ヨシムラ・フード・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヨシムラ・フード・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヨシムラ・フード・ホールディングスは東京証券取引所プライム市場に上場し、食品の製造・販売を行う中小企業の支援・活性化を目的に、持株会社として経営戦略の立案や各機能の支援を行う企業です。直近の業績トレンドは、ホタテ関連事業の反動減や原材料高等の影響により微減収、大幅な減益となっています。


※本記事は、株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングスの有価証券報告書(第18期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヨシムラ・フード・ホールディングスってどんな会社?


同社は食品の製造・販売を手掛ける中小企業を支援し、相互に補完・成長するプラットフォームを展開しています。

(1) 会社概要


2008年3月、中小企業の支援・活性化を目的としてエルパートナーズを設立。2008年8月にレバレッジパートナーズへ商号変更後、2009年8月にヨシムラ・フード・ホールディングスへ商号変更しました。その後、積極的なM&Aにより食品製造・販売企業を次々と子会社化し、2016年3月に東証マザーズへ上場しています。

従業員数は連結で985名、単体で29名です。筆頭株主は創業者の吉村元久氏で、第2位は信託業務を行う日本カストディ銀行、第3位は吉村氏の資産管理会社であるMYとなっています。

氏名 持株比率
吉村 元久 29.20%
日本カストディ銀行(信託口) 10.41%
MY 7.96%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役CEOは吉村元久氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
吉村 元久 代表取締役CEO 1988年に大和証券に入社。1997年にモルガン・スタンレー証券に入社し、2008年にヨシムラ・フード・ホールディングスを設立し代表取締役CEOに就任。以降、同社を牽引し現在に至る。
安東 俊 取締役CFO 2002年にYKKに入社。2007年にりそなキャピタルに入社し、2008年にヨシムラ・フード・ホールディングスに入社。執行役員経営企画室長を経て、2012年より取締役CFOに就任。
河野 彰範 取締役 1992年にキョーエイ産業に入社し、常務取締役経営企画室長などを歴任。2008年にヨシムラ・フード・ホールディングスに入社。執行役員経営企画室長などを経て、2023年より取締役に就任。


社外取締役は、平野和俊(税理士法人UAP代表社員)、八木信行(東京大学特命教授室特命教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「製造事業」「販売事業」および「その他事業」を展開しています。

製造事業


国内外で独自の食品や厨房機器等を製造し、スーパーマーケットや飲食店等へ販売しています。水産物などは輸出企業を通じて欧米やアジアなどの海外へも展開し、高い品質と多様なラインアップを提供しています。

製品の販売代金を収益源としています。運営は楽陽食品やオーブン、ワイエスフーズなどの多数の子会社がそれぞれの強みを活かして行っています。

販売事業


消費者のニーズを捉えた業務用食材や冷凍食品などを企画・開発し、産業給食や生活協同組合、スーパーマーケット等へ直接販売しています。海外ではアジアの有力企業から水産品を仕入れ、卸売や小売店へ販売しています。

商品企画および卸売等による販売代金を収益源としています。運営はヨシムラ・フードやジョイ・ダイニング・プロダクツ、ワイエス海商などが担っています。

その他事業


食品工場兼低温倉庫の所有による不動産賃貸・管理事業や、地域の食や文化を再発掘・再編集してプロデュースするマーケティング事業を展開しています。

不動産の賃貸料やマーケティング支援サービスに対する対価を収益源としています。運営はSHARIKAT NATIONAL FOOD PTE. LTD.やONESTORYが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は事業基盤の拡大により順調に増加を続け、2025年2月期には581億円に達しましたが、直近では微減となっています。経常利益も成長に伴い増加傾向にありましたが、直近は原材料価格の高騰やホタテ関連事業の反動減等により、利益水準が低下しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 293億円 349億円 498億円 581億円 575億円
経常利益 10億円 13億円 30億円 43億円 17億円
利益率(%) 3.4% 3.8% 6.0% 7.3% 2.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 3億円 2億円 -2億円 0.3億円

