ベルシステム24ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ベルシステム24ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のベルシステム24ホールディングスは、コンタクトセンター運営を中心とするCRM事業を主力としています。2025年2月期の連結業績は、国策関連業務の縮小などにより減収となったものの、コストコントロールや子会社株式売却益の計上により、親会社の所有者に帰属する当期利益は増益となりました。


※本記事は、株式会社ベルシステム24ホールディングス の有価証券報告書(第11期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. ベルシステム24ホールディングスってどんな会社?

CRM事業(コンタクトセンター業務)を中核に、人と技術を融合したアウトソーシングサービスを展開しています。

(1) 会社概要

1982年に前身となるベルシステム二四が設立され、テレマーケティング事業を開始しました。2014年に持株会社体制へ移行し、伊藤忠商事が資本参加しました。その後、2015年に東証一部(現プライム)へ上場を果たしています。2017年には凸版印刷(現TOPPAN)と資本業務提携を行いました。

現在、グループ連結の従業員数は2,672名、単体では220名です。筆頭株主は総合商社の伊藤忠商事で、第2位は印刷大手のTOPPANです。両社とは資本業務提携を結んでおり、強固なパートナーシップのもとで事業を展開しています。

氏名 持株比率
伊藤忠商事 40.72%
TOPPAN 14.33%
日本カストディ銀行(信託口) 12.79%

(2) 経営陣

同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は27.3%です。代表取締役社長執行役員CEOは梶原浩氏です。取締役8名のうち5名が社外取締役であり、経営の透明性を高めています。

氏名 役職 主な経歴
梶原 浩 代表取締役社長執行役員CEO 1990年伊藤忠商事入社。情報・通信部門長などを歴任し、2024年4月より現職。
辻 豊久 取締役常務執行役員 1989年伊藤忠商事入社。グループ会社の社長を経て、2021年3月より現職。
呉 岳彦 取締役常務執行役員 1997年旧ベルシステム24入社。COOなどを経て、2022年5月より現職。


社外取締役は、堀内真人(伊藤忠商事執行役員)、梅川健児(TOPPAN執行役員)、石坂信也(ゴルフダイジェスト・オンライン社長)、鶴巻暁(弁護士)、高橋真木子(金沢工業大学大学院教授)です。

2. 事業内容

同社グループは、「CRM事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) CRM事業

クライアント企業に対し、電話やWeb、SNS等を活用したコンタクトセンター業務(カスタマーサポート、セールスサポート等)や、経理・人事等のBPO業務を提供しています。顧客は多岐にわたる業界の企業です。

収益は、クライアント企業から受け取る業務委託料等から構成されています。運営は主に中核子会社であるベルシステム24や、スカパー・カスタマーリレーションズ、BELLSYSTEM24 VIETNAM Inc.などが行っています。

(2) その他

一般消費者向けの月額課金によるコンテンツ販売や、事業者向けの気象予報コンテンツ販売などを行っています。また、特例子会社によるグループ内の総務業務受託なども含まれます。

収益は、モバイル・PC等を通じたコンテンツ利用者からの利用料や事業者からの対価などです。運営はベルシステム24(コンテンツ事業)や、障がい者雇用を促進する特例子会社のベル・ソレイユが行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

2025年2月期までの5期間を見ると、売上収益は2023年2月期をピークに減少傾向にあります。これはコロナ関連の国策業務の縮小などが影響しています。一方、利益面では、税引前利益は110億円台から140億円台で推移しており、当期利益は70億円から90億円の間で安定的に推移しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上収益 1,357億円 1,465億円 1,561億円 1,487億円 1,436億円
税引前利益 113億円 135億円 142億円 112億円 112億円
利益率(%) 8.3% 9.2% 9.1% 7.5% 7.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 73億円 89億円 93億円 75億円 80億円

(2) 損益計算書

直近2期間を比較すると、売上収益は減少しましたが、営業利益は微増しています。これは、収益性の高い案件の終了による減収影響があったものの、販管費の抑制や子会社株式売却益の計上などが寄与したためです。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上収益 1,487億円 1,436億円
売上総利益 271億円 254億円
売上総利益率(%) 18.2% 17.7%
営業利益 115億円 116億円
営業利益率(%) 7.7% 8.1%


