東和フードサービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東和フードサービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東和フードサービスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、「椿屋珈琲」や「ダッキーダック」などの直営飲食店を一都三県で展開する企業です。2026年4月期は、高付加価値メニューの提供や業務効率化の推進が奏功し、売上高は前期比で増加、各種利益も前期を上回る増収増益の堅調な業績を達成しました。


※本記事は、東和フードサービス株式会社の有価証券報告書(第27期、自 2025年5月1日 至 2026年4月30日、2026年7月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 東和フードサービスってどんな会社?


東和フードサービスは、一都三県で「椿屋珈琲」などの直営飲食店を展開し、自社工場での製造も行う企業です。

(1) 会社概要


1974年に東和産業のフードサービス事業としてカフェ事業を開始したのが始まりです。1999年に東和フードサービスとして営業を開始し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。2015年には自社工場等で食品安全規格のISO22000認証を取得し、2022年に東証スタンダード市場へ移行しました。

現在の従業員数は単体で214名です。筆頭株主および第2位株主は個人となっており、第3位株主には代表取締役社長の岸野誠人氏が代表を務める誠香インベストメントが名を連ねています。強固な経営体制のもと、首都圏を中心としたドミナント戦略を推進しています。

氏名 持株比率
岸野秀英 19.57%
柏野雄二 18.34%
誠香インベストメント 11.52%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長CEOは岸野誠人氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
岸野誠人 代表取締役社長CEO 東和産業代表取締役社長などを経て2018年に代表取締役社長に就任。2019年より現職。
菅野政彦 代表取締役副社長COO 1985年東和産業入社。営業本部長などを歴任し、2020年代表取締役副社長を経て2026年より現職。
長谷川研二 取締役 1998年東和産業入社。総務人事グループ部長、IR・PR推進室マネージャーなどを経て2020年より現職。
上村達也 取締役 1997年入社。店長やスーパーバイザーとして店舗運営に尽力し、2017年執行役員を経て2024年より現職。
齊藤俊彦 取締役(常勤監査等委員) 1986年入社。店舗開発部や営業本部で経験を積み、成果推進本部の統括マネージャーなどを経て2026年より現職。


社外取締役は、二宮類四郎(元あおぞら証券営業・企画共同本部長)、輿石正博(元合同酒精監査室担当)です。

2. 事業内容


同社グループは、「フードサービス」の単一セグメントのもと、複数の飲食業態を展開しています。

(1) 椿屋珈琲


最高立地に最高級家具を揃え、「大正ロマン」をコンセプトにした高級喫茶店業態です。自社焙煎のスペシャルティ珈琲や手作りケーキを提供し、ホスピタリティ溢れる接客で脱日常の時空間を顧客に提供しています。

飲食代金が主な収益源です。運営はすべて東和フードサービスが直営店として行っており、フランチャイズ展開はせずに高いブランドコントロールとサービス品質を確保しています。

(2) ダッキーダック


幅広い年代の女性をターゲットにしたカジュアルレストラン業態です。自社ケーキ工房で作られるフレッシュなホームメイドケーキを中心に、トレンドを押さえた豊富なフードメニューやスイーツを提供しています。

顧客からの飲食代金や店頭でのケーキ販売代金が収益源です。こちらも東和フードサービスが直営店として運営し、一部店舗には専属パティシエールが在籍するケーキスタジオを併設しています。

(3) イタリアンダイニング ドナ


開放感あふれる内外装で、お酒を楽しめるイタリアンダイニング業態です。自社製の生パスタやピッツァに加え、リーズナブルな価格でお楽しみいただけるワインや一品料理を提供しています。

飲食代金が主な収益源です。セントラルキッチンで製造したオリジナルソースやドレッシングを活用して店舗での作業負担を軽減しており、東和フードサービスが運営を行っています。

(4) こてがえし・ぱすたかん


厳選された旬の食材を使用したもんじゃ焼きやお好み焼きを中心に提供する鉄板焼き業態です。ハレの日のファミリー層などをターゲットに、お酒やソフトドリンクとともに元気な接客でおもてなししています。

