アルバイトタイムス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アルバイトタイムス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。情報提供事業として無料求人情報誌『DOMO』や求人サイト、採用管理システムの運営を行うほか、販促支援事業も展開。直近決算は、情報提供事業の減収等により売上高は減少したものの、経常利益は増益。一方、システム開発に係る減損損失の計上で最終赤字が拡大しています。


※本記事は、株式会社アルバイトタイムス の有価証券報告書(第52期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アルバイトタイムスってどんな会社?


静岡県を地盤に求人情報誌『DOMO』や求人サイトを運営する企業です。採用管理システム『ワガシャ de DOMO』等のHRテック事業も展開しています。

(1) 会社概要


1973年10月に設立され、『週刊アルバイトタイムス』を創刊しました。1983年に誌名を現在の『DOMO』に変更し、2004年12月にジャスダック証券取引所へ上場を果たしました。その後、2012年には正社員向け転職サイト『JOB』を開設するなど事業を拡大し、直近では2024年8月に連結子会社のフリーシェアードジャパンを吸収合併しています。

連結従業員数は187名、単体では169名です。筆頭株主は公益財団法人就職支援財団で、第2位は通信サービスやOA機器販売等を行う事業会社、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
公益財団法人就職支援財団 10.12%
光通信 9.58%
日本カストディ銀行(信託口) 7.38%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名(青木想氏、大塚真澄氏)の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は堀田欣弘氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
堀田欣弘 代表取締役社長 1990年4月同社入社。取締役東京本部長、リンク代表取締役社長、同社管理本部管掌などを歴任し、2020年3月より現職。
竹内一浩 取締役 1984年10月同社入社。営業本部長、DOMO事業本部長、事業統括本部長などを経て、2012年5月より現職。Mirac Company Limited代表取締役を兼務。
金子章裕 取締役 2000年4月同社入社。内部監査部部長、管理部部長、コーポレート本部長などを経て、2020年5月より現職。
石川貴也 取締役 1997年4月同社入社。事業統括本部東海エリア事業部部長、メディアソリューション本部長などを経て、2020年5月より現職。
大塚真澄 取締役 2001年3月同社入社。浜松支社長、営業本部代理店営業部部長、首都圏営業部部長などを経て、2020年5月より現職。


社外取締役は、和田彰(和田経営人事研究所代表取締役)、青木想(Loveable代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「情報提供事業」および「販促支援事業」を展開しています。

(1) 情報提供事業


求人情報誌『DOMO』(静岡県内)、求人情報サイト『DOMO NET』『JOB』『TSUNORU』、採用管理システム『ワガシャ de DOMO』の運営・販売を行っています。主な顧客は採用活動を行う企業や店舗です。

広告主からの広告掲載料、および採用管理システムのサブスクリプション型利用料収入を得ています。運営は主にアルバイトタイムスが行っています。

(2) 販促支援事業


フリーペーパーの取次業務や、主婦・学生にターゲットを絞った各種広告宣伝・販促支援活動を提供するターゲットメディア事業を展開しています。スーパーや駅などに設置したラックへの掲出サービスを提供しています。

顧客からの取次手数料や広告宣伝・販促支援の対価を得ています。運営はリンクが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は回復基調にありましたが当期は減収となりました。経常損益は黒字を維持していますが、利益率は低水準で推移しています。当期純損益は特別損失の影響等により大幅な赤字となっています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 31.0億円 36.2億円 40.4億円 43.2億円 41.6億円
経常利益 -5.2億円 0.1億円 0.7億円 0.5億円 0.9億円
利益率(%) -16.7% 0.3% 1.7% 1.1% 2.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -4.3億円 0.4億円 -0.2億円 -0.3億円 -5.0億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益および営業利益も減少しました。売上総利益率は高い水準を維持していますが、販管費の負担により営業利益率は低下しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 43.2億円 41.6億円
売上総利益 30.1億円 29.0億円
売上総利益率(%) 69.8% 69.7%
営業利益 1.1億円 0.7億円
営業利益率(%) 2.5% 1.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7.7億円(構成比27%)、広告宣伝費が3.5億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


情報提供事業は主力地域での雇用情勢の影響等により減収減益となりました。販促支援事業はフリーペーパー取次量が減少傾向にあるものの、減収ながらも増益を確保しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
情報提供 37.5億円 36.3億円 8.0億円 7.6億円 21.1%
販促支援 5.7億円 5.3億円 0.5億円 0.5億円 9.5%
その他 12.1億円 13.1億円 - - -
調整額 -0.1億円 -0.1億円 -7.4億円 -7.5億円 -
連結(合計) 43.2億円 41.6億円 1.1億円 0.7億円 1.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループの事業活動に必要な資金は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金を活用しております。

営業活動によるキャッシュ・フローは、減損損失が発生したものの、投資有価証券売却益や売上債権等の減少によりプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出が主な要因です。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが主な要因となりました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 1.7億円 1.0億円
投資CF -1.6億円 -1.5億円
財務CF -9.2億円 -1.0億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「対話」と「奉仕」を経営理念に掲げています。同社グループの資産の活用を前提とし、社会にとってより有益な情報関連事業を展開していくことで、社会への貢献を目指しています。

(2) 企業文化


「対話」と「奉仕」を重視し、ステークホルダーとの対話を通じて信頼関係を構築することを大切にしています。事業活動を通じて働き方やライフスタイルをより豊かにする提案を行うことで、地域社会の発展に貢献することを目指しています。

(3) 経営計画・目標


有報内に具体的な数値目標の記載はありませんでしたが、中長期的には、市場成長性と収益性の高い分野への集中投資、ビジネスモデル変革、経営基盤の再構築を行うことで、持続的な成長とともに収益機会の拡大を図る方針を掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長戦略として、市場成長性と収益性の高い分野(HRテックやアグリゲーションメディア等)への集中投資を行い、採用だけでなく人材の定着・育成に寄与する事業の提供を目指しています。

* 業務自動化・効率化による高付加価値分野へのリソース再配分
* 経営基盤の再構築に向けた投資の継続
* 人材ビジネス以外の事業創造への挑戦

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人的資本の充実」を重要課題の一つと位置付けています。人権尊重、健康経営推進、多様性と価値観の尊重、働き方改革・ワークライフバランス・女性活躍推進、自律人材・プロフェッショナル人材の積極活用に取り組むことで、サステナビリティに関する考え方の実現を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 40.0歳 11.1年 5,179,077円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 23.1%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 44.7%
男女賃金差異(正規) 75.6%
男女賃金差異(非正規) 93.5%


※男性育児休業取得率の対象者はいませんでした。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率目標(25.0%)、男女間の賃金格差(正規雇用労働者)目標(80.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 求人情報媒体事業への依存


求人情報媒体事業は売上総利益率が高い一方、固定費負担が重く、広告収入の減少局面では利益が大きく減少する特性があります。収益の依存度が高いため、同事業の業績次第で同社グループの経営成績または財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合企業との競争激化


人材ビジネス市場の変化に伴い、HRテックやアグリゲーションメディア等の新しいモデルが台頭しています。競合他社との企業体力差があり、競合戦略への対応の成否が同社グループの経営成績または財政状態に影響を与える可能性があります。

(3) システム障害と情報セキュリティ


インターネット媒体を活用した事業展開において、予測不可能な災害やサイバー攻撃等によるシステム障害が発生した場合、業務停止のリスクがあります。また、求職者や顧客等の個人情報を多数保有しており、情報漏洩等が発生した場合には信用低下や損害賠償等により経営に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。