※本記事は、東和フードサービス株式会社 の有価証券報告書(2026年4月期、2025年5月1日 ~ 2026年4月30日、2026年7月28日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
東和フードサービスは、「味覚とサービスを通して都会生活に安全で楽しい食の場を提供する」ことを経営理念とするフードサービス企業です。東京圏の1都3県に直営店を展開し、自社生産のライトフードやスイーツを提供しています。
同社の単体従業員数は214名です。事業セグメントはフードサービス事業の単一セグメントとなっています。
同社は「椿屋珈琲」「ダッキーダック」「イタリアンダイニング ドナ」「こてがえし・ぱすたかん」といった多様なブランドを直営店で展開しています。また、「プロント」のフランチャイジー運営や、ソース・焙煎珈琲豆・ドレッシング・ケーキ・焼き菓子など自社製品の店舗外販売も手掛けています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
外食産業において、同社は従業員の働きがいと成長を重視し、多様なキャリアパスと働きやすい環境づくりに取り組んでいます。給与水準や福利厚生、人材育成への投資を通じて、長期的なキャリア形成を支援する姿勢が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が11年を超えており、比較的長く勤める従業員が多い傾向がうかがえます。平均年齢も30代後半であることから、安定した環境でキャリアを築いている従業員が多いと考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,063,073円 |
| 平均勤続年数 | 11.34年 |
| 平均年齢 | 38.88歳 |
| 単体従業員数 | 214人 |
| 連結従業員数 | - |
| 単体のグループ内比率 | - |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、非積立型の確定給付制度を採用しています。確定給付型とは、給与や勤続年数に応じて将来の給付額が決まる制度です。
退職一時金制度があり、退職給付として、給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、第二次中期経営計画において「人的資本の充実」と「付加価値創造のための生産性向上」を経営戦略の核に据えています。労働コストの増大を競争優位性と生産性向上の機会と捉え、テクノロジー活用による単純作業の自動化を進め、従業員を高付加価値業務へシフトさせる方針です。
給与体系は、社会情勢や業界水準を定期的に検証し、市場競争力のある水準を維持しています。職位と資格に応じた給与テーブルに基づき客観的に決定され、賞与は年2回の人事考課結果に基づき、多角的な評価で公平性を担保しています。昇進・昇格は人事考課結果と業務習得レベルを総合的に勘案し、客観的なアセスメントを経て行われます。
人材育成では、全従業員のスキルを数値化したスキルマップを構築し、半期ごとの面談を通じて適正配置と評価の納得感を重視しています。自社研修センターをスキル認定機関と位置づけ、実力主義に基づくキャリア形成を促進しており、外部競技会での実績もその裏付けとなっています。幹部候補にはジョブローテーションを原則化し、多角的な視点を持つマネジメント人材を育成しています。
社内環境整備としては、一都三県に特化したドミナント戦略を活かし、エリア横断型のシフト管理システムで機動的な相互応援を可能にし、人員の最適配置を図っています。DX投資により単純作業を自動化し、従業員が「おもてなし」業務に注力できる環境を整備しています。また、奨学金返済支援制度の新設や家族手当の拡充、社宅補助の強化など、福利厚生の充実にも力を入れ、従業員エンゲージメントの向上と定着支援を推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
女性管理職比率は女性活躍推進法に基づき算出されています。男性育児休業取得率は育児介護休業法に基づき、2025年5月1日から2026年4月30日の期間に正規・非正規労働者を含め対象者2名中2名が取得した実績です。男女賃金差異は男性を100とした際の女性賃金割合を示しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位ある労働者に占める女性労働者の割合 | 19.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 60.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 83.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 93.0% |
多様性・登用
当社における管理職は、店舗責任者および部門責任者です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性従業員の割合 | 19.0% |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 月間平均時間外勤務 | 11.2時間 |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年間休日 | 119.1日 |
| エリア内相互応援比率 | 15.0% |
| 有給休暇取得率 | 70%以上 |
| eNPS(従業員推奨度) | 前年比10%向上 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
