インターライフホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

インターライフホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の持株会社。商業施設や公共施設の設計施工を行う内装工事事業を中核に、音響・照明設備、メンテナンス事業を展開しています。直近の業績は、大型案件の完工やM&A効果により、売上高169億円(前期比34.2%増)、経常利益8.8億円(同256.0%増)と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社インターライフホールディングス の有価証券報告書(第15期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. インターライフホールディングスってどんな会社?


商業施設やホテルの内装工事、音響・照明設備の施工などを手掛ける企業グループです。快適空間の創造を掲げ、設計から施工、メンテナンスまでを一貫して提供しています。

(1) 会社概要


1975年にディスプレイ業界向け床材工事を行う株式会社日商として設立されました。1990年に株式を店頭登録し、2010年に単独株式移転により持株会社であるインターライフホールディングスを設立しました。2022年に東証スタンダード市場へ移行。2023年には株式会社サンケンシステムを子会社化し、音響・照明設備事業を強化しています。

2025年2月28日時点で、連結従業員数は255名、単体従業員数は14名です。筆頭株主は会長の資産管理会社である株式会社辰巳で42.76%を保有しています。第2位は信託銀行、第3位は業務提携先でもある大手ディスプレイ企業の株式会社乃村工藝社が名を連ねています。

氏名 持株比率
辰巳 42.76%
日本カストディ銀行 信託E口 4.74%
乃村工藝社 2.73%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役会長CEOは庄司正英氏、社外取締役比率は30.0%です。

氏名 役職 主な経歴
庄司 正 英 取締役会長CEO(代表取締役) 三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行後、ピーアークホールディングス社長・会長などを歴任。2020年より同社代表取締役社長、2023年4月より現職。
貴 田 晃 司 取締役社長(代表取締役) 富士銀行(現みずほ銀行)出身。ソフトバンク等の執行役員を経て、2020年に同社副社長として入社。2023年4月より現職。
香 川 正 司 専務取締役 住友銀行(現三井住友銀行)出身。2015年に同社入社。アドバンテージ社長等を経て、2023年5月より情報システム部長を兼務し現職。
大 畑 正 明 専務取締役 富士銀行(現みずほ銀行)出身。ピーアークホールディングス常務取締役等を経て、2023年5月より経理部長を兼務し現職。
加 藤 雅 也 常務取締役 辰巳商事(現ピーアークホールディングス)出身。2017年に同社入社。2020年5月より経営企画部長を兼務し現職。
大 前 哲 也 取締役 乃村工藝社出身。同社支店長やグループ会社社長等を歴任。2017年に同社入社し、営業部部長を経て2020年3月より現職。
松 沢 照 和 取締役(常勤監査等委員) 辰巳商事(現ピーアークホールディングス)出身。内部監査室長等を経て、2019年に同社入社。同年5月より現職。


社外取締役は、落合健介(元東洋プロパティ常務)、那須健二(元東京建物不動産販売取締役)、田子みどり(コスモピア社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「内装工事事業」「音響・照明設備事業」「設備・メンテナンス事業」の3つの報告セグメントで事業を展開しています。

(1) 内装工事事業


商業施設(飲食店・物販店)、ホテル、ブライダル施設、オフィス、展示会などの企画・デザイン・設計・制作・施工管理を行っています。顧客は店舗を出店する事業者やデベロッパー、学校法人などが中心です。

収益は、顧客から請け負う工事代金や設計・デザイン料から得ています。運営は主に連結子会社の株式会社日商インターライフが行っています。専業工事部門と商環境工事部門で構成され、大型案件の受注も手掛けています。

(2) 音響・照明設備事業


ホールや劇場などの施設における音響映像、演出照明、吊物機構などの各種設備の企画・設計・施工・メンテナンスを行っています。また、AVC(オーディオ・ビジュアル&コントロール)機器のシステム構築販売も手掛けています。

収益は、顧客への設備機器の販売やシステム施工、メンテナンス業務に対する対価から得ています。運営は、株式会社システムエンジニアリングおよび株式会社サンケンシステムが行っています。

(3) 設備・メンテナンス事業


建物内外の清掃請負・管理、修繕、空調設備機器のメンテナンス、施設の企画デザイン・施工を行っています。オフィスビルや商業施設のオーナー、管理会社などが主な顧客です。

