※本記事は、株式会社アルバイトタイムスの有価証券報告書(第53期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アルバイトタイムスってどんな会社?
採用関連サービスや販促支援を中心に展開し、多様な働き方を提案しています。
■(1) 会社概要
1973年にアルバイトタイムスを設立し、『週刊アルバイトタイムス』を創刊しました。1983年には誌名を現在の『DOMO』に変更し、順調に事業を拡大して2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。直近では2025年にWHOMの株式を取得し、連結子会社化して事業領域を広げています。
従業員数は連結で188名、単体で165名です。筆頭株主は就職支援財団で、第2位は光通信KK投資事業有限責任組合無限責任組合員光通信、第3位は信託業務を行う日本カストディ銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 就職支援財団 | 10.12% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合無限責任組合員光通信 | 8.09% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.38% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は堀田欣弘氏が務めており、社外取締役の割合は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 堀田欣弘 | 代表取締役社長 | 1990年4月同社入社。2000年7月同社東京支社長、2003年3月同社取締役営業本部長などを経て、2020年3月より現職。 |
| 竹内一浩 | 取締役 | 1984年10月同社入社。2007年3月同社営業本部長などを経て、2012年5月より現職。 |
| 金子章裕 | 取締役コーポレート本部長 | 2000年4月同社入社。2012年3月同社管理部部長などを経て、2020年5月より現職。 |
| 石川貴也 | 取締役 | 1997年4月同社入社。2019年3月同社メディアソリューション本部長などを経て、2020年5月より現職。 |
| 大塚真澄 | 取締役若手人材採用支援事業部長 | 2001年3月同社入社。2008年7月同社営業本部首都圏営業部部長などを経て、2020年5月より現職。 |
社外取締役は、和田彰(和田経営人事研究所代表取締役)、青木想(Loveable代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「人材サービス事業」および「販促支援事業」を展開しています。
■人材サービス事業
アルバイトなどの非正社員向け無料求人情報誌『DOMO』の発行や求人サイト『DOMO NET』、正社員採用に特化した『JOB』、採用管理システム『ワガシャ de DOMO』の提供、RPO事業などを展開し、採用課題を持つ企業を支援しています。
求人広告掲載による広告収入や『ワガシャ de DOMO』のサブスクリプション利用料、企業からアウトソーシングされたRPO事業による収入を得ています。事業の運営は主にアルバイトタイムスやWHOMが行っています。
■販促支援事業
スーパーや駅、大学などの集客施設に専用ラックを設置し、フリーペーパーやパンフレットを掲出するなど、主婦や学生にターゲットを絞った広告宣伝や販促支援サービスを提供しています。
媒体発行社や広告主からの依頼に基づく掲出や販促支援の対価として手数料を受け取ります。事業の運営は子会社のリンクが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は概ね40億円台で推移し、直近では順調に拡大しています。利益面では一時的に赤字を計上する期もありましたが、当期は増収増益となり、黒字転換を果たして収益性の改善が進んでいます。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 36億円 | 40億円 | 43億円 | 42億円 | 47億円 |
| 経常利益 | 0.1億円 | 0.7億円 | 0.5億円 | 0.9億円 | 2億円 |
| 利益率(%) | 0.3% | 1.7% | 1.1% | 2.1% | 3.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.4億円 | -0.2億円 | -0.3億円 | -5億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
前期から当期にかけて、売上高の増加に伴い売上総利益と営業利益がいずれも増加しており、本業の稼ぐ力が向上していることが伺えます。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 42億円 | 47億円 |
| 売上総利益 | 29億円 | 32億円 |
| 売上総利益率(%) | 69.7% | 67.0% |
| 営業利益 | 0.7億円 | 2億円 |
| 営業利益率(%) | 1.6% | 3.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が8億円(構成比27%)、広告宣伝費が3億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
人材サービス事業は『ワガシャ de DOMO』などの販売が堅調に推移して大幅な増収増益を牽引しました。一方、販促支援事業は大型週刊誌の休刊などの影響を受けて減収減益となっています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益(2026年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 人材サービス事業 | 36億円 | 43億円 | 8億円 | 9億円 | 21.6% |
| 販促支援事業 | 5億円 | 4億円 | 0.5億円 | 0.1億円 | 2.9% |
| 調整額 | -億円 | -億円 | -7億円 | -8億円 | -% |
| 連結(合計) | 42億円 | 47億円 | 0.7億円 | 2億円 | 3.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスとなっており、本業の営業利益で借入返済を行いながら、投資も手元資金で賄っている健全型です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.0億円 | 4億円 |
| 投資CF | -1億円 | -6億円 |
| 財務CF | -1.0億円 | -1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は79.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「対話」と「奉仕」を経営理念に掲げています。株主などのステークホルダーとの対話に基づく相互理解の推進と、自らの事業活動を通じた地域社会への奉仕により、社会にとってより有益な情報関連事業を展開して企業価値の最大化を目指しています。
■(2) 企業文化
企業市民としての責任を果たすべく、ステークホルダーとの対話により信頼関係を構築し、働き方やライフスタイルをより豊かにする提案を行う文化があります。個の尊重や多様な働き方の提案を通じて持続可能な社会への貢献に努めています。
■(3) 経営計画・目標
中長期的な経営戦略として、市場成長性と収益性の高い分野に集中投資を行い、ビジネスモデルを変革することを目標としています。あわせて、持続的な成長と収益機会の拡大を支える経営基盤の再構築を図っています。
■(4) 成長戦略と重点施策
採用管理システム『ワガシャ de DOMO』などのHRテック領域への事業集中や、RPO事業の首都圏以外への地域展開、データ分析などの付加価値向上を進めます。また、外部資源を活用したM&Aや業務提携により事業展開スピードを高める方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人的資本の充実を重要課題とし、人権や多様性の尊重による公正な職場環境の整備を進めています。時間外労働の削減など健康経営の推進、テレワークをはじめとした多様な働き方の提供、プロフェッショナル人材の積極活用にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 40.8歳 | 11.5年 | 5,445,790円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 25.0% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 47.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 79.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 79.8% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) システムの誤作動・機能停止に関するリスク
インターネット媒体を活用しているため、自然災害やコンピューターウイルス、操作ミスなどによりシステム障害が発生した場合、サーバーの作動不能により業務が部分的に停止し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 求人情報媒体事業への依存度の高さ
当面は求人情報媒体事業への収益依存度が高く、景気動向による広告収入の増減に影響を受けやすくなっています。減少局面では固定費負担を吸収しきれないリスクがあり、新規事業の開発による収益基盤の拡充を目指しています。
■(3) 情報セキュリティに関するリスク
求人サイトの登録ユーザーや広告主などの個人情報を保有しています。プライバシーポリシーの策定や従業員教育などでセキュリティ強化に努めていますが、情報漏洩事故が発生した場合、社会的信用の失墜により業績に影響を及ぼす可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。