※本記事は、フュージョン株式会社 の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
フュージョンは、ビッグデータ分析、システム設計・構築、各種プロモーションに関する高度なコンサルティングを提供する総合マーケティングサービスプロバイダ企業です。企業と顧客・消費者とのマーケティングコミュニケーションを支援する「総合マーケティング支援事業」を主たる事業としています。
同社の単体従業員数は77名です。事業セグメントは「総合マーケティング支援事業」の単一セグメントとなっています。
同社は、クライアント企業が保有するビッグデータを分析し、顧客の嗜好に合致した商品やサービスのプロモーションを支援しています。システム会社やコンサルティングファームなど複数企業への業務委託で生じる課題に対し、複数の機能を融合して総合的かつ継続的な課題解決を支援しています。
同社は、教育支援分野で提供していたeラーニングサービス「DCFM」を2025年6月30日をもって終了しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
フュージョンは、従業員の成長とエンゲージメントを重視し、多様な働き方を支援する環境を整えている会社です。個人の成長を促す制度や、ワークライフバランスを考慮した柔軟な働き方が特徴として挙げられます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が長期的にキャリアを形成し、安定して働き続けられるような環境づくりに注力していることがうかがえます。平均勤続年数や平均年齢から、一定の経験を持つ人材が定着している傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,961,460円 |
| 平均勤続年数 | 6.4年 |
| 平均年齢 | 40.2歳 |
| 単体従業員数 | 77人 |
同社は確定拠出型の退職給付制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を設けています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
フュージョンは、「マーケテイングの力で、企業をもっと顧客の近くへ。」というミッションを組織の存在目的として最重要視しています。このミッション達成のため、ミッションに共感する優秀な人材を集め、成長を支援し、個性を発揮できる環境を提供することを人材戦略の基本方針としています。従業員の行動指針として「The Marketer」「Fellowship」「Breakthrough」の3つのコアバリューを掲げ、組織として高いパフォーマンスを継続的に発揮することを目指しています。
人事制度は「“社員の成長によりビジネスの成長”を実現する人事制度」と「すべての社員が“貢献し続けられる”人事制度」をコンセプトに設計されています。半期ごとにチャレンジングな目標を設定し、直属の管理職だけでなく部署を跨いだ多面的な議論を通じて、具体的な成長に向けたフィードバックを行うことで効果的な成長支援を実現しています。
重点テーマとしては「成長支援」「従業員エンゲージメント向上」「DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)」を掲げています。成長支援では、入社後の早期活躍を促すオンボーディングやメンター制度、部署ごとの研修費予算、資格取得奨励制度を整備しています。また、「フュージョンWEB寺子屋」と称するオンライン学習コンテンツを提供し、ピアラーニングの風土形成と成長支援を行っています。
従業員エンゲージメント向上に向けては、年2回の「全社総会」や月2回の「全社朝礼」を通じた経営陣と現場従業員間の情報共有、従業員コミュニケーションプラットフォーム「Viva Engage」の活用を進めています。働き方については、週5日勤務のうち3日をオフィスワーク必須、残りの2日を在宅勤務とオフィスワークから選択できる「ハイブリッドワーク」を導入し、多様な働き方を実現しています。従業員同士のコミュニケーション促進のため、「サークル活動支援金制度」も設けています。ワークライフバランスの支援として、育児・介護休暇制度、フレックスタイム制度、短時間勤務制度、年次有給休暇の取得促進、バースデー休暇やドナー休暇などの多様な休暇制度を整備しています。
DEIの推進も重視しており、多様な人材がそれぞれの能力を最大限発揮し、イノベーションが生まれやすい環境づくりを目指しています。継続的なダイバーシティ教育と環境整備として、研修や会議体での発信周知、フレックスタイム制度やハイブリッドワーク、公平な人事評価制度、互いを尊重し合える組織風土の構築に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 29.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 79.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 79.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 44.1% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者に占める女性の割合 | 50.0% |
| 管理職に占める女性の割合 | 29.4% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有休消化率 | 64.3% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
フュージョンは、ビッグデータ分析を基盤とした総合マーケティング支援を提供する企業です。企業と顧客・消費者とのコミュニケーションを多角的にサポートしています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
