北の達人コーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

北の達人コーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

北の達人コーポレーションは、東証プライム・札証に上場し、自社オリジナルブランドの化粧品や健康食品、美容家電等をEC販売するヘルス&ビューティーケア関連事業を展開しています。直近の業績は、売上高が前期比で減少したものの、経常利益および当期純利益は増加し、減収増益となりました。


※本記事は、株式会社北の達人コーポレーション の有価証券報告書(第24期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 北の達人コーポレーションってどんな会社?


同社は、「北の快適工房」などのブランドで、化粧品や健康食品の企画・開発から販売までを一貫して行うD2C企業です。

(1) 会社概要


2000年に北海道特産品の販売サイトを開設し創業。2002年に法人化され、2012年に札幌証券取引所アンビシャス市場へ上場しました。その後、東証二部、一部を経て、2022年の市場区分見直しに伴い東証プライム市場へ移行しています。主力の「北の快適工房」ブランドを中心に、高収益な定期購入モデルを確立しています。

現在の従業員数は連結で220名、単体で220名です。筆頭株主は創業者であり社長の木下勝寿氏で、発行済株式の過半数を保有しています。第2位株主は、資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)です。

氏名 持株比率
木下勝寿 51.75%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社 5.50%
木下浩子 1.26%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長兼 WEBマーケティング統括部長は木下勝寿氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
木下勝寿 代表取締役社長兼 WEBマーケティング統括部長 1992年リクルート入社。2000年に北海道特産品販売サイトを立ち上げ創業。2002年同社設立とともに代表取締役社長に就任し現職。WEBマーケティング統括を兼務。
堀川麻子 取締役副社長兼 商品部長兼 カスタマーサービス部長 2005年ジオス入社、2006年同社入社。営業部長、東京支社長等を歴任し、2020年取締役副社長に就任。現在は商品部とカスタマーサービス部を管掌。
飯盛真希 常務取締役人事総務部長 2002年時事日本語学院入職。2014年同社入社。管理部門での経験を経て、2023年常務取締役に就任。子会社社長等も歴任し、現在は人事総務部長を務める。
三浦淳一 取締役管理部長 2002年北海道ベンチャーキャピタル入社、同社代表取締役等を歴任。2016年同社社外取締役に就任後、2025年より取締役管理部長として現職。


社外取締役は、島宏一(元リクルート執行役員)、田岡敬(元JIMOS社長)、鳥居克広(元札幌証券取引所専務理事)、甚野章吾(公認会計士)、小林隆一(元北海道警察釧路方面本部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ヘルス&ビューティーケア関連事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) ヘルス&ビューティーケア関連事業


自社オリジナルブランドの化粧品、健康食品、美容家電等を企画・開発・製造し、主にインターネットを通じて一般消費者に販売しています。主力ブランド「北の快適工房」では機能性を重視した商品を展開し、「SALONMOON」ではヘアアイロンなどの美容家電を取り扱っています。

収益は、自社ECサイトやAmazon、楽天市場などのモールでの商品販売代金として消費者から受け取ります。運営は、主に同社が「北の快適工房」等を担当し、連結子会社の株式会社SALONMOONが美容家電ブランドを展開しています。

(2) その他事業


報告セグメントに含まれない事業として、ラジオ放送事業などを展開していましたが、連結子会社であった株式会社FM NORTH WAVEの全株式を譲渡したことに伴い、同社は連結範囲から除外されています。

