南都銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

南都銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場しており、奈良県を中心とする地域で銀行業務、リース業務、証券業務などを展開しています。当連結会計年度は、貸出金利息や有価証券利息配当金が増加したことなどにより、経常収益、経常利益ともに前期を上回り、増収増益となりました。


#記事タイトル:南都銀行転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社南都銀行 の有価証券報告書(第137期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 南都銀行ってどんな会社?


奈良県を主要地盤とする地方銀行です。「活力創造銀行」を掲げ、銀行業務を中心にリースや証券などの金融サービスを提供しています。

(1) 会社概要


1934年に4行が合併して設立され、1987年に東京証券取引所市場第一部へ上場しました。2019年に南都まほろば証券が営業を開始し、同年には南都マネジメントサービスが中間持株会社として業務を開始しました。2020年には南都キャピタルパートナーズを設立し、2025年2月には本店を奈良市大宮町へ移転しています。

連結従業員数は2,338人、単体では2,139人です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第3位には事業会社である日本生命保険(常任代理人:日本マスタートラスト信託銀行)が名を連ねています。第2位も資産管理を行う信託銀行となっており、機関投資家や金融機関が主要株主となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 13.79%
日本カストディ銀行(信託口) 4.31%
日本生命保険相互会社 3.34%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役には、取締役会長の橋本隆史氏、取締役頭取の石田諭氏、取締役専務執行役員の杉浦剛氏の3名が就任しています。社外取締役比率は41.7%です。

氏名 役職 主な経歴
橋本 隆史 取締役会長(代表取締役) 1977年4月入行。公務部長、取締役人事部長などを経て、2015年6月取締役頭取に就任。2025年4月より現職。
石田 諭 取締役頭取(代表取締役) 1997年4月第一勧業銀行入行。産業再生機構、経営共創基盤、金融庁監督局地域金融企画室長などを経て、2019年4月南都銀行専務執行役員。2025年4月より現職。
杉浦 剛 取締役専務執行役員(代表取締役) 1986年4月入行。執行役員東京支店長、同奈良中和ブロック本部長、取締役常務執行役員営業推進本部長などを経て、2024年4月取締役専務執行役員。2025年4月より現職。
本多 浩治 取締役常務執行役員営業推進本部長 1987年4月入行。執行役員大阪中央営業部長、同大阪ブロック本部長、同奈良北和ブロック本部長などを経て、2023年6月取締役常務執行役員。2025年4月より現職。
角谷 晴行 取締役常務執行役員 1988年4月入行。桜井エリア統括長兼桜井支店長、人事総務部長、執行役員などを経て、2024年4月常務執行役員。2024年6月より現職。
船木 隆一郎 取締役 1991年4月富士銀行入行。新銀行東京企画グループ上席部長、経営共創基盤プリンシパル、南都銀行常務執行役員などを経て、2025年4月より現職。
岡本 耕誌 取締役監査等委員(常勤) 1987年4月入行。審査部長兼事業活性化支援室部内室長、執行役員、常務執行役員などを経て、2024年4月顧問。2024年6月より現職。


社外取締役は、中山こずゑ(元横浜国際平和会議場社長)、西村隆至(近鉄・都ホテルズ会長)、田原祐子(ベーシック代表取締役)、青木周平(元日本銀行理事)、粕谷吉彦(元西武建設副社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業務」、「リース業務」および「その他」事業を展開しています。

(1) 銀行業務


奈良県を中心とする地域において、預金業務、貸出業務、内国為替業務、外国為替業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務などを提供しています。地域の個人や法人顧客を対象に、総合的な金融サービスを展開しています。

主な収益源は、貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金運用収益、および各種手数料などの役務取引等収益です。運営は主に南都銀行が行っています。

(2) リース業務


顧客に対して、各種動産・不動産等のリース業務を提供しています。企業の設備投資ニーズに応える金融サービスの一環として機能しています。

収益源は、顧客からのリース料収入です。運営は主に南都リース株式会社が行っています。

(3) その他


銀行業務およびリース業務以外の事業として、信用保証業務、ソフトウエア開発等業務、クレジットカード業務、コンサルティング業務、証券業務などを行っています。

収益源は、信用保証料、ソフトウエア開発受託料、クレジットカード手数料、コンサルティング手数料、証券委託手数料などです。運営は、南都信用保証株式会社、南都コンピュータサービス株式会社、南都ディーシーカード株式会社、南都カードサービス株式会社、南都コンサルティング株式会社、南都まほろば証券株式会社などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

