ヨシムラ・フード・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヨシムラ・フード・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。食品製造・販売を行う中小企業の支援・活性化を目的とした持株会社です。「中小企業支援プラットフォーム」を通じ、M&Aでグループ化した企業の再生・成長を支援しています。直近の業績は、売上高581億円、経常利益43億円と増収増益で、過去最高益を更新しています。


※本記事は、株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス の有価証券報告書(第17期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヨシムラ・フード・ホールディングスってどんな会社?


食品の製造・販売を行う中小企業のM&Aと再生支援を行い、独自の「中小企業支援プラットフォーム」を展開する企業です。

(1) 会社概要


2008年に設立され、2016年に東証マザーズへ上場、2017年には東証一部へ市場変更しました。楽陽食品や白石興産などを子会社化し事業を拡大する一方、2019年にはシンガポールに統括会社を設立し海外展開を加速させました。2022年の東証プライム市場移行後も、2023年にマルキチやワイエスフーズを子会社化するなど、積極的なM&Aを継続しています。

連結従業員数は913名、単体では27名です。筆頭株主は代表取締役CEOの吉村元久氏で、第2位は同氏の資産管理会社であるエムワイです。第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
吉村 元久 29.12%
エムワイ 7.97%
日本カストディ銀行(信託口) 7.53%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表者は代表取締役CEOの吉村元久氏で、社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
吉村 元久 代表取締役CEO 大和証券、モルガン・スタンレー証券を経て、2008年に同社を設立し代表取締役CEOに就任。以来、トップとしてグループ全体の経営戦略を牽引し現職。
安東 俊 取締役CFO YKK、りそなキャピタルを経て2008年に同社入社。執行役員経営企画室長などを歴任し、2012年より現職。財務戦略を統括する。
河野 彰範 取締役 キョーエイ産業常務取締役を経て2008年に同社入社。執行役員として内部統制室長、経営企画室長、管理本部長などを歴任し、2023年より現職。


社外取締役は、高田素行(元日東工器社長)、大竹博幸(元古河電気工業シニア・フェロー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「製造事業」、「販売事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 製造事業


国内およびシンガポール、マレーシアで食品や厨房機器等の製造を行っています。国内ではシウマイ、乾麺、日本酒、ピーナッツバター、水産加工品(ホタテ、サケ等)など多岐にわたる製品を製造し、海外では寿司やおにぎり等を展開しています。M&Aにより多様な中小食品メーカーが参画しています。

収益は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、飲食店、商社等への製品販売代金です。運営は楽陽食品、白石興産、桜顔酒造、マルキチ、ワイエスフーズ、JSTT SINGAPORE PTE. LTD.など、国内外の多数のグループ製造子会社が行っています。

(2) 販売事業


国内およびシンガポールにおいて、食品の卸売や企画販売を行っています。国内では業務用食材の企画・販売や生協向けの冷凍食品販売などを展開し、海外では高品質な冷凍水産品や加工品の仕入れ・卸売を手掛けています。

収益は、産業給食、外食産業、生協、スーパーマーケット等への商品販売代金です。運営は主にヨシムラ・フード、ジョイ・ダイニング・プロダクツ、SIN HIN FROZEN FOOD PRIVATE LIMITEDなどが行っています。

(3) その他事業


シンガポールにおける不動産の賃貸・管理事業や、日本国内における地域資源の再発掘・プロデュースを行うマーケティング事業を展開しています。食品工場兼倉庫の賃貸や、地域の「食」や「文化」に焦点を当てたブランディング支援などを行っています。

収益は不動産賃貸料やマーケティング支援サービス料などです。運営はシンガポールのSHARIKAT NATIONAL FOOD PTE. LTD.および国内のONESTORYが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は5期連続で増加傾向にあり、特に直近2期はM&Aの効果等により規模が大きく拡大しています。経常利益も売上の伸長に伴い増加基調を維持しており、利益率も改善傾向にあります。当期純利益については一時的な変動が見られるものの、全体として成長トレンドにあります。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 293億円 293億円 349億円 498億円 581億円
経常利益 8億円 10億円 13億円 30億円 43億円
利益率(%) 2.7% 3.4% 3.8% 6.0% 7.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 5億円 6億円 10億円 19億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高の増加に伴い売上総利益、営業利益ともに大きく伸長しました。特に営業利益率は改善しており、収益性が向上しています。販売費及び一般管理費も増加していますが、売上成長がそれを上回るペースで推移しており、本業の稼ぐ力が強化されています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 498億円 581億円
売上総利益 103億円 133億円
売上総利益率(%) 20.7% 22.9%
営業利益 24億円 42億円
営業利益率(%) 4.8% 7.2%


