※本記事は、シンメンテホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第40期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. シンメンテホールディングスってどんな会社?
飲食チェーンや小売店等の店舗・施設における設備・機器の不具合に対し、修理手配や点検を行うトータルメンテナンスサービスを提供しています。
■(1) 会社概要
1999年に飲食チェーン店のメンテナンス業を目的として株式会社トレス・プロジェクトが創業され、2004年にシンプロメンテ株式会社へ商号変更しました。2013年に東証マザーズへ上場を果たし、2017年には持株会社体制への移行に伴い現社名へ変更しています。2022年の東証市場区分見直しにより、現在は東証グロース市場に上場しています。
同社は持株会社であり、連結従業員数は295名ですが、提出会社単体の従業員は0名です。筆頭株主は創業者であり代表取締役会長兼社長の内藤秀雄氏で、第2位は同氏の親族で専務取締役の内藤剛氏です。経営陣による株式保有比率が高く、オーナーシップの強い資本構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 内藤 秀雄 | 24.31% |
| 内藤 剛 | 8.31% |
| NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE NON TREATY CLIENTS ACCOUNT | 6.69% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は内藤秀雄氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 内藤 秀雄 | 代表取締役会長兼社長 | 1999年同社入社。2002年代表取締役就任。2016年より現職。シンプロメンテ代表取締役社長、シンロボサービス取締役を兼任。 |
| 村山 政昭 | 専務取締役 | 2005年同社入社。オペレーション部マネジャー、営業本部長、事業本部長を経て2017年より現職。シンプロメンテ専務取締役事業本部長を兼任。 |
| 内藤 剛1 | 専務取締役 | 2016年同社入社。日本ヒューレット・パッカード出身。常務取締役等を経て2024年より現職。テスコ代表取締役社長、シンロボサービス代表取締役社長を兼任。 |
| 大崎 秀文 | 常務取締役CFO | 2003年同社入社。管理部マネジャー、管理本部長等を経て2019年より現職。シンプロメンテ常務取締役管理本部長を兼任。 |
社外取締役は、脇本源一2(フィリップ証券取締役常務執行役員)、山縣有徳2(公益財団法人山縣有朋記念館理事長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「メンテナンスサービス」の単一セグメントですが、サービス内容により「ワンストップメンテナンスサービス」および「メンテナンスアウトソーシングサービス」を展開しています。
■(1) ワンストップメンテナンスサービス
全国の店舗・施設からのメンテナンス依頼を受け付け、適切な業者(メンテキーパー)を選定・手配して不具合を解決するサービスです。24時間365日対応で突発的なトラブルを解決する「緊急メンテナンスサービス」と、定期点検や清掃を行う「予防メンテナンスサービス」があります。主要顧客は外食業界や物販・小売業などです。
収益は、顧客から受領するメンテナンスサービスの対価(工事代金、作業料等)から成ります。運営は主にシンプロメンテやテスコが行っており、全国10,000社を超える協力業者ネットワークを活用してサービスを提供しています。
■(2) メンテナンスアウトソーシングサービス
厨房機器メーカー等が実施するメンテナンスサービスのアウトソーサーとして機能するサービスです。メーカーのコールセンター業務や修理依頼の受付、メンテキーパーの手配、完了報告までを代行します。メーカーのメンテナンス体制強化や夜間・休日対応の効率化を支援しています。
収益は、メーカー等の委託元から受領する業務委託料やメンテナンス手配料等です。運営は主にシンプロメンテが行っており、株式会社ダスキンとの業務提携による個人経営飲食店向けサービスなども提供しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、連続で増収傾向にあります。売上高は144億円から257億円へと大幅に拡大し、経常利益も7億円から16億円へと順調に伸長しています。利益率も安定して推移しており、事業規模の拡大とともに収益性も維持・向上していることが読み取れます。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 144億円 | 164億円 | 194億円 | 224億円 | 257億円 |
| 経常利益 | 7億円 | 9億円 | 11億円 | 13億円 | 16億円 |
| 利益率(%) | 4.9% | 5.6% | 5.4% | 5.6% | 6.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | 6億円 | 7億円 | 9億円 | 10億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の比較では、売上高および各利益段階で増加しています。売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しており、営業利益率は5.6%から6.0%へ改善しました。事業拡大に伴うコスト増を吸収しつつ、効率的な運営ができていることがうかがえます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 224億円 | 257億円 |
| 売上総利益 | 50億円 | 58億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.4% | 22.7% |
| 営業利益 | 13億円 | 15億円 |
