※本記事は、株式会社YE DIGITAL の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月21日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
YE DIGITALは、情報システムの構築・運営、情報処理ソフトウェアの開発・販売といった情報処理サービスを提供しています。同社グループは、ビジネスシステムの構築やサービスを主体としたビジネスソリューション事業と、IoT、AI・ビッグデータ分析技術を活用したIoTソリューション事業の2つの事業を展開しています。
単体従業員数は528名、連結従業員数は690名です。同社グループは情報サービス事業の単一セグメントで事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
YE DIGITALは、ITを活用したソリューションを提供し、デジタル社会をリードする事業を展開しています。従業員の定着を促し、働きがいを重視する環境づくりに力を入れていることがうかがえます。
社員一人ひとりの成長と幸福を追求する姿勢が、同社グループの働き方の特徴と言えるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い傾向にあります。これは、長期的なキャリア形成を支援し、安定して働き続けられる環境が整っていることを示唆しています。
経験豊富な人材が多数在籍し、組織全体の安定に貢献していると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,980,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.1年 |
| 平均年齢 | 42.5歳 |
| 単体従業員数 | 528人 |
| 連結従業員数 | 690人 |
| 単体のグループ内比率 | 76.5% |
同社及び連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、給付額が確定している確定給付型制度と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型制度を採用しています。これらの制度は国内グループ会社に適用されています。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は29.5億円、年金資産は19.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、IT企業として、将来のニーズに応えられる人材と能力を確保し、社員全員が働きがいを持って仕事と役割を遂行できる会社経営を目指しています。人材育成方針として、イノベーションをリード・実装できる自主的・自律的でビジネスレジリエンスが高い戦略的人材の育成に取り組んでいます。
具体的には、人材ポートフォリオマネジメントの強化を通じて、人材制度改革や人材資本活性化、エンゲージメント向上を図り、人材価値の最大限の発揮、会社や仕事を通じた自己実現、従業員及びその家族のウェルビーイングの実現に取り組んでいます。社内環境整備方針では、従業員が働きがいのある社内環境を整備し、「社員が幸福な会社」を実現することを掲げています。
オフィス環境・ツールの整備、エンゲージメントサーベイによる社員の意見反映、メンタルコーチ常駐によるメンタルサポートなど、具体的な施策を通じて社員の挑戦と成長を応援しています。賃金制度・体系において性別による差異はなく、男女の賃金の差異は主に男女間の管理職比率の差異によるものと説明されています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。当社のパート・有期労働者の区分には男性の労働者はおりません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 8.8% |
| 男性労働者の育児休業等取得率 | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 72.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 71.0% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ (株)YE DIGITAL Kyushu
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 17.9% |
| 男性労働者の育児休業等取得率 | 33.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 84.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 82.2% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| エンゲージメントサーベイスコア | 68点 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
YE DIGITALは、情報システムの構築・運営、情報処理ソフトウエアの開発・販売といった情報処理サービスを総合的に提供している会社です。ビジネスソリューション事業とIoTソリューション事業の二つの柱で事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、YE DIGITAL、連結子会社のYE DIGITAL Kyushu、関連会社のアイキューブデジタルの計3社で構成されています。情報サービス事業の単一セグメントとして、顧客のビジネス課題解決やDX推進を支援しています。
ビジネスソリューション事業では、企業向けの基幹システム構築(販売管理、生産管理、購買管理、計数管理など)や移動体通信事業者向けシステムの開発、ネットワーク・システム基盤の設計・開発、アウトソーシングサービスなどを提供しています。一方、IoTソリューション事業では、物流DXソリューション、畜産DXやスマートシティ向けのIoTソリューション、AI・ビッグデータ分析、セキュリティ関連製品、製品組込ソフトの開発、産業用・公共用の制御系アプリケーションシステム構築、自治体向け情報通信基盤の構築・運営などを手掛けています。
