インターライフホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

インターライフホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

インターライフホールディングスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、主に内装工事事業と音響・照明設備事業を展開しています。業績トレンドとして、事業再編の影響などにより当期売上高は163億円で減収となったものの、高採算案件の完工により営業利益は11.7億円と過去最高益となる増益を達成しました。


※本記事は、インターライフホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第16期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. インターライフホールディングスってどんな会社?


内装工事事業および音響・照明設備事業を展開し、快適空間をプロデュースする企業です。

(1) 会社概要


1975年にディスプレイ業界向け床材工事を主要事業として日商を設立しました。2004年にジャスダックに上場し、2010年には単独株式移転によりインターライフホールディングスを設立しました。2022年に東証スタンダード市場へ移行し、2025年にファシリティーマネジメントを日商インターライフに吸収合併しています。

現在の従業員数は連結238名、単体15名です。筆頭株主は創業者の庄司正英氏の資産管理会社である辰巳で、第2位は信託業務を行う日本カストディ銀行です。

氏名 持株比率
辰巳 31.28%
日本カストディ銀行 信託E口 3.92%
インターライフホールディングス取引先持株会 2.89%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役会長CEOは庄司正英氏、代表取締役社長は貴田晃司氏です。社外取締役比率は30.0%です。

氏名 役職 主な経歴
庄司正英 取締役会長CEO(代表取締役) 1975年三和銀行入行。1978年辰巳入社。1984年ピーアークホールディングス代表取締役社長。2020年同社代表取締役社長。2023年より現職。
貴田晃司 取締役社長(代表取締役) 1977年富士銀行入行。2007年イー・アクセス執行役員。2020年同社入社副社長執行役員。2023年代表取締役社長。2024年サンケンシステム代表取締役会長に就任し現職。
香川正司 専務取締役 1983年住友銀行入行。2014年同社出向。2015年同社専務取締役。2022年日商インターライフ取締役会長等を経て2023年より現職。
大畑正明 専務取締役 1985年富士銀行入行。2013年ピーアークホールディングス取締役。2018年同社専務取締役。2023年より現職。
加藤雅也 常務取締役 1987年辰巳商事入社。2006年ピーアークホールディングス執行役員。2017年同社常務執行役員社長室長。2020年より現職。
大前哲也 取締役 1978年乃村工藝社入社。2017年同社入社執行役員営業部部長、日商インターライフ取締役。2020年より現職。
松沢照和 取締役(常勤監査等委員) 1989年辰巳商事入社。2006年ピーアーク千葉代表取締役社長。2019年同社取締役(監査等委員)。2021年日商インターライフ監査役等に就任し現職。


社外取締役は、落合健介(元UFJ銀行)、那須健二(元富士銀行)、田子みどり(元コスモピア代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「内装工事事業」「音響・照明設備事業」および「設備・メンテナンス事業」を展開しています。

内装工事事業


店舗やオフィスなどの内装工事、アミューズメント施設などのデザイン設計から、建物内外の清掃請負・管理・修繕まで幅広いサービスを提供しています。都市部の再開発に関連する案件を中心に、ホテルの建築やイベント展示会などの企画から施工管理に至るまで一貫した空間プロデュースを手掛けています。

顧客からの請負工事や施工管理代金が主な収益源です。大型案件の受注により効率的に利益を確保するモデルを構築しています。事業の運営は、設備・メンテナンス事業のファシリティーマネジメントを吸収合併した日商インターライフが行っています。

音響・照明設備事業


施設内の音響映像システムや演出照明、吊物機構などの企画・設計から施工、メンテナンスまでを提供しています。また、ホテルなどの宿泊施設向けにVOD(ビデオ・オン・デマンド)システムの導入とシステム構築販売から保守管理までの一貫支援サービスを展開しています。

各種設備のシステム構築販売や工事請負代金、導入後の保守管理・メンテナンス料が主な収益源です。運営はシステムエンジニアリングとサンケンシステムが行っており、両社のシナジー効果を追求して事業規模の拡大と高収益化を図っています。