顧客からの飲食代金が収益源です。若年層やインバウンドの取り込みも進めながら、東和フードサービスが運営を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、感染症等の影響から回復基調が続き、売上高は右肩上がりで成長しています。利益面でも、原材料価格の高騰等の逆風がある中で、メニューの高付加価値化や業務効率化が奏功し、経常利益・当期利益ともに安定した水準を維持しています。

項目 2022年4月期 2023年4月期 2024年4月期 2025年4月期 2026年4月期
売上高 82億円 108億円 124億円 128億円 133億円
経常利益 12億円 7億円 10億円 11億円 11億円
利益率(%) 14.9% 6.1% 8.5% 8.6% 8.5%
当期利益 7億円 4億円 7億円 7億円 8億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、人件費やシステム投資等の増加により、営業利益は前期に比べ微減となりました。

項目 2025年4月期 2026年4月期
売上高 128億円 133億円
売上総利益 94億円 97億円
売上総利益率(%) 73.1% 72.6%
営業利益 11億円 10億円
営業利益率(%) 8.3% 7.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が34億円(構成比39%)、支払家賃が17億円(同19%)を占めています。

(3) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で得た資金で借入金の返済や事業への投資を賄うことができている「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年4月期 2026年4月期
営業CF 9億円 10億円
投資CF -7億円 -10億円
財務CF -2億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.7%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も79.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「味覚とサービスを通して都会生活に安全で楽しい食の場を提供する」という経営理念を掲げています。また、「あったら楽しい」「手の届く贅沢」を営業コンセプトとしており、すべて直営店での店舗展開を通じて、顧客に脱日常の体験価値を提供することに注力しています。

(2) 企業文化


経営理念に基づいた倫理規範や行動規範を定め、法令及び社会倫理に則った活動を徹底しています。代表自らが先頭に立ち、「経営方針発表」や「合同店長会議」、店舗や地域での「クリーンデー」等を実施し、全てのステークホルダーとの協働と企業倫理を尊重する企業風土の醸成を図っています。

(3) 経営計画・目標


2026年4月期から2028年4月期を対象とする第二次中期経営計画において、「人的資本の充実」と「付加価値創造のための生産性向上」の強固な連動を経営戦略の要に据えています。具体的な数値目標として以下を掲げています。

* 管理職に占める女性従業員の割合20%(2027年4月期)
* 年間休日123日(2027年4月期)
* 月間平均時間外勤務10時間(2027年4月期)

(4) 成長戦略と重点施策


一都三県へのドミナント出店戦略を活かし、ブランド体験価値の深化と直営店の生産性向上を進めています。基幹システムの刷新や全社的なDX推進による「データドリブン経営」を確立し、以下のような施策に取り組んでいます。

* メニューエンジニアリングの高度化と高付加価値商品の開発
* シフト管理システム刷新によるエリア内相互応援の強化
* セントラルキッチンの活用と省人力設備の導入

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


プロフェッショナルな人材を育成し、人的資本を最大化させる仕組みを構築しています。自社研修センターを「スキル認定機関」と位置づけ、従業員の技術評価を一元管理して昇格要件と直結させています。また、専任トレーナーによる技術指導やジョブローテーションを通じ、多角的な視点を持つマネジメント人材を育成しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年4月期 38.9歳 11.3年 5,063,073円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 19.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 60.1%
男女賃金差異(正規) 83.5%
男女賃金差異(非正規) 93.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員離職率(21.0%)、年間取得休日数(119日)、有給休暇取得率(60%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 食材の調達と安全性


主力とする珈琲豆や小麦粉などの基礎原材料は、天候不順や地政学的リスクにより調達不安や価格高騰が発生する可能性があります。同社はシステムを活用した原価管理やレシピ改訂で対応していますが、さらなるコストの安定化が課題となっています。

(2) 食品工場や店舗での衛生管理


セントラルキッチンや全直営店舗において厳しい品質管理を実施していますが、万一食中毒などが発生した場合、営業停止処分などにより業績やブランドイメージに悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 店舗の賃借物件への依存


同社の大部分の店舗は商業施設などの賃借物件で運営されています。定期賃貸借契約が終了後に再契約されない場合や、不動産賃料の上昇が続いた場合、店舗ポートフォリオや固定費負担に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。