レイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場企業です。広告ソリューションとテクニカルソリューション(映像機器レンタル・編集)を主軸に事業展開しています。当連結会計年度の業績は、エンタメ関連が好調でしたが大型プロモーション案件の受注不足等が響き、売上高は105億円へ減収、経常利益も減益となりました。


※本記事は、株式会社レイの有価証券報告書(第44期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. レイってどんな会社?


広告・イベント等の企画制作を行う広告ソリューション事業と、映像機器レンタル等の技術提供を行う企業です。

(1) 会社概要


同社は1981年にレーザーディスプレイ事業を目的として設立されました。1991年に商号を現在のレイに変更し、本格的にデジタル映像事業に進出しています。2004年にジャスダック証券取引所へ株式を上場しました。2017年にはテレビ朝日と資本業務提携契約を締結し、2022年の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しています。

同社グループの従業員数は連結403名、単体403名です。主要株主の筆頭は資本業務提携先である放送事業会社のテレビ朝日(持株比率21.34%)です。第2位は有限会社エス・ダブリュ・プロジェクト、第3位は個人株主の分部日出男氏となっています。

氏名 持株比率
テレビ朝日 21.34%
エス・ダブリュ・プロジェクト 15.74%
分部日出男 8.18%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名(社外取締役)の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は分部至郎氏です。取締役5名のうち1名が社外取締役で、社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
分部至郎 代表取締役社長 1981年6月同社設立・取締役。副社長を経て、2009年9月より現職。
天野純 取締役 1985年4月同社入社。イベント事業本部担当などを経て、2023年3月より管理ユニット執行役員。クレイ代表取締役社長も兼務。
磯部陽一 取締役 1987年6月同社入社。コミュニケーションデザイン事業本部本部長などを経て、2023年8月より現職。
紺井隆宏 取締役 1990年4月同社入社。イベント事業本部本部長などを経て、2025年5月よりショーテクニカルユニット執行役員として現職。


社外取締役は、藤本幸子(テレビ朝日取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「広告ソリューション事業」および「テクニカルソリューション事業」を展開しています。

(1) 広告ソリューション事業


企業の販売戦略に対し、キャンペーン、イベント、展示会、テレビコマーシャル等の企画制作を総合的に提供しています。主な顧客はクライアント企業や広告代理店です。技術的な側面からの提案や本番実施日での細心なケアができることを強みとしています。

収益は、主にクライアントや広告代理店から受領する総合企画制作費等です。運営は主にレイおよび子会社のクレイが行っています。SP(セールスプロモーション)・イベント部門では各種イベントや展示施設等の企画制作を、TVCM部門ではテレビコマーシャルやプロモーション映像等の企画制作を担当しています。

(2) テクニカルソリューション事業


広告ソリューション事業が提案する企画制作を実現するためのデジタル映像編集スタジオや、各種催事に使用するデジタル映像機材のレンタル等のインフラを提供する事業です。主に制作会社から受注しており、設備の稼働率が利益面での課題となるビジネスモデルです。

収益は、イベントやコンサート等における映像システム等のレンタル・オペレーション料や、映像編集・CG制作費等です。運営は主にレイが行っています。映像機器レンタル部門とポストプロダクション部門があり、撮影から加工までの一貫した制作基盤を保有しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移です。売上高は100億円台で推移していましたが、当期は前期比で減少しました。利益面では、経常利益率が10%前後を維持しており、当期純利益も安定的に確保しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 70億円 111億円 125億円 112億円 105億円
経常利益 -5億円 10億円 14億円 13億円 11億円
利益率(%) -7.1% 9.3% 11.3% 11.7% 10.0%
当期利益(親会社所有者帰属) -1.0億円 3.4億円 6.9億円 7.0億円 9.5億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較です。売上高の減少に伴い、売上総利益および営業利益が減少しました。売上総利益率はほぼ横ばいですが、販管費の負担割合が相対的に高まったことで営業利益率は低下しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 112億円 105億円
売上総利益 38億円 36億円
売上総利益率(%) 33.8% 34.0%
営業利益 12億円 9.3億円
営業利益率(%) 10.3% 8.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が11億円(構成比42%)、賞与引当金繰入額が1.1億円(同4%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの状況です。テクニカルソリューション事業はエンターテインメント関連の需要を取り込み増収増益となりましたが、広告ソリューション事業は大型案件の受注不足等が響き、大幅な減収減益となりました。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
広告ソリューション事業 54億円 43億円 4.4億円 1.2億円 2.7%
テクニカルソリューション事業 58億円 61億円 14億円 15億円 24.1%
調整額 - - -7.0億円 -6.6億円 -
連結(合計) 112億円 105億円 12億円 9.3億円 8.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