収益は、放送事業における広告収入やイベント収入などでしたが、現在は事業譲渡により縮小しています。当該事業の運営は、譲渡前まで連結子会社が行っていました。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近4期間の業績推移を見ると、売上高は2024年2月期に大きく伸長しましたが、2025年2月期は減少に転じました。一方、利益面では経常利益率が10%台から14%台へと改善傾向にあり、直近では減収ながらも増益を達成し、高い収益性を維持しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 95億円 98億円 147億円 118億円
経常利益 21億円 5億円 15億円 17億円
利益率(%) 22.1% 5.5% 10.1% 14.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 14億円 4億円 10億円 12億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。売上高の減少に伴い売上原価も減少していますが、売上総利益率は高い水準を維持しています。販管費の抑制により営業利益率は改善しており、効率的な経営が行われていることが読み取れます。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 147億円 118億円
売上総利益 108億円 90億円
売上総利益率(%) 73.9% 75.8%
営業利益 14億円 17億円
営業利益率(%) 9.9% 14.2%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が29億円(構成比40%)、給与手当が11億円(同15%)を占めています。売上原価は29億円で、売上高に対する原価率は24%程度です。

(3) セグメント収益


主力のヘルス&ビューティーケア関連事業では、販売ページの疲弊等により新規顧客獲得が想定を下回ったことで減収となりましたが、利益管理の徹底により収益性は確保されています。その他事業は子会社譲渡に伴い大幅な減収となっています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
ヘルス&ビューティーケア関連事業 142億円 116億円
その他 5億円 2億円
連結(合計) 147億円 118億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持し、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなっており、本業で得た現金を投資や株主還元、負債返済に充てる健全型のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 5億円 18億円
投資CF -3億円 -5億円
財務CF -2億円 -4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は85.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「びっくりするほど良い商品で、世界のQOLを1%上げる」というミッションを掲げ、これを実現するために「日本を代表する次世代のグローバルメーカーになる」というビジョンを定めています。顧客の悩みを解決する商品開発を通じて、世界中の人々の生活の質向上を目指しています。

(2) 企業文化


「創造性や独創性を大切にする人間成長企業」として、顧客、株主、取引先、従業員などあらゆるステークホルダーとの共存共栄を目指しています。特に、品質に裏付けられた商品と、顧客の立場に立った「一生使い続けるモノづくり」を実践し続ける姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、事業の安定性を重視し、自己資本比率を重要な経営指標としています。また、株主の期待に応えるため、自己資本当期純利益率(ROE)を極めて重要な指標と位置づけ、成長段階にある企業として売上高成長率や売上高営業利益率も意識した経営に取り組んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策


中長期的な企業価値向上のため、「お客様のQOL向上」「組織の持続的成長」「情報セキュリティ管理」「商品ラインナップの強化」「環境負荷軽減」「持続可能な事業活動基盤の構築」の6つを優先課題としています。

- 既存事業のコスト構造改革
- M&Aを通じた事業領域の拡大

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人的資本を競争優位性の源泉と位置づけ、組織の持続的成長のために優秀な人材の確保と育成に注力しています。即戦力となる経験者採用の強化や、社内外の研修を通じたスキルアップ支援を行っています。また、中間マネジメント層の育成・採用にも力を入れ、組織体制の強化を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 32.7歳 4.2年 6,531,403円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 25.0%
男性労働者の育児休業取得率 50.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 61.3%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 57.7%
労働者の男女の賃金の差異(非正規) 76.0%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制について


同社グループの事業は、薬機法、景品表示法、特定商取引法などの様々な法的規制の適用を受けます。法令違反や制度変更があった場合、事業活動が制限される可能性があります。これに対し、コンプライアンス教育の徹底や専門家の活用等により、リスク低減に努めています。

(2) システムリスクと情報管理


事業基盤としてコンピュータシステムとインターネットを活用しており、システム障害やサイバー攻撃によるサービス停止のリスクがあります。また、多くの個人情報を保有しているため、情報漏洩が発生した場合は信用低下や損害賠償請求の可能性があります。セキュリティ対策の強化やバックアップ体制の整備を進めています。

(3) 競合の激化と新規開発


EC市場は参入障壁が低く、大手企業の参入も含め競争が激化しています。価格競争による収益低下のリスクがあります。また、持続的成長には新規ヒット商品の開発が不可欠ですが、開発の長期化や市場に受け入れられないリスクもあります。独自ブランドの強化や開発体制の拡充で対応しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。