※本記事は、株式会社南都銀行 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
南都銀行グループは、奈良県を中心とした地域で銀行業務を主軸に展開しています。リース業務、証券業務、クレジットカード業務、コンサルティング業務などをグループ各社とともに提供し、顧客に最適なサービスとソリューションを提供しています。
単体従業員数は2,169名、連結従業員数は2,352名です。セグメントは銀行業務、リース業務、その他の3つです。
主な国内グループ会社は、南都マネジメントサービス、南都信用保証(その他・(信用保証業務))、南都リース(リース業務)、南都コンピュータサービス、南都ディーシーカードなどです。
なお、南都コンサルティングは2026年4月1日付で南都リサーチ&コンサルティングに商号変更しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社南都銀行は、地域とともに発展するサステナブル経営を掲げ、地域課題の解決に注力しています。人財育成を中期経営計画の軸とし、多様な人財が活躍できる環境整備を進めていることが特徴です。安定した組織基盤のもと、専門性を高めながら長期的なキャリアを築ける環境が期待できます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が30代後半であり、平均勤続年数も長めの傾向が見られます。これは、長期的なキャリア形成を支援し、従業員が腰を据えて働ける環境が整っていることを示唆しています。多様な人財の活躍を推進しつつも、安定した組織基盤を築いている様子がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,215,000円 |
| 平均勤続年数 | 16.5年 |
| 平均年齢 | 39.1歳 |
| 単体従業員数 | 2,169人 |
| 連結従業員数 | 2,352人 |
| 単体のグループ内比率 | 92.2% |
同社グループは、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型の両方の退職給付制度を採用しています。これらの制度は、同社および一部の連結子会社に適用されます。退職一時金制度も設けられていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、確定給付型の退職給付債務は101億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「自ら考え行動し、地域の課題を解決する人財の創出」を中期経営計画の軸に掲げ、持続的成長と地域課題の解決を目指しています。人財の成長と貢献を適切に評価するため、役割・職責および成果に応じた給与体系を採用しています。また、同社グループの業績や株価向上に対する意識を醸成するため、2025年5月より従業員株式報酬制度の一種である株式付与ESOP信託を導入しました。
人財育成においては、「成長機会の整備」として、職員の自律的なキャリア形成支援や論理的思考力強化に向けた研修、資格取得支援の強化、外部出向等の拡大に取り組んでいます。具体的には、公募により希望職種にチャレンジできるキャリアチャレンジ制度や、ロジカルシンキング研修、クリティカルシンキング研修などを実施しています。お客さまのデジタル課題や相続、資産運用ニーズに対応するため、応用情報技術者や中小企業診断士などの資格取得も推奨し、資格保有手当や奨励金を充実させています。
「人財の多様化」に向けては、キャリア採用の拡大やダイバーシティ推進、副業制度導入などの施策を進めています。グループ内の業務経験では習得しにくいスキルを持つ人財の採用を強化し、退職者が復職できる「アルムナイ制度」も設けています。また、女性を含む多様な人財の活躍推進のため、「アンコンシャス・バイアス研修」や育児休職者の復職支援施策に取り組んでいます。職員の健康が活力の源であるとの考えから「健康経営」にも取り組み、健康優良法人2026(ホワイト500)の認定を受けています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.4% |
| 男性育児休職またはファミリーサポート休暇取得率(5日以上) | 95.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 43.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 58.8% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 63.0% |
人材育成・エンゲージメント
提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| エンゲージメントスコア | 73点 |
健康・安全
提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 定期健康診断の受診率 | 100% |
| 特定保健指導の実施率 | 72.7% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
南都銀行グループは、奈良県を中心に地域に根差した金融サービスを提供しています。銀行業務を中核に、多様な金融ニーズに応える事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、銀行業務を主軸とし、リース業務、証券業務、クレジットカード業務、コンサルティング業務などを通じて、顧客に最適なサービスとソリューションを提供しています。これらの事業は、地域経済の活性化に貢献しながら収益を上げています。
銀行業務
銀行業務は、同社グループの中核をなす事業です。預金、貸出、為替などの基本的な銀行サービスを提供し、個人顧客の住宅ローンや法人顧客の企業向け貸出が増加しています。収益は、貸出金利息や役務取引等収益の増加から得ています。
リース業務
リース業務では、グループの営業力を活用し、奈良県内や大阪府地域を中心に事業を展開しています。取引基盤の拡大と収益増強に努めています。収益は、リース売上の増加から得ています。
その他の事業セグメント
その他の事業セグメントには、信用保証業務、不動産賃貸・管理業務、ソフトウエア開発等業務、クレジットカード業務、証券業務などが含まれます。証券業務では銀行と協働して顧客層の拡大を図り、クレジットカード業務では法人向けカードの推進や新規加盟店の獲得に取り組んでいます。コンサルティング業務では法人顧客の経営コンサルティングやハイクラス人材の紹介を積極的に提供しています。収益は、証券業務の売上高増加などから得ています。
