サーバーワークス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サーバーワークス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のクラウド専業インテグレーターです。AWSおよびGoogle Cloudの導入支援・リセールを主軸に事業を展開しています。2025年2月期の連結業績は、売上高が357億円(前期比29.8%増)、経常利益が11億円(同3.2%増)となり、リセール事業の伸長等により増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社サーバーワークス の有価証券報告書(第26期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. サーバーワークスってどんな会社?


AWS(Amazon Web Services)に特化したクラウド導入支援やリセールを行うクラウド専業インテグレーターです。Google Cloud事業も拡大させています。

(1) 会社概要


同社は2000年に有限会社ウェブ専科として設立され、2002年に現社名へ変更しました。2008年よりAWSの活用を開始し、クラウド事業へ本格参入しています。2019年に東証マザーズへ上場し、2021年にはGoogle Cloud事業を行う株式会社G-genを設立しました。2022年には株式会社トップゲートを子会社化し、マルチクラウド対応を強化しています。

2025年2月末時点の従業員数は連結449名、単体331名です。筆頭株主は創業者の大石良氏で、第2位は2013年に資本業務提携を行ったクラウドインテグレーターの株式会社テラスカイ、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
大石 良 32.35%
テラスカイ 12.86%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.57%

(2) 経営陣


同社の役員は男性3名、女性2名、計5名で構成され、女性役員比率は40.0%です。代表取締役社長社長執行役員は大石良氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
大石 良 代表取締役社長社長執行役員 1996年丸紅入社。2000年有限会社ウェブ専科(現同社)設立、代表取締役就任。2024年3月より現職。
羽柴 孝 取締役ソリューション管掌執行役員 2006年同社入社。AWS事業部長、クラウドインテグレーション本部長、営業部長等を経て、2024年3月より現職。


社外取締役は、井上幹也(元丸紅テレコム専務)、田中優子(元クラウドワークス取締役)、藤本ひかり(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「クラウド事業」単一セグメントですが、提供するサービスの内容により以下の区分で事業を展開しています。

(1) クラウドインテグレーション


企業の基幹業務系システムなどをオンプレミス環境からクラウド環境へ移行する際の、基盤デザイン、構築、アプリケーション開発を提供しています。顧客のビジネス目標設定や移行計画策定などのコンサルティングも行っています。

主な収益源は、コンサルティングやシステム構築等の役務提供対価であり、顧客の検収時に売上が計上されるフロー型ビジネスです。運営は主にサーバーワークスおよびG-genが行っています。

(2) リセール


AWSおよびGoogle Cloudの再販売を行っています。顧客は同社経由でクラウドを利用することで、請求代行サービスや運用自動化サービス「Cloud Automator」などの付加価値を利用できます。

収益源は、顧客企業からのクラウド利用料および手数料です。利用時間・期間に応じた従量課金やサブスクリプション型のストックビジネスとして位置づけられています。運営はサーバーワークスおよびG-genが行っています。

(3) MSP(マネージドサービスプロバイダー)


顧客がクラウド上に展開した仮想サーバーやネットワークの監視・運用・保守等を請け負うサービスです。24時間365日体制での監視や障害対応、バックアップ運用などを提供しています。

収益源は、運用代行や保守にかかる利用料であり、継続的な売上が見込めるストック型ビジネスです。運営はサーバーワークス、G-gen、および持分法適用関連会社の富士フイルムクラウド等が行っています。

