DCMホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

DCMホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

DCMホールディングスは東証プライム上場のホームセンター大手です。ホームセンター事業とEC事業を展開し、連結売上高は約5,446億円、経常利益は約310億円です。ケーヨーの完全子会社化・合併効果やPB商品の販売強化等により、直近決算では増収増益を達成しています。


#記事タイトル:DCMホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、DCMホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第19期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. DCMホールディングスってどんな会社?


ホームセンター業界のリーディングカンパニーとして、全国で店舗を展開し、EC事業も強化している企業です。

(1) 会社概要


2006年9月、カーマ、ダイキ、ホーマックの経営統合により設立されました。2015年3月、事業会社3社の商号をDCMカーマ等に変更しブランド統一を推進。2021年3月、事業会社5社を統合しDCMを発足しました。2022年4月、東京証券取引所プライム市場へ移行。2024年1月、ケーヨーを完全子会社化し、同年9月に吸収合併しました。

同グループの連結従業員数は4,646人です。単体の従業員はいません。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行です。第2位は資産管理会社の日新企興、第3位は資本業務提携先のイオンです。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.30%
日新企興 8.55%
イオン 7.76%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名、計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長 兼 CEOは石黒靖規氏です。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
石黒靖規 代表取締役社長 兼 CEO 石黒ホーマ入社後、DCM取締役副社長執行役員、DCMホーマック社長、DCM社長等を歴任。2025年より現職。
久田宗弘 取締役会長 カーマ社長、DCM Japan社長、DCMホールディングス社長兼CEO等を歴任し、2025年より現職。
本田桂三 取締役執行役員 オスカー入社後、DCM開発統括部長、DCMカーマ社長、ホダカ社長、DCM副社長等を歴任し、2024年より現職。
清水敏光 取締役執行役員 石黒商店入社後、DCM総務・人事統括部長、DCM副社長、エクスプライス社長等を歴任し、2024年より現職。
中川真行 取締役執行役員 ダイキ入社後、DCMダイキ社長、DCM常務執行役員等を歴任。2024年より現職。
大亀裕 取締役 ダイキ社長、ダイキアクシス社長CEO等を歴任。2024年よりダイキアクシス会長CEOに就任。2016年より現職。
寺田健次郎 取締役(常勤監査等委員) ケーヨー入社後、同社常務取締役管理本部長、取締役常勤監査等委員等を経て、2024年より現職。


社外取締役は、増川道夫(元日本銀行文書局長)、宇野直樹(元東京海上日動火災保険常務)、小口光(西村あさひ法律事務所パートナー)、射場瞬(IBAカンパニー社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ホームセンター事業」、「エクスプライス事業」および「その他」事業を展開しています。

ホームセンター事業


園芸、DIY、ペット用品、日用品などを販売するホームセンターを運営しています。一般消費者へ商品を販売するほか、プロ向けの資材なども取り扱っています。

店舗での商品販売により、一般消費者から代金を受け取ります。運営は主にDCMが行っています。

エクスプライス事業


家電を中心としたECサイト「XPRICE」などを運営しています。自社サイトやモール型ECサイトを通じて、デジタル家電や生活家電などを販売しています。

インターネットを通じた商品販売により、一般消費者や事業者から代金を受け取ります。運営は主にエクスプライスが行っています。

その他


共通ポイントサービス「マイボ」の運営管理などを行っています。

グループ会社などへのサービス提供により収益を得ています。運営は主にマイボフェローズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は、M&Aや事業統合の効果もあり、期間全体を通じて増加傾向にあります。特に直近では大幅な増収となっています。経常利益は300億円前後で推移しており、安定した収益性を維持しています。当期純利益も一時的な変動はあるものの、安定的に確保されています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 4,712億円 4,448億円 4,768億円 4,886億円 5,446億円
経常利益 296億円 303億円 296億円 274億円 310億円
利益率(%) 6.3% 6.8% 6.2% 5.6% 5.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 186億円 188億円 181億円 214億円 171億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高が約560億円増加し、それに伴い売上総利益も増加しています。営業利益も増益となりましたが、利益率は横ばいで推移しています。販管費の増加を売上総利益の増加で吸収し、増益を確保した構造となっています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 4,886億円 5,446億円
売上総利益 1,603億円 1,827億円
売上総利益率(%) 32.8% 33.5%
営業利益 287億円 332億円
営業利益率(%) 5.9% 6.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が488億円(構成比31%)、賃借料が396億円(同25%)を占めています。

