レイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レイは、スタンダード市場に上場する広告・映像関連の企画制作会社です。セールスプロモーションやテレビコマーシャル等の企画制作を行う事業と、映像インフラを活用した実制作を担う事業を展開しています。直近の業績は、大型展示会等の開催増やエンターテインメント案件の寄与により、大幅な増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社レイの有価証券報告書(第45期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. レイってどんな会社?


レイは、広告・映像関連の企画制作を主力とし、企画から機材レンタル、映像制作までを一貫して提供します。

(1) 会社概要


1981年にレーザーディスプレイ事業を目的としてスタジオ・レイを設立しました。1991年に社名をレイに変更し、本格的にデジタル映像事業へ進出します。2004年にジャスダック証券取引所へ株式を上場しました。2017年には広範囲なネットワークとの連携を図るため、テレビ朝日と資本業務提携契約を締結しています。

現在の従業員数は、連結・単体ともに424名です。筆頭株主は資本業務提携先であるテレビ朝日で、第2位は資産管理会社とみられるエス・ダブリュ・プロジェクト、第3位は創業一族の分部日出男氏となっています。

氏名 持株比率
テレビ朝日 21.78%
エス・ダブリュ・プロジェクト 16.07%
分部 日出男 8.35%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は磯部陽一氏が務めています。社外取締役の比率は12.5%です。

氏名 役職 主な経歴
磯部 陽一 代表取締役社長 1987年同社入社。上海光泉会展の董事総経理や管理ユニット本部長などを歴任。2023年同社取締役を経て、2026年3月より現職。
分部 至郎 取締役 1981年同社設立に伴い取締役就任。1991年代表取締役副社長、2009年代表取締役社長などを歴任。長年経営トップとして事業を牽引し、2026年3月より現職。
天野 純 取締役 執行役員 1985年同社入社。イベント事業本部担当や管理ユニット執行役員などを歴任。2018年同社取締役を経て、2023年3月より現職。クレイ代表取締役社長を兼務。
紺井 隆宏 取締役 執行役員 1990年同社入社。プレントユニットショーテクニカル営業部部長やイベント事業本部本部長などを歴任。2023年執行役員を経て、2025年5月より現職。


社外取締役は、藤本幸子(テレビ朝日取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「広告ソリューション事業」および「テクニカルソリューション事業」を展開しています。

(1) 広告ソリューション事業


顧客の販売戦略に対し、キャンペーンやイベント、展示会、テレビコマーシャル等の企画制作を通じて総合的な要望に応える事業です。セールスプロモーションやショールーム等の企画制作を行う部門と、ビジネスプロモーション映像等の企画制作を行う部門で構成されています。

主にクライアントや広告代理店から総合企画を受注し、企画制作の対価として収益を得る請負業務です。実施計画の立案から各種業者への発注までを担い、技術的な側面の提案や細心なケアをセールスポイントとしています。運営は同社およびクレイが行っています。

(2) テクニカルソリューション事業


広告ソリューション事業等が提案する企画制作を実現する事業です。デジタル映像編集スタジオを保有し、撮影から加工までの一貫した制作基盤を持つほか、各種催事に使用するデジタル映像機材のレンタルおよびオペレーションサービスを提供しています。

主に制作会社から受注し、機材レンタルや映像編集の対価として収益を得る請負業務です。設備の償却負担がコストに占める割合が大きく、各種機材の稼働率の維持向上が利益面での重要な課題となります。運営は同社が主体となって行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績は、イベント等の需要変動により売上高が105億円から134億円の幅で推移しています。直近の期では、大型展示会の開催やコンサート関連の案件を継続的に受注できたことで、売上高・経常利益ともに過去最高水準となり、利益率も14.2%へと大きく向上しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 111億円 125億円 112億円 105億円 134億円
経常利益 10億円 14億円 13億円 11億円 19億円
利益率(%) 9.3% 11.3% 11.7% 10.0% 14.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 7億円 8億円 7億円 13億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大しています。利益率の高い案件の増加等により売上総利益率は36.8%へと改善し、販売費及び一般管理費の増加を吸収した結果、営業利益率は13.1%へと大幅な伸びを示しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 105億円 134億円
売上総利益 36億円 49億円
売上総利益率(%) 34.0% 36.8%
営業利益 9億円 18億円
営業利益率(%) 8.9% 13.1%