| セグメント | 経常収益(2025年3月期) | 経常収益(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 銀行業務 | 884億円 | 999億円 |
| リース業務 | 113億円 | 119億円 |
| その他の事業セグメント | 33.3億円 | 37.0億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5年間で経常収益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向にあります。特に直近の当連結会計年度では、経常収益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期から大きく伸びています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益 | 775億円 | 777億円 | 857億円 | 1,031億円 | 1,157億円 |
| 経常利益 | 180億円 | 63.2億円 | 166億円 | 197億円 | 248億円 |
| 経常利益率 | 23.2% | 8.1% | 19.4% | 19.1% | 21.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 119億円 | 47.3億円 | 120億円 | 135億円 | 171億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 72.85 | 29.55 | 75.81 | 85.80 | 108.64 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの経常収益および経常利益は、前期と比較して増加しています。これは、従業員一人ひとりの生産性が向上している傾向を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり経常収益(連結) | 44.1百万円 | 49.2百万円 |
| 従業員1人あたり経常利益(連結) | 8.4百万円 | 10.6百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、財務基盤の強化と事業活動を通じた資金の動きを示しています。資金の流動性や自己資本の状況から、現在の財務状態を把握することができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、純資産と自己資本比率、ROE、そして手元資金の状況から確認できます。純資産は前期から増加傾向にあり、自己資本比率も上昇しています。ROEも前期から改善しており、収益性が向上していることを示しています。手元資金である現金預け金は減少していますが、事業活動に必要な資金は確保されています。これらの財務状況は、同社グループの事業運営の安定性を示すものであり、長期的な視点での雇用や給与の安定性にも影響を与える要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 2,778億円 | 3,001億円 |
| 自己資本比率 | 4.1% | 4.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.7% | 5.9% |
| 現金預け金 | 6,783億円 | 4,355億円 |
なお、銀行は預金が主な負債のため、一般的な計算式による自己資本比率は構造上低くなります。規制上は国内基準4%以上・国際統一基準8%以上が求められます。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、事業活動、投資活動、財務活動における資金の動きを示しています。営業活動によるキャッシュフローは、貸出金の増加や債券貸借取引受入担保金等の減少により、使用した資金が前期から増加しました。投資活動によるキャッシュフローは、有価証券の売却による収入額が増加したことから、前期は資金を使用しましたが当期は資金を獲得する状況に転じています。財務活動によるキャッシュフローは、配当金支払額の増加により、使用した資金が前期から増加しました。フリーキャッシュフローはマイナスですが、前期に比べてマイナス幅は縮小しており、資金の効率的な運用に取り組んでいることがうかがえます。これらのキャッシュフローの状況は、同社グループが事業活動と投資活動を通じて資金を動かし、将来に向けた事業基盤の維持・強化を図っていることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △1,679億円 | △4,362億円 |
| 投資CF | △1,116億円 | 1,999億円 |
| 財務CF | △54.5億円 | △64.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △2,795億円 | △2,363億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、奈良県を中心とした営業地域が限定されており、地元経済状況の悪化が財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、デジタル技術の進展に伴う金融取引の変化に対応するため、優秀なデジタル人材の確保やシステム開発コストの負担が業績を圧迫するリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、年功色の強い従来型の組織文化や企業体質の改革が進まない場合、多様な人材の活躍が進まず、組織が硬直化するリスクを認識しています。これにより、環境変化への対応が遅れ、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
南都銀行は、地域社会の発展に貢献することを経営の根幹に据え、持続可能な社会の実現を目指す「活力創造銀行」をビジョンとして掲げています。地域とともに成長し、お客さまに選ばれる銀行グループとなることを追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
