きょくとう 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

きょくとう 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

きょくとうは東証スタンダード市場に上場し、ホームクリーニング事業を主力とする企業です。福岡県を地盤に西日本・関東エリアで店舗を展開しています。直近の業績は、既存店の回復や新規出店等により売上高が増加し増収となりましたが、減損損失や課徴金の計上により当期純利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社きょくとう の有価証券報告書(第46期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. きょくとうってどんな会社?


きょくとうは、福岡県を拠点に「ペリカンズ」「コインズ」等の屋号でホームクリーニング店舗を展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は1964年、創業者である牧平年廣氏が福岡市で「福岡ベビーランドリー企業組合」を設立し、ホームクリーニングサービスを開始したことに始まります。1980年にグループ統括を目的としてきょくとうを設立しました。2004年にはジャスダック証券取引所に株式を上場を果たしています。その後、M&Aや事業譲受を通じて西日本から関東エリアへ店舗網を拡大し、2022年の市場区分見直しに伴い東証スタンダード市場へ移行しました。

同社は連結子会社を持たない単体企業として運営されており、従業員数は152名です。大株主構成を見ると、筆頭株主は創業者で会長兼社長の牧平年廣氏であり、第2位は従業員持株会、第3位にはメインバンクである地方銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
牧平年廣 30.25%
きょくとう社員持株会 5.10%
西日本シティ銀行 4.75%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役会長兼社長は牧平年廣氏が務めています。社外取締役比率は16.7%です。

氏名 役職 主な経歴
牧平年廣 代表取締役会長兼社長 1964年福岡ベビーランドリー企業組合設立。1980年同社代表取締役社長。2022年9月より現職。
井上和美 取締役副社長 1985年同社入社。業務本部長、常務取締役等を経て2025年3月より現職。
弓削道哉 専務取締役 1994年同社入社。業務本部長、常務取締役、管理本部長等を経て2024年1月より現職。
齊藤博 取締役業務本部長 1984年同社入社。中国地区本部長、執行役員、取締役営業開発部長等を経て2024年3月より現職。
丸林凡和 取締役管理本部長 1980年西日本相互銀行入行。九州カード代表取締役専務、同社常勤監査役等を経て2024年5月より現職。
村上忍 取締役営業開発部長 1980年同社入社。執行役員、取締役業務本部副本部長等を経て2024年3月より現職。
山口強志 取締役経営企画室長 1985年大洋入社。同社代表取締役社長(現任)。2023年6月より同社取締役経営企画室長(現任)。


社外取締役は、重松史郎(司法書士重松事務所代表)、池田早織(德永・松﨑・斉藤法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社は、「ホームクリーニング」事業および「その他」事業を展開しています。

ホームクリーニング事業


一般消費者向けに衣類のクリーニングサービスを提供しています。主なサービスには、背広やセーター等を対象とした「ドライクリーニング」と、ワイシャツ等を対象とした「ランドリー」があります。店舗形態として、会員特典が充実した「ペリカンズ」や、利用しやすい価格帯を設定した「コインズ」、直営店や取次店など複数のチャネルを展開しています。

収益は主に、一般顧客からのクリーニング料金によって構成されています。運営はきょくとうが行っており、福岡県を中心に佐賀、山口、広島、兵庫、大阪、東京など広域にわたり工場と店舗網を構築しています。

商品販売・その他事業


クリーニング取次店や準直営店に対する販促品等の販売や、特別会員からの年会費収入が含まれます。また、コインランドリーの運営などもこの事業に含まれます。

収益は、取次店等への商品販売代金や会員からの年会費等から得ています。運営はきょくとうが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は回復傾向にあり、特に直近の2025年2月期は前期比で増収となりました。経常利益についても、2023年2月期までは損失を計上していましたが、直近2期間は黒字転換し利益を確保しています。当期純利益に関しては、2025年2月期は特別損失の計上などにより前期比で減益となりました。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 49億円 46億円 47億円 49億円 54億円
経常利益 -5.2億円 -3.7億円 -0.9億円 1.6億円 1.8億円
利益率(%) -10.6% -8.1% -2.0% 3.3% 3.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -8.7億円 -7.8億円 -1.7億円 1.2億円 0.8億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。売上高は増加し、それに伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は概ね横ばいから微増で推移しており、一定の収益性を維持しています。営業利益および営業利益率も改善傾向にあります。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 49億円 54億円
売上総利益 35億円 39億円
売上総利益率(%) 70.9% 72.0%
営業利益 0.8億円 1.0億円
営業利益率(%) 1.7% 1.8%


