサービスを提供しています。
収益源は店舗およびオンラインでの商品販売による売上です。運営は主にDCMを中心に、エンチョーやホダカなどの子会社が地域特性に合わせた店舗運営を行っています。
■エクスプライス事業
デジタル家電や生活家電を中心とするプライベートブランド「MAXZEN」をはじめとした商品を、インターネット通販を通じて全国の消費者に販売しています。利便性の高いオンラインショッピング体験を提供しています。
収益源は、自社ECサイトや各種オンラインモールを通じた商品の販売代金です。運営は主にエクスプライスが担い、EC領域での事業拡大を牽引しています。
■その他
独自の共通ポイントサービスの運営やグループ全体のシステム管理など、主要セグメントに属さない関連事業を行っています。
収益源はポイントサービスの運営業務等に伴う収入です。運営は主にマイボフェローズ等の子会社が担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近2期間の業績を見ると、売上高は微減傾向にあります。利益面でも経常利益が減少しており、利益率もやや低下していますが、投資有価証券売却益などの影響により当期利益は増加しています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 5,446億円 | 5,423億円 |
| 経常利益 | 310億円 | 292億円 |
| 利益率(%) | 5.7% | 5.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 159億円 | 169億円 |
■(2) 損益計算書
収益性の構造を見ると、売上高が微減となる中で、売上総利益率はわずかに改善しています。しかし、販売費および一般管理費の増加が影響し、営業利益と営業利益率はともに低下しています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 5,446億円 | 5,423億円 |
| 売上総利益 | 1,827億円 | 1,831億円 |
| 売上総利益率(%) | 33.5% | 33.8% |
| 営業利益 | 332億円 | 310億円 |
| 営業利益率(%) | 6.1% | 5.7% |
■(3) セグメント収益
主力事業の状況を見ると、ホームセンター事業は天候不順や防災・防犯需要の反動等により売上高が減少しています。一方、エクスプライス事業はプライベートブランド商品の重点販売などの効果により売上高が増加しています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| ホームセンター事業 | 4,807億円 | 4,763億円 |
| エクスプライス事業 | 636億円 | 658億円 |
| その他 | 2億円 | 3億円 |
| 連結(合計) | 5,446億円 | 5,423億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
健全型:営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 365億円 | 365億円 |
| 投資CF | -149億円 | -114億円 |
| 財務CF | 41億円 | -596億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
経営理念として「Do Create Mystyle くらしの夢をカタチに」を掲げています。DIYを通じて「くらしと住まいの快適化」を実現する新価値の創造に挑戦し、お客さまの生活のさまざまな面におけるハブやプラットフォームとしての役割を果たす「生活快適化総合企業」を目指しています。
■(2) 企業文化
社是に「奉仕・創造・団結」を掲げています。また、行動理念として「Demand Chain Management for Customer(お客さま視点の発想)」を重視し、従業員一人ひとりが多様性を尊重し、地域社会と団結しながら変化に柔軟に対応する企業風土を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
長期事業構想「生活快適化総合企業への変革」を掲げ、第4次中期経営計画(2026年度~2028年度)を推進しています。「選ばれるDCMへの転換を加速する3年間」と位置づけ、2029年2月期を達成年度とする以下の経営指標を目標としています。
* 売上高6,500億円
* 営業利益率6.5%
* 自己資本利益率(ROE)8.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
目標達成に向け、店舗・EC・アプリをシームレスに繋ぐ顧客体験の提供や、顧客視点での商品開発などに取り組んでいます。また、ホームテック等の子会社化を通じたリフォーム事業の拡大も注力領域です。
* リフォーム事業売上高500億円
5. 働く環境
同社の人材戦略と、働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人的資本経営」を推進し、個人の価値観を尊重できる風土や、成長と自己実現ができる環境づくりに取り組んでいます。「トップマネジメント育成プログラム」を通じて全国各地で働く人材の顕在化と経営人材の育成を図るなど、多様な人材が能力を最大限に発揮できる組織の構築を目指しています。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.5% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 57.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 80.1% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 91.5% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、DCMアプリ会員数(600万人)、店舗や地域で実施する防災啓発活動(60回/年)、エンゲージメントスコア(平均70pt以上)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 出店計画に関わるリスク
積極的な店舗展開やドミナント化を推進していますが、経済情勢の変化によって出店用地の確保に時間を要する場合があります。また、大規模小売店舗立地法等の法的規制により、地域住民や自治体との調整に時間がかかり、出店計画に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 気候変動による需要変動リスク
気候変動に伴う異常気象の増加により、商品供給体制をはじめ事業全体に悪影響を及ぼす可能性があります。また、冷夏や暖冬などの天候不順による季節商品の需要低下により、事前の販売促進計画を下回った場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 同業および他業態との競争激化
同業他社だけでなく、業態の垣根を越えた他業態との競争が激化しています。競合各社の積極的な出店や、関係法令の改正等による消費者の購買行動の変化が生じた場合、収益や市場シェアが低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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