レイ社の当連結会計年度の資金は、前連結会計年度末に比べ増加し、期末にはまとまった額となりました。営業活動による資金は大幅に増加し、これは主に利益の計上や売上債権の減少によるものです。一方、投資活動による資金は、設備投資の支出により減少しました。財務活動による資金も、借入金の返済や自己株式の取得、配当金の支払いなどにより減少しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 10億円 17億円
投資CF -7.0億円 -8.4億円
財務CF -7.0億円 -8.0億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「会社はステージ、社員はアクター、経営者は演出家、そしてお客様と株主の皆様は観客」と捉えています。最先端のステージで全員がプロ意識に徹し、実力を発揮して観客から拍手を得ることを理想とし、会社組織や投資機材の拡充・最先端化と、全社員の絶え間ない質的向上を基本方針としています。

(2) 企業文化


プロ意識に徹し、実力を十分に発揮することを重視する文化があります。日進月歩の新技術から新たな価値を創造する技術力、市場で価値を表現するプロデュース力、新技術や手法を捉える目利きの能力、そして高度な人材育成を必要不可欠な要素として挙げており、これら能力を高める不断の努力を続ける姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2事業4部門に経営資源を集中し、収益の伴う安定的な成長を図ることを目指しています。その指標として「売上高」と「売上高営業利益率」を重視しています。具体的な数値目標は設定していませんが、これらの数値を基に諸施策を実施していく方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


優れたデジタル映像技術をもとに市場機会を発見し、得られたリターンを最新技術へ再投資する「不断のイノベーション」を戦略としています。今後は、需要が増加しているエンターテインメント領域に注力するとともに、AI等の先進デジタル技術を活用し、リアルとデジタルの両面から顧客要望に応えることを目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材確保が成長のボトルネックになる可能性があると認識しており、労働環境の改善、技術教育、積極的な人材雇用を行う方針です。制作部門ではチーム体制での指導・育成を行い、企画営業面では横連携によるノウハウ蓄積を進めています。また、女性社員の採用面接官への登用や多様な働き方への対応など、環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 37.7歳 12.5年 6,295,192円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.2%
男性育児休業取得率 25.0%
男女賃金差異(全労働者) 80.1%
男女賃金差異(正規雇用) 80.1%
男女賃金差異(非正規) 86.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用者に占める女性の割合(37.9%)、男女の平均勤続年数の差異(4年)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 広告宣伝費の支出状況の影響


同社グループの主な営業対象は企業の広告宣伝活動であるため、景気停滞による広告宣伝費削減の影響を受ける可能性があります。特に販売促進や展示会の規模縮小、テレビコマーシャル制作費の削減等が起きると、受注額の減少や価格競争の激化につながるリスクがあります。

(2) 広告宣伝業界の取引慣行の影響


広告宣伝業界では契約書等の取り交わしが受注段階で行われないことが少なくありません。また、制作段階での追加発注や仕様変更により、当初の計画や予算が変動し、納品時まで受注金額が確定しないケースがあります。受注金額が予定を大きく下回って確定した場合、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 大型展示会案件等の影響


広告ソリューション事業ではイベントや展示会の映像企画制作等が主業務であるため、特定の時期に開催される大型展示会等の案件は一時的な売上拡大に寄与する一方、その後の反動減を生む可能性があります。これにより、同社グループの安定した経営成績に影響を与えるリスクがあります。

(4) 保有設備の陳腐化


競争優位性や生産性向上のため最新鋭の映像機材等への投資が不可欠ですが、技術革新が著しく進んだ場合、保有設備が陳腐化し競争力が低下する可能性があります。同社は比較的短いリース期間の設定や稼働状況を考慮した投資決定を行っていますが、技術環境の変化によるリスクが存在します。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。