販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が14億円(構成比36%)、給料及び手当が5億円(同13%)、雑給が5億円(同12%)を占めています。売上原価においては、労務費が7億円(構成比46%)、経費が5億円(同31%)を占めており、労働集約的なコスト構造となっています。

(3) セグメント収益


ホームクリーニング事業の単一セグメントであるため、全社的な業績動向と同様です。直近では、春の衣替えシーズンの需要増や事業譲受の効果により売上高が増加しました。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
ホームクリーニング 49億円 54億円
連結(合計) 49億円 54億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

きょくとうの営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度の支出から一転して大幅な収入となりました。これは、固定資産の売却益や、減損損失の計上、未払消費税等の増加などが主な要因です。投資活動では、投資不動産や有形固定資産の取得による支出がありましたが、有形固定資産の売却収入などにより、前事業年度と比較して支出額は減少しました。財務活動では、長期借入金の返済や配当金の支払いなどにより、前事業年度の収入から一転して支出となりました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF -2.9億円 3.9億円
投資CF -4.4億円 -0.9億円
財務CF 6.4億円 -2.5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「融和」「変革」「貢献」を経営理念として掲げています。「融和」はお客様・営業所・社員間の信頼と協調、「変革」は自己変革による組織と業界の変革、「貢献」は知識と技術による社会貢献を意味します。これに基づき、「お客様第一主義」を基本的な経営方針としています。

(2) 企業文化


同社は経営方針を具体化するため、「品質の追求」「サービスの追求」「清潔さの追求」「存在価値の追求」の実践を心がける企業文化を持っています。顧客満足を最優先し、多様性を尊重しながら、全世代の従業員が活躍できる環境づくりにも取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は収益性重視の経営理念に基づき、生産性向上やコスト統制、高付加価値サービスの提供を通じて収益改善に努めています。具体的な数値目標として以下を掲げています。

* 売上高伸長率:5%
* 売上高経常利益率:8%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は持続的な成長に向け、女性活躍の推進、顧客満足の向上、会員数の増大を重要課題としています。特に、アプリ会員向けに店休日や夜間でも利用可能な「24時間受け渡し機(ロボット)」の導入など、利便性を追求した設備投資を進めています。また、SNSを活用したマーケティングや新規入会キャンペーンにより会員基盤の拡大を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は多様性を重視し、女性活躍を重要な経営課題として位置づけています。女性管理職候補者の育成や登用を進め、所得向上と自立を促進することを目指しています。また、仕事と家事の両立支援や、業務スキル向上のための研修充実、IT化による生産性向上を通じた働き方改革を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 48.4歳 14.5年 4,128,947円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 44.4%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


なお、男性育児休業取得率および男女賃金差異については、同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性取締役・執行役員の割合(15.8%)、正社員男女別平均勤続年数(男性 15.0年、女性 13.9年)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 季節変動に伴うリスク


ホームクリーニング業界では、衣替えシーズンのある春(上半期)が最需要期となります。同社の業績も上半期に偏る傾向があり、天候不順等によりこの時期の集客が不調となった場合、通期の業績に大きな影響を与える可能性があります。

(2) クリーニング需要の減少によるリスク


家庭用洗濯機の機能向上やカジュアルウェアの普及、節約志向等により、クリーニング需要は減少傾向にあります。少子高齢化も相まって市場縮小が続く中、同社は品質やサービスの向上により需要を取り込む努力をしていますが、市場環境の変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法的規制等によるリスク


建築基準法の規定により、商業地域や住居地域の一部では引火性石油溶剤の使用が制限されています。同社の工場やプラントにおいて、関係省庁の方針に基づき施設の改善や対応が必要となる場合があり、これに伴う費用負担等が業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。