スタジオアタオ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタジオアタオ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタジオアタオは東京証券取引所グロース市場に上場し、「ATAO」などのオリジナルバッグや財布の企画・販売を手掛ける企業です。直営店舗とECを融合させるOMO施策を推進しています。直近の業績は、売上高が約41億円と増収となり、当期利益も増益を達成して順調な成長を続けています。


※本記事は、株式会社スタジオアタオの有価証券報告書(第22期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月21日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. スタジオアタオってどんな会社?


オリジナルバッグや財布の企画・販売を中心にキャラクター商品も展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は2005年2月に有限会社として設立され、2007年に株式会社へ改組されました。2016年に東京証券取引所マザーズへ上場し、その後グロース市場へ移行しています。主力ブランド「ATAO」をはじめ、「IANNE」「ILEMER」「StrawberryMe」を展開し、実店舗と直営ECサイトを連動させた販売戦略でブランド価値を確立してきました。

現在の従業員数は単体で62名です。大株主の構成は、筆頭株主が創業者の瀬尾訓弘氏となっており、第2位にはセブンオー、第3位には黒越誠治氏および九六が名を連ねています。

氏名 持株比率
瀬尾 訓弘 25.38%
セブンオー 16.60%
黒越 誠治 8.88%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は瀬尾訓弘氏が務めており、社外取締役の比率は42.9%となっています。

氏名 役職 主な経歴
瀬尾 訓弘 代表取締役社長 2000年ベルシステム24入社。2002年河合塾入社。2005年同社設立、代表取締役社長就任。2015年ロベルタ ディ カメリーノ ファーイースト代表取締役社長就任。
籠谷 雅 取締役事業部ゼネラルマネージャー 2002年クリケット入社。2007年イーコンセプトラブ入社。2009年同社入社。2011年事業部マネージャー。2015年より現職。
長南 伸明 取締役経営戦略室長 1996年太田昭和監査法人入所。2008年新日本有限責任監査法人パートナー。2015年同社取締役就任、2016年より現職。SFPホールディングス等の社外役員も兼務。
山口 敬之 取締役管理部ゼネラルマネージャー 2003年新日本有限責任監査法人入所。2006年公認会計士登録。2015年同社入社。2020年より現職。バリュークリエーション等の社外監査役も兼務。


社外取締役は、松本浩介(KLab社外取締役)、吉羽真一郎(潮見坂綜合法律事務所パートナー)、中島由紀子(中島公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ファッションブランドビジネス」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) ファッションブランドビジネス事業


同社は「ATAO」「IANNE」「ILEMER」「StrawberryMe」の4ブランドを展開し、主に一般消費者向けにオリジナルバッグ、財布、キャラクター商品、雑貨などを提供しています。神戸の旧居留地やパリの雰囲気をテーマにした世界観を持ち、長く愛着を持てる素材選びやトレンドに左右されないデザインが特徴です。

収益源は、全国の百貨店や商業施設に入居する直営店舗、および自社直営のインターネット店舗「ATAOLAND+」や楽天市場店、Yahoo!店などでの商品販売による売上です。商品の企画から販売までを同社が一貫して運営し、店舗とオンラインを双方向に回遊させるOMO施策によって顧客との接点を強化しています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


公開データのうち売上高や経常利益の直近数値は抽出できませんが、当期利益は継続して黒字を計上しており、直近の決算においても増益傾向にあることがわかります。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 36億円 37億円 - - -
経常利益 0.1億円 -2億円 - - -
利益率(%) 0.3% -6.6% - - -
当期利益 -0.2億円 -2億円 0.5億円 0.7億円 2億円

(2) 損益計算書


売上総利益と営業利益の推移から、直近の収益構造の傾向を分析します。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 - -
売上総利益 25億円 28億円
売上総利益率(%) - -
営業利益 2億円 2億円
営業利益率(%) - -


販売費及び一般管理費のうち、販売促進費が10億円(構成比38.0%)、支払手数料が3億円(同11.3%)、地代家賃が3億円(同9.9%)を占めています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「ファッションにエンタテイメントを」を経営理念として掲げ、オリジナルバッグや財布等の提供を通じて「お客様に非日常のワクワク感を提供すること」を使命としています。テーマパークのように統一された世界観の中で不変の定番商品を提供し、日常の中に非日常感を生み出すブランド創りを目指しています。

(2) 企業文化


「トレンドに左右されない商品企画と、定番商品を人気商品化するノウハウ」を強みとしています。流行を後追いするのではなく、自由な発想で独創的な商品を提案し、ブランドのファンを生み出す文化があります。また、販売スタッフをブランドPRの最前線として重視し、正社員による質の高いサービス提供でリピーターを獲得しています。

(3) 経営計画・目標


O2O(オンラインとオフラインの連動)施策を活用し、自社が提供するオリジナル商品の企画・販売を通して強固なブランドの世界観を構築していくことを目標としています。また、キャラクターとブランドを融合させたエンタテイメントビジネスの強化にも積極的に投資し、長期的かつ安定的に収益を上げる事業展開を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


「新規販売チャネルの展開」「店舗とECのOMOの実現」「生産体制の強化」「人材の確保・育成」「模倣品等への対策強化」「内部管理体制の強化」「財務体質の強化」の7つを重点課題としています。特に、モール型新ECサイトの展開を通じて店舗とオンラインの融合(OMO)を一層推進し、顧客体験の向上と事業の効率化を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


代表取締役自らが理念やミッションを共有する研修を行い、新商品の説明会も年2回実施しています。国内外の工場や展示会の視察、専門家による研修を通じ、全スタッフの継続的なスキルアップを目指しています。また、転勤のない正社員の採用や時短勤務の導入など働き方の多様化を進め、優秀な人材の確保と定着に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 34.7歳 7.4年 4,119,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は関連法令による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ブランド力の維持と風評被害

SNS等のインターネット上において、同社に対する悪質な風評が爆発的に発生・流布した場合、それが正確な事実に基づくものであるか否かにかかわらず、ブランドイメージが毀損され、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) ファッショントレンドの変化

同社が属するファッション業界は流行の変化が激しく、商品のライフサイクルが短い傾向にあります。流行に左右されにくい商品の開発等でリスクの低減を図っていますが、トレンドの急激な変化が経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) ECプラットフォームへの移行と販売促進

自社直営のモール型新ECサイトに移行したことで顧客獲得コストの改善は見られるものの、旧サイトとの混同を避けるための継続的な販売促進費等の投資が必要となっています。インターネット販売が計画通り進捗しない場合、収益に影響が及ぶ可能性があります。

(4) 仕入先への依存と為替変動

生産管理を特定の業者に一括委託しており、安定した商品の仕入れを行えない事態が発生した場合には影響が生じます。また、急激な円安や物価上昇により仕入価格が高騰した場合、利益率が圧迫されるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。