※本記事は、株式会社買取王国 の有価証券報告書(第26期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 買取王国ってどんな会社?
1999年設立の総合リユース企業。東海地方を地盤に、ファッション・ホビー・工具等の中古品買取・販売を行っています。
■(1) 会社概要
1999年に株式会社マルスとして設立され、2003年に現社名へ変更しました。東海地方を中心に店舗展開を進め、2013年にJASDAQ市場へ上場、2022年には東証スタンダード市場へ移行しました。近年は工具専門業態の拡大や、2024年の米国法人設立、株式会社ベストバイからの事業譲受など、積極的な事業拡大を行っています。
従業員数は単体で181名です。筆頭株主は資産管理業務を行う有限会社カルチャービジネスで、第2位は取締役の長谷川太一氏、第3位は証券会社です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社カルチャービジネス | 36.31% |
| 長谷川 太一 | 5.95% |
| 野村證券株式会社 | 5.00% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長は長谷川和夫氏、代表取締役社長は嶋本匡能氏です。社外取締役比率は約43%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 長谷川 和夫 | 代表取締役会長 | 東芝EMI入社後、共和商事代表取締役社長を経て、2003年同社代表取締役社長に就任。2022年より現職。 |
| 嶋本 匡能 | 代表取締役社長 | 株式会社KUROKAWAを経て、2008年同社入社。営業本部長などを歴任し、2023年より現職。 |
| 壬生 順三 | 取締役管理本部長 | ぶんらく書店を経て、1999年株式会社マルス(現同社)代表取締役。2020年より現職。 |
| 長谷川 太一 | 取締役工具営業本部長 | 株式会社ボクデンを経て、2012年同社入社。取締役工具営業部長などを経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、深谷雅俊(深谷会計事務所代表)、西川幸孝(株式会社ビジネスリンク代表取締役)、白川篤典(株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーション代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「総合リユース小売業」および「その他」事業を展開しています。
(1) 買取王国事業
衣料品、ホビー、雑貨、トレーディングカードなどを取り扱う主力業態「買取王国」等を運営しています。趣味性の高い商品に強みを持ち、20代から50代の男女を主な顧客としています。
一般顧客からの買取による中古品の販売収益が主な収益源です。店舗では「わくわく・ドキドキ・大発見!」をコンセプトに、専門知識を持つスタッフが売場作りを行っています。運営は同社が行っています。
(2) 工具買取王国事業
電動工具やハンドツール、建材などを専門に取り扱う「工具買取王国」を運営しています。職人を主なターゲットとし、中古品の買取・販売を行っています。
顧客からの工具買取と販売による差益が収益の柱です。東海、関西、北陸地方に店舗を展開し、フランチャイズ展開も進めています。運営は同社が行っています。
(3) その他事業
アウトレット業態「マイシュウサガール」、買取専門店「おたから買取王国」、関西エリアの総合リユース「良品買館」、寄付事業「モノドネ」などを展開しています。
各店舗での商品販売収益や買取による収益を得ています。また、ファッション業態「WHY NOT」やEC事業、海外事業なども含みます。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は順調に拡大を続け、毎期増収を達成しています。利益面では、経常利益・当期利益ともに第25期まで拡大傾向にありましたが、直近の第26期においては増収ながらも減益となりました。全体として事業規模は拡大基調にあります。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 49億円 | 50億円 | 59億円 | 67億円 | 78億円 |
| 経常利益 | 1.5億円 | 2.2億円 | 4.2億円 | 5.2億円 | 4.7億円 |
| 利益率(%) | 3.0% | 4.4% | 7.2% | 7.8% | 6.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.0億円 | 1.2億円 | 2.7億円 | 3.6億円 | 3.3億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は16.1%増加し事業規模が拡大しました。一方で、売上総利益率は改善したものの、販管費の増加により営業利益は減少しました。積極的な事業拡大に伴うコスト増が利益を圧迫している構図が見て取れます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 67億円 | 78億円 |
| 売上総利益 | 35億円 | 41億円 |
| 売上総利益率(%) | 51.4% | 52.8% |
| 営業利益 | 5.0億円 | 4.2億円 |
