#記事タイトル:東天紅転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社東天紅 の有価証券報告書(第69期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 東天紅ってどんな会社?
中国料理を中心としたレストラン・宴会場・結婚式場の運営を主力とし、不動産賃貸業も展開する企業です。
■(1) 会社概要
1961年12月に上野店を開店し、本格的な中国料理の営業を開始しました。1978年10月に東証二部に上場し、1984年8月には東証一部への指定替えを果たしました。2015年2月には旗艦店である新「上野店」を開店し、事業基盤を強化しています。2022年4月の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しました。
従業員数は単体で152名です。大株主の筆頭は小泉グループで、第2位はみずほ銀行、第3位は九州アフリカ・ライオン・サファリとなっています。社長の小泉和久氏が小泉グループの代表も兼務しており、安定した資本構成のもとで経営が行われています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 小泉グループ | 30.06% |
| みずほ銀行 | 4.97% |
| 九州アフリカ・ライオン・サファリ | 2.46% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は小泉和久氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小 泉 和 久 | 取締役社長(代表取締役) | 1977年同社代表取締役社長就任。小泉グループ代表取締役社長等を兼任し、2004年より現職。 |
| 藤 井 修 造 | 専務取締役 | 1980年富士銀行入行。みずほ証券常務、みずほFG常務執行役員等を経て、2019年より現職。 |
| 松 本 恵 司 | 取締役上野店営業部長 | 1983年同社入社。上野店支配人、上野店営業部長を経て、2012年より現職。 |
| 佐 藤 昇 | 取締役管理部長 | 1986年同社入社。管理本部経理部長、執行役員管理部長を経て、2019年より現職。 |
社外取締役は、北村吉男(元東京消防庁消防総監)、源川暢子(元旭屋出版料理専門月刊誌副編集長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「飲食業」および「賃貸業」事業を展開しています。
■飲食業
中国料理を提供するレストラン、多目的な宴会場、および結婚式場の運営を行っています。上野店などの旗艦店を中心に、法人の宴会需要や個人の会食、婚礼など幅広いニーズに対応したサービスを提供しています。
収益は、来店客からの飲食代金、宴会・婚礼の利用料、および外販商品の販売代金から成り立っています。運営は主に東天紅が行っています。
■賃貸業
同社が保有する不動産資産を活用し、オフィスや店舗スペースの賃貸事業を行っています。
収益は、テナントからの賃貸料収入等です。運営は主に東天紅が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の業績を見ると、売上高はコロナ禍の影響を受けた時期から回復基調にあり、直近では47億円台まで戻しています。利益面では、赤字が続いていた状態から第68期に黒字転換を果たし、第69期ではさらに利益率を改善させています。経常利益率は約10%の水準まで上昇し、収益性が安定化しつつあります。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 16.1億円 | 20.0億円 | 37.0億円 | 46.8億円 | 47.1億円 |
| 経常利益 | -14.1億円 | -2.0億円 | -4.7億円 | 3.9億円 | 4.6億円 |
| 利益率(%) | -87.6% | -10.1% | -12.6% | 8.3% | 9.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -19.4億円 | -9.5億円 | -8.3億円 | -1.3億円 | 4.3億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較すると、売上高は微増ながらも、売上総利益および営業利益は着実に増加しています。売上総利益率は約60%と高い水準を維持しており、営業利益率も改善傾向にあります。コストコントロールが進み、効率的な経営体制への移行が見て取れます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 46.8億円 | 47.1億円 |
| 売上総利益 | 27.9億円 | 28.2億円 |
| 売上総利益率(%) | 59.6% | 59.8% |
| 営業利益 | 4.2億円 | 4.9億円 |
| 営業利益率(%) | 9.1% | 10.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が6.8億円(構成比29%)、賃借料が2.6億円(同11%)を占めています。また、売上原価においては、材料費が9.7億円(構成比58%)、労務費が4.2億円(同25%)を占めています。
■(3) セグメント収益
飲食業では、宴会部門が好調に推移し、ネットと対面販売の連携強化や婚礼部門の施策効果により増収増益となりました。賃貸業は安定的な収益を確保しており、全社利益の下支えとなっています。飲食業の収益性向上が全社の増益に大きく寄与しています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) | 利益(2024年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 飲食業 | 44.9億円 | 45.2億円 | 4.2億円 | 4.1億円 | 9.1% |
| 賃貸業 | 1.9億円 | 1.9億円 | 0.8億円 | 0.8億円 | 41.7% |
| 連結(合計) | 46.8億円 | 47.1億円 | 4.2億円 | 4.9億円 | 10.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
東天紅は、安定的な賃貸収入を確保しつつ、事業活動を通じて資金を創出しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に事業の利益創出により増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、既存店の改装やシステム改修への投資により使用されました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済などにより使用されました。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.2億円 | 7.3億円 |
| 投資CF | 0.2億円 | -1.1億円 |
| 財務CF | -0.5億円 | -1.8億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「食」を通じて経済的・文化的に貢献し、社会に対して上場会社としての責任を果たすことを基本方針としています。複合レストランの展開により外食産業界における卓越性を築き、社員と家族の幸福向上に努めるとともに、顧客、株主、取引先との連携強化を目指しています。
■(2) 企業文化
「豊かな食事文化を創造、提供する」ことを企業使命とし、食事の豊かさと楽しさを提供するホスピタリティの充実に努めています。また、新時代のリーダーシップ育成に必要な人間完成を目指す自己開発を推進し、労使一体となって経営強化を図る風土があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は企業価値の増大を重要な経営課題と位置づけ、以下の指標を目標として掲げています。永続・発展のための増収増益、企業価値の向上、利益還元、内部留保による企業体質強化を目指しています。
* 売上高成長率
* 売上高営業利益率
■(4) 成長戦略と重点施策
今後は、システム化推進や業務見直しによる高効率な店舗運営を目指し、宴会・婚礼・グリル・外販の主要4部門に注力して新規顧客を獲得する方針です。また、既存店の改装・改修による快適な空間提供や、省人化投資による生産性向上、女性社員の登用や若手教育などにも取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材への投資・教育を最優先課題とし、ホスピタリティ精神にあふれる人材の育成に注力しています。また、システム投資による省人化や労働環境の改善を通じて離職防止と定着率向上を図るとともに、適材適所の配置や女性活躍推進、貢献度に応じた適正な評価制度の活用を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 41.2歳 | 18.5年 | 4,046,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.7% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 49.6% |
| 男女賃金差異(正規) | 87.2% |
| 男女賃金差異(非正規) | 81.2% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 景気動向と競争激化
経営成績は景気動向、特に法人需要の影響を強く受けます。また、外食市場における新規参入や中食の台頭などにより競争が激化しており、景気後退や競争環境の変化が業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 食材の安定確保
BSE問題や鳥インフルエンザなどの影響により食の安全への関心が高まる中、良質な食材の安定的確保が重要課題です。天候不順や為替変動による仕入コストの上昇、または食材の安全性に疑義が生じた場合、業績に影響が出る可能性があります。
■(3) 衛生管理と食中毒リスク
飲食店営業において衛生管理は最重要事項です。従業員への指導や外部機関による検査を実施していますが、万が一食中毒等の衛生問題が発生した場合、営業停止処分や風評被害により、業績に深刻な影響を及ぼすリスクがあります。
■(4) 個人情報の管理
営業活動において大量の顧客情報を取り扱っています。個人情報の漏洩防止のため管理体制を整備していますが、情報の流出等が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。