フュージョンは、ビッグデータ分析を強みとする総合マーケティングサービスプロバイダです。企業が抱えるマーケティング課題に対し、戦略策定から施策の立案、運用、サポートまでを一貫して支援しています。主に顧客行動データを保有するクライアント企業を対象に、マーケティングコミュニケーションの最適化をサポートすることで収益を上げています。
同社の事業は「総合マーケティング支援事業」の単一セグメントで構成されています。この事業はさらに「CRM支援分野」「サービス運営支援分野」「教育支援分野」の3つの区分に分かれています。
CRM支援分野では、顧客行動データの分析に基づき、顧客マーケティングに関するトータル支援を提供しています。サービス運営支援分野では、クライアント企業のシステム基盤やECの最適化、付加価値向上を支援しています。教育支援分野では、セミナー開催などを通じて、クライアント企業の社内教育やマーケターのスキルアップをサポートしています。
同社は、これまで複数の企業に委託されていたマーケティング業務をワンストップで提供することで、顧客データの漏洩リスク低減や販売促進業務のスピード向上に貢献しています。本邦以外の外部顧客への売上高はなく、国内市場に特化しています。当事業年度のサービス区分ごとの販売実績を見ると、CRM支援分野が最も大きく、次いでサービス運営支援分野、教育支援分野が続いています。特定の顧客への販売実績としては、イオンモール株式会社が当事業年度の総販売実績の17.8%を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
フュージョンの直近の業績は、売上高が前期からわずかに減少した一方で、営業利益と経常利益は増加傾向を示しています。特に当期純利益は、前期の損失から黒字へと転換しました。これは、売上原価の減少や、採用戦略の見直しに伴う費用増加があったものの、全体として利益率改善への取り組みが進んだ結果と考えられます。また、当期には東京オフィス移転に伴う固定資産除却損という一時的な特別損失が発生しています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
フュージョンは、本業で得た資金を将来の成長に向けた投資に充てている状況です。手元資金の状況や事業を取り巻くリスク要因から、同社の経営の現在地を把握できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤を見ると、現金及び預金等は前期から減少しています。これは、事業活動や投資活動における資金の動きが影響していると考えられます。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 現金及び預金等 | 368百万円 | 307百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
フュージョンの当期の営業活動によるキャッシュ・フローはプラスとなっていますが、前期と比較すると減少しています。これは主に、減価償却費が発生した一方で、売上債権が増加したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、前期に引き続きマイナスで推移しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出が主な要因となり、前期の増加から減少に転じています。
これらの資金の流れから、同社は本業で得た資金を投資に充てている状況であり、将来の成長に向けた取り組みを進めていることがうかがえます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 30百万円 | 18百万円 |
| 投資CF | △29百万円 | △29百万円 |
| 財務CF | 166百万円 | △50百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1百万円 | △11百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、特定の主要クライアント企業への依存リスクを認識しており、2026年2月期には全売上高の17.8%を1社が占めています。今後、新規クライアント企業の開拓により依存度の低減に努める方針です。
また、マーケティング業界は競合企業が多く、今後も増加する可能性があると認識しています。競争激化により同社の優位性が失われ、クライアント企業との取引が縮小される可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、業務拡大に伴い、必要な人材の確保に努めています。しかし、計画通りに人材を確保できなかった場合や、必要な人材の流出が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があると認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
フュージョンは、「マーケティングカンパニー」を経営理念に掲げ、顧客に寄り添う伴走型マーケティングパートナーとして、社会の持続可能な発展に貢献することを目指しています。ミッション達成のため、従業員一人ひとりの成長と多様性を重視する企業風土を醸成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
フュージョンは、「マーケティングカンパニー」を経営理念としています。同社は、パーパス・ビジョン・ミッション・コアバリューから成る企業理念に基づき、事業活動を通じて社会の持続可能な発展に貢献することを目指しています。
ミッションとして「マーケティングの力で、企業をもっと顧客の近くへ。」を掲げています。中期経営計画「Rising2028」では、「伴走型マーケティングパートナーとして、個別最適のソリューションから成果を再現するサービスへ進化する」ことを指針とし、CRM領域におけるMarketing as a Service(MaaS)モデルの構築を推進しています。