販売費及び一般管理費のうち、その他経費が54億円(構成比59%)、給料及び手当が19億円(同21%)を占めています。売上原価は448億円で、売上高に対する原価率は77.1%となっています。

(3) セグメント収益


製造事業は、国内でのホタテ貝柱の販売単価上昇や新規グループ化企業の貢献等により、大幅な増収増益となりました。販売事業も海外でのホタテ販売が好調に推移し増収増益です。その他事業は減収減益となりましたが、全体としては主力事業の好調が業績を牽引しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
製造事業 399億円 476億円 26億円 43億円 9.1%
販売事業 93億円 100億円 5億円 6億円 5.9%
その他事業 6億円 5億円 0.2億円 -0.7億円 -15.0%
調整額 -13億円 -16億円 -8億円 -7億円 -
連結(合計) 498億円 581億円 24億円 42億円 7.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ヨシムラ・フード・ホールディングスは、営業活動で得た資金を増加させ、投資活動では事業拡大に向けた投資も行っています。財務活動では、借入と返済をバランス良く実行し、期末の資金は増加しました。製造事業の生産高は前年比で増加しており、販売事業やその他事業も含めた全体の販売高も堅調に推移しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 58億円 66億円
投資CF -45億円 -8億円
財務CF 23億円 -30億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、ミッションとして「いつまでも、この“おいしい”を楽しめる社会へ」を掲げ、多様で高品質な食を自由に楽しめる社会を目指しています。また、ビジョンとして「地域の“おいしい”を守り、育て、世界へ」を掲げ、独自の目利き力と支援機能で、地域の名産品を世界へ届けるグローバルプロデューサーになることを使命としています。

(2) 企業文化


同社グループは、「あなた“らしさ”を大切にします」というバリューのもと、性別・年齢・国籍等にとらわれない多様な人材の確保と、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境整備を重視しています。多様性が中長期的な成長につながると考え、働きがいのある環境づくりに取り組む風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社は、「いつまでも、この“おいしい”を楽しめる社会へ」というミッションの下、中長期的な企業価値向上と持続的な成長の実現を目指しています。具体的な数値目標としてのKPI等は記載されていませんが、M&Aによるグループ企業の増加やプラットフォームの強化等を通じた成長を計画しています。

(4) 成長戦略と重点施策


事業承継問題や成長に課題を抱える企業をM&Aにより子会社化し、「中小企業支援プラットフォーム」を活用した経営支援でグループ全体の成長を図る方針です。また、専門人材の採用やパートナーとの提携によるプラットフォーム機能の強化、海外販路の構築による海外事業の推進にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、中途採用や定年退職者の再雇用を含め、スキルや能力に基づいた多様な人材の採用を推進しています。また、組織力向上に向けた適切な人員配置や、次世代の子会社経営人材を育成する仕組みの構築を進めることで、人的資本の向上と永続的な事業発展を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 44.8歳 5.6年 8,438,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(17.9%)、男女の平均勤続年数の差異(88.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人口動態の変化と国内市場の縮小


少子高齢化による人口減少と高齢化が進行し、国内市場の縮小が懸念されます。特に地方に拠点をおく子会社への影響が考えられますが、同社は全国的な販路活用や高齢者向け商品開発で対応を進めています。この傾向がさらに顕著になった場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 食品の安全性と品質管理


食品製造・販売を行うため、食の安全は最重要課題です。衛生管理や品質管理を徹底していますが、予期せぬ食中毒や異物混入等の問題が発生した場合、製品回収やブランドイメージの低下、損害賠償請求等により、業績や財政状態に重大な影響を与える可能性があります。

(3) 原材料価格の変動と調達リスク


原材料や商品を海外から調達しているため、為替変動や異常気象、紛争等による仕入価格の高騰リスクがあります。また、カキやホタテなどの特定品目については特定の仕入先に依存しており、自然災害や仕入先の経営状況悪化等により調達困難となった場合、生産・販売活動に支障をきたす恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。