| 営業利益率(%) | 5.6% | 6.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が20億円(構成比47%)、減価償却費が1.3億円(同3%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、サービス別の売上高を見ると、主力である「緊急メンテナンスサービス」が前期比で増加し、全体の成長を牽引しています。新規顧客の獲得や既存顧客のサービス対象店舗増加に加え、猛暑の影響による空調メンテナンス需要の増加が寄与しました。「予防メンテナンスサービス」も堅調に推移しています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| 緊急メンテナンスサービス | 198億円 | 231億円 |
| 予防メンテナンスサービス | 26億円 | 26億円 |
| 連結(合計) | 224億円 | 257億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスとなっており、本業で稼いだ現金を投資や借入返済・配当に回している「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 13億円 | 14億円 |
| 投資CF | -1億円 | -4億円 |
| 財務CF | -4億円 | -11億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は28.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.2%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、大手飲食業界や物販・小売業、介護業などを主要顧客として、店舗・施設の設備・機器及び内外装等の不具合に対して、顧客本部に代わってメンテナンスを行うことを主たる業務としています。店舗・施設運営のパートナーとして、トータルメンテナンスサービスをワンストップで提供し、顧客の利便性・効率性・経済性を高めることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、顧客のあらゆる不具合に対して「24時間365日」対応することを重視しています。また、本社及び各営業所に「メンテナンス道場」を設け、顧客自らが修繕可能となる研修を行うなど、単なる修理代行にとどまらず、顧客への知識提供や長期的な関係構築を大切にする文化があります。現場での問題解決能力や提案力の強化にも注力しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、現時点において具体的な数値目標としての指標は設定していません。経営会議において定性的・定量的観点から継続的にモニタリングを行い、必要と判断された場合において適宜、指標及び目標を定める方針としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
今後は、人材の育成・確保やメンテキーパー(協力業者)のサービスレベル向上、メンテナンスアウトソーシングの認知度向上を重点課題としています。また、基幹システムである「メンテシステム」の維持・強化や内部管理体制の強化も進めています。これらにより、外食産業以外の業種への展開やシェア拡大を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、人材を企業成長の重要な経営資本と位置づけています。オペレーション部門に優れた管理能力やコミュニケーション能力を持つ人材を配置し、多様化するメンテナンス依頼に対応することを目指しています。また、設備・機器のメンテナンスに関する課題解決の提案能力を持つ人材の確保・育成にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
※同社は持株会社であり、提出会社の従業員数が0名のため、平均年間給与データはありません。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.3% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※女性管理職比率は連結子会社シンプロメンテ株式会社の実績です(株式会社テスコは11.5%)。男性育児休業取得率および男女賃金差異については、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 外食業界への業績依存
同社グループの売上高の約7割は外食業界向けが占めています。物販や介護施設など他業種への展開を進めていますが、依然として外食産業への依存度は高い状態です。競合による価格競争や外食産業自体のメンテナンス需要の減少が生じた場合、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定取引先への依存
売上高の約4割を上位10社(外食、物販、介護施設等)に依存しています。主要顧客との良好な関係構築に努めていますが、失注や契約終了、顧客側のメンテナンス需要の変動などがあった場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 気候変動による影響
主力取引先である外食産業では、夏場に空調設備や冷凍・冷蔵機器への負荷が高まり、メンテナンス需要が増加する傾向にあります。冷夏などの気候状況によってはメンテナンス需要が想定より伸び悩み、業績が変動する可能性があります。
■(4) メンテキーパー(協力業者)への外注
メンテナンス業務の大部分を全国のメンテキーパーに外注しています。協力業者の質や経営状況、対応の不備、事故の発生などは、同社グループの評判低下や損害賠償リスクにつながります。また、適切な協力業者の確保が困難になった場合も、サービス提供に支障をきたす可能性があります。



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