設備・メンテナンス事業


空調・電気・給排水・衛生設備などの施工、修理および設備機器販売などのサービスを提供していました。

設備機器の販売代金やメンテナンス料が主な収益源でした。しかし、事業ポートフォリオの再編に伴い、玉紘工業の全株式を売却し、ファシリティーマネジメントを内装工事事業の日商インターライフに吸収合併したため、現在は事実上内装工事事業に統合されています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期を見ると、売上高は堅調な設備投資需要などを背景に拡大傾向にあります。当期は事業再編の影響などにより若干の減収となりましたが、高採算の大型案件の獲得などが寄与し、利益面では経常利益および当期利益ともに過去最高を更新するなど収益力の向上が進んでいます。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 118億円 115億円 126億円 169億円 163億円
経常利益 0.5億円 1.8億円 2.5億円 8.8億円 11.6億円
利益率(%) 0.4% 1.5% 1.9% 5.2% 7.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.8億円 3.1億円 3.2億円 2.0億円 3.9億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比でわずかに減少したものの、売上原価の低減により売上総利益は増加しています。また、販売費及び一般管理費を前年水準に抑制した結果、営業利益は拡大し、営業利益率も7.1%へ改善するなど、高収益体質への転換が顕著に表れています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 169億円 163億円
売上総利益 34億円 36.4億円
売上総利益率(%) 20.0% 22.3%
営業利益 8.8億円 11.7億円
営業利益率(%) 5.2% 7.1%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が8.9億円(構成比36.0%)、役員報酬が3.3億円(同13.4%)を占めています。

(3) セグメント収益


内装工事事業は事業再編などの影響で減収となったものの、利益率の改善や業務効率化により増益となりました。音響・照明設備事業は大型案件や新規受注の増加が寄与し、増収増益を達成しています。設備・メンテナンス事業は再編により規模を縮小しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
内装工事事業 106億円 100.5億円 5.6億円 6.5億円 6.5%
音響・照明設備事業 58億円 63億円 4.9億円 6.8億円 10.9%
設備・メンテナンス事業 5.7億円 0.2億円 -0.4億円 -0.1億円 -58.6%
連結(合計) 169億円 163億円 8.8億円 11.7億円 7.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


健全型
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 4.8億円 22.3億円
投資CF -1.5億円 -1.1億円
財務CF -2.0億円 -10.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.6%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は50.4%です。いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「私たちは、あらゆる人々に感動と喜び溢れる快適空間を提供し、社会に貢献いたします」を経営理念として掲げています。また、「快適空間をプロデュースする最強のプロ集団によるオンリーワングループ企業となる」をビジョンに定め、事業活動を通じて社会的な役割を果たし、持続可能な成長と社会への貢献を目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、全従業員が経営理念を深く理解し、自己の担当業務に全力を尽くすことを重視しています。従業員一人ひとりの創造性とチャレンジ精神、そして限りない可能性を最大限に発揮できる企業文化を育むことを行動の指針としており、グループ行動規範やCSR憲章の遵守を通じた公正かつ健全な事業運営を推進しています。

(3) 経営計画・目標


同社は「NEXT STAGE 2030」というスローガンを掲げ、2031年2月期を最終年度とする長期的な数値目標を設定して持続的な成長を推進しています。

・売上高:250億円
・営業利益:20億円
・営業利益率:8.0%以上
・自己資本利益率(ROE):18.0%以上
・株価純資産倍率(PBR):2.0倍以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「新たな成長基盤の構築」「更なる収益力の向上」「ESG経営の推進」を重点施策に位置付けています。特許取得商材などの新商材開発やM&Aを通じた成長領域の拡大、高採算案件の獲得や生成AIの積極活用による生産性向上を図り、利益水準の継続的な引き上げと資本コストを意識した経営を実践しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、多様な視点を持つ人材が必要不可欠であると考え、女性管理職の登用や中途・外国籍人材の採用を積極的に進めています。また、社員が成長を実感できる働きやすい環境を整備するため、テレワーク等の各種規程の見直しやエンゲージメントサーベイによるフィードバックの実施を通じ、人材の採用・育成・定着を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 48.5歳 6.4年 6,915,607円


※平均年間給与は賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.8%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 35.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 71.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 41.1%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントサーベイスコア(74.2%)、有休休暇取得率(65.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 売上高への影響と外部環境の変化


同社グループは国内の工事会社としての売上比率が極めて高く、景気後退に伴う設備投資の減少や地政学的な要因による原材料費の高騰が事業成績に影響を与える可能性があります。新たな受注機会の減少は経営成績に直結するリスクとなります。

(2) 法的規制等の遵守


建設業法や建築基準法、個人情報保護法など多岐にわたる法的規制を受けており、これらを遵守できなかった場合に営業停止等の処分を受け、業績や社会的信用に影響が及ぶリスクがあります。

(3) 施工物件の品質・安全性及び事故


施工した物件における重大な瑕疵や、作業中の労働災害事故が発生した場合、損害賠償負担や信用の低下を招き、経営成績に直接的な影響を与える可能性があります。品質と安全性の確保は事業運営における重要課題です。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。