収益は、一時点で移転される財またはサービスと、一定期間にわたり移転される財またはサービスの両方から得ています。同社グループの売上高は国内の外部顧客へのものが90%を超えており、国内市場が中心となっています。主要な顧客としては、株式会社安川電機や富士通株式会社への売上高が一定の割合を占める傾向にあります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期にわたり売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに概ね増加傾向を示しています。特に当連結会計年度においては、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期から増加となりました。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 137億円 | 162億円 | 195億円 | 199億円 | 203億円 |
| 経常利益 | 7.2億円 | 8.4億円 | 15.6億円 | 15.3億円 | 18.1億円 |
| 経常利益率 | 5.3% | 5.2% | 8.0% | 7.7% | 8.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 4.0億円 | 7.8億円 | 10.9億円 | 10.4億円 | 12.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 22.28 | 43.19 | 60.22 | 56.84 | 71.41 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しています。これらの数値は、同社グループの生産性が向上している傾向にあることを示しています。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 28.7百万円 | 29.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.0百万円 | 2.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社YE DIGITALの経営の安定性を評価する上で、財務基盤とキャッシュフローの状況は重要な指標となります。ここでは、同社グループの財務状況と資金の流れから、事業の健全性と将来に向けた投資の方向性を見ていきます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
株式会社YE DIGITALの財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)からその健全性を確認できます。自己資本比率はプライム市場の製造業平均を上回る水準で推移しており、強固な財務体質を示しています。ROEもプライム市場平均を大きく上回る水準であり、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金も十分に確保されており、事業運営の安定性が高い状態です。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 72.5億円 | 81.3億円 |
| 自己資本比率 | 51.3% | 52.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 16.5% | 17.9% |
| 現金及び預金 | 32.0億円 | 34.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
株式会社YE DIGITALのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは増加しており、14.2億円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の増加や未払費用の増加、減価償却費などによるものです。投資活動によるキャッシュフローは、無形固定資産の取得による支出が増加したため、5.2億円の支出となっています。
財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払額や自己株式の取得による支出が増加し、6.9億円の支出となりました。結果として、フリーキャッシュフローはプラスを維持しており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を継続しつつ、将来に向けた投資も行っていることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる健全な財務状況にあると言えます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 12.9億円 | 14.2億円 |
| 投資CF | △2.4億円 | △5.2億円 |
| 財務CF | △3.2億円 | △6.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 10.5億円 | 9.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、株式会社安川電機およびそのグループ会社への販売が売上高の50.5%を占めており、特定の販売先への依存度が高い状態です。また、富士通株式会社およびそのグループ会社への販売も10.9%を占めています。これらの主要取引先の経営方針や受注動向の変化は、同社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新製品・新サービスの開発力もリスクとして挙げられています。市場の技術進歩や需要の変化を予測できず、魅力ある新製品・新サービスを開発できない場合、将来の成長と収益性が低下する可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
情報サービス業界では人材の流動化が進んでおり、優秀な人材の確保と育成が経営基盤維持・拡大に不可欠であると認識されています。計画通りに人材を確保できない場合、同社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
