※本記事は、株式会社BSNメディアホールディングスの有価証券報告書(第96期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. BSNメディアホールディングスってどんな会社?
放送、ITシステム開発、建物管理の3事業を中核に多角的なサービスを展開する総合ソリューション事業グループです。
■(1) 会社概要
同社グループの歴史は、1952年にラジオ新潟として創立し、ラジオ放送を開始したことに遡ります。1958年にはテレビジョン放送を開始し、1961年に新潟放送へと商号を変更しました。1966年にBSN電子計算センター(現BSNアイネット)を設立してシステム関連事業へと領域を広げ、2023年には認定放送持株会社へ移行して現在のBSNメディアホールディングスとなりました。
従業員数は連結で1,078名です。筆頭株主は事業会社の新潟日報社で、第2位は交通事業を展開する越後交通、第3位は放送ネットワークのキー局であるTBSホールディングスとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 新潟日報社 | 14.98% |
| 越後交通 | 9.69% |
| TBSホールディングス | 8.12% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役社長は佐藤隆夫氏が務めています。社外取締役の割合は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤隆夫 | 代表取締役社長 | 1982年新潟放送入社。報道制作局や事業局長、東京支社長等を経て2017年代表取締役社長。2023年6月より現職。 |
| 島田好久 | 専務取締役 | 1989年新潟放送入社。営業局長や編成局長、放送本部長等を経て2023年同社代表取締役社長。同年6月より現職。 |
| 南雲俊介 | 常務取締役 | 1982年BSN電子計算センター入社。長岡支社長や医療産業事業本部長等を経て2020年BSNアイネット社長。2025年6月より現職。 |
| 和田泰征 | 取締役 | 1989年新潟放送入社。上越支社長や経営管理本部次長を経て2024年同社取締役経営管理本部長。2026年4月より現職。 |
| 丹羽崇 | 取締役 | 1989年新潟放送入社。ラジオセンター担当部長や営業本部事業局長を経て2023年同社経営戦略室長。2025年6月より現職。 |
社外取締役は、佐藤明(新潟日報社社長)、殖栗道郎(第四北越フィナンシャルグループ社長)、新名宏次(チューリップテレビ専務)、山井太(スノーピーク会長)、中山正子(キタック社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「放送事業」、「システム関連事業」、「建物サービスその他事業」を展開しています。
■放送事業
新潟放送を中核として、放送法に基づくラジオおよびテレビの一般放送事業を展開しています。地域社会に密着した良質なコンテンツの制作や情報発信を行っています。
主な収益源は、広告主から受け取るテレビ・ラジオのスポット広告収入やネットタイム収入などです。運営は主に新潟放送、サンビデオ映像などのグループ会社が行っています。
■システム関連事業
システムインテグレーションやIT基盤環境の総合サービス、運用サポート、コンサルティングなどを提供しています。自治体や医療機関、民間企業向けにDX支援を行っています。
主な収益源は、顧客からの受託開発費やシステム運用・保守に係るサービス利用料、IT機器の販売代金です。運営は主にBSNアイネット、ビーアイテック、エム・エス・シーなどが行っています。
■建物サービスその他事業
ビルメンテナンスや設備管理業務、設備工事などの建物管理サービス、および不動産賃貸事業を展開しています。
主な収益源は、顧客からの設備管理業務の受託費用や、不動産の賃貸収入です。運営は主にBSNウェーブが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の売上高は、211億円から258億円へと順調に拡大しています。経常利益も14億円から19億円へと増加し、利益率も7%前後で安定して推移しており、堅調な成長を続けています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 211億円 | 231億円 | 230億円 | 244億円 | 258億円 |
| 経常利益 | 14億円 | 19億円 | 15億円 | 19億円 | 19億円 |
| 利益率(%) | 6.8% | 8.0% | 6.6% | 7.8% | 7.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | 3億円 | 1億円 | 2億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期の244億円から258億円へと増加し、それに伴い売上総利益も65億円から68億円へと拡大しています。営業利益は17億円を維持しており、安定した収益基盤を確保しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 244億円 | 258億円 |
| 売上総利益 | 65億円 | 68億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.8% | 26.5% |
| 営業利益 | 17億円 | 17億円 |
| 営業利益率(%) | 7.1% | 6.8% |