南都銀行グループは、「健全かつ効率的な経営に努めます」「優れた総合金融サービスを提供します」「地域の発展に尽くします」「信頼され親しまれる、魅力的な銀行を目指します」という4つの経営理念を掲げています。
これらの理念のもと、「活力創造銀行」を経営ビジョンとしています。
地域とお客さまの成長と発展に貢献することを使命とし、同社グループならではの新しい価値を生み出すことで、地域やお客さまに選ばれる銀行グループを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
南都銀行グループは、経営理念の底流にサステナビリティそのものがあると考えています。
社会・環境問題の解決を通じてステークホルダーの求める価値を提供し続け、持続可能な地域社会の実現に貢献することを目指しています。
サステナビリティへの取り組みを経営戦略の根幹に組み込み、取締役会の監督のもと、サステナビリティ関連施策を推進する体制を構築しています。
中期経営計画「人財の力で地域の活力を創造する」では、「自ら考え行動し、地域の課題を解決する人財の創出」と「地域を支え続けられる健全な経営」を軸に取り組むことを掲げています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
南都銀行グループは、「地域の活力創造」を実現するため、重要課題(マテリアリティ)を特定しています。
具体的には、「深刻化する気候変動問題への対応」「地域経済の持続的成長の実現」「便利で豊かな社会の実現」「多様な人材が活躍できる健全な企業風土の醸成」「多様化・複雑化するリスクへの備え」をマテリアリティとしています。
これらの課題解決に向け、2025年度より開始した中期経営計画「人財の力で地域の活力を創造する」では、「自ら考え行動し、地域の課題を解決する人財の創出」と「地域を支え続けられる健全な経営」に取り組んでいます。
また、2026年度は「基盤」「投資」「人財」を中心としたアクションプランを進めています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
南都銀行は、独立性・多様性を重視したガバナンス体制を構築しています。監査等委員会設置会社として、経営の透明性と公正性を高めることに努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
南都銀行の株主構成を見ると、信託銀行が上位を占めており、機関投資家によって広く支えられている資本構成となっています。特定の創業家や事業会社が突出して強い影響力を持つ状況ではありません。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 11.74% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 5.20% |
| 日本生命保険相互会社 | 3.31% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 3.27% |
| 南都銀行従業員持株会 | 2.50% |
なお、同社は2026年4月1日を効力発生日として、1株につき5株の割合で株式分割を行いました。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役頭取は石田諭氏が務めています。社外取締役比率は41.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 橋本 隆史 | 取締役会長(代表取締役) | 1977年4月南都銀行入行、2015年6月取締役頭取、2025年4月取締役会長より現職。 |
| 石田 諭 | 取締役頭取(代表取締役) | 1997年4月株式会社第一勧業銀行入行、金融庁監督局地域金融企画室長などを経て、2025年4月取締役頭取より現職。 |
| 杉浦 剛 | 取締役専務執行役員(代表取締役) | 1986年4月南都銀行入行、営業推進本部長などを経て、2025年4月取締役専務執行役員より現職。 |
| 本多 浩治 | 取締役常務執行役員 営業推進本部長 | 1987年4月南都銀行入行、郡山支店長、大阪ブロック本部長などを経て、2025年4月取締役常務執行役員(営業推進本部長委嘱)より現職。 |
| 角谷 晴行 | 取締役常務執行役員 | 1988年4月南都銀行入行、南都マネジメントサービス株式会社常務取締役、人事総務部長などを経て、2024年6月取締役常務執行役員より現職。 |
| 藏東 義典 | 取締役常務執行役員 | 1990年4月南都銀行入行、経営企画部長、営業推進本部副本部長などを経て、2025年6月取締役常務執行役員より現職。 |
社外取締役は、中山こずゑ氏(多摩大学大学院客員教授・TDK取締役)、西村隆至氏(株式会社近鉄・都ホテルズ取締役会長)、田原祐子氏(株式会社ベーシック代表取締役・サンヨーホームズ取締役監査等委員)、粕谷吉彦氏(元西武建設株式会社取締役副社長執行役員・株式会社チノー監査役)、福本智之氏(大阪経済大学経済学部教授・株式会社三井ハイテック取締役監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役会で議決権を持つことで、監査・監督機能の強化とコーポレート・ガバナンスの充実を図っています。独立性の高い社外取締役が経営の監視役を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬としての月額報酬、業績連動型金銭報酬、業績連動型株式報酬により構成されています。社外取締役に対しては、その職務に鑑み、固定報酬としての月額報酬のみを支給する方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 7名 | 2.6億円 | 36.9百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 22百万円 | 22.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 41百万円 | 6.8百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。連結報酬等の総額が1億円以上である役員は存在しません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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