YE DIGITALは、デジタル社会の進化を捉え、顧客のDX推進を伴走型で支援するデジタル・サービス企業を目指しています。高い技術力と顧客本位の姿勢を大切にし、社員の幸福と社会貢献を追求する企業文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「高い技術力とお客様本位の姿勢によって、ITを活用したソリューションを提供し、豊かな社会づくりに貢献するとともに、社員の幸福と永続的な企業の繁栄をめざす」ことを経営理念に掲げています。
デジタル社会の拡大と進化に対応し、これまでのシステム導入やデジタルデータ基盤構築から、デジタルとデータを活用した伴走型DX推進支援のビジネスモデルへのシフトを進めています。
中期経営計画(2025-2027)では、「最高のエクスペリエンスを支援するデジタル・サービス企業」を目指すことをビジョンとしています。
創業以来培ってきた製造業の「ものづくり」のエンジニアリング技術をIoTソリューション事業に応用し、物流や畜産、スマートシティなどの分野でDXソリューションを展開しています。顧客の期待を超える体験や価値を追求し、カスタマーサクセスに導くプロダクト・サービスの提供を通じて、豊かな社会づくりに貢献することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、サステナビリティ経営の推進を最重点課題の一つと認識し、持続可能な社会への貢献と社会と共に成長を続けることを目指しています。ソリューションを通じたサステナブルな社会の実現や、安心・安全なデジタル社会の構築・発展への貢献を方針としています。
また、お客様やその先の人々の感動と幸せの追求、事業の源泉である社員の働きがいと成長の応援も重要な価値観としています。
人的資本への取り組みでは、イノベーションをリード・実装できる自主的・自律的な戦略的人材の育成に注力し、社員の挑戦と成長を応援する方針です。人材ポートフォリオマネジメントの強化により、人材価値の最大限の発揮や会社を通じた自己実現、従業員とその家族のウェルビーイングの実現に取り組んでいます。
従業員が働きがいのある社内環境を整備し、「社員が幸福な会社」を実現するため、オフィス環境・ツールの整備、エンゲージメントサーベイによる社員の意見反映、メンタルコーチ常駐によるメンタルサポートも行っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中期経営計画(2025-2027)の2年目として、顧客価値の最大化を追求しています。
新規獲得した重点顧客とのチャネルを最大限活用し、クロスファンクショナルな顧客価値提案による受注拡大を目指しています。
新サービス「AQUA DataFusion」や「COREVIO」の立ち上げを加速し、早期事業化・収益化につなげることを重点テーマとしています。
生成AIの全社展開とさらなる加速により、生産性と収益性の最大化を目指す方針です。人的資本経営の推進を通じて、人材価値の最大化を図り、組織力の強化に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
YE DIGITALは、取締役会の監督機能強化のため、監査等委員会設置会社へ移行しています。取締役会は、経営に関する重要事項の決定と監督を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
YE DIGITALの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社である安川電機です。また、従業員持株会も上位株主として名を連ねています。これにより、安定した事業基盤を持つ企業からの支援と、従業員による自社への投資という特徴的な資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 安川電機 | 38.93% |
| YE DIGITAL従業員持株会 | 5.19% |
| MSIP CLIENT SECURITIES | 4.09% |
| BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG(FE-AC) | 1.56% |
| 福岡銀行 | 1.46% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は玉井裕治氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 玉井 裕治 | 代表取締役社長 | 1986年3月同社入社、執行役員、常務執行役員、専務執行役員IoT事業統括などを経て、2022年5月より現職。 |
| 本松 隆之 | 取締役執行役員管理本部長 | 1989年3月安川電機製作所入社、安川電機システムエンジニアリング事業部事業計画部長などを経て、2023年3月より現職。 |
社外取締役は、下池正一郎氏(安川電機執行役員ICT本部長・監査等委員)、三浦正道氏(三浦・奥田・杉原法律事務所パートナー・監査等委員)、金澤美冬氏(プロティアン代表取締役社長・監査等委員)、相良陽一氏(安川電機監査部長・監査等委員)、野毛由文氏(ものづくりデザインラボ代表・監査等委員)です。
同社は2025年5月23日より監査等委員会設置会社へ移行しています。これにより、監査等委員である取締役が取締役会の構成員となり、取締役会の監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
YE DIGITALの役員報酬は、固定報酬である基本報酬と、中長期的な企業価値向上を目的とした株式報酬型ストック・オプションで構成されています。基本報酬は役位や職責、業績などを総合的に考慮して決定され、株主利益と連動したインセンティブ設計が特徴です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 1.7億円 | 56.9百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 14百万円 | 14.1百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 5百万円 | 4.6百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 28百万円 | 5.7百万円 |
なお、報酬は監査等委員会設置会社への移行前後の期間で区分されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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