東和フードサービスは、フードサービス事業を主軸に展開している会社です。都会生活に安全で楽しい食の場を提供することを経営理念とし、「あったら楽しい」「手の届く贅沢」をコンセプトに事業活動を行っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に直営店を展開しており、フランチャイズ展開は行っていません。主力業態として「椿屋珈琲グループ」「ダッキーダックグループ」「イタリアンダイニング ドナグループ」「こてがえし・ぱすたかんグループ」「プロント」を展開しています。
外食事業に加えて、ソースや焙煎珈琲豆、ドレッシング、ケーキ、焼き菓子などの自社製品の店舗外販売も行っています。生産部門では、自社製フレッシュケーキ、スパゲッティ生麺、ソース、ドレッシング、コーヒー豆などを生産し、OEM供給も手掛けています。
また、EC事業として「椿屋オンラインショップ」を運営し、物販催事事業も展開しています。これらの多様な事業活動を通じて収益を上げており、単一のフードサービス事業セグメントとして事業を展開しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高が前期から増加し、過去最高を更新しています。営業利益は前期から減少しましたが、経常利益と当期純利益は前期から増加しています。
国内経済の緩やかな回復基調やインバウンド需要により売上高は堅調に推移したものの、食材価格や人件費の上昇により厳しい経営環境が続いています。このような状況下で、同社はメニュー政策による収益性向上、人的資本の充実、消費者ニーズの多様化と差別化の推進、付加価値創造のための生産性向上といった施策を推進しています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員数は214名であり、平均年間給与は5,063,073円となっています。従業員の年間休日は119.1日、平均時間外勤務時間は11.2時間であり、労務環境の改善に注力していることがうかがえます。
また、サービス接遇検定資格取得への取り組みや外国人スタッフの登用・育成にも力を入れており、人的資本の充実を図っています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、財務基盤の安定性を維持しつつ、事業活動を通じて資金を生み出しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率が非常に高い水準で推移しています。当期の自己資本比率は79.2%であり、前期の78.2%から増加しています。これは、プライム市場の平均と比較しても高い水準を示しています。
ROE(自己資本利益率)は当期9.7%で、前期の10.1%からわずかに減少しています。プライム市場の平均と比較すると同程度の水準となっています。手元資金を示す現金及び預金は、当期末に47.7億円となり、前期の43.6億円から増加しています。これらの状況は、同社が安定した財務基盤を維持していることを示しています。
| 指標 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 71.7億円 | 77.7億円 |
| 自己資本比率 | 78.2% | 79.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.1% | 9.7% |
| 現金及び預金 | 43.6億円 | 47.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の営業活動によるキャッシュフローは、当期に10.4億円の資金を得ており、前期と比較して増加しています。これは主に法人税等の支払額が減少したことによるものです。投資活動によるキャッシュフローは、当期に10.1億円の資金を使用しており、前期と比較して資金の使用が増加しています。これは定期預金の預入による支出が増加した一方で、払戻による収入も増加したことによるものです。
財務活動によるキャッシュフローは、当期に1.7億円の資金を使用しており、前期とほぼ同額となっています。事業活動で得た資金が投資活動による支出を上回っており、自由に使える資金は28百万円とプラスを維持しています。この資金の流れは、同社が本業で安定的に資金を生み出しつつ、事業の維持・拡大に必要な投資も行っている状況を示しています。安定した事業運営が継続されており、雇用や給与の安定性にもつながる財務状況であると言えます。
| 項目 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.4億円 | 10.4億円 |
| 投資CF | △7.4億円 | △10.1億円 |
| 財務CF | △1.7億円 | △1.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 2.1億円 | 28百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
食材の調達と安全性に係るリスクとして、疫病の発生や天候不順、自然災害等により、食材の調達不安や価格高騰が起こる可能性があります。これにより、同社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、感染症拡大に係るリスクも挙げられています。様々な感染症の世界的拡大により、外出自粛などによる来店客数の減少が懸念されます。これも同社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
