※本記事は、アレンザホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第9期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アレンザホールディングスってどんな会社?
同社グループは、ホームセンター事業とペットショップ事業を中核とし、東北・東海・中四国地方を中心に店舗展開を行う持株会社です。
■(1) 会社概要
2016年、ダイユーエイトとリックコーポレーション(現タイム)の経営統合により設立されました。2019年にホームセンターバローを完全子会社化し、商号をアレンザホールディングスに変更しました。2022年に東証プライム市場へ移行し、2024年にはグループ内のペットショップ事業をアミーゴに統合しました。
2025年2月末時点の連結従業員数は1,879名、単体では41名です。筆頭株主は親会社のバローホールディングスで、スーパーマーケット等を展開するバローグループの一員として経営管理を行っています。第2位は日本マスタートラスト信託銀行、第3位は資産管理会社のアサクラ・HDです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| バローホールディングス | 50.61% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 4.68% |
| アサクラ・HD | 3.46% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役会長兼CEOは浅倉俊一氏、代表取締役社長兼流通技術本部長は和賀登盛作氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 浅倉俊一 | 代表取締役会長兼CEO | 1976年アサクラ(現ダイユーエイト)設立社長。2016年同社社長。2023年より現職。 |
| 和賀登盛作 | 代表取締役社長兼流通技術本部長 | 2000年バロー入社。2015年ホームセンターバロー社長。2024年10月より現職。 |
| 吉原重治 | 常務取締役 | 2002年リックコーポレーション(現タイム)入社。2017年タイム社長。2025年5月より現職。 |
| 中村友秀 | 取締役内部統制委員長 | 1989年リックコーポレーション入社。2017年アミーゴ社長。2025年5月より現職。 |
| 伊藤和哉 | 取締役経営戦略室長兼管理部門管掌 | 2003年ダイユーエイト入社。2021年同社経営企画室長。2025年5月より現職。 |
| 田代正美 | 取締役 | 1977年バロー入社。2022年バローホールディングス会長兼CEO。2019年4月より現職。 |
| 宗形宏 | 取締役常勤監査等委員 | 1982年東邦銀行入行。2021年同社管理本部長。2024年5月より現職。 |
社外取締役は、梅津茂巳(元東邦銀行取締役)、鈴木和郎(元EY新日本有限責任監査法人社員)、太田絢子(弁護士)、鉢村健(元日本銀行神戸支店長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ダイユーエイト」「タイム」「ホームセンターバロー」「アミーゴ」および「その他」事業を展開しています。
**ダイユーエイト**
福島県を中心に東北・関東地方でホームセンター「ダイユーエイト」等を運営し、一般消費者やプロ顧客向けに住関連商品を提供しています。
商品販売による収益が主であり、運営は株式会社ダイユーエイトが行っています。
**タイム**
岡山県を中心に中四国地方でホームセンター「タイム」等を運営し、地域密着型の店舗展開を行っています。
商品販売による収益が主であり、運営は株式会社タイムが行っています。
**ホームセンターバロー**
岐阜県・愛知県など東海地方を中心にホームセンター「ホームセンターバロー」を運営しています。
商品販売による収益が主であり、運営は株式会社ホームセンターバローが行っています。
**アミーゴ**
全国でペットショップ「ペットワールドアミーゴ」等を運営し、生体販売やペット用品、トリミング等のサービスを提供しています。
商品販売およびサービス料収入が収益源であり、運営は株式会社アミーゴが行っています。
**その他**
上記報告セグメントに含まれない事業として、輸入卸売事業、農産物の生産・直売、リフォーム事業等を行っています。
運営は、株式会社アレンザ・ジャパン(卸売)、有限会社アグリ元気岡山(農園)、株式会社ダイユーエイトリフォームサービスセンター等が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上収益は1,500億円前後で安定的に推移していますが、利益面では減少傾向にあります。特に2021年2月期をピークに経常利益率は低下しており、物価高騰やコスト増の影響を受けていることがうかがえます。2025年2月期は増収ながらも減益となりました。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,574億円 | 1,569億円 | 1,492億円 | 1,497億円 | 1,533億円 |
| 経常利益 | 89億円 | 68億円 | 59億円 | 46億円 | 40億円 |
| 利益率(%) | 5.7% | 4.3% | 4.0% | 3.1% | 2.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 51億円 | 41億円 | 27億円 | 24億円 | 21億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業利益率は低下しました。売上総利益率は改善傾向にありますが、コスト上昇の影響を吸収しきれていない状況です。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,497億円 | 1,533億円 |
| 売上総利益 | 498億円 | 510億円 |
| 売上総利益率(%) | 33.3% | 33.3% |
| 営業利益 | 41億円 | 35億円 |
