東天紅 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東天紅 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東天紅は東京証券取引所スタンダード市場に上場し、本格的な中国料理を提供するレストランや宴会場の経営を主力とする企業です。直近の業績では、WEB訴求の強化や法人向けセールスの注力により宴会部門・婚礼部門が好調に推移し、増収増益を達成しました。今後も既存店舗の改装やDX化により事業基盤の強化を図ります。


※本記事は、株式会社東天紅の有価証券報告書(第70期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 東天紅ってどんな会社?


中国料理レストランや宴会場の経営を主力とし、不動産賃貸業も展開する企業です。

(1) 会社概要


1961年に本格的な中国料理の営業を展開すべく、第1号店である「上野店」を開店しました。1969年にはチェーン店第1号店として「深川店」を開店し、1978年に東京証券取引所市場第二部に株式上場、1984年には市場第一部に指定されました。2015年には新たな50年の旗艦店として新「上野店」を開店しています。

現在の従業員数は単体で145名です。筆頭株主は経営指導等を行う事業会社の小泉グループで、第2位は主要取引銀行のみずほ銀行、第3位は代表取締役が代表を務める九州アフリカ・ライオン・サファリです。

氏名 持株比率
小泉グループ 30.06%
みずほ銀行 4.95%
九州アフリカ・ライオン・サファリ 2.46%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は小泉和久氏が務めています。取締役6名のうち2名が社外取締役であり、社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
小泉和久 取締役社長(代表取締役) 1977年3月代表取締役社長就任。九州アフリカ・ライオン・サファリ代表取締役社長等を歴任し、2004年6月より現職。
藤井修造 専務取締役 富士銀行入行後、みずほ証券常務取締役、みずほフィナンシャルグループ常務執行役員等を経て、2019年5月より現職。
松本恵司 取締役上野店営業部長 1983年3月入社。上野店支配人を経て、2007年3月上野店営業部長に就任し、2012年5月より現職。
佐藤昇 取締役管理部長 1986年3月入社。管理本部経理部長、執行役員管理部長等を経て、2019年5月より現職。


社外取締役は、北村吉男(元東京消防庁消防総監)、源川暢子(エディター/ライター)です。

2. 事業内容


同社グループは、「飲食業」および「賃貸業」の2つの報告セグメントで事業を展開しています。

(1) 飲食業


中国料理による飲食店や宴会場の経営を行っており、一般の顧客や法人顧客に対して料理や飲料、関連サービスを提供しています。レストランや宴会、婚礼、グリル、外販など多様な部門を通じて、顧客のニーズに合わせたプランや商品を提供しています。

収益源は、顧客からの飲食代金や宴会・婚礼等のサービス提供に対する対価です。事業の運営は東天紅が行っています。

(2) 賃貸業


同社が保有する不動産物件を活用し、テナント等の顧客に対して不動産の賃貸を行っています。上野の賃貸不動産をはじめとする保有資産を有効活用し、安定した収益基盤の確保に努めています。

収益源は、テナント契約に基づく不動産の賃貸収入です。事業の運営は東天紅が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は一時的な落ち込みから順調に回復し、増加傾向にあります。経常利益と当期純利益についても、過去の赤字から黒字へと転換し、継続的な収益性の改善を果たしています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 20億円 37億円 47億円 47億円 48億円
経常利益 -2億円 -5億円 4億円 5億円 5億円
利益率(%) -10.1% -12.6% 8.3% 9.8% 9.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -9億円 -8億円 -1億円 4億円 6億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに堅調に推移しています。原価や経費の適切な管理により、安定した利益水準を維持しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 47億円 48億円
売上総利益 28億円 29億円
売上総利益率(%) 59.8% 60.0%
営業利益 5億円 5億円
営業利益率(%) 10.4% 10.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が7億円(構成比30%)、賃借料が3億円(同11%)、減価償却費が2億円(同10%)を占めています。売上原価の多くは当期製品製造原価が占めています。

(3) セグメント収益


飲食業では宴会部門や婚礼部門が好調に推移し、売上・利益ともに増加しました。賃貸業も安定した賃貸収入を確保し、前年を上回る堅調な業績を残しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
飲食業 45億円 46億円 4億円 4億円 9.4%
賃貸業 2億円 2億円 0.8億円 0.8億円 41.4%
連結(合計) 47億円 48億円 5億円 5億円 10.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況となっています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 7億円 6億円
投資CF -1億円 -2億円
財務CF -2億円 -3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.8%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.4%となり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「社会に対して上場会社としての責任を果たすと共に『食』を通じて、経済的、文化的に貢献すること」「複合レストランの展開により外食産業界における卓越性を築くこと」を企業理念としています。また、「豊かな食事文化を創造、提供する」ことを企業使命として掲げています。

(2) 企業文化


社員とその家族の幸福の向上に努力するとともにお客様、株主、取引先との連携を一層強化することを目指しています。また、新時代のリーダーシップ育成に必要な人間完成を目指す自己開発を推進し、労使一体となって会社の永続的な発展と経営強化を図る文化を重んじています。

(3) 経営計画・目標


企業価値の増大を重要な経営課題と位置づけ、その達成状況を判断するための客観的な指標として以下の数値を経営の目標指標に掲げています。

* 売上高成長率
* 売上高営業利益率

(4) 成長戦略と重点施策


営業面ではWEBでの訴求とセールス活動を強化し、宴会・婚礼・グリル部門を中心に新規顧客獲得を目指します。また、AI活用による競争力強化や、既存店舗の改装に注力します。管理面ではDX化と高効率な店舗運営の推進、調理部門での一部機械化による省力化を図り、人材不足への対応と事業継続性の確立を進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


企業理念や企業使命を基本とした人材育成・教育訓練を最優先課題とし、教育研修の充実を推進しています。また、システム投資による省人化・省力化で働きやすい職場環境を整備するとともに、女性の活躍推進や適材適所の配置による次世代人材の育成、貢献度に応じた適正な評価と報酬体系の構築に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 41.6歳 18.5年 4,163,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.7%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 50.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 83.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 79.9%


※男性育児休業取得率は有報に数値の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気動向と市場競争の激化


法人の宴会需要などは景気動向の影響を強く受けます。また、新規参入や中食の台頭などにより外食市場の競争が激化しており、これらの環境変化が持続した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 食材の安定的な確保と価格変動


良質な食材の安定的な確保が不可欠ですが、伝染病や食への不安、天候不良、外国為替相場の動向などにより、使用する食材の安全性に疑義が生じたり、仕入コストが大きく変動した場合、収益性に影響を与えるリスクがあります。

(3) 衛生管理と食中毒等の発生


各営業許可を取得し、従業員への衛生管理指導や外部機関による定期検査などを徹底していますが、万一店舗で食中毒等の衛生問題が発生した場合、営業停止や風評被害により業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。