当期は、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加などを主因に経常収益が増加し、増収増益となりました。経常費用についても、営業経費や与信関連費用の増加などにより増額しましたが、収益の伸びが費用増を上回った形です。過去からの趨勢としては、直近2期で収益・利益ともに回復傾向が見られます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
経常収益(億円) 8,123 7,753 7,775 8,574 10,309
経常利益(億円) 1,574 1,798 632 1,663 1,967
当期純利益(億円) 1,086 1,187 473 1,204 1,351

(2) 損益計算書

当期は、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加などにより、経常収益が前期比で大幅に増加しました。一方、営業経費や与信関連費用の増加などにより、経常費用も増加しましたが、収益の伸びが費用増を上回ったため、経常利益は前期を上回る結果となりました。当期純利益も同様に増加しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
経常収益 8,574 10,309
経常費用 6,911 8,341
経常利益 1,663 1,967
当期純利益 1,204 1,351

(3) 役務取引等収益の内訳

同行の役務取引等収益は、当期において前期比で増加しました。中でも、預金・貸出業務が最も大きな割合を占めており、次いで為替業務が続きます。

区分 2024年3月期 2025年3月期
役務取引等収益 合計 7,999 8,000
預金・貸出業務 5,940 5,962
為替業務 1,174 1,177
証券関連業務 500 498
代理業務 385 363

(4) キャッシュ・フローと財務指標

南都銀行グループは、預金を中核事業の長期的かつ安定的な調達源として重視しています。

当連結会計年度は、営業活動では貸出金や債券貸借取引受入担保金等の減少により、前年度よりも使用した資金が増加しました。投資活動では、有価証券の取得による支出額の増加により、前年度よりも使用した資金が増加しました。財務活動では、自己株式の取得による支出額の増加により、前年度よりも使用した資金が増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業活動によるキャッシュ・フロー △261 △1,679
投資活動によるキャッシュ・フロー △919 △1,116
財務活動によるキャッシュ・フロー △36 △54

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「健全かつ効率的な経営に努めます」「優れた総合金融サービスを提供します」「地域の発展に尽くします」「信頼され親しまれる、魅力的な銀行を目指します」という経営理念を掲げています。また、経営ビジョンとして「活力創造銀行」を掲げ、地域や顧客の成長と発展に貢献することを使命としています。

(2) 企業文化


同社グループは、人材における重要な価値観として「NANTO人材コア・バリュー」=「期待を超える」を制定しています。職員が「誠実」を基礎として、「積極」「挑戦」「創造性」「発見力」を意識して主体的に行動し、顧客や同僚の期待を超えることを目指す風土の醸成に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


2020年度から2029年度までの経営計画「なんとミッションと10年後に目指すゴール」を策定しており、奈良県のGDPを2016年度比10%増加させることを目指しています。また、2025年度からの3カ年中期経営計画では、以下の目標を設定しています。

* ROE(連結):5.5%以上
* 自己資本比率ターゲットレンジ:11~12%
* 当期純利益(連結):180億円以上
* OHR(連結):65%未満

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画「人財の力で地域の活力を創造する」に基づき、「自ら考え行動し、地域の課題を解決する人財の創出」と「地域を支え続けられる健全な経営」の2つを軸に取り組んでいます。具体的には、人財育成と預金調達をテーマにアクションプランを実行し、地域の活力創造と企業価値の向上を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「期待を超える」人材の育成を目指し、自律的なキャリア形成の支援や論理的思考力の強化、外部出向の拡大など成長機会を整備しています。また、キャリア採用の拡大やダイバーシティ推進、副業制度の導入により人材の多様化を進めるとともに、健康経営を通じて活き活きと働ける職場環境づくりに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.0歳 17.2年 7,177,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.6%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 41.1%
男女賃金差異(正規) 56.7%
男女賃金差異(非正規) 56.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、活力創造に関わる資格保有者数(1,062人)、定期健康診断の受診率(100%)、特定保健指導の実施率(80.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 信用リスク


国内外の景気動向や地価、株価、為替の変動により、貸出先の経営状況が悪化した場合、不良債権や与信関連費用が増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、実際の貸倒れが予想損失額を上回った場合の貸倒引当金の積み増しや、担保価値の下落による回収困難化のリスクがあります。

(2) 市場リスク


金利、有価証券価格、為替相場の変動により、資産価値が変動し損失を被る可能性があります。特に金利リスクは、資金運用と調達の期間ミスマッチがある中で金利が変動することで利益低下や損失発生の要因となります。また、保有する有価証券の価格下落や、外貨建資産・負債の為替変動による損失リスクもあります。

(3) 流動性リスク


運用と調達の期間ミスマッチや予期せぬ資金流出により、必要な資金確保が困難になったり、通常より著しく高い金利での調達を余儀なくされたりする可能性があります。また、市場の混乱により保有有価証券の取引が困難になったり、不利な価格での取引を強いられたりすることで、損失が発生するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。