(3) セグメント収益


ホームセンター事業は、ケーヨーの連結子会社化などにより大幅な増収増益となりました。エクスプライス事業も増収となり、利益面でも黒字を確保しています。全体として、主力のホームセンター事業が業績を牽引しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
ホームセンター事業 4,270億円 4,807億円 296億円 341億円 7.1%
エクスプライス事業 613億円 636億円 0億円 5億円 0.8%
その他 4億円 2億円 281億円 173億円 6958.1%
調整額 -297億円 -195億円 -290億円 -187億円 -
連結(合計) 4,886億円 5,446億円 287億円 332億円 6.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.8%で市場平均を上回っています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 321億円 365億円
投資CF -580億円 -149億円
財務CF 640億円 41億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「Do Create Mystyle くらしの夢をカタチに」を経営理念として掲げています。DIYを核とする商品・サービスの開発等により、お客さまの快適なくらしを総合的に支える「生活快適化総合企業」を目指しています。

(2) 企業文化


「奉仕・創造・団結」を社是とし、「Demand Chain Management for Customer」を行動理念としています。お客さま視点からの流通改革と、くらしの夢をカタチにすることを通じて、社会的に必要とされ、人々に信頼される企業であり続けることを重視しています。

(3) 経営計画・目標


2026年2月期を達成年度とする中期経営計画において、以下の数値目標を掲げています。

* 売上高営業利益率:6.4%
* 自己資本利益率(ROE):7.5%

(4) 成長戦略と重点施策


「新世代ホームセンター創造への挑戦」を方針とし、既存店改革を中心とした店舗戦略、ローコストオペレーションの追求、独自のBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)スタイルの構築、PB商品開発の深化、M&Aによる事業領域の拡大に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


個人の価値観を尊重した多様な人材が活躍できる環境づくりと、人材育成や自律的な学びへの支援を進めています。管理職登用とスペシャリスト登用を両輪で進め、アンコンシャスバイアスの排除や成果が見えやすいスペシャリスト登用を通じて、挑戦と成長を促しています。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.1%
男性育児休業取得率 94.9%
男女賃金差異(全労働者) 57.2%
男女賃金差異(正規) 80.8%
男女賃金差異(非正規) 89.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占めるキャリア採用者比率(15.0%)、管理職に占める女性比率目標(2030年度で7%以上)、温室効果ガス排出量(Scope1+2)削減目標(毎年4.2%削減)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 出店に関するリスク


積極的な店舗展開を進める中で、用地確保の遅れや「大規模小売店舗立地法」等の法的規制により出店計画に影響が出る可能性があります。地域住民や自治体との調整、法令遵守を徹底していますが、予期せぬ要因により計画通りに進まないリスクがあります。

(2) 気候変動に関するリスク


異常気象の増加が商品供給や販売に悪影響を及ぼす可能性があります。特に冷夏や暖冬などの天候不順は季節商品の需要を低下させ、業績に影響を与える恐れがあります。調達先の分散や商品企画の見直し等の対策を講じています。

(3) 競合との競争激化


同業他社に加え、異業態との競争も激化しており、顧客の購買行動の変化や競合の出店等が業績に影響を及ぼす可能性があります。既存店改革やPB商品の開発、BOPISスタイルの構築などにより差別化を図っています。

(4) 自然災害等に関するリスク


店舗は総合保険に加入していますが、地震保険には加入していないため、大規模な地震による損害が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。緊急対応マニュアルの策定や定期訓練などの対策を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。