(2) 損益計算書


売上高は横ばい圏内で推移しているものの、売上総利益率および営業利益率はともに低下しています。これは原材料価格の高騰や仕入コストの上昇圧力が継続していることが主な要因です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 581億円 575億円
売上総利益 133億円 113億円
売上総利益率(%) 22.9% 19.7%
営業利益 42億円 16億円
営業利益率(%) 7.2% 2.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が2億円(構成比26%)、支払報酬が2億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、主力の製造事業は非ホタテ関連事業の堅調な推移などにより前年並みを維持しています。一方、販売事業は仕入価格の高騰や海外向けの販売低迷により減収となり、その他事業も減収となっています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
製造事業 476億円 477億円
販売事業 100億円 95億円
その他事業 5億円 3億円
連結(合計) 581億円 575億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は本業が赤字でキャッシュ・フローもマイナスですが、借入等によって資金を調達し、将来の成長に向けた積極的な投資を継続する「勝負型」の局面にあると判定できます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 66億円 -25億円
投資CF -8億円 -20億円
財務CF -30億円 16億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.8%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も20.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、目指す社会像(ミッション)として「いつまでも、この“おいしい”を楽しめる社会へ」を掲げています。世界中の人々が多種多様で高品質な“おいしい”を自由に選択・享受できる社会の実現を目指しており、グループが果たす役割(ビジョン)を「地域の“おいしい”を守り、育て、世界へ」と定めています。

(2) 企業文化


同社は「あなた“らしさ”を大切にします」というバリューを掲げ、性別や年齢、国籍などに関わらず多様な人材が能力を最大限に発揮できる組織づくりを推進しています。また、企業倫理と法令遵守の徹底を経営の根幹に据え、透明性および健全性の高い企業運営体制の維持・向上に努める文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、気候変動対応におけるCO2排出量削減の中長期目標を数値で定めています。事業による直接排出(Scope1)および電力消費による間接排出(Scope2)について、2031年2月期までに2025年2月期比で25%以上削減することを目標としており、さらに2051年2月期までにカーボンニュートラルを達成することを目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は中長期的な企業価値向上に向け、M&Aによるグループ拡大と「中小企業支援プラットフォーム」の強化に注力しています。後継者問題などを抱える企業をグループ化し、販路や商品開発ノウハウを共有して相乗的な成長を図ります。また、海外市場への展開や内部統制の強化、多様な手法を用いた優秀な人材の獲得も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、中長期的な企業価値向上に多様な人材の確保と育成が不可欠であると認識し、各分野のスペシャリストを中心とした積極的な採用活動を展開しています。適正な評価に基づく人員配置や次世代経営人材の育成を進めるとともに、教育・研修制度の充実を通じて、従業員一人ひとりが働きがいを感じられる環境整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 46.6歳 6.6年 9,112,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 18.5%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制等の影響


食品衛生法や製造物責任法、工場における各種の環境規制など様々な法的規制を受けています。法令遵守に万全を期していますが、予期せぬ法令違反の発生や将来的な法令改正、新たな規制の導入が行われた場合、事業活動が制限され、同社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) ビジネスモデルに関するリスク


子会社の成長を通じてグループ全体の成長を実現するビジネスモデルを採用しているため、各子会社の業績変動が全体の業績に大きく影響します。また、M&Aに伴うキャッシュ・フローの変動や、買収後に想定した事業計画が計画通りに進捗せず、のれんの減損等が発生するリスクも存在します。

(3) 情報システムに関するリスク


販売や購買、生産などの業務情報や通信販売の顧客情報をシステムで管理しています。サイバー攻撃や不正アクセス、予期せぬトラブルによりシステムが停止し、重要な情報が漏洩や消失した場合、社会的信用の失墜を招き、同社グループの業績および財務状態に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 為替変動リスク


原材料や商品の多くを直接的または間接的に海外から調達しているため、為替相場の急激な変動により仕入価格が高騰した場合、販売価格への転嫁が遅れるリスクがあります。また、在外子会社の外貨建財務諸表の円換算時や外貨建取引においても為替相場の変動が影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。