ランド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ランド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場し、不動産売買や流動化事業、再生可能エネルギー関連投資を展開しています。第29期は大型案件の売却などが寄与し、売上高は51億円(前期比142.3%増)、経常利益は10億円(同283.5%増)と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ランド の有価証券報告書(第29期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ランドってどんな会社?


不動産開発や流動化事業を主力とし、太陽光発電所などの再生可能エネルギー投資も行う企業です。

(1) 会社概要


同社は1996年に横浜市で設立され、マンション分譲を開始しました。その後、2003年に株式を店頭登録し、2007年には東証二部へ上場、2008年には東証一部への指定替えを果たしました。2014年には再生可能エネルギー関連投資事業を行うTTSエナジーを連結子会社化するなど事業領域を拡大しています。

現在の従業員数は連結・単体ともに14名と、少数精鋭の体制をとっています。筆頭株主は社長の松谷昌樹氏で、第2位は同氏が代表を務めるランドコーポレーション、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
松谷昌樹 20.81%
ランドコーポレーション 10.40%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.81%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は松谷昌樹氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。

氏名 役職 主な経歴
松谷昌樹 代表取締役社長 1991年大京入社。1996年同社設立とともに代表取締役社長に就任し現職。ランドコーポレーション取締役を兼任。
佐瀬雅昭 常務取締役 1988年大京入社。シード、オートバイテル・ジャパンを経て2001年同社入社。管理部長、取締役を経て2007年より現職。


社外取締役は、齊藤守人(元税務大学校教授)、五十嵐啓二(弁護士)、平井清志(元阿南税務署長)、福地誠司(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「不動産事業」、「再生可能エネルギー関連投資事業」および「その他の事業」を展開しています。

不動産事業


住宅(マンション・戸建て)、オフィスビル、ホテル、商業施設、物流施設や宅地造成等の開発型不動産をはじめとした各種不動産の企画・開発・販売を行っています。また、共同事業形式による不動産投資も手掛けています。

収益は主に不動産の売却や流動化プロジェクトからの収益分配によって得ています。運営は主にランドが行っています。

再生可能エネルギー関連投資事業


太陽光発電所やバイオマス発電所などの再生可能エネルギー案件における不動産開発をはじめとした投資を行っています。脱炭素化社会の実現に向け、共同事業形式を含めた投資を展開しています。

収益は開発した発電所等の売却や売電収入の分配などから得ています。運営はランドおよび連結子会社のTTSエナジー等が行っています。

その他の事業


報告セグメントに含まれない事業として、その他付帯事業や新規事業の準備などを行っています。

収益はグループの新たな柱となる事業構築に向けた活動から生じます。運営はグループ内の連結子会社等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は案件の引渡時期により変動が見られますが、第29期は51億円まで伸長しました。経常損益は第25期に赤字を計上しましたが、第26期以降は黒字を維持しており、特に当期は高い利益率を確保しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 11億円 30億円 41億円 21億円 51億円
経常利益 -28億円 16億円 14億円 3億円 10億円
利益率(%) -244.3% 52.6% 33.1% 12.0% 19.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -28億円 17億円 13億円 2億円 9億円

(2) 損益計算書


売上高が前期の約2.4倍に拡大したことに伴い、売上総利益も大きく増加しました。利益率の高い案件の引渡しがあった一方で、一部案件の評価損計上などにより売上原価率も変動しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 21億円 51億円
売上総利益 9億円 17億円
売上総利益率(%) 44.4% 34.2%
営業利益 2億円 10億円
営業利益率(%) 11.0% 19.2%


販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が3億円(構成比37%)、租税公課が1億円(同18%)、役員報酬が1億円(同13%)を占めています。売上原価は33億円で、棚卸資産評価損などが含まれています。

(3) セグメント収益


不動産事業はデベロッパー向け用地や買取再販案件の売却が進み、大幅な増収増益となりました。一方、再生可能エネルギー関連投資事業は売上高が減少し、営業損失を計上しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
不動産事業 19億円 51億円 5億円 15億円 29.5%
再生可能エネルギー関連投資 2億円 0.2億円 1億円 -1億円 -682.8%
その他の事業 0.1億円 0.1億円 -0.5億円 -0.8億円 -799.1%
調整額 - - -4億円 -3億円 -
連結(合計) 21億円 51億円 2億円 10億円 19.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、不動産事業及び再生可能エネルギー関連投資事業における共同事業資金の回収が進んだことにより、営業活動によるキャッシュ・フローが大幅に増加しました。投資活動では、短期貸付金の増加に伴い支出となりました。財務活動では、借入金の返済や配当金の支払いにより資金が支出されました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF -14億円 21億円
投資CF 21億円 -4億円
財務CF 3億円 -2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「Life(暮らし) Affluence(豊かさ) Nice(快適な) Development(創造)」を社名の由来とし、「豊かで快適な暮らしの創造」を企業理念としています。SDGsやESGを意識しながら社会貢献できる事業機会を創出し、環境変化に強い高収益な企業体質の確立を目指しています。

(2) 企業文化


組織の規模を追わず、少数の専門スタッフを最大限に活用する組織構築を重視しています。新しいことにチャレンジする企業風土の醸成を図り、その成果を個人に還元することでモチベーションを高め、企業の成長につなげる好循環を目指しています。

(3) 経営計画・目標


具体的な数値目標は記載されていませんが、情報ネットワークを通じた優良案件の厳選と差別化により、経済環境の変化に負けない経営を目指しています。収益性の高い事業へ集中的に資金投下を行い、収益性と資本効率を高めることで、総合的な企業価値の向上を図る方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


優良な不動産案件や再生可能エネルギー関連投資情報への即時対応を可能にするため、機動的な資金調達力の強化を掲げています。具体的には、不動産開発や発電所建設における権利関係の調整・許認可取得を行い、事業者向けに売却する事業を積極的に展開する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


役職員数は少人数である一方、各人が担当する業務は専門的な知識と経験を必要とするため、人材を企業価値の源泉と位置づけています。今後の業容拡大に向け、専門性の高い人材の確保・育成に注力するとともに、労働人口の減少を見据えたDX化の推進により生産性向上に取り組む方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 39.4歳 5.4年 6,865,000円

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特有の法的規制による影響


不動産事業や再生可能エネルギー関連事業は、国土利用計画法、宅地建物取引業法、建築基準法などの法的規制を受けています。将来的に規制の改廃や新たな規制が導入された場合や、再生可能エネルギーの固定価格買取制度に関する方針変更があった場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。

(2) 引渡時期による業績変動


多くの事業で売上計上が引渡時となるため、プロジェクトの進行状況によって四半期や年度ごとの業績に偏重が生じる傾向があります。天災や予期せぬ事態による工期遅延などで引渡しが期をまたぐ場合、業績が大きく変動する可能性があります。

(3) 不動産市況の影響


景気動向、金利動向、不動産価格、住宅税制などの影響を受けやすい事業環境にあります。金利上昇や販売価格の下落が発生した場合、購買意欲の減退により業績に影響が出る可能性があります。また、施工会社の信用不安等による工事遅延のリスクも存在します。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。