販売費及び一般管理費のうち、代理店手数料が10億円(構成比19%)、販売費の給与・手当が8億円(同15%)、一般管理費の役員報酬及び給与・手当が7億円(同13%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のシステム関連事業が前期の171億円から183億円へと大きく成長し、全体の増収を牽引しました。建物サービスその他事業も順調に売上を伸ばしており、放送事業は横ばいで安定推移しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 放送事業 | 58億円 | 58億円 |
| システム関連事業 | 171億円 | 183億円 |
| 建物サービスその他事業 | 15億円 | 17億円 |
| 連結(合計) | 244億円 | 258億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動で得た資金の範囲内で借入金の返済や積極的な事業投資を行っており、財務基盤の安定した健全型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 19億円 | 25億円 |
| 投資CF | -10億円 | -14億円 |
| 財務CF | -6億円 | -5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「新潟の情報産業として地域に寄り添い、様々な課題解決を通じて新潟の持続的な発展に貢献し続ける」のもと、すべてのステークホルダーから信頼される多角的なコンテンツ・サービスの提供に努めています。放送、IT、不動産管理などを包括的に手がける強みを活かし、社会課題の解決と持続的な事業成長の両立を目指しています。
■(2) 企業文化
グループの持続的成長を支える最大の経営資源を「人」と捉え、人的資本への投資を加速しています。業種の垣根を越えた人材交流や知見の共有を活性化させ、新たな価値を創造し得る「多才な人材」を育成するとともに、人権尊重を根底に据えた誠実な企業活動を徹底する文化が醸成されています。
■(3) 経営計画・目標
外部環境の劇的な変化に対応するため、2026年度から2028年度までを期間とする中期経営計画を策定しています。「放送・メディア」「ITシステム開発」「建物管理」の各事業が持つ強みを融合させ、グループシナジーの創出を加速させ、高付加価値型ビジネスへの転換を推進することを目標として掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
総合ソリューション事業グループの確立に向け、グループ横断型の「成長戦略推進会議」を新設し、戦略投資等の案件を迅速に審査して機動的な投資を実行します。放送事業ではデジタル技術を掛け合わせたコンテンツの多角的展開やIPの活用を推進し、システム事業ではAIを活用した生産性向上サービスを展開して持続的な高収益体質への変革を実現します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人的資本への投資を加速し、グループ内の人材情報を可視化して組織の垣根を越えた人材交流を活性化させています。多様な人材の確保に向けて女性管理職の積極登用やグローバル人材の活用を進めるほか、デジタル人材育成のための「AIリスキリング」を推進し、変化に即応できる強靭な組織基盤の構築に邁進しています。
■(2) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 15.6% |
| 男性育児休業取得率 | 120.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 72.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 77.5% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 100.1% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 広告手法の構造的変化
放送事業における収入は国内景気や広告主企業の業績に強く連動しています。インターネット広告へのシフトなど、広告主企業のマーケティング手法における構造的な変化がさらに進む場合、テレビ・ラジオのスポット広告収入が減少し、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) メディア間の競争激化
映像や音声を届けるメディアは、従来の地上波や衛星放送に加え、インターネット上のブロードバンド配信サービスの普及が進展するなど多様化しています。これら新興メディアとの広告媒体を巡る競争がさらに激化した場合、同社グループの事業展開や収益性に影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) ネットワーク価値の毀損
子会社の新潟放送はTBSテレビをキー局とするJNNネットワークに加盟しており、ニュース取材や番組、営業面で重要な協力関係にあります。将来的にキー局側の業務形態の変化などにより、このネットワークとしての価値が毀損された場合、ローカル放送局としての競争力が低下する可能性があります。
■(4) 情報セキュリティによる影響
同社グループは事業の過程で多数の個人情報や取引先の重要情報を保有しています。サイバー攻撃や不測の事態によって重要データの破壊、改ざん、システムの停止、あるいは情報の漏洩やインシデントが発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償の発生により、業績に影響を及ぼすリスクがあります。



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