(4) その他


主にAWSおよびGoogle Cloud上で稼働する特定の顧客企業のサービスにおけるシステム運用等を行っています。

収益源はシステム運用業務の対価です。運営は主にサーバーワークスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2022年2月期から2025年2月期までの業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、特に直近では大幅な増収を達成しています。利益面でも経常利益、当期利益ともに増加基調を維持しており、事業規模の拡大とともに利益成長も実現しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 109億円 173億円 275億円 357億円
経常利益 7億円 6億円 10億円 11億円
利益率(%) 6.0% 3.6% 3.8% 3.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 5億円 6億円 7億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。営業利益も増加していますが、人件費等の増加により営業利益率はやや低下しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 275億円 357億円
売上総利益 35億円 41億円
売上総利益率(%) 12.9% 11.5%
営業利益 9億円 11億円
営業利益率(%) 3.3% 3.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が12億円(構成比40%)、業務委託費が3億円(同10%)を占めています。売上原価においては、リセール事業に伴う仕入高が大きな割合を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、製品・サービス区分別の売上高を見ると、リセール事業が最も大きく寄与しており、次いでクラウドインテグレーション、MSPと続いています。全区分で増収となっており、特にリセールとクラウドインテグレーションの伸びが顕著です。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
クラウドインテグレーション 18億円 23億円
リセール 242億円 318億円
MSP 15億円 17億円
その他 0.1億円 0.1億円
連結(合計) 275億円 357億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、運転資金需要の主なものはリセールにおける仕入や営業費用によるものであり、投資を目的とした資金需要は設備投資やソフトウェア開発、投資有価証券の取得等によるものであると分析しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務や契約負債の増加、税金等調整前当期純利益等により収入があったものの、売上債権や前渡金の増加、法人税等の支払い等により、前連結会計年度と比較して減少しました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券や投資有価証券、関係会社株式の取得による支出が増加したため、前連結会計年度よりも使用額が増加しました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、非支配株主からの払込みや株式発行による収入があったものの、子会社株式の取得や短期借入金の返済による支出があったため、前連結会計年度の収入から一転して使用となりました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 17億円 9億円
投資CF -4億円 -15億円
財務CF 1億円 -2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「クラウドで 世界をもっと はたらきやすく」というビジョンを掲げています。クラウド基盤構築技術の知見と実績を活かし、高度な技術力と顧客視点のサポートを提供することで、顧客のみならず自社においても魅力的な就労環境の整備と生産性の改善を実現し、企業価値向上に貢献することを基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は、常に変化する経営環境や市場動向に的確に対処しながら事業展開を進める文化を持っています。また、法令や規則を守るコンプライアンスの遵守にとどまらず、ステークホルダーの声を活動に活かし、クラウドを活用した持続可能な社会の実現に取り組む姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は成長市場であるクラウド業界において、優秀な人材の確保を最重要課題とし、またAWSとの戦略的協業契約推進のための先行投資を行うため、短期的には利益率よりも売上高や利益額という絶対額の増大を重要な経営指標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、既存顧客との長期的な関係構築によるストック型ビジネスの強化、およびマネージドセキュリティサービスや生成AIなどの新領域への進出を成長戦略としています。また、M&Aやアライアンスを活用したケイパビリティの強化や、北米・APAC市場を見据えたグローバル展開も視野に入れています。

* AWSとの戦略的協業契約に基づくエンタープライズ支援、SMBのDX推進、コンタクトセンター構築、デジタル人材強化
* 自社サービス「Cloud Automator」の機能強化による差別化
* Google Cloud事業との連携によるマルチクラウド対応の推進

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、技術者不足が深刻なクラウド業界において、優秀な人材の確保と育成を最重要課題と位置づけています。リモートワークや時短勤務など多様な働き方を推進し、ワークライフ・バランスの実現を図ることで人材獲得を目指しています。また、AWS認定資格の取得補助やCCoE(Cloud Center of Excellence)組織の設立などを通じ、ハイスキルエンジニアの育成を強化しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 36.6歳 3.1年 7,698,165円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 17.9%
男性労働者の育児休業取得率 54.5%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 83.2%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 85.2%
労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) 20.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(6.8%)、AWS認定資格保有数(1,288)、エンゲージメントスコア(AAA)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) クラウド市場の動向


同社グループが事業を展開するクラウド市場は急速に成長していますが、経済情勢や景気動向の悪化により企業の情報化投資が低迷した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同社はリセールやMSP等のストックビジネスを拡大し、収益基盤の強化に努めています。

(2) 製品・サービスの関連性


クラウドインテグレーション(導入支援)は、その後のリセールやMSPサービスの獲得につながる重要な入り口です。そのため、導入案件の獲得が困難になった場合、フロー売上の減少だけでなく、ストック売上の成長も鈍化し、経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) AWS及びGoogleへの依存


同社グループの事業はAWSおよびGoogle Cloudのソリューション販売を主軸としており、これらの市場拡大に大きく依存しています。パブリッククラウド市場全体の縮小や、プラットフォーマーの方針変更があった場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) Amazon Web Services, Inc.との契約


AWSリセール事業はAmazon Web Services, Inc.との契約に基づいています。現時点では良好な関係にありますが、万が一契約が解除された場合、同社グループの事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。同社は継続して良好な関係維持に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。