買取王国 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

買取王国 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

買取王国は東京証券取引所スタンダード市場に上場する総合リユース小売業を展開する企業です。主力業態の買取王国や工具買取王国などで衣料品、ホビー、工具等を扱い、専門性を活かした店舗づくりを進めています。直近の業績は、主要商材が順調に推移し、増収増益を達成しており、堅調な成長を続けています。


※本記事は、株式会社買取王国の有価証券報告書(第27期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 買取王国ってどんな会社?


買取王国は、衣料品やホビー、工具などの総合リユースショップを東海地方や関西地方を中心に展開しています。

(1) 会社概要


1999年にマルスとして愛知県小牧市で設立されました。2003年に現在の買取王国に商号を変更し、共和商事から店舗を譲り受けて店舗展開を本格化しました。2013年に大阪証券取引所JASDAQ(現スタンダード市場)に上場しています。近年は、2017年に工具買取王国、2021年におたから買取王国の展開を開始したほか、2024年には良品買館事業を譲受するなど、専門業態の拡大を推進しています。

同社は単体で175名の従業員を擁しています。筆頭株主は有限会社カルチャービジネスで、第2位は長谷川太一氏、第3位は野村證券です。

氏名 持株比率
有限会社カルチャービジネス 36.22%
長谷川 太一 5.94%
野村證券 4.94%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は嶋本匡能氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
長谷川 和夫 代表取締役会長 1974年東芝EMI入社。1978年共和商事入社、1988年同社代表取締役社長。2003年同社代表取締役社長を経て、2022年より現職。
嶋本 匡能 代表取締役社長 1997年KUROKAWA入社。2008年同社入社。2019年同社営業本部長、2021年同社取締役、2022年同社取締役社長を経て、2023年より現職。
壬生 順三 取締役人事総務部長 1982年ぶんらく書店入社。1999年マルス(現同社)代表取締役。2003年同社取締役、2020年同社取締役管理本部長を経て、2026年より現職。
長谷川 太一 取締役第二営業本部長 2009年ボクデン入社。2012年同社入社。2014年同社取締役、2020年同社取締役工具営業部長、2025年同社取締役工具営業本部長を経て、2026年より現職。


社外取締役は、深谷雅俊(FRC代表取締役)、西川幸孝(ビジネスリンク代表取締役)、白川篤典(ヴィレッジヴァンガードコーポレーション代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、総合リユース小売業の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) 総合リユース事業(買取王国・良品買館など)


衣料品、服飾雑貨、ホビー、家電、家具などの多様な中古品を買取・販売する総合リユースショップを展開し、幅広い年齢層の男女を顧客としています。単に低価格で販売するのではなく、趣味性やコレクション性の高い商品の品揃えを重視し、専門的な商品知識を持つスタッフがワクワクやドキドキを提供する店舗づくりを行っています。

収益は一般顧客等から買い取った中古品や新品を店舗やインターネットで販売することによって得ています。また、買取王国のほかに関西エリアを中心に良品買館を展開し、一定期間売れ残った商品を販売するアウトレット業態のマイシュウサガールなども同社が運営しています。

(2) 専門リユース事業(工具買取王国・買取七福など)


特定の商材に特化した専門店業態を展開しています。電動工具やハンドツールなどの工具類に絞り込んだ「工具買取王国」や、貴金属やブランド品、骨董品などを扱う買取専門店「買取七福」、ヴィンテージ古着を専門に扱う「KOV」などを通じて、より専門性の高い商品やサービスを求める顧客層のニーズに応えています。

収益は各種専門商材の買取と販売によって得ています。店舗での持ち込み買取だけでなく、出張買取や宅配買取など多様なルートで商品を調達しています。これらの専門業態も同社が運営しており、工具や釣具などの得意商材を活かして店舗ポートフォリオの最適化と事業展開の加速を図っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、新規出店や既存店のリニューアル、専門業態の強化などが奏功し、売上高は継続的な成長を遂げています。利益面についても、一時的な増減はあるものの堅調な水準を維持しており、全体として増収基調を保ちながら安定した収益力を発揮しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 50億円 59億円 67億円 78億円 93億円
経常利益 2億円 4億円 5億円 5億円 5億円
利益率(%) 4.4% 7.2% 7.8% 6.0% 5.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 3億円 4億円 3億円 4億円

(2) 損益計算書


売上高の堅調な伸びに伴い、売上総利益および営業利益ともに増加しています。商品回転率を重視し早期現金化などに努めたことで売上総利益率はわずかに低下したものの、販売費および一般管理費の売上比率を改善させたことにより、営業利益率は前年と同水準を維持し、安定した利益成長を実現しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 78億円 93億円
売上総利益 41億円 48億円
売上総利益率(%) 52.8% 51.9%
営業利益 4億円 5億円
営業利益率(%) 5.4% 5.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が18億円(構成比41.1%)、地代家賃が8億円(同17.9%)を占めています。売上原価の多くは当期商品仕入高が占めており、安定した商品確保による原価構成となっています。

