※本記事は、アレンザホールディングス株式会社の有価証券報告書(第10期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アレンザホールディングスってどんな会社?
ダイユーエイトやタイムなどのホームセンターおよびペットショップを多店舗展開する流通グループです。
■(1) 会社概要
同社は2016年にダイユーエイトとリックコーポレーション(現タイム)の経営統合により、完全親会社として設立された持株会社です。2017年にはペット専門店事業を開始し、2019年にはホームセンターバローを完全子会社化するとともに現在の社名に変更しました。2026年にはコーナン商事と資本業務提携を締結しています。
従業員数は連結で1,875名、単体で42名の体制です。筆頭株主は事業会社として資本関係にあるバローホールディングスで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位は代表取締役の関連会社であるアサクラ・HDとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| バローホールディングス | 50.62% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 4.20% |
| アサクラ・HD | 3.46% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役会長兼CEOは浅倉俊一氏、代表取締役社長は和賀登盛作氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 浅倉俊一 | 代表取締役会長兼CEO | ダイユーエイト代表取締役社長などを経て、2023年5月より現職。 |
| 和賀登盛作 | 代表取締役社長兼流通技術本部長 | バローのHC営業部長、ホームセンターバロー代表取締役社長などを経て、2024年10月より現職。 |
| 吉原重治 | 常務取締役 | リックコーポレーション(現タイム)専務取締役などを経て、2025年5月より現職。 |
| 中村友秀 | 取締役内部統制委員長 | リックコーポレーション常務取締役、アミーゴ代表取締役社長などを経て、2025年5月より現職。 |
| 伊藤和哉 | 取締役経営戦略室長兼管理部門管掌 | ダイユーエイト経営企画室長などを経て、2025年5月より現職。 |
| 田代正美 | 取締役 | バローホールディングス代表取締役会長兼CEOなどを経て、2019年4月より現職。 |
社外取締役は、梅津茂巳(元東邦銀行取締役)、鈴木和郎(元EY新日本有限責任監査法人社員)、太田絢子(弁護士)、鉢村健(元日本銀行神戸支店長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ダイユーエイト」「タイム」「ホームセンターバロー」「アミーゴ」および「その他」事業を展開しています。
■ダイユーエイト
ホームセンターダイユーエイトを運営し、園芸、農業資材などのホームニーズ商品や家庭用除草剤等の季節商品を提供しています。一般消費者およびプロの職人を主な顧客とし、福島県を中心に展開しています。
収益源は、店舗およびECサイトでの商品販売による売上です。運営主体はダイユーエイトです。
■タイム
ホームセンタータイムを運営し、園芸や農業資材部門を主力に、収穫用品や自社生産植物などを提供しています。岡山県を中心に、一般消費者および農業従事者へ向けた商品展開を行っています。
収益源は、店舗での商品販売による売上です。運営主体はタイムです。
■ホームセンターバロー
ホームセンターバローを運営し、花苗や野菜苗、防災用品、プロ向け資材、介護関連用品など幅広い商品を提供しています。一般消費者および法人を顧客とし、東海地方を中心に店舗展開しています。
収益源は、店舗およびECサイトでの商品販売による売上です。運営主体はホームセンターバローです。
■アミーゴ
ペットワールドアミーゴ、ペットフォレスト、ジョーカーを運営し、犬用フード、生体、アクア用品などのペット関連商品を提供しています。さらにトリミングなどのサービスも展開し、全国のペット飼育者を顧客としています。
収益源は、商品の販売およびトリミングなどのサービス提供による売上です。運営主体はアミーゴです。
■その他
ホームセンターハッピーやスーパーセンタートラストの運営のほか、輸入卸売事業、農産物の生産直売、住宅リフォーム事業などを展開しています。多様なニーズに応える事業群です。
商品の販売、卸売、サービス提供による収益を得ています。運営は、日敷、アレンザ・ジャパン、アグリ元気岡山、ダイユーエイトリフォームサービスセンターなどが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は1500億円前後で安定して推移しています。経常利益は2025年2月期まで減少傾向にありましたが、直近の2026年2月期には利益率の改善や経費削減効果により増益に転じ、経常利益率は3.0%に回復しています。全体として底堅い業績を維持しています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1569億円 | 1492億円 | 1497億円 | 1533億円 | 1506億円 |
| 経常利益 | 68億円 | 59億円 | 46億円 | 40億円 | 46億円 |
| 利益率(%) | 4.4% | 4.0% | 3.1% | 2.6% | 3.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 41億円 | 27億円 | 24億円 | 21億円 | 25億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少したものの、商品の利益率改善等により売上総利益は増加しています。それに伴い、営業利益および営業利益率も前期を上回る結果となり、収益性の向上が確認できます。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1533億円 | 1506億円 |
| 売上総利益 | 510億円 | 529億円 |
| 売上総利益率(%) | 33.3% | 35.1% |
| 営業利益 | 35億円 | 41億円 |