販売費及び一般管理費(合計32億円)のうち、給料手当が12億円(構成比39%)、賞与引当金繰入額が2億円(同7%)を占めており、人件費が主要なコストとなっています。また、売上原価においては、請負業務の性質上、外注費の負担が大きくなる傾向があります。

(3) セグメント収益


広告ソリューション事業は、大型展示会等の開催により売上・利益ともに大きく伸長しました。テクニカルソリューション事業も、エンターテインメント関連の継続受注や大型展示会案件の増加により好調に推移し、全社の利益成長を強力に牽引しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
広告ソリューション事業 43億円 62億円 1億円 5億円 7.7%
テクニカルソリューション事業 61億円 72億円 15億円 20億円 26.9%
調整額 - - -7億円 -7億円 -
連結(合計) 105億円 134億円 9億円 18億円 13.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動で安定したキャッシュを生み出し、その資金を設備投資や借入金の返済・株主還元に充てている健全型のキャッシュ・フロー構造となっています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 17億円 23億円
投資CF -8億円 -15億円
財務CF -8億円 -6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.9%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も71.3%で市場平均を上回っています。いずれも良好な水準を維持しています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「会社はステージ、社員はアクター、経営者は演出家、そしてお客様と株主の皆様は観客」と位置付ける独自の経営方針を掲げています。最先端のステージで全員がプロ意識に徹して実力を発揮し、観客から大きな拍手(賞賛)をいただくことを理想として事業を展開しています。

(2) 企業文化


同社は、常に会社組織や投資機材の一層の拡充・最先端化を図るとともに、全社員の絶え間ない質的向上を重視する文化を持っています。日進月歩する新技術から新たな独自価値を創造する技術力と、それを正しく表現する高度なプロデュース力を磨き続けることが求められています。

(3) 経営計画・目標


同社は、収益を伴う安定的な成長を図るための重要な指標として「売上高」と「売上高営業利益率」を重視しています。具体的な数値目標は設定していませんが、2事業4部門に経営資源を集中させ、これらの指標の推移を基に諸施策を実施し、安定的かつ継続的な成長を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


優れたデジタル映像演出技術と最先端の制作技術をもとに、市場機会の発見と俊敏な取り組みを行い、得られたリターンを再び最新技術へ投資する「不断のイノベーション」を戦略の軸としています。リアルとデジタルの高度な融合やSNS等との連動による新たな付加価値の創出、質の高いプロデュース体制の強化に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


クリエイティブな活動全般は人が価値を生み出す源泉であるとし、人的資本の拡充を重要課題と位置付けています。多様な人材を確保し、個々の能力を十分に発揮できる魅力ある労働環境の整備や、仕事と生活の調和を図りやすい雇用環境の構築に向け、継続的な制度見直しを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 37.3歳 12.3年 6,276,755円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 79.4%
男女賃金差異(正規雇用) 79.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 100.3%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用者に占める女性の割合(43.2%)、男女の平均勤続年数の差異(4.8年)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 広告宣伝費の削減による影響


企業の広告宣伝活動を主な対象としているため、景気の停滞による広告宣伝費削減の影響を受けやすく、受注額の減少や価格競争の激化が生じるリスクがあります。これに対し、学会やコンサート、番組制作など広告宣伝費の削減影響を受けにくい分野への展開を進め、リスクの軽減を図っています。

(2) 取引慣行による受注金額の変動


広告宣伝業界の慣行により、受注段階での契約書締結が行われない場合や、仕様変更・追加発注による予算金額の変動が生じることがあります。独自の受注管理システムを用いて迅速に状況を把握するよう努めていますが、確定金額が予定を大きく下回る場合には業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 大型展示会案件等の季節的変動


イベントや展示会における映像の企画制作が主業務であるため、特定の時期に開催される大型案件は一時的な売上拡大に寄与する反面、以後に反動減を生み出す要因となります。安定した経営成績を維持するため、販売促進業務など季節的変動の少ない案件の受注拡大に注力しています。

(4) 最新機材・設備の陳腐化


営業上の競争優位や制作生産性の向上のため、最新鋭の映像演出機材等への継続的な投資が不可欠です。リース期間の短期化などにより早期陳腐化に備えていますが、技術革新が予想以上に進んだ場合、保有設備が陳腐化し、競争力や生産性の低下につながるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。