収益は、顧客との契約に基づく清掃・管理料やメンテナンス料、設備工事代金から得ています。運営は、ファシリティーマネジメント株式会社および玉紘工業株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年2月期から2025年2月期までの推移を見ると、売上高は一時減少したものの、直近では大きく回復し成長傾向にあります。特に2025年2月期はM&Aや大型案件の寄与により売上が急伸しました。利益面でも、利益率が徐々に改善しており、2025年2月期には大幅な増益を達成しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 148億円 118億円 115億円 126億円 169億円
経常利益 3億円 0.5億円 2億円 2億円 9億円
利益率(%) 1.9% 0.4% 1.5% 1.9% 5.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 4億円 3億円 3億円 2億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は約20%の水準で安定しており、売上規模の拡大がそのまま利益増につながっています。営業利益率も改善しており、収益性が高まっていることがわかります。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 126億円 169億円
売上総利益 25億円 34億円
売上総利益率(%) 19.9% 20.0%
営業利益 3億円 9億円
営業利益率(%) 2.1% 5.2%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が8.4億円(構成比34%)、役員報酬が3.7億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収を達成しています。特に内装工事事業は大阪・関西万博関連工事などの大型案件が寄与し、大幅な増収となりました。音響・照明設備事業もM&A効果により拡大しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
内装工事事業 63億円 97億円
音響・照明設備事業 45億円 58億円
設備・メンテナンス事業 12億円 14億円
人材サービス・教育等 7億円 -
報告セグメント計等 126億円 169億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動で得た資金で借入金の返済を進めつつ、投資も行っている**健全型**のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF -6億円 5億円
投資CF -0.6億円 -2億円
財務CF 3億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「私たちは、あらゆる人々に感動と喜び溢れる快適空間を提供し、社会に貢献いたします」を経営理念として掲げています。また、「快適空間をプロデュースする最強のプロ集団によるオンリーワングループ企業となる」をビジョンに定め、その実現を目指しています。

(2) 企業文化


社会の一員として果たすべき責任の基本方針として「グループCSR憲章」および「グループ行動規範」を制定しています。法令や定款の遵守を徹底し、公正公平な企業活動を実践することを重視しています。また、従業員一人ひとりの創造性とチャレンジ精神を発揮できる企業文化の醸成を目指しています。

(3) 経営計画・目標


2026年2月期を初年度とする第5次中期経営計画を策定しています。最終年度である2028年2月期には以下の数値目標を掲げ、資本コストと株価を意識した経営を推進しています。

* 売上高:200億円
* 営業利益:10億円
* 営業利益率:5.0%
* ROE:13.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「持続的な利益成長による企業価値向上」を目指し、2030年の大阪IR開業を見据えた「NEXT STAGE 2030」をスローガンとしています。具体的には以下の3つの重点戦略を推進します。

1. **新たな成長基盤の構築**:強みを活かした成長基盤の拡大、グループシナジーの推進。
2. **更なる収益性の向上**:施工プロセスの最適化とコスト管理、ITインフラ活用による生産性向上。
3. **ESGの推進**:非財務情報の発信、人的資本経営の推進、コーポレートガバナンス・コードへの対応。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


グループ経営理念を理解し、創造力と責任感を持つ人材の育成を目指しています。教育においては、経営方針と連動させ、OJTや研修を通じて職務遂行能力の向上を図る方針です。また、多様な視点を持つ人材確保のため、女性管理職の登用や外国人採用、中途採用を推進するとともに、働きやすい社内環境の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 49.0歳 5.8年 6,662,641円


※平均年間給与は賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.4%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 72.4%
男女賃金差異(正規) 75.3%
男女賃金差異(非正規) 54.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントサーベイスコア(74.2%)、有休休暇取得率(64.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 売上高の変動リスク


国内の工事事業の売上比率が高いため、景気悪化による出店・設備投資の減少や、国際情勢による原材料費高騰などが受注減少につながり、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 法的規制等の遵守


建設業法や建築基準法などの建設関連法規、個人情報保護法などの法的規制を受けています。これらの法令違反や公正な企業活動に反する事態が生じた場合、営業停止等の処分により業績に影響が出る可能性があります。

(3) 施工品質・安全性および事故


施工物件の不備や欠陥による瑕疵、工事中の労働災害事故などが発生した場合、損害賠償請求等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) M&Aおよび新規事業開拓


M&Aや新規事業開発を成長戦略としていますが、計画の遅延による減損損失の発生や、想定通りの収益が獲得できない場合、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。