東和フードサービスは、「味覚とサービスを通して都会生活に安全で楽しい食の場を提供する」という経営理念のもと、お客様に「あったら楽しい」「手の届く贅沢」を提供することを目指しています。同社は、持続可能な成長と社会的責任を両立させるサステナビリティ経営を深化させ、すべてのステークホルダーから信頼される企業グループを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「味覚とサービスを通して都会生活に安全で楽しい食の場を提供する」という経営理念を掲げています。この理念のもと、「あったら楽しい」「手の届く贅沢」を営業コンセプトとしています。東京圏でのベストロケーション展開、女性ターゲット、ライトフード・自社生産を戦略の柱とし、すべて直営店で店舗を展開しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、従業員一人ひとりの能力発揮と持続的な成長を促すため、キャリアパスを明文化し、担う役割や成果に基づいた公正な評価・報酬制度を構築しています。定期的な面談や対話を通じた適切なフィードバックと目標管理の連動を重視するとともに、業務に必要な専門スキルの習得や公的資格の取得に関わる費用を会社が全面的に支援する体制を整えています。全従業員が会社の経営理念に理解共鳴し、日々の営業活動において付加価値の提供ができるよう教育を進める方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、食材価格の変動と原価管理体制の高度化、人的資本経営の推進と労働力最適化、消費の二極化とブランド「体験価値」の深化を経営課題としています。また、直営店の生産性向上と多業態ドミナント展開における出店戦略の高度化、DX推進によるデータドリブン経営の確立、ESG経営の実践と持続可能な循環型社会への貢献も重点テーマです。これらの課題に対し、基幹システムや人事システムの刷新、シフト管理システムの全社統合などを推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
東和フードサービスは監査等委員会設置会社であり、取締役会、監査等委員会、経営会議、各部門定例会を通じて経営管理を行っています。取締役会は経営に関する重要事項の決議と業務執行の監督を担い、監査等委員会は厳正な適法性監査と妥当性監査を通じて経営に対する監視機能を果たしています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、創業家関係者や関連会社が上位を占めていることが特徴です。筆頭株主は岸野秀英氏であり、柏野雄二氏、誠香インベストメントなどが主要な株主として名を連ねています。これらの株主グループが同社の経営に一定の影響力を持つ構造となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 岸野 秀英 | 19.57% |
| 柏野 雄二 | 18.34% |
| 誠香インベストメント | 11.52% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性7名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長CEOは岸野誠人氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岸野 誠人 | 代表取締役社長CEO | 2006年5月東和産業株式会社取締役、2006年5月誠香インベストメント株式会社代表取締役社長、2010年7月東和産業株式会社代表取締役社長、2016年7月同社取締役、2019年5月同社代表取締役社長兼CEOより現職。 |
| 菅野 政彦 | 代表取締役副社長COO | 1985年4月東和産業株式会社入社、2001年4月同社へ転籍、2002年7月同社取締役総務・人事グループ担当、2020年7月同社代表取締役副社長、2026年7月同社代表取締役副社長COOより現職。 |
| 長谷川 研二 | 取締役 | 1998年4月東和産業株式会社入社、2012年4月同社へ転籍、2015年11月同社執行役員、2020年7月同社取締役執行役員管理本部長より現職。 |
| 上村 達也 | 取締役 | 1997年4月東和産業株式会社フードサービス事業部入社、2002年9月同社驛舎珈琲店店長、2017年5月同社執行役員、2024年7月同社取締役執行役員成果推進本部部長より現職。 |
社外取締役は、二宮類四郎氏(金融機関での豊富な経験・監査等委員)、輿石正博氏(経営管理の専門的な知見・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社です。監査等委員会は社外取締役2名と監査等委員である常勤取締役1名で構成されており、経営に対する監視・監査機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の持続的な向上と株主利益への連動を重視した体系となっています。常勤取締役に対しては、固定報酬である基本報酬に加え、事業年度ごとの業績に連動する業績連動報酬や譲渡制限付株式報酬が支給されます。一方、監督機能を担う社外取締役には、基本報酬のみが支給される構成です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 54百万円 | 13.6百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 6百万円 | 6.3百万円 |
| 社外取締役 | 2名 | 7百万円 | 3.5百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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