| 営業利益率(%) | 2.7% | 2.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が175億円(構成比34%)、その他が107億円(同21%)、不動産賃借料が101億円(同19%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のホームセンター事業は客数減少等の影響を受けましたが、EC事業の伸長や価格対応により増収を確保したセグメントもありました。一方、利益面ではコスト増により多くのセグメントで減益となりました。アミーゴ(ペット事業)は事業統合の効果もあり大幅な増収となりましたが、一時費用等により減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) | 利益(2024年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ダイユーエイト | 449億円 | 461億円 | 10億円 | 6億円 | 1.3% |
| タイム | 161億円 | 158億円 | -1億円 | 1億円 | 0.8% |
| ホームセンターバロー | 574億円 | 582億円 | 19億円 | 19億円 | 3.3% |
| アミーゴ | 214億円 | 255億円 | 12億円 | 10億円 | 4.1% |
| その他 | 99億円 | 78億円 | 18億円 | 14億円 | 17.8% |
| 調整額 | - | - | -16億円 | -14億円 | - |
| 連結(合計) | 1,497億円 | 1,533億円 | 41億円 | 35億円 | 2.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
アレンザホールディングスは、営業活動により潤沢な資金を生み出し、事業基盤の強化に努めています。営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から得られた利益や在庫の減少などにより、大きく増加しました。一方で、将来の成長に向けた設備投資や、事業拡大のための貸付などにより、投資活動では資金の支出が見られました。財務活動では、借入による資金調達と、その返済や配当金の支払いが行われました。これらの活動の結果、期末の現金及び現金同等物は増加しています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 39億円 | 72億円 |
| 投資CF | -35億円 | -44億円 |
| 財務CF | -3億円 | -24億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「快適で豊かな暮らしの創造」を経営スローガンに掲げています。このスローガンはグループ理念として全社員に共有され、企業経営の礎となっています。全てはお客様の喜びと満足のために行動し、お客様視点での流通イノベーションを追求することを理念としています。
■(2) 企業文化
行動規範として、「お客様第一主義」「地域社会への貢献」「チャレンジ精神」「チームワーク」を定めています。既成概念にとらわれず新たなイノベーションにチャレンジし、強い団結力で目標に向かう集団を築くことを重視しています。地域社会から支持され、信頼される企業グループを目指しています。
■(3) 経営計画・目標
中長期計画として、2030年2月期の目標を設定しています。ペットショップ事業では「Challenge500」をキーワードに、売上高500億円を目指しています。グループ全体としては「“Challenge3000”経営基盤の改革&強化」を掲げています。
* 営業収益:3,000億円
* 経常利益率:5.0%
* ROE:10.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
2026年2月期は、事業戦略・財務戦略・持続性戦略の3つに取り組みます。事業戦略では、メーカー帳合統一によるMD改革、AI活用によるDX改革、物流改革を推進します。また、PB商品比率20%の目標や、EC販売の拡大、M&Aによる事業領域拡大を目指しています。ペット事業では新規出店を加速させます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
次期経営人財の育成として、戦略立案できる人財の育成に努めるとともに、店舗サービスの向上のためにスペシャリストの育成を強化しています。多様な人財が活躍できる風土づくりとして、職場環境整備、女性管理職比率の向上、男女賃金格差の是正等にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 40.8歳 | 3.0年 | 4,760,321円 |
※従業員数は就業人員であり、平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。同社は持株会社であり、従業員数が少ない点に留意が必要です。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.5% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 47.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 69.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 46.0% |
※上記は提出会社(アレンザホールディングス単体)の数値です。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 出店に関するリスク
経済情勢の変動や競合各社の出店、法令・条例等の規制により、出店用地の確保が困難になったり、調整の長期化やコスト増が発生したりする可能性があります。計画通りの出店ができない場合、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 市場環境に関するリスク
多種多様な商品を取り扱っており、同業他社だけでなく他業態との競争も激化しています。競合各社の出店や顧客の購買行動の変化により、客数減少などが生じた場合、グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 商品調達と価格変動について
仕入ルートの支障や原材料価格の変動、海外情勢等により仕入価格が高騰した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、PB商品の多くを海外から調達しているため、物流等の問題で商品入手が困難になったり、不具合が発生した場合には、業績や信用に影響を与える可能性があります。



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