スターシーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スターシーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スターシーズは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、衣料品・雑貨のチェーンストア展開とビルメンテナンス事業を手掛ける企業です。直近の業績は消費者の節約志向や天候要因などの影響を受け、売上高が前期比で減収となりました。営業損失や純損失を計上しており、継続的な構造改革と収益改善に取り組む局面となっています。


※本記事は、スターシーズ株式会社の有価証券報告書(第36期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. スターシーズってどんな会社?


同社は衣料品・雑貨の小売事業とビルメンテナンス事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1989年にキャビンのメンズ事業部が分離・独立して設立されました。2006年に和をテーマとした衣料品を扱う「流儀圧搾」の1号店を開店し、2007年には大阪証券取引所ヘラクレス(現在の東京証券取引所スタンダード市場)に上場を果たしました。近年は積極的な事業拡大を進め、2021年にスピックインターナショナル(後のチチカカ)、2024年にはミヤマとMF6をそれぞれ子会社化しています。2024年11月に現社名へと変更を行いました。

従業員数は連結で187名、単体で101名体制となっています。筆頭株主は事業会社のBlue lagoonで、第2位は証券金融業務を手掛ける日本証券金融、第3位は金融商品取引業者のSBI証券です。

氏名 持株比率
Blue lagoon 19.44%
日本証券金融 8.48%
SBI証券 5.81%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役会長は泉信彦氏、代表取締役社長は植杉泰久氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
泉 信彦 代表取締役会長 愛媛銀行入行後、日本保証常務執行役員、Jトラスト代表取締役などを経て、2024年5月より現職。
植杉 泰久 代表取締役社長 大和証券入社後、ship shape合同会社代表社員などを経て、2023年5月より現職。
保住 光良 取締役管理本部長 東京スタイル、良品計画を経て、2006年1月に同社入社。経営管理部長などを経て、2023年5月より現職。


社外取締役は、迫田さやか(同志社大学経済学部准教授)、堺夏美(エス・イ・インターナショナル代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「衣料品等事業」および「ビルメンテナンス事業」などを展開しています。

(1) 衣料品等事業


カジュアルウェア全般を取り扱う「METHOD」や和風アパレルの「流儀圧搾」、エスニックファッションの衣料品・雑貨などを中心に、全国のショッピングセンターやファッションビル等でブランドショップをチェーン展開しています。また、SNSでのライブコマースを活用したアンティーク雑貨・衣料品の販売も行っています。

収益源は一般消費者からの商品販売代金です。運営は親会社である同社のほか、子会社であるチチカカやMF6が行っており、それぞれ特徴的なブランドやターゲット層に向けた事業展開を進めています。

(2) ビルメンテナンス事業


建物所有者や建物のマスターリース所有者などを顧客として、設備の保守管理や清掃業務などの役務を提供する事業を展開しています。現在は長野県を中心に関東地域でのサービス提供を行っています。

収益源は顧客との建物管理業務委託契約に基づく業務提供の対価です。この事業は子会社であるミヤマが運営を担っており、安定的な収益確保を目指してホテルメンテナンス事業などの補強を積極的に推進しています。

(3) その他


報告セグメントに含まれない事業として、DXコンサルティング事業を展開しています。

収益源はコンサルティングサービスの提供に伴う対価です。同社グループの事業ポートフォリオの多様化に向けた取り組みの一環として位置づけられています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近4期の業績を見ると、売上高は新規連結の影響等で拡大した時期があったものの、足元では消費者の節約志向や天候不順の影響を受け減収傾向にあります。利益面でも経常損失が継続して計上されており、ブランド力向上などの対応策による収益改善が急務となる厳しい経営環境が続いています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 41.6億円 63.1億円 55.3億円 51.1億円
経常利益 -1.5億円 -2.5億円 -1.6億円 -3.6億円
利益率(%) -3.6% -4.0% -2.8% -7.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -2.8億円 0.8億円 -3.3億円 -5.3億円