| 営業利益率(%) | 7.4% | 5.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が15億円(構成比41%)、地代家賃が6億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、品目別の販売実績を見ると、主力のファッション、工具、ホビーがいずれも2桁成長を遂げ、全社の増収を牽引しました。一方で、トレーディングカード(トレカ)は相場下落の影響を受け、売上が大きく減少しています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| ファッション | 28億円 | 33億円 |
| 工具 | 13億円 | 14億円 |
| ホビー | 11億円 | 14億円 |
| ブランド | 7億円 | 8億円 |
| トレカ | 4億円 | 3億円 |
| その他 | 5億円 | 7億円 |
| 連結(合計) | 67億円 | 78億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動によるキャッシュ・フローで得た資金を、店舗の新規出店や改装といった設備投資、そして商品仕入や販売費等の営業費用に充当しています。営業活動では、主に税引前当期純利益により資金が増加しましたが、棚卸資産の増加や法人税等の支払により減少しました。投資活動では、関係会社貸付金の回収で資金が増加したものの、定期預金の預入や関係会社貸付け、有形固定資産の取得、事業譲受により資金が使用されました。財務活動では、長期借入れにより資金を獲得しましたが、長期借入金の返済や配当金の支払により資金が減少しました。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.5億円 | 1.1億円 |
| 投資CF | -1.1億円 | -7.6億円 |
| 財務CF | 0.0億円 | 3.2億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「価値再生感動追求業」を事業ドメインと定義し、「夢ある商品とサービスを通して、喜びと心の満足を創りだしていきます。」という経営理念を掲げています。不要と必要の懸け橋となり、地球に優しい循環型社会づくりに貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
「すべての行動はお客様の「また来るね」の一言のために」を行動指針とし、顧客の感動追求を重視しています。また、人材育成制度「GUTs(Grow Up Together System)」を通じ、「挑戦を楽しむ」「仲間と共に勝つ」「同根異才」といった価値観を共有し、共に学び成長する風土を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
継続的な成長のため、「売上高経常利益率」を重要経営指標と位置づけ、将来的に10%の達成を長期的目標としています。
* 2026年2月期目標:売上高88億円
* 同 営業利益5億円
* 同 経常利益5億円
* 同 売上高経常利益率6.2%
■(4) 成長戦略と重点施策
業務効率化による収益性改善や、買取強化による安定的な商品調達ルートの確保を掲げています。店舗政策では、主力業態の標準化やリニューアル、工具業態のドミナント出店加速、事業譲受した良品買館業態の収益性向上に取り組みます。また、EC事業の強化や海外進出、寄付事業などの新業態にも注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人を育成し会社の宝と成す」とし、多店舗展開を支えるための人材確保と育成を最優先課題としています。独自の育成制度「GUTs」により、専門知識や人間的成長を促進し、店舗経営を任せられる人材を育成する方針です。また、職能資格制度の導入により、全従業員が活躍できる環境づくりを進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 38.7歳 | 6.5年 | 4,314,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 11.5% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 85.1% |
| 男女賃金差異(正規) | 86.4% |
| 男女賃金差異(非正規) | 99.6% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 買取仕入に関するリスク
中古品の買取仕入は事業の生命線であり、店頭、宅配、出張など多様なルートで商品確保に努めています。しかし、競合増加やフリマアプリの台頭、顧客心理の変化等により安定的な商品確保が困難になった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人財の確保・育成リスク
商品の適正な査定や店舗運営には専門知識を持つスタッフが不可欠です。店舗展開の拡大に伴い、十分な人材の確保・育成が計画通りに進まない場合や、経験豊富なスタッフが流出した場合、出店計画の制約や業績への悪影響が生じる可能性があります。
■(3) コピー商品の仕入販売リスク
ブランド品等のコピー商品は社会的課題であり、同社は真贋チェック能力の向上や偽造品の排除に努めています。しかし、万が一コピー商品に関するトラブルが発生した場合、社会的信用の失墜により業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 新規出店に関するリスク
東海地方を中心にドミナント展開を進めていますが、条件に合う物件が確保できない場合、出店計画に遅れが生じる可能性があります。また、未開拓地域への出店において認知度不足により買取仕入が想定通り進まない場合、収益性が低下するリスクがあります。



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