※本記事は、株式会社昴 の有価証券報告書(第68期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 昴ってどんな会社?
幼児から高校生向けに学習塾を展開し、九州全域や沖縄などへの事業展開を見据える企業です。
■(1) 会社概要
1965年創設の鶴丸予備校を前身とし、1972年に法人化されました。1984年には有名私立校志望者向けの受験ラサールを設置し、1991年に昴と合併して組織変更しました。1995年の店頭登録等を経て2022年に東京証券取引所スタンダード市場へ移行し、九州各県や沖縄への展開も進めています。
従業員数は単体で300名です。筆頭株主は事業会社の学友社で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行の日本カストディ銀行です。第3位には取引金融機関である鹿児島銀行が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 学友社 | 40.99% |
| 日本カストディ銀行(信託E口) | 5.54% |
| 鹿児島銀行 | 4.95% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役社長は西村秋氏が務めており、全役員に占める社外取締役の割合は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 西村 秋 | 代表取締役社長 | 2005年同社入社。内部監査室長などを経て、2014年代表取締役副社長に就任。2021年より現職。 |
| 西村 道子 | 取締役会長 | 1973年鶴丸予備校(現 昴)取締役に就任し、2006年代表取締役社長などを歴任。2025年より現職。 |
| 松葉口 哲 | 取締役教務本部長兼沖縄統括部長 | 1984年同社入社。教務指導担当部長などを経て、2021年教務本部長に就任。2023年より現職。 |
社外取締役は、厚地実(元南日本保証センター営業部部長代理)、前田義人(元鹿児島テレビ放送社外取締役)、本木順也(本木法律事務所開設)です。
2. 事業内容
同社グループは、「学習塾」事業の単一セグメントで事業を展開しています。
■学習塾事業
幼児、小学生、中学生、高校生および高校卒業生を対象とした学習塾の企画および運営を行っています。集団授業や個別指導、合宿、各種テストの実施などを通じて、有名私立校や公立トップ校、さらには大学進学を目指す生徒の学力向上と目標達成を継続的にサポートしています。
収益源は、提供する教育サービスに対する学費や特訓収入、合宿収入、テスト収入、教材売上などであり、受講生やその保護者から受け取ります。事業の運営は同社が主体となって行っており、地域に密着した高品質な学習指導体制を構築してサービスを提供しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近の業績推移を見ると、当期利益は増減を繰り返しながら推移しています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 38億円 | - | - | - | - |
| 経常利益 | 3億円 | - | - | - | - |
| 利益率(%) | 9.1% | - | - | - | - |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 2億円 | 0.4億円 | 0.6億円 | 0.4億円 |
■(2) 損益計算書
売上総利益は横ばい圏で推移する一方、経費のコントロールなどにより営業利益は増加傾向にあります。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | - | - |
| 売上総利益 | 6億円 | 6億円 |
| 売上総利益率(%) | - | - |
| 営業利益 | 1億円 | 1億円 |
| 営業利益率(%) | - | - |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
子どもの可能性は無限との考えから「我が子、我が事と思い、厳しく指導する」「学力、気力、体力を養成する」「責任をもって一人残らず第一志望校に合格させる」を指導理念としています。豊かな人間性を備え、創造力や柔軟な思考力を持った人材の育成を使命としています。
■(2) 企業文化
変化の激しい経営環境に迅速に対応する企業風土の醸成に取り組んでいます。また、講師の理想像として「師 心に灯をともす人」を掲げ、生徒が興味を持って自ら学べるよう、やる気を引き出す指導を重視しています。高い倫理観と責任感を持って行動し、社会に貢献する文化を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
目標とする経営指標として、「総資産経常利益率」および「自己資本当期純利益率」の向上を掲げています。これらを長期的に引き上げていくとともに、有利子負債の圧縮を進めて財務体質の改善と充実を図り、株主に対する安定的な利益還元を実現していく方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
九州全域への事業展開を視野に入れ、沖縄への進出や地元鹿児島の基盤強化に努めています。「ブランド力の強化」「人材の育成」「経営の効率化の促進」を重視し、AIを活用した学習支援システムなどのDX推進や、高校授業料無償化を見据えた新規サービスの提供に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
最も重要な経営資源である人材の確保と育成を重視しています。アルバイト講師の社員登用強化や社内ライセンス制度による指導力向上、プロコーチ制度の導入など多方面での研修を実施しています。性別や年齢に関わらず多様な人材が活躍でき、働きやすい環境づくりを推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 43.2歳 | 13.8年 | 4,212,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.3% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 44.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 79.2% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 71.3% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の育児休業取得率(100%)、勤続年数(13.8年)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 少子化と学齢人口の減少
学習塾業界は少子化による学齢人口の減少に直面しており、入学試験の平易化による通塾動機の希薄化や企業間の生徒獲得競争が激化しています。このような状況が継続した場合、同社の業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 調達金利の変動
同社は自社物件を多く保有しているため、有利子負債が存在します。今後の金融情勢の変化によって金利が上昇した場合、資金調達コストが増加し、経営成績やキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
■(3) 個人情報の漏洩
学習指導や生徒募集の過程で、多くの生徒や保護者の個人情報を保有しています。情報管理には十分な注意を払っていますが、不測の事態により個人情報が漏洩した場合、社会的信用の失墜を招き、業績に重大な影響を及ぼすリスクがあります。
■(4) 減損会計の適用
一部の教室において地価の下落等により減損損失を計上していますが、今後も地価の下落や少子化による競争激化で収益が悪化した場合、さらなる減損損失が発生し、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。



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