※本記事は、ランドの有価証券報告書(第30期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ランドってどんな会社?
不動産事業と再生可能エネルギー関連投資事業の2本柱で、事業用不動産開発などを手がける企業です。
■(1) 会社概要
同社は1996年にマンションの企画・設計・販売を目的として設立されました。1997年に宅地建物取引業の免許を取得して販売代理業を開始し、2000年には自社分譲物件の販売を開始しています。2004年にジャスダック証券取引所へ上場し、2014年にはTTSエナジーを連結子会社化して再生可能エネルギー関連投資事業へ参入しました。
同社グループの従業員数は連結で11名、単体で11名です。筆頭株主は創業者であり代表取締役社長の松谷昌樹氏で、第2位は資産管理業務を行うとみられるランドコーポレーション、第3位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 松谷昌樹 | 20.81% |
| ランドコーポレーション | 10.40% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.29% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は松谷昌樹氏です。社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松谷昌樹 | 代表取締役社長 | 1991年大京入社。1996年同社設立、代表取締役社長に就任し現職。 |
| 佐瀬雅昭 | 常務取締役 | 1988年大京入社。シード、オートバイテル・ジャパンを経て2001年同社入社。2024年より現職。 |
社外取締役は、齊藤守人(元豊島税務署長)、五十嵐啓二(弁護士)、平井清志(元阿南税務署長)、福地誠司(福地公認会計士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「不動産事業」「再生可能エネルギー関連投資事業」および「その他の事業」を展開しています。
■不動産事業
デベロッパー向け共同住宅用地や、共同事業形式による事業用地の売却、買取再販案件の引渡し等の不動産事業を行っています。住宅やオフィスビル、商業施設などの各種不動産を企画・開発・販売しています。
収益源は不動産の売買や引渡しによる代金です。事業の運営は主に同社が単独または共同事業形式で行っています。
■再生可能エネルギー関連投資事業
太陽光発電所やバイオマス発電所等の再生可能エネルギー案件における不動産開発をはじめとした投資事業を行っています。
収益源は共同事業形式による蓄電所の流動化プロジェクトからの収入や、太陽光発電所に係る売電収入の分配などです。運営は連結子会社のTTSエナジーなどが行っています。
■その他の事業
グループの新たな柱となる事業を構築するべく設立された事業領域です。収益案件やその周辺事業などへの領域拡大を図っています。
収益源は新規事業からの売上であり、運営は主に連結子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高はプロジェクトの引渡時期により大きく変動する傾向があり、直近の2026年2月期は一部成約済み案件の引渡し期ずれ等により減収となりました。利益面でも、経常利益・当期利益ともに前期を下回る水準で推移しています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 30億円 | 41億円 | 21億円 | 51億円 | 30億円 |
| 経常利益 | 16億円 | 14億円 | 3億円 | 10億円 | 5億円 |
| 利益率(%) | 52.6% | 33.1% | 12.0% | 19.1% | 15.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -1億円 | -1億円 | 2億円 | 4億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
前期から当期にかけて、売上高の減少に伴い売上総利益および営業利益も縮小していますが、利益率の高い案件の引渡しが行われたことで売上総利益率は上昇しています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 51億円 | 30億円 |
| 売上総利益 | 17億円 | 11億円 |
| 売上総利益率(%) | 34.2% | 36.6% |
| 営業利益 | 10億円 | 4億円 |
| 営業利益率(%) | 19.2% | 14.2% |
販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が3億円(構成比37%)、役員報酬が1億円(同14%)、給料及び手当が1億円(同12%)を占めています。売上原価の内訳は、土地仕入原価が16億円(構成比82%)、その他が3億円(同18%)となっています。
■(3) セグメント収益
不動産事業は買取再販案件の売却等を行ったものの、前年からの反動等で減収となりました。一方、再生可能エネルギー関連投資事業は蓄電所の流動化プロジェクトによる収入が寄与し、大幅な増収を記録しています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 不動産事業 | 51億円 | 26億円 |
| 再生可能エネルギー関連投資事業 | 0.2億円 | 3億円 |
| その他の事業 | 0.1億円 | 1億円 |
| 連結(合計) | 51億円 | 30億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的となる「末期型」です。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 21億円 | -9億円 |
| 投資CF | -4億円 | -0.1億円 |
| 財務CF | -2億円 | -1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は88.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「Life(暮らし) Affluence(豊かさ) Nice(快適な) Development(創造)」からなる「豊かで快適な暮らしの創造」を企業理念として掲げています。SDGsやESGを意識しながら社会に貢献できる新たな事業機会の創出を含めた収益基盤の構築を行い、環境変化に強い高収益な企業体質の確立を目指しています。
■(2) 企業文化
組織の規模を追うことなく、少数の専門スタッフを最大限に活用する組織構築を念頭に置いています。新しいことにチャレンジする企業風土の醸成を図るとともに、その成果を個人に還元することで更なる成長へのモチベーションを育み、中長期的な企業の成長につなげる好循環を目指す文化を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
機動的な資金調達により必要な資金を確保し、収益性の高い事業へ集中的に資金投下を行うことで、収益性と資本効率を高め、総合的な企業価値の向上を目指しています。優良な案件への即時対応力を高めることに注力しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
不動産開発や再生可能エネルギー関連における権利関係の調整、許認可等の取得等を行い、事業者向けに売却する事業を積極的に展開します。シナジー効果やリスク分散効果の観点から新たな事業の柱となるべき事業の構築を行い、事業基盤の拡充及び収益力の強化に取り組みます。また、事業資金調達力や内部管理体制の強化も優先課題としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
高度な専門的知識、技能および経験を有する多様な人材の確保と育成が不可欠と考えています。中長期の視点による必要人材の確保と育成に積極的に取り組み、外部講習会や研修の受講支援、資格取得費用の拠出、優秀者への表彰などにより、専門性の高い人材の確保と育成に注力する方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 41.2歳 | 6.6年 | 7,784,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特有の法的規制による影響
不動産業界および再生可能エネルギー関連投資事業は、国土利用計画法や宅地建物取引業法、再生可能エネルギー関連法令など、様々な法的規制を受けています。今後、各種規制の改廃や新たな規制が設けられた場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 引渡時期による業績変動
同社グループが手掛ける事業の多くは、引渡時に売上が計上される取引となっており、プロジェクトにより利益率が大きく異なる場合があります。このため、プロジェクトの引渡時期によって業績の偏重が生じやすく、不測の事態により引渡しが遅延した場合には業績が著しく変動するリスクがあります。
■(3) 不動産市況の変動
同社グループの属する不動産業界は、景気動向や金利動向、建築資材価格の高騰等による影響を受けやすい特性があります。景気見通しの悪化や大幅な金利上昇、供給過剰による販売価格の下落などが発生した場合、購買意欲の減退につながり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 有利子負債への依存と金利変動
事業規模の拡大等に伴い、事業用不動産の取得資金などを金融機関からの借入金により調達する場合があり、有利子負債への依存度が高まる可能性があります。現行の金利水準が大きく変動した場合や、十分な資金調達ができなかった場合には、業績および財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。



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