(2) 損益計算書


売上高は減収となり、値引き抑制などに取り組んだものの売上総利益率もやや低下しています。原材料価格や人件費の高騰といった外部環境の影響も重なり、営業損失幅が拡大する結果となりました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 55.3億円 51.1億円
売上総利益 31.8億円 27.6億円
売上総利益率(%) 57.5% 54.0%
営業利益 -1.0億円 -2.8億円
営業利益率(%) -1.9% -5.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与が9.1億円(構成比30.0%)、店舗家賃等が7.9億円(同26.1%)、広告宣伝費が3.8億円(同12.5%)を占めています。

(3) セグメント収益


衣料品等事業が売上の大半を占めており、ブランドごとのマーケティング戦略見直しや顧客層の拡大を進めています。新たに連結したビルメンテナンス事業も収益基盤として機能し始めています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
衣料品等事業 - 47.4億円
ビルメンテナンス事業 - 3.6億円
その他 - -
連結(合計) 55.3億円 51.1億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業は赤字ですが、将来成長のため借入で投資を継続する勝負型です。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF -1.5億円 -3.0億円
投資CF 0.6億円 -1.8億円
財務CF -0.4億円 4.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-105.3%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も23.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「時代の先駆者として明るい世の中を創造する」をパーパスとして掲げています。消費者のモノ・サービスに対する選別が厳しさを増す中で、常に新しい価値を提供し、顧客からの選択を得ることを経営の基本方針として、企業価値の継続的な増大と長期安定的な成長の実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、株主や顧客、取引先、従業員などの各ステークホルダーと良好な関係を築き、健全で透明性の高い経営を実現することを重視しています。また、事業活動を通じて持続可能な未来社会を築くために行動し、地域社会に貢献することをサステナビリティ方針としており、店舗拠点での古着回収など環境負荷の軽減に資する取り組みを推進しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、原材料価格や人件費の高騰など先行き不透明な経営環境が続くことを前提としたうえで、事業拡大と収益改善に向けた取り組みを推進し、企業価値の最大化を図ることを目標としています。

* 2026年2月期の営業利益目標:2.0億円

(4) 成長戦略と重点施策


衣料品等事業では、SNS等の各種媒体による情報発信の強化やオリジナル商品の開発、他社とのコラボ企画による独自性の高い商品展開を進め、ブランド力の向上を図っています。さらに、ライブコマースによるアンティーク販売を担う子会社の事業拡大や系統用蓄電池事業など、新規事業の開拓によるグループ全体の収益改善と企業価値の最大化を重点施策としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、継続的な成長において「人(従業員)」を最も重要な財産ととらえています。従業員のエンゲージメントを高め、能力を最大限に発揮できるような支援を行うとともに、一人ひとりの個性と多様性を尊重した公平な就業活動の整備に取り組んでおり、安心して働ける健全な職場環境づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 45.6歳 10.0年 3,741,612円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.7%
男性育休取得率 -
男女賃金差異(全) 72.1%
男女賃金差異(正規) 70.5%
男女賃金差異(非正規) 104.5%


※男性育児休業取得率は、配偶者の出産等により育児休業の対象となる男性労働者がいなかったため算出されていません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 消費者の嗜好の変化などに伴うリスク


同社グループが取り扱う衣料品や雑貨などのファッション商品は、景気動向や競合の状況に加え、トレンドの移り変わりによる消費者の嗜好変化の影響を受けやすい特徴があります。これらの変化に適切に対応できず、当初計画した売上を見込めない場合は、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 気象状況などによるリスク


ファッション商品は気象状況により売上が変動しやすいため、商品の投入サイクルを短縮するなどの対策を講じています。しかし、冷夏や暖冬などの天候不順、台風などの予測できない異常気象が発生し、主力となる販売時期の売上が伸び悩んだ場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 出退店に関するリスク


積極的な新規出店を進めていますが、出店候補先の計画変更で出店ペースが鈍化したり、新規店舗の業績が計画を下回ったりするリスクがあります。また、退店時には固定資産除却損や減損損失が発生する可能性があり、定期借家契約における相手方の意思による再契約の不調なども業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 継続企業の前提に関する重要事項等について


同社グループは継続的な営業損失やマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しており、継続企業の前提に重要な疑義が生じています。これに対し、ブランド力の向上や新規事業の開拓による収益改善、持株会社体制への移行などの対策を進め、十分な運転資金を確保することで不確実性の解消に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。