売上原価のうち、従業員給付費用が837億円(構成比71%)、外注費が181億円(同15%)を占めています。販売費及び一般管理費では、従業員給付費用が77億円(構成比48%)、減価償却費及び償却費が25億円(同16%)となっています。

(3) セグメント収益

CRM事業は、コロナ等国策関連業務の縮小により減収となりましたが、販管費の抑制や子会社株式売却益により増益となりました。その他事業は、コンテンツ販売収入の減少とのれんの減損損失計上により減収減益(損失)となりました。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
CRM事業 1,481億円 1,432億円 110億円 121億円 8.4%
その他 9億円 7億円 2億円 -9億円 -117.0%
調整額 -3億円 -3億円 -億円 -億円 -%
連結(合計) 1,487億円 1,436億円 112億円 112億円 7.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ベルシステム24ホールディングスは、営業活動により潤沢な資金を確保し、事業運営の基盤を強化しています。投資活動では、将来の成長に向けた設備投資や資産取得を進めました。財務活動では、借入金の返済や配当金の支払いを行い、財務基盤の安定化を図っています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 136億円 174億円
投資CF -31億円 -37億円
財務CF -103億円 -139億円

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、「イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える」という企業理念(PURPOSE)を掲げています。この理念の下、顧客に最適なソリューションを提供し、新たなビジネス価値を創造するとともに、持続可能で健全な成長を目指しています。

(2) 企業文化

同社は、パーパスの下、コーポレートボイスとして「その声に、どうこたえるか。」を策定し、これを体現する取り組みを推進しています。社会課題や顧客の声に真摯に向き合い、誠実に応えていく姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標

「中期経営計画2025」では、「①人材(総力4万人の最大活躍)」「②型化(データ活用の高度化)」「③共創(NEW BPOの領域開拓)」の3つを重点施策として掲げています。多様な人材が活躍できる環境整備や、生成AI等の新技術活用による価値創造、パートナー企業との連携による新領域開拓を推進しています。

(4) 成長戦略と重点施策

生産年齢人口の減少に伴う人材不足を背景とした外注化ニーズを取り込み、クライアント企業数の拡大を目指しています。また、生成AIを活用した「次世代コンタクトセンター」の開発を推進し、自動化と有人対応のハイブリッド化による生産性向上とコスト低減を図ります。さらに、蓄積したナレッジをマーケティング支援に活用し、新たな付加価値創出に取り組みます。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

「"プロフェッショナル"が集う、"働きがい"のある職場の実現」を人的資本戦略として掲げ、働く「人」と「環境」への積極投資を行っています。多様な人材が長期にわたり活躍できるよう、ダイバーシティ推進や健康経営、キャリア形成支援、柔軟な働き方の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 45.7歳 14.5年 6,733,562円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 24.8%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 75.4%
男女賃金差異(正規雇用) 81.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 96.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役員比率(18.2%)、障がい者雇用率(3.42%)、勤務地限定型社員数(348名)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人材の確保・育成

労働集約型の事業であるため、オペレーター等の人材確保と定着が重要です。採用難や人材流出が生じた場合、事業成長や業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、多様な働き方の推進や処遇改善、健康経営などの施策で対応しています。

(2) 情報セキュリティ

クライアント企業から預託された個人情報をはじめとする機密情報を多数取り扱っています。情報漏洩や改ざん、サイバー攻撃等によるシステム停止が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜により、業績に重大な影響を与える可能性があります。専門組織の設置や教育等で対策を講じています。

(3) 技術革新と競争激化

生成AI等の技術革新により、電話対応ニーズの減少や競合他社との競争激化が予想されます。技術対応の遅れや優位性の低下は事業成長を阻害するリスクがあります。同社は生成AIを活用した次世代コンタクトセンターの開発や高付加価値サービスの提供により、差別化を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。