(3) セグメント収益


同社は総合リユース小売業の単一セグメントですが、主要品目別の売上状況を見ると、主力であるファッション、工具、ホビーが順調に推移しています。とくに工具商材は専門店の出店拡大が寄与して大きく成長しました。一部品目での相場下落による減収はあったものの、全体としては主要商材が牽引し大幅な増収を達成しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
ファッション 33億円 38億円
工具 14億円 19億円
ホビー 14億円 15億円
ブランド 8億円 9億円
トレカ 3億円 2億円
その他 7億円 9億円
連結(合計) 78億円 93億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動で生み出した資金と借入による調達資金を組み合わせて積極的な投資を行う「積極型」の傾向を示しています。新規出店や店舗リニューアルなどに向けた成長投資を継続していることが伺えます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 1億円 5億円
投資CF -8億円 -3億円
財務CF 3億円 3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.1%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は57.1%であり、いずれもスタンダード市場の平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「夢ある商品とサービスを通して、喜びと心の満足を創りだしていきます。」という経営理念を掲げています。世の中に不要だと思われているものの価値を再生し、新しいライフスタイルや商品との出会いによる感動を提供する「価値再生感動追求業」を事業ドメインと定義し、顧客の期待を超え続ける商品とサービスを追求しています。

(2) 企業文化


「もったいない」の精神に基づき、循環型社会づくりに貢献する姿勢を大切にしています。また、「すべての行動はお客様の『また来るね』の一言のために」を合言葉に、顧客の感動を追求し続けることを行動の軸としています。店舗運営においては、専門的な商品知識を持つ担当者に権限を委譲し、現場主導で魅力的な売場づくりを行う文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


持続的な成長を実現するため、会社全体の経営状況を判断できる売上高経常利益率を重要経営指標(KPI)として位置付け、継続的に10%を達成することを長期的目標として掲げています。

* 2027年2月期の目標値は売上高100億円
* 営業利益6億円
* 経常利益6億円
* 売上高経常利益率6.1%

(4) 成長戦略と重点施策


「REUSE IS GOOD ~リユースを日常に~」というメッセージのもと、多様な調達ルートを確保し商品仕入力の強化を図ります。店舗戦略では、総合リユースショップの魅力向上とともに、成長性の高い工具商材等に絞った専門店の多店舗展開を直営・フランチャイズ両面で加速させます。また、EC基盤の強化や越境ECによる海外進出、デジタル活用による商品化プロセスの迅速化を進め、グループシナジーを活かした高収益体質への転換を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人の役に立つ人間になる」という人事理念のもと、主体性と協調性を持ち、自律して顧客に感動を届けられる人材の育成に注力しています。独自の人材育成制度である「GUTs(仲間と共に学び成長する制度)」を運用し、職場内の関係性を通じて知識や技術、人間的成長をお互いに促す環境を整えています。また、権限委譲を通じた店舗経営を任せられる人材の育成や、職能資格制度による明確な評価・登用を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 37.3歳 7.3年 4,448,000円


※平均年間給与は、賞与、基準外賃金及び譲渡制限が解除された譲渡制限付株式報酬を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.1%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 85.4%
男女賃金差異(正規雇用) 87.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 89.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、社員登用目標(10名)、新卒採用目標(10名)、中途採用目標(10名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 中古品の買取仕入と人材確保


リユース事業においては安定的な商品確保が生命線となります。フリマアプリの普及や競合増加による仕入競争の激化、相場の変動などが商品調達に影響を及ぼす可能性があります。また、商品の真贋を見極め、適正な買取価格を提示できる専門知識を持つ店舗スタッフの確保と育成が計画通りに進まない場合、事業展開や業績に支障をきたすリスクがあります。

(2) コピー商品・盗品の取扱リスク


衣料品やブランド品、ホビーなどの取扱商品において、著名ブランドのコピー商品が持ち込まれるリスクが常に存在します。真贋チェックの徹底や社内教育により防止に努めていますが、万が一トラブルが発生した場合は社会的信用が低下する恐れがあります。また、買い受けた商品が盗品であった場合、古物営業法の規定による無償回復に応じる必要があり、仕入ロスが発生する可能性があります。

(3) 出店エリアの集中と天候等の影響


同社は全拠点の多くを東海地方や関西地方などに展開しているため、当該地域の急激な経済的衰退や大規模災害が発生した場合、販売活動に影響が及ぶリスクがあります。また、主力商材であるファッション領域は季節性の高い商品を取り扱っているため、冷夏や暖冬といった天候不順が販売動向を左右し、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。