既存クライアントとの関係深化や新規クライアント獲得を通じて、収益性を伴う成長の実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
フュージョンでは、ミッション達成のために従業員の行動指針として3つのコアバリュー「The Marketer」「Fellowship」「Breakthrough」を掲げています。これらのコアバリューを体現し、一人ひとりが個性や才能を発揮して自律的に行動することが求められています。
また、同社に所属する全てのメンバーが一致団結し、同じ方向に向かって進むことで、組織として高いパフォーマンスを継続的に発揮していくことを重視しています。従業員の自律性や働きやすさを担保し、信頼感を醸成することがエンゲージメント向上に繋がると考えています。
多様な人材が能力を最大限発揮し、自律的に活躍できる環境づくりにも注力しており、「互いを尊重し合える」「誰でも意見を言える」組織風土の構築を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
フュージョンは、今後の規模拡大と成長に向け、優秀な人材の確保と継続的な人材育成を重要な経営課題の一つとして認識しています。そのため、積極的な人材採用活動と従業員の能力向上のための研修を実施していく方針です。
また、情報管理体制の強化にも継続的に取り組んでいます。情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」などの認証を取得しており、今後も情報管理の徹底と体制強化を図ります。
サステナビリティの観点では、気候変動対策として「ゼロカーボン北海道」の実現に向けた取り組みや、人的資本の強化として従業員の成長支援、エンゲージメント向上、DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)の推進を重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
フュージョンは、取締役会が経営の意思決定機関として機能し、取締役の職務執行を監督する体制をとっています。監査役会が取締役の職務執行全般を監査・監督することで、コーポレート・ガバナンスの充実を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
フュージョンの株主構成を見ると、創業家が上位に名を連ねていることが特徴です。筆頭株主は取締役会長の花井秀勝氏であり、その子である取締役の花井優樹氏も主要株主の一人となっています。特定の個人や関連会社が上位株主として存在し、同社の経営を支えている状況がうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 花井 秀勝 | 15.80% |
| 花井 優樹 | 15.13% |
| プログレス | 11.11% |
| TOPPAN | 9.98% |
| 佐々木 卓也 | 9.14% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性9名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は佐々木卓也氏が務めています。社外取締役比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐々木 卓也 | 代表取締役社長 | 2000年5月同社入社。2005年5月同社常務取締役就任、2011年5月同社代表取締役社長就任より現職。 |
| 安田 真 | 専務取締役 バックオフィス担当 | 2005年4月同社入社。2010年5月同社常務取締役就任、2012年5月同社専務取締役バックオフィス担当就任より現職。 |
| 木村 達夫 | 常務取締役 フロントオフィス部門担当 | 2004年12月同社入社。2019年5月同社営業部門担当取締役就任、2022年5月同社常務取締役フロントオフィス部門担当就任より現職。 |
| 花井 秀勝 | 取締役会長 | 1991年12月同社設立、代表取締役社長就任。2008年4月同社代表取締役会長就任。2024年5月同社取締役会長就任より現職。 |
| 花井 優樹 | 取締役 | 2013年4月同社入社。2019年5月同社執行役員就任、2024年3月同社ビジネス部門ソリューション第1グループ担当取締役就任より現職。 |
社外取締役は、川村秀憲氏(北海道大学大学院情報科学研究院教授)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役1名と社外監査役2名を選任しています。これにより、経営の意思決定機関である取締役会に対する監督および監査体制を整備しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
フュージョンの役員報酬は固定報酬を基本としており、業績連動報酬は含まれていません。取締役の報酬額は、事業への貢献度、役位、職責、在任年数を総合的に勘案して取締役会で決定されます。監査役の報酬額は、業務執行から独立した立場で、各監査役の職務と責任に応じて監査役の協議により決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 62百万円 | 12.4百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 5百万円 | 4.8百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 5百万円 | 1.8百万円 |
同社の役員報酬等の総額は72百万円であり、対象となる役員の合計は9名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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