※本記事は、シンメンテホールディングス株式会社の有価証券報告書(第41期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月21日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. シンメンテホールディングスってどんな会社?
同社は、飲食店や小売店等の店舗設備・機器のメンテナンスをワンストップで提供する専門企業です。
■(1) 会社概要
1999年にトレス・プロジェクトとして創業し、店舗の緊急メンテナンス事業を開始しました。2004年にシンプロメンテへ社名を変更後、予防メンテナンスやアウトソーシングなど事業領域を拡大し、2013年に新興市場へ上場しました。2017年には持株会社体制へ移行し、現在の社名に変更しています。
現在の従業員数は連結で326名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は創業者であり現代表取締役会長兼社長の内藤秀雄氏、第2位は取締役副社長の内藤剛氏、第3位はファンド等の投資組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 内藤秀雄 | 23.24% |
| 内藤剛 | 8.34% |
| LICHFIELD LP | 5.53% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は内藤秀雄氏が務めています。取締役における社外取締役の比率は約33%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 内藤秀雄 | 代表取締役会長兼社長 | 1966年に吉野組へ入社。1983年に自ら会社を設立後、1999年に同社へ入社しました。2002年に代表取締役となり、2016年より現職。グループ会社の役員も多数歴任。 |
| 内藤剛 | 取締役副社長 | 1995年に外資系IT企業へ入社し、日本ヒューレット・パッカード等を経て2016年に同社へ入社。2019年に常務取締役、2024年に専務取締役を歴任し、2026年より現職。 |
| 村山政昭 | 専務取締役 | 1987年に企業へ入社後、会社代表等を経て2005年に同社へ入社。2008年に取締役営業本部長、2012年に専務取締役事業本部長を歴任し、2017年より現職。 |
| 大崎秀文 | 専務取締役 | 1996年に日本食研へ入社後、会計事務所での経験を経て2003年に同社へ入社。2008年に取締役管理本部長、2019年に常務取締役CFOを歴任し、2026年より現職。 |
社外取締役は、脇本源一氏(元楽天証券入社・フィリップ証券取締役投資銀行本部長)、山縣有徳氏(元日本航空入社・山縣有朋記念館理事長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「メンテナンスサービス事業」の単一セグメントで展開しており、サービスの内容により以下の2つに大別されます。
■(1) ワンストップメンテナンスサービス
飲食店などの店舗・施設における設備・機器等の突発的なトラブルに24時間365日対応する緊急メンテナンスと、不具合を未然に防ぐための定期的な点検・整備・洗浄等を行う予防メンテナンスを提供しています。
店舗や施設の本部からメンテナンス依頼を受け、協力業者を手配して修理や保守作業を完了させることで顧客からサービス料を受け取ります。運営は主にシンプロメンテやテスコが担っています。
■(2) メンテナンスアウトソーシングサービス
厨房機器メーカーやダスキンなどが実施するメンテナンスサービスを、アウトソーサーとして代行・支援する事業です。メーカーに代わりコールセンターで修理依頼を受け付け、協力業者の手配と完了報告までを一貫して行います。
外部企業のメンテナンス体制を補完し、技術労働力や夜間・休日対応の仕組みを提供することで、提携先のメーカー等から業務委託手数料を受け取ります。こちらの運営も同社のグループ会社が中心となって行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は右肩上がりで順調に拡大しており、経常利益も毎年安定して増益を達成しています。利益率も堅調に推移しており、事業規模の拡大と収益性の向上が両立していることがうかがえます。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 164億円 | 194億円 | 224億円 | 257億円 | 299億円 |
| 経常利益 | 9億円 | 11億円 | 13億円 | 16億円 | 19億円 |
| 利益率(%) | 5.6% | 5.4% | 5.6% | 6.1% | 6.3% |
| 当期利益 | 8億円 | 7億円 | 9億円 | 10億円 | 12億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益と営業利益の双方で増益を実現しています。また、利益率も前年を上回る水準で推移しており、コストコントロールを行いながら効率的に利益を生み出していることが読み取れます。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 257億円 | 299億円 |
| 売上総利益 | 58億円 | 69億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.7% | 22.9% |
| 営業利益 | 15億円 | 19億円 |
| 営業利益率(%) | 6.0% | 6.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が23億円(構成比46%)、減価償却費が0.9億円(同2%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社はメンテナンスサービス事業の単一セグメントで運営されています。主力である緊急メンテナンスサービスにおける既存顧客の店舗数増加や、予防点検需要の拡大などが寄与し、堅調な売上成長を記録しています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| メンテナンスサービス | 257億円 | 299億円 |
| 連結(合計) | 257億円 | 299億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は30.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は41.8%で市場平均を下回っています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 14億円 | 19億円 |
| 投資CF | -4億円 | -6億円 |
| 財務CF | -11億円 | -8億円 |
同社のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金を用いて投資や借入金の返済を進める「健全型」の傾向を示しています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、飲食店や小売店等の店舗・施設に対するトータルメンテナンスサービスを提供する事業を中心に展開しています。業界を的確に分析し、あらゆるメンテナンスの要求に対して的確なサービスをワンストップで提供することで、顧客企業の成長をサポートし、継続的な企業価値の向上を目指すことを経営の方針として掲げています。
■(2) 企業文化
同社は、企業倫理の尊重と法令遵守を基本とするコンプライアンス重視の文化を持っています。各役職員の行動指針となる行動規範を制定し、法令遵守の徹底を求めています。また、サステナビリティの観点から「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指し、人材の多様性確保にも注力しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は現在、具体的な数値目標を含む中長期的な経営計画を開示していません。ただし、事業環境が依然として不透明な状況のなかで、市場の変化を常に把握しながら、飲食店や小売店等のメンテナンスの要求に対して的確なサービスをワンストップで提供するための組織体制や内部管理の強化を目標として設定しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は今後の成長に向け、多様化する依頼に対応できる人材の育成と、協力業者である「メンテキーパー」のサービスレベル向上を重点施策としています。また、メンテナンス業務のアウトソーシングの利便性を顧客に認知させてマーケットシェアの拡大を図るとともに、基幹システム「メンテシステム」の機能強化にも注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、人材こそが企業成長の最も大切な経営資本の一つであるとの認識の下、多様性の確保を含む人材育成と社内環境整備に努めています。建築・設備関連業としてサービス業種との関連を活かし、女性社員の要職への積極的登用を図り、多様性を広げることで業界全体の成長に寄与することを方針として掲げています。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率(シンプロメンテ) | 10.8% |
| 女性管理職比率(テスコ) | 13.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | - |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | - |
同社および連結子会社は、男性育児休業取得率および男女賃金の差異について公表義務の対象ではないため、有報には本稿の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 外食業界への業績依存
同社は飲食チェーン店舗のメンテナンスを創業時から手掛けており、売上高の多くを外食業界に依存しています。他業界への展開を進めているものの、価格競争や外食業界全体のメンテナンス需要減少などが生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定取引先への業績依存
同社は特定の大手顧客に対する売上比率が高く、これら上位の取引先との関係維持が重要です。顧客のメンテナンス内製化方針への転換や、契約終了、発注量の減少などが発生した場合には、同社の財政状態や業績に影響を与えるリスクがあります。
■(3) 協力業者への外注
実際のメンテナンス業務の多くを外部の協力業者(メンテキーパー)に委託しているため、業者の資質や対応品質の管理が不可欠です。協力業者の経営状況悪化や対応不良によるクレーム発生、新規業者の開拓遅れなどが生じた場合、同社の評判低下や業績悪化につながる可能性があります。



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