| 営業利益率(%) | 2.3% | 2.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が181億円(構成比34%)、不動産賃借料が102億円(同19%)を占めています。売上原価は932億円であり、売上原価率は64%となっています。
■(3) セグメント収益
主力のホームセンターバローは消費者の節約志向等により売上高が減少したものの、増益を確保しています。ダイユーエイトはコストコントロールが奏功し利益が大幅に改善しました。一方、アミーゴは新規出店費用等の影響により減益となりました。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益(2026年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ダイユーエイト | 461億円 | 455億円 | 6億円 | 16億円 | 3.5% |
| タイム | 158億円 | 151億円 | 1億円 | 2億円 | 1.3% |
| ホームセンターバロー | 582億円 | 547億円 | 19億円 | 20億円 | 3.7% |
| アミーゴ | 255億円 | 289億円 | 10億円 | 4億円 | 1.4% |
| その他 | 78億円 | 64億円 | 14億円 | 9億円 | 14.1% |
| 連結(合計) | 1533億円 | 1506億円 | 35億円 | 41億円 | 2.7% |
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 72億円 | 104億円 |
| 投資CF | -44億円 | -35億円 |
| 財務CF | -24億円 | -46億円 |
企業の財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は35.9%で市場平均を上回る一方、収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.1%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは「快適で豊かな暮らしの創造」を経営スローガンに掲げています。また、「全ては、お客様の喜びと満足のために行動します」「お客様視点での流通イノベーションを追求します」「強い団結力で、チャレンジする集団を築きます」という3つの経営理念を企業経営の礎とし、日々の事業活動を行っています。
■(2) 企業文化
同社は、経営理念を体現するための行動規範として、「お客様第一主義」「地域社会への貢献」「チャレンジ精神」「チームワーク」を定めています。既成概念にとらわれずに新たなイノベーションに挑戦し、コミュニケーションを活発化させて共通の目標に向かって力を結集する文化を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、持続的な成長基盤を確立するための長期的な経営目標として、以下の数値を掲げています。また、ペットショップ事業では「Challenge500」をキーワードとし、2030年に売上高日本一を目指しています。
* 営業収益:3000億円
* 経常利益率:5.0%
* ROE:10.0%
* アミーゴ売上高:500億円(2030年)
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は「持続的成長への進化」をテーマに、コーナン商事とのシナジー最大化やスケールメリットの獲得を図ります。安定的な収益モデルの確立に向け、PB売上構成比30%以上を目指す収益構造改革のほか、AIを活用した業務効率化、データ活用によるお客様起点でのDX、サプライチェーン最適化に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人財の多様性を尊重し、すべての社員が能力を最大限発揮できる職場環境の整備を重視しています。性別や年齢、雇用形態にかかわらず均等な教育機会を提供しており、将来の経営を担う人財を育成する「次世代リーダー育成塾」や階層別研修、社内資格取得制度などを通じてキャリア形成を支援しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 41.8歳 | 3.7年 | 5,793,171円 |
※従業員数は提出会社単体の数値です。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.3% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 39.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 54.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 39.2% |
※表中の「-」は男性労働者の育児休業取得対象者がいないことを示します。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新規採用における女性比率(30%超)、目標とする女性管理職比率(15%以上)、目標とする障がい者雇用率(3.0%以上)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 出店に関するリスク
同社グループは積極的な店舗展開を進めていますが、経済情勢による出店用地確保の遅れや競合他社の動向により計画に影響が出る可能性があります。また、関連法令や条例等に伴う地元調整の長期化やコスト増により計画通りの出店が困難になるリスクがあります。
■(2) 市場環境と競争激化
同社グループは多様な商品を取り扱っており、同業他社だけでなく他業態との競合も激化しています。他社の新規出店や、消費者の節約志向・購買行動の変化等が生じた場合、来店客数や売上が減少し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 商品調達と価格変動
天災や海外情勢などの外的要因で仕入ルートに支障が生じたり、原材料価格や物流費が高騰した場合、適正な在庫維持が困難となるリスクがあります。また、PB商品において品質問題が発生した場合、損害賠償や信用失墜により業績や